第46回 世界漢詩同好會總會(二〇一七年二月五日)

 『世界漢詩同好會』の第46回総会は、2月5日に開きました。
 詩題(今回は『迎春』)、押韻(今回は「下平声二蕭」)を共通として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。
 今回は多くの方々と新年・春節を祝うという趣旨で、他の韻の詩でも参加詩として受け入れることにしました。

 これまで台湾・中国からの參加は汨羅江さんがとりまとめて下さってましたが、今回からは参加者個人で直接メールを桐山人に送る形態に変更しました。
 今後もこの形で進めていくつもりです。
 皆さんのご期待にできるだけ添えるように、頑張って行きたいと思いますので、宜しくお願いします。




【下平声二蕭韻の詩】

作品番号  題 名 作 者   詩 形
   
01 丁酉新年 観大国動向有感 其二 常 春 七言絶句 
02 丁酉新年 観大国動向有感 其三 常 春 七言絶句 
03 迎春 岳 城 七言絶句 
04 迎春(星夜) 楊 川 七言絶句 
05 迎春 調布T.N 七言絶句 
06 迎春(一) 四季不欺 兼 山 七言絶句 
07 迎新年 道 佳 七言絶句 
08 迎春 岳 城 七言絶句 
09 迎春 其一 鮟 鱇 五言絶句 
10 迎春 其二 鮟 鱇 七言絶句 
11 迎春 其三 鮟 鱇 五言律詩 
12 迎春 其四 鮟 鱇 七言律詩 
13 迎新年(一) 東 山 七言絶句 
14 迎新年(二) 東 山 七言絶句 
15 迎春 其一 謝 斧 七言絶句 
16 迎春 其二 謝 斧 七言律詩 
17 迎春 凌 雲 五言律詩 
18 迎春 仲 泉 七言絶句 
19 迎春 哲 山 七言絶句 
20 迎春 杜 正 七言絶句 
21 迎春(新年所感) 觀 水 七言絶句 
22 迎春(歸葉賀正) 觀 水 五言律詩 
23 迎春(故ク迎新) 觀 水 七言律詩 
24 迎春(新年即興) 三 斗 七言絶句 
25 迎春 汨羅江(臺湾) 七言絶句 
26 迎春 蘆 馨(臺湾) 七言絶句 
27 迎春 瓊 泉 七言絶句 
28 迎春(在上海過節) ニャース 七言絶句 
29 迎春 劉 建 七言絶句 
30 迎春(和布刈神社神事) 忍 冬 七言絶句 
31 迎春 C 溪(韓國) 七言律詩 
32 迎春 藍 海(韓國) 七言律詩 
33 迎春 蓮 塘(韓國) 七言律詩 
34 迎春 一 愚(韓國) 七言律詩 
35 迎春 明 鳳 七言絶句 
36 迎新年 明 鳳 七言絶句 
37 歳晩新年 (桐山堂刈谷)小 園 七言絶句 
38 新年雜詩(賀次子結婚) (桐山堂刈谷)聖 峰 七言絶句 
39 新年作 (桐山堂刈谷)N.M 七言絶句 
40 新年詩 (桐山堂刈谷)老 遊 七言絶句 
41 新年作 (桐山堂刈谷)一 兔 七言絶句 
42 迎春 桐山人 七言絶句 
43 正旦與孫散策 桐山人 七言絶句 
44 立春 桐山人 七言絶句 


【その他の韻】(便宜上100番台にしてあります)


