作品番号 2015-31
迎立春
新年復訪早春回 新年また訪れ 早春回(めぐ)り
燦麗陽光白雪堆 燦麗なる陽光 白雪堆(つ)む
快適旻天蒼空廣 快適なる旻天 蒼空広く
疎星點滅夙宵來 疎星点滅して 夙(しゅく)宵來る
「粲麗」: あざやかで、輝くばかりに美しい
「旻天」: 天空のこと
「夙宵」: 早い宵
作品番号 2015-32
新年感懷
走行荒馬未年來 荒馬走行未年来たり
拡大格差今更開 拡大する格差 今更に開けり
虚構世情深混乱 虚構の世情 混乱を深めり
精神慈愛仁心培 慈愛の精神 仁心を培ふなり
今年は未年、格差は開き、世情は混乱、このような時こそ慈愛の心を持ってほしいものです。
作品番号 2015-33
迎春
半夜団欒梵鐘起 半夜の団欒 梵鐘起こる
窮陰既暮草堂隅 窮陰既に暮れぬ 草堂の隅
三朝柏酒笑顏發 三朝 柏酒 笑顔発く
破蕾春風一樹梅 蕾を破る春風 一樹の梅
作品番号 2015-34
新年作
佳辰韶景曙光催 佳辰 韶景 曙光催し
萬戸昇平淑氣回 万戸 昇平 淑気回る
翁媼相嘉康健壽 翁媼相嘉し 康健の寿
賀正芳宴笑顏開 賀正の芳宴 笑顔開く
作品番号 2015-35
乙羊新年
改年淑氣伴春回 改年 淑気 春を伴ひて回る
六十八齢長命杯 六十八齢 長命の杯
香墨硯田揮新筆 香墨硯田 新筆を揮ふ
百詩自詠雅懷開 詩を問ひ 百詠 雅懐開く
作品番号 2015-36
乙未新春
茅庵庭上拂塵埃 茅庵 庭上 塵埃を払ふ
除夜鐘聲節序催 除夜の鐘声 節序を催す
野老復迎新暦日 野老 復た迎ふ 新暦日
親朋賀客共含杯 親朋 賀客 共に杯を含む
作品番号 2015-37
與友迎新春
東風吹渡曉雲開 東風吹き渡り 暁雲開く
乙未三朝吟友來 乙未の三朝 吟友来る
請禱佳詩斟新水 佳詩を請祷し 新水を斟む
春盤柏酒献酬杯 春盤 柏酒 献酬の杯
作品番号 2015-38
新年作
山上長松栖老鶴 山上の長松は 老鶴を栖はせ
庭前玉蕾召新鶯 庭前の玉蕾は 新鶯を召く
嵎夷朝旭壽元旦 嵎夷の朝旭 元旦を壽ぎ
春自回來天下平 春は自から回り来たりて 天下は平らかなり
作品番号 2015-39
賀新春
南枝馥郁百花魁 南枝馥郁として 百花の魁
春氣沖融鶯哢回 春気 沖融 鶯哢り回る
老境始終追往事 老境は始終 往事を追ふ
弥年時運祥雲來 年を弥る時運 祥雲来る
作品番号 2015-40
新年
侵晨凍氣透窗來 侵晨の凍氣 窓を透して来たり
遠望秀峰初日開 遠望すれば 秀峰 初日開く
夫婦相吟喜身健 夫婦相吟じ 身の健なるを喜ぶ
八旬自壽亦愉哉 八旬 自ら寿して 亦た愉しき哉
作品番号 2015-41
訪伊勢社
神遷社殿曉雲開 神の遷りし社殿に曉雲開く
宇治橋梁楯皚皚 宇治の橋梁 楯皚皚たり
松翠風清塵外境 松は翠りに風は清し 塵外の境
陽光燦燦早梅催 陽光燦燦として 早梅を催す
作品番号 2015-42
迎春
鶯聲頻告早梅開 鶯声 頻りに告ぐ 早梅開くと
竹径携瓢賀客來 竹径 瓢を携へ 賀客来る
諸事陽和詩興起 諸事陽和にして詩興起き
佳哉共飲兩三杯 佳きかな 共に飲まん 両三の杯
作品番号 2015-43
春景
東雲將拆曙光催 東雲 将に拆かんとし 曙光催す
