[7月の推薦漢詩(小暑)]

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  暑中濶r        蘇舜欽

嘉果浮沈酒半醺   嘉果 浮沈して 酒半ば醺(よ)

牀頭書冊乱粉粉   牀頭の書冊 乱れて粉粉

北軒涼吹開疎竹   北軒に涼吹きて 疎竹開き

臥看青天行白雲   臥して看る 青天に白雲の行くを

              (上平声「十二文」の押韻)

<通釈と解説>

 七夕を迎えたと思っていたら、もう台風がやってきて、六号の被害は各地に及んだようです。梅雨が明けたかどうかもわからないままに夏が盛りになり、またまた、体調を崩してしまいました。
 喉が痛い、頭が痛い、寒気がする、咳が出る、という風邪の典型的な症状を全て引き受けて、全く元気が出てきません。
 こんな時は、涼しさを感じさせてくれるような詩が良いですね。
 ということで、今回は北宋の蘇舜欽の、『暑中濶r』を読みましょうか。

[口語訳]
   冷たい水に浮かべた果物は浮き沈み、酒もほろ酔い気分
   枕元の書物はごちゃごちゃのまま
   北側の小部屋は涼しい風が吹き、まばらな竹群を抜けてくる
   横になって 青空を白い雲が流れていくのを眺めている

 よく冷えた果物に昼間の酒、これがよく酔いが回るんですよね。本も好きなだけ、あれだこれだと決めるでもなく手当たり次第に読んでいく。
 時間をのんびりと使いながら、外の景色を眺めていると、暑さを忘れるような気持ちになれますね。
 なかなか、こんなにゆったりとした午後を過ごすことは難しいのですが、希望としてはいつでもこうありたい、という姿ですね。

























[7月の推薦漢詩(大暑)]

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  望廬山瀑布        李白

日照香爐生紫烟   日は香炉を照らして 紫烟生ず

遙看瀑布挂長川   遥かに看る 瀑布の長川を挂くるを

飛流直下三千尺   飛流 直下 三千尺

疑是銀河落九天   疑うらくは是 銀河の九天より落るつかと

              (下平声「一先」の押韻)

<通釈と解説>

 梅雨明けと共に夏の暑さが一気に押し寄せてきて、最高気温が36度を超えたという報道がしきりですね。太陽の下に出るのに勇気が必要な、まさに夏本番という感じのするこの頃ですね。
 こんな時は、やはり涼しくなる工夫が必要ですから、今回のお薦めは、李白の名作、『望廬山瀑布』を読みましょう。

[口語訳]
   日の光は香炉峰を照らして、紫の煙が立ち上っている
   遥か遠く 滝が長い川を掛けたように流れ落ちているのが見える。
   飛び下る流れは まっすぐに三千尺
   銀河の水が空高くから落ちてきているのではないかと思ってしまう。

 もう解説するまでもないような有名な詩ですし、「天の川が落ちてきたと思った」という発想のスケールのでかさ、リズミカルな言葉の展開、まさに蘇軾「古今の絶唱」と激賞したのも納得できる作品です。
 涼しい風が天地を吹き抜けるような、そんな詩ですね。

 滝を眺めていると、上の方で砕けた水の飛沫がゆっくりと落ちてきます。まるでスローモーション撮影のような、時間の流れが変わったかのような光景は、吸い込まれるような力を持ち、なかなか滝から離れられませんよね。