作品番号  題 名 作 者   詩 形
   
101 丁酉元旦(一)無官之樂 兼 山 七言絶句 
102 丁酉元旦(二)守護憲法 兼 山 七言絶句 
103 丁酉新年書懷(一)八秩四齡 兼 山 七言絶句 
104 丁酉新年書懷(二)干支七巡 兼 山 七言絶句 
105 新春書懐 Y.T 七言絶句 
106 迎新年 ニャース(在上海) 七言絶句 
107 迎春 深 渓 七言絶句 
108 卒寿偶感 深 渓 七言絶句 
109 平成丁酉新年試筆 観 水 七言絶句 
110 丁酉新年(一) 東 山 七言絶句 
111 丁酉新年(二) 東 山 七言絶句 
112 丁酉新年 観大国動向有感 其一 常 春 七言絶句 
113 丁酉新年 観大国動向有感 其四(離合詩) 常 春 七言絶句 
114 年頭自況 岳 城 七言絶句 
115 丁酉初詣深大寺 調布 T.N 七言絶句 
116 昔日新春 青眼居士 七言絶句 
117 丁酉元旦口占 青眼居士 七言絶句 
118 迎接丁酉年 其一 五言絶句 鮟 鱇 五言絶句 
119 迎接丁酉年 其二 五言絶句 鮟 鱇 五言絶句 
120 迎接丁酉年 其三 七言絶句 鮟 鱇 七言絶句 
121 迎接丁酉年 其四 七言絶句 鮟 鱇 七言絶句 
122 丁酉迎春偶成 七言律詩 鮟 鱇 七言律詩 
123 迎接丁酉年 其五 漢俳 鮟 鱇 漢俳 
124 迎接丁酉年 其六 漢俳 鮟 鱇 漢俳 
125 迎春樂・丁酉新懷 鮟 鱇 詞 
126 賀聖朝・丁酉新年試筆 鮟 鱇 詞 
127 賀熙朝・丁酉新年試筆 鮟 鱇 詞 
128 玉女迎春慢・丁酉新年試筆 鮟 鱇 詞 
129 祝新年 緑 風 七言絶句 
130 元旦後天晴過富士見茶屋舊跡遠望見富士雪峰 陳 興 七言絶句 
131 元旦 紫 舟 七言絶句 
132 年頭詠言 謝 斧 七言律詩 
133 応制 詠「野」 謝 斧 七言絶句 
134 謹賀新年 凌 雲 五言絶句 
135 迎春 地球人 七言絶句 
136 迎春 洋 景 七言絶句 
137 愚老丁酉歳旦 深 渓 七言絶句 
138 新年偶作(一)賀状交歓 兼 山 七言絶句 
139 新年偶作(二)築地問題 兼 山 七言絶句 
140 迎春 輪中人 七言絶句 
141 迎春(丁酉歳旦) 楊 川 七言絶句 
142 丁酉新年作 久森正詠 七言絶句 
143 喜迎新春 明 鳳 七言絶句 
144 連日期聽訥鶯 偸 生 七言律詩 
145 七十五翁迎春書懷 真瑞庵 七言絶句 
146 新年作 洋 晴 七言絶句 
147 新年雜感 澄 朗 七言絶句 
148 新年作 柳田周 七言絶句 
149 勅題「野」 杜 正 七言絶句 
150 啓泰平 芳 原 五言絶句 
151 新年作 豊 邨 七言絶句 
152 新春茗溪聯句作一律 鮟 鱇 七言律詩 
153 迎新年 茜 峰 七言絶句 
154 迎春(二) 成人之日 兼 山 七言絶句 
155 初春過田間駐足 李 惠(中国陜西省) 七言絶句 
156 丁酉賀新春 魏厚賓(中国) 七言律詩 
157 迎春 其一 忍 夫 七言絶句 
158 迎春 其二 忍 夫 七言絶句 
159 迎春 点 水 七言絶句 
160 新年作 (桐山堂刈谷)眞 海 七言絶句 
161 與昔友迎歳朝 (桐山堂刈谷)眞 海 七言絶句 
162 新年作 (桐山堂刈谷)W.I 七言絶句 
163 新年詩 (桐山堂刈谷)A.K 七言絶句 
164 丁酉新春所懷 (桐山堂刈谷)游 山 七言絶句 
165 新年 (桐山堂刈谷)仁 山 七言絶句 
166 新年作 (桐山堂刈谷)T.S 七言絶句 
167 新年作 (桐山堂刈谷)美 豊 七言絶句 
168 新年作 (桐山堂刈谷)K.T 七言絶句 
169 歳丁酉元旦 (桐山堂刈谷)松 閣 七言絶句 
170 新年作 (桐山堂刈谷)藤 佳 七言絶句 
171 新年作 (桐山堂刈谷)Y.N 七言絶句 




































【下平声二蕭韻の詩】


[01] 投稿者  常春 


  丁酉新年 観大国動向有感 其二       

投票選挙旧年揺   投票選挙 旧年揺れ

昔比今非期待潮   昔に比し今は非と、期待潮す

先進国家何向奈   先進国家 向かふは何奈

関心持続加齢銷   関心持続して 加齢鎖さん

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[02] 投稿者  常春 
 


  丁酉新年 観大国動向有感 其三        

迎拝曙光先頌椒   曙光迎拝 先づ頌椒

息災悦楽硯池邀   息災悦楽 硯池邀ふ

旧年世事好奇夥   旧年世事 好気夥し

排他自私声作潮   排他自私の声潮を作す

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[03] 投稿者  岳城 
 


  迎春(交流詩)        