正旦惠風啼鳥來 正旦 恵風 啼鳥来る
歡笑滿堂廻柏酒 歓笑 堂に満ち 柏酒を廻らす
萬邦萬戸一枝梅 万邦 万戸 一枝の梅
作品番号 2015-44
新年
新正麗色瑞雲開 新正 麗色 瑞雲開き
柏酒春盤清宴催 柏酒 春盤 清宴催す
子女蘭孫無別事 子女 蘭孫 別事無し
一門咸集笑顏廻 一門 咸集 笑顔廻る
作品番号 2015-45
新年感懷
新迎歳首漢詩培 新たに歳首を迎へ 漢詩を培(つちか)ひ
燦燦陽光炤竹梅 燦燦たる陽光 竹梅を炤(てら)す
稍見星辰倓點滅 やうやく見(あらは)る星辰 倓(しづか)に点滅し
煌煌月色沼湖回 煌煌たる月色 沼湖を回(めぐ)る
「培」: 素質・能力を養い育てる
「星辰」: 星
「燦燦」: あざやかに輝くさま
「煌煌」: きらきらと光りかがやく
「月色」: 月の光のこと
作品番号 2015-46
次韻常春先生「乙未所懷」
賀信芳聲潤涸腸
筆耕案上暫生遑
獺探魚不得探賦
巴調一篇難出嚢
作品番号 2015-47
風冷山園曲水隈 風冷ややかなり 山園 曲水の隈
四邊馥郁雪花開 四辺 馥郁 雪花開く
恍然想起逋仙句 恍然 想起す 逋仙の句
蝶舞陽春目睫來 蝶舞 陽春 目睫に来る
作品番号 2015-48
立春二月獨徘徊 立春二月 独り徘徊
料峭東風伴雪來 料峭たる東風 雪を伴いて来る
玉屑紛飛枝上積 玉屑 紛飛 枝上に積る
庭前光景亦佳哉 庭前の光景 亦佳き哉
作品番号 2015-49
暖冬何雪急 暖冬 何ぞ雪の急なる
寒倨樹芽纔 寒 倨して樹の芽 纔(わずか)なり
重老他郷昊 老を重ねる他郷の昊(そら)
春秋去又来 春秋 去って又来る
作品番号 2015-50
戰後七旬迎歳時 戰後 七旬 歳を迎ふるの時
回頭萬象感懷滋 頭を回らせば 萬象 感懷滋し
泰平天下浮萍似 泰平 天下 浮萍に似たり
警世憂心強托詩 警世 憂心 強ひて詩に托す
新春の不戦の誓ひ七十年
作品番号 2015-51
八十有三天地春 八十 有三 天地の春
高吟自壽一閑人 高吟 自ら壽す 一閑人
無病息災吾欲老 無病 息災 吾老いんと欲す
誰憐華髪爲詩貧 誰か憐れむ 華髪 詩の爲に貧なり
作品番号 2015-52
八十有三春又回 八十 有三 春又回る
一年一夢一凡才 一年 一夢 一凡才
誰憐白髪醉顔好 誰か憐れまん 白髪 醉顔好し
無病息災献壽來 無病 息災 壽を献じて來る
作品番号 2015-53
初雪舞天詩興催 初雪 天に舞ひ 詩興を催す
小庭好見一枝梅 小庭 好し見る 一枝の梅
暖冬異變向誰説 暖冬 異變 誰に向って説かん
無病息災呼快哉 無病 息災 快哉を呼ぶ
作品番号 2015-54
歳旦五雲西又東 歳旦五雲 西又東
滔滔世路有窮通 滔滔たる世路 窮通有り
康心健体安吾分 康心健体 吾分に安んじ
迎得今朝傘寿翁 迎へ得たり今朝 傘寿の翁
作品番号 2015-55
七十三年春又回 七十三年 春又回る
苟生愧笑對椒杯 苟生 愧笑して 椒杯に対す
相待慈孫正刮目 慈孫に相待すれば 正に刮目
不關今歳老軀灰 関せず 今歳 老躯灰となるも
作品番号 2015-56
人間求活塗塵埃 人間に活を求めて塵埃にまみれ
忘却温情惑溺哀 温情を忘却して哀しみに惑溺す
