聞道鴻儒富古今 聞く道く鴻儒の古今に富しを
成均館宇幾時尋 成均館宇幾時か尋ねん
霜風無力冬初老 霜風力無く 冬初めてて老い
雪朶有香春漸深 雪朶香有り 春漸く深し
觸景趁暄居日本 景に觸れ暄を趁って 日本に居り
怡情盡意寄鷄林 情を怡ばし意を盡て 鷄林に寄せん
勿言識字多憂患 言う勿れ字を識るは 憂患多しと
即以蕪詩吐此心 即は蕪詩を以って 此の心を吐せん
「霜風無力冬初老 雪朶有香春漸深」 過去の旧悪がとけたことをさす
日本國 謝斧
舊苑春香草色侵 舊苑の春香 草色を侵し
公孫樹下野烟沈 公孫樹下 野煙沈む
觀花對盞還觀水 花を觀 盞に對し 還た水を觀る
誰惜C筵好古吟 誰か C筵 好古の吟を惜しまん
日本國 桐山堂
馨風引我入瓊林, 馨風 我を引き 瓊林に入り
老幹新枝次第尋。 老幹 新枝 次第に尋ぬ
古苑詩迎春日永, 古苑の詩迎 春日永く
蘭亭修禊酒卮斟。 蘭亭の修禊 酒卮斟む
肯容放詠舒長嘯, 肯容す 放詠 長嘯を舒し
可免焚香坐鼓琴。 免るべし 焚香 鼓琴に坐す
仰視浮雲呈萬變, 浮雲を仰ぎ視れば 萬變を呈し
夢縈銀杏賞C吟。 夢縈の銀杏 C吟を賞す
台中國 汨羅江
古苑迎春樂不禁, 古苑に春を迎へ 樂禁ぜず
韶光■▲契知音。 韶光 ■▲ 知音を契す
菁莪作育書香盛, 菁莪 育を作し 書香盛んに
銀杏繁庭コ蔭深。 銀杏 庭に繁く 庭コ蔭深し
勝會裁詩宜醉酒, 勝會 詩を裁し 宜しく酒に醉ふべく
條風拂柳更舒心。 條風 柳を拂ひ 更に心を舒す
詩衷願履東坡跡, 詩衷 東坡跡を履むを願ひ
立句凝神發浩吟。 立句 凝神 浩吟を發く
■ : 旗-其+奇
▲ : 旗-其+尼
菁莪作育: 『詩経』「小雅」による。「菁菁者莪,楽育材也. 君子能長育人材,則天下喜楽之矣」
人才を育てなければならないということを比喩した言葉
條風 :立春頃に吹く風. 融風とも
台中國 蝶依
以上 招請詩
建春門裏古宮尋 建春門裏 古宮尋ね
物換風移感一吟 物換はり 風移り 一吟感ず
車轍滿街人作海 車轍 街に滿ちて 人 海を作し
電燈通曉虎逃林 電燈 曉に通じて 虎 林に逃がる
天行有道終如始 天行道有り 終に始の如く
世事無常毎沒陰 世事常無し 毎に陰に沒す
願得聖神若堯舜 願はくは聖神 堯舜の如きを得て
大同之治見斯今 大同の治 斯今に見ん
會長 龍田 金母、
新春雅會古宮尋 新春の雅會 古宮尋ぬ
猛烈餘寒冷氣侵 猛烈たる餘寒 冷氣侵す
浩汗辟雍開國志 浩汗の辟雍 開國の志
明倫黄券聖賢心 明倫の黄券 聖賢の心
園林樹老風煙積 園林 樹は老いて 風煙積もり
殿陛苔歳月深 殿陛 苔はくして 歳月深し
往劫無關堪一醉 往劫 關無く 一醉に堪え
陶然物外爽胸襟 陶然たり 物外 爽たる胸襟
省軒 朴海春
新春緩歩古宮尋 新春 緩歩 古宮を尋ぬ
殿閣依然感慨深 殿閣 依然たり 感慨深し
恒願萬民修舜政 恒に願ふ 萬民舜政を修むるを
如何四海播堯音 如何ぞ 四海堯音を播くを
池塘水淨游銀鯉 池塘 水淨く 銀鯉を游ばせ
苑樹陰C舞采禽 苑樹 陰Cく 采禽を舞はしむ
分斷江山風尚暗 分斷たる江山 風尚ほ暗く
彼蒼胡不眷吾心 彼蒼 胡ぞ吾が心を眷ぜざらん
近堂 呉在錫
鹿角枯枝歳月深 鹿角 枯枝 歳月深く
雪寒中已動春心 雪寒の中 已に春心動く
草芽甲柝將穿地 草芽 甲柝 將に地を穿ち
林鵲巣成▲未陰 林鵲 巣成 ▲未だ陰し
不語天情猶可信 天情は語らざれども 猶ほ信るべし
多言世事却難ェ 世事は言多けれども 却ってェり難し
欲知安否兼舒興 欲知安否を知らんと欲して 兼ねて興を舒す
秘苑留期又盍簪 秘苑に期を留めて 又盍ぞ簪ざる
▲ : 道-首+台
一平 趙南權
明倫雅會盡衿 明倫の雅會 衿盡き
瑞日隨時爛照臨 瑞き日 時に隨ひ 爛照に臨む
聖廟庭前銀杏老 聖廟庭前 銀杏老い
泮宮壁上国ロ深 泮宮壁上 国ロ深し
儒風邈矣儼如在 儒風邈か 儼如在
吾道衰歟難得尋 吾道衰えたるか 尋ね得難し
世事論評何可易 世事論評 何そ易ふべき
正治只要濟民心 正治只要す 濟民の心
霞山 李鍾福
誰ヘ霜雪鬢邊侵 觀水交情歳月深
寂寞古宮麋鹿伏 繁華新市午煙沈
後園草色新春夢 禁闕風光舊日心
紛亂世情何可定 自憐政態昨如今
敬菴 朴容圭
載酒相招古苑尋 霊區不許俗塵侵
東君自是應時復 吾道何由久益沈
凍雪將消梅欲語 暖風方至鳥爭吟
迎春此日無窮意 充足生民望歳心
地山 張在(金干)
泮水淙淙雪水侵 擇閑携酒故相尋
巍巍杏木千秋立 赫赫銘碑萬世臨
碧落連甍金闕迥 丹繞壁玉堂深
簪纓學士鑽研處 回憶當時雅頌音
C溪 趙冕熙
酒朋詩友好相尋 古苑新春一曲吟
雪下香梅誇玉骨 風前勁竹奏氷心
通情騷客韓中日 拾景霊區水石林
寒暖隨時交遞裏 布仁帝自東臨
葛亭 權宰興
先天如夢乱鳴禽 此理元無異古今
試看森羅千萬象 春和不外一身心
心軒 朴小東
大成殿上日華侵 宣化東風足灑襟
古苑詩情依古韻 新梅花事更新吟
頓忘雪後多分袂 劇喜樽前一盍簪
幾許陸沈經乱族 長春只願若商霖
栢村 權奇甲