訪來神域拝年朝   訪ね来たる神域 拝年の朝

旭日瞳瞳千里遙   旭日 瞳瞳 千里 遙なり

無病息災唯一禱   無病 息災 唯一の祷

巫祝妙舞太平描   巫祝 妙舞 太平を描く

          (下平声「二蕭」の押韻)



「神域」: 神社
「拝年朝」: 初詣
「瞳瞳」: 朝日の明るいさま
「巫祝」: 巫女さん
「妙舞」: 美しい舞

 神社への初詣 能舞台での巫女さんの
 五穀豊穣 万民の平穏を祈るが如く舞でした
 今年も無病息災の一年であります様に。


























[04] 投稿者  楊川 
 


  迎春(星夜)        

餘寒茅屋獨深宵   餘寒の茅屋 独り深宵

窗外星辰慰寂寥   窓外の星辰 寂寥を慰む

十里無風無月夜   十里風無く月無きの夜

光芒累累一天遙   光芒累累 一天遙かなり

          (下平声「二蕭」の押韻)


立春は過ぎても夜空は星が美しい
冬の寂しさの侭に・・・・・


























[05] 投稿者  調布T.N 
 


  迎春        

初旭紅雲現碧霄   初旭 紅雲 碧霄に現れ

東風拂坌瑞祥漂   東風坌を払ひ 瑞祥漂ふ

青州從事迎茅屋   青州の従事 茅屋に迎へ

椒酒心機轉一朝   椒酒 心機一朝に転ず

          (下平声「二蕭」の押韻)


 今年は天候にも恵まれ幸先の良い正月でした。
 銘酒を手に入れ、大いに飲み、楽しい気分に浸りました。


























[06] 投稿者  兼山 
 


  迎春(一) 四季不欺        

干支七度祝三朝   干支 七度 三朝を祝す

麗日殘寒暖尚遙   麗日 残寒 暖尚遥かなり

四季不欺千載事   四季 欺かず 千載の事

香魂黄鳥爲誰招   香魂 黄鳥 誰が為に招かん

          (下平声「二蕭」の押韻)


    花鳥風月夫々出番ありて春

























[07] 投稿者  道佳 
 


  迎新年        

參拝眞田神社朝   参拝す真田神社の朝

祈年福壽雅歌夭   祈年す福寿 雅歌夭なり

結婚孫子立春祝   結婚の孫子 立春の祝ひ

積雪白雲瑞謡   積雪 白雲 瑞の謡

          (下平声「二蕭」の押韻)


 新しき年の初めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事   (『万葉集』大伴家持)

























[08] 投稿者  岳城 
 


  迎春        

訪來神域拝年朝   訪ね来たる神域 拝年の朝

旭日瞳瞳千里遙   旭日 瞳瞳 千里 遙なり

無病息災唯一禱   無病 息災 唯一の祷

巫祝妙舞太平描   巫祝 妙舞 太平を描く

          (下平声「二蕭」の押韻)



「神域」: 神社
「拝年朝」: 初詣
「瞳瞳」: 朝日の明るいさま
「巫祝」: 巫女さん
「妙舞」: 美しい舞

 神社への初詣 能舞台での巫女さんの、五穀豊穣、万民の平穏を祈るが如く舞でした。

 今年も無病息災の一年でありますように。


























[09] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎春 其一 五言絶句      

贅翁香夢醒,   贅翁(隠居の翁)香夢に醒め,

無恙坐元朝。   恙なく元朝に坐す。

恭賀新年酒,   恭賀新年の酒,

詩泉涌紙條。   詩泉 紙條(メモ用紙)に涌く。

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[10] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎春 其二 七言絶句        

海灣滄浪洗岩礁,   海灣の滄浪 岩礁を洗ひ,

夫婦傾杯賀歳朝。   夫婦 杯を傾けて歳朝を賀す。

旅館温泉露天涌,   旅館の温泉 露天に涌き,

早梅映水暗香飄。   早梅 水に映って暗香飄ふ。

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[11] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎春 其三 五言律詩        