除夜鐘音消伏雪 除夜の鐘の音、消伏雪
心機一轉謹乾杯 心機 一転 謹んで杯を乾す
作品番号 2015-57
新春何勝子歸來 新春 何ぞ勝らん 子の帰り来たる
奉謝相身無病災 相身 病災のなきを奉謝す
小宴圍炉嬉不盡 小宴 炉を囲んで 嬉は尽きず
笑門招福共乾杯 笑門 招福 共に乾杯
作品番号 2015-58
四海萬邦春色復 四海万邦 春色復り
四民萬戸喜心催 四民万戸 喜心を催す
唯愁世界不波担 唯だ愁ふ 世界 波担らかならざるを
礼義丹情友好魁 礼義丹情 友好の魁
作品番号 2015-59
淑氣洋洋萬象開 淑気洋洋 万象開き
同胞齊祝慮餘哀 同胞斉しく祝うも 余哀を慮る
先年列島多殃禍 先年列島 殃禍多く
一祈四時平隱囘 一へに祈る 四時 平穏に回るを
作品番号 2015-60
昔日紅顏漸白頭 昔日の紅顔 漸く白頭
些猜幼孺富春秋 些か猜む 幼孺の春秋に富むを
人生苦樂年年有 人生の苦楽 年年有るも
便把壽杯銷百憂 便ち寿杯を把りて 百憂を銷せん
こちらの詩は常春さんが年賀状で送られた「乙未所懷」の詩に、返信としていただいた次韻詩とのことです。
南海子さんのご承諾をいただいて、掲載をさせていただきました。
2015年の新年漢詩 第47作は 洋景 さんからの作品です。
迎立春
辺り一杯の梅の花の香りを嗅ぎながら散策をしていると、
ふと林逋の詩「山園小梅」が思い浮かびました。
2015年の新年漢詩 第48作は 點水 さんからの作品です。
迎立春
2015年の新年漢詩 第49作は 哲山 さんからの作品です。
新年感懷
2015年の新年漢詩 第50作は 兼山 さんからの作品です。
乙未元旦(一)
2015年の新年漢詩 第51作は 兼山 さんからの作品です。
乙未元旦(二)
吟題は「乙未元旦」きのとひつじ
2015年の新年漢詩 第52作は 兼山 さんからの作品です。
迎立春
春立つや一年一日是れ好日
2015年の新年漢詩 第53作は 兼山 さんからの作品です。
新年感懷
初雪や心身共に穢れなく
2015年の新年漢詩 第54作は 押原 さんからの作品です。
元旦口号
2015年の新年漢詩 第55作は 禿羊 さんからの作品です。
新年感懷
2015年の新年漢詩 第56作は 忍夫 さんからの作品です。
新年感懷
生活のためと、日々不本意なことをしていると、
温情を忘れ、哀しみに溺れてしまう。
除夜の鐘の音と災いを消し去るように降る雪、
どちらも気持ちを新たにさせてくれる。
2015年の新年漢詩 第57作は 忍夫 さんからの作品です。
新年感懷(二)
新春、子の帰省に勝ることなく、
互いの無事に感謝する。
炬燵を囲んで、ささやかな宴、
笑う門には福来る、さあ乾杯。
2015年の新年漢詩 第58作は 東山 さんからの作品です。
新年所懐(一)
2015年の新年漢詩 第59作は 東山 さんからの作品です。
新年所懐(二)
2015年の新年漢詩 第60作は 觀水 さんからの作品です。
元旦偶吟
むかしほどには若くなく 髪にも少し白いもの
ちびっ子どもの将来を ちょっぴりねたんでみたりする
楽しいことやつらいこと 人生いろいろあるけれど
まずは一杯やりながら 面倒事は忘れよう