旅亭南海趣,   旅亭に南海の趣き,

院落立芭蕉。   院落に立つ芭蕉。

無恙迎晨旭,   恙なく晨旭(朝日)を迎へ,

傾杯賀歳朝。   杯を傾けて歳朝を賀す。

老妻誇酒量,   老妻 酒量を誇り,

贅叟試生描。   贅叟 生描(写生)を試む。

畫贊堪裁處,   画賛 裁くに堪ふるところ,

題詩轉倨驕。   詩を題して轉(うたた)倨驕(おご)る。

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[12] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎春 其四 七言律詩        

目送神猿渡歳橋,   神猿の歳橋を渡るを目送し,

金鷄報曉立元朝。   金鷄 曉を報じて元朝に立つ。

傾杯醉作風人笑,   杯を傾け醉って風人の笑ふとなり,

乘興試揮才筆驕。   興に乘り試しに才筆の驕るを揮ふ。

箋紙雪原無理路,   箋紙の雪原に理路無く,

詩魂航跡向燈標。   詩魂の航跡は燈標へ向かふ。

眼前鼻哂山妻指,   眼前に鼻で哂(わら)って山妻指すに,

聲病膏肓難取消。   聲病 膏肓にありて取り消し難し。

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[13] 投稿者  東山 
 


  迎新年(一)        

召福呼祥澄景霄   福を召び祥を呼ぶ 澄景の霄

田居無客謐迎朝   田居客無く 謐かに朝を迎ふ

老妻徐酌初湯後   老妻徐ろに酌む 初湯の後

笑語和春家内調   笑語春に和して 家内調ふ

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[14] 投稿者  東山 
 


  迎新年(二)        

舞遊仙鶴祝元朝   舞ひ遊ぶ仙鶴 元朝を祝ひ

光裹扶桑瑞兆昭   光は扶桑を裹んで 瑞兆昭かなり

一億一心送~慮   一億一心 神慮に送る

四時四海太平謠   四時四海 太平の謠

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[15] 投稿者  謝斧 
 


  迎春 其一        

老慵似病怕寒饒   老慵病の似く寒を怕るること饒く

蝸舎背花風景嬌   蝸舎花に背いて 風景嬌かなり

何事迎春出門未   何事ぞ春を迎へて 門を出でること未し

冑山冗子楽簞瓢   冑山冗子 簞瓢を楽しむ

          (下平声「二蕭」の押韻)


賢哉回也。一箪食。一瓢飮。在陋巷。(『論語』)

























[16] 投稿者  謝斧 
 


  迎春 其二        

倦讀南華弄老貓   南華を読み倦て 老猫を弄し

啜茶曝背轉無聊   茶を啜り背を曝せば 転た無聊なり

時試踏青扶病骨   時に踏青を試みては 病骨を扶け

便愉遊目歩春朝   便は遊目を愉みて春朝を歩す

茅渟湾外煙波穩   茅渟湾外 煙波穏かに

六甲山巓冠雪消   六甲山巓 冠雪消ゆ

人興博棊爭打劫   人は博棊に興じて 打劫を争ひ

舟上有誰振手招   舟上誰有りてか 手を振って招かん

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[17] 投稿者  凌雲 
 


  迎春        

早春催小旅   早春 小旅を催す、

峽谷涌泉招   峡谷 涌泉は招く。

水面寫山領   水面 山領を写し、

東風媚柳條   東風 柳条に媚びる。

行人閑緩歩   行人 閑に歩を緩め、

陽影故凝嬌   陽影 故ら嬌を凝らす。

對岸明黃菜   対岸 明るい黄菜、

車窗將渡橋   車窓 将に橋を渡らん。

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[18] 投稿者  仲泉 
 


  迎春        

瑞氣仁風似滿潮   瑞気仁風 満潮に似たり

春光相映五雲漂   春光相映ず 五雲漂ふ

履端立志獨題句   履端志を立て 独り句を題す

賦詠高吟喚起朝   賦詠高吟 喚起の朝

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[19] 投稿者  哲山 
 


  迎春        

春節金杯女樂謡   春節の金杯 女楽の謡(うた)

醒知霜髪染秋凋   醒めて知る 霜髪 秋凋染まるを

門松逆旅長亭塚   門松の逆旅 長亭の塚

生死輪廻奈未超   生死輪廻 未だ超えざるを奈せん

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[20] 投稿者  杜正 
 


  迎春        

晨鶏告曉祝三朝   晨鶏 暁を告げて 三朝を祝い

小院梅花白玉條   小院の梅花 白玉の條

師友揮毫試筆會   師友 揮毫する 試筆の会

墨香和氣入春嬌   墨香の和気 春に入りて嬌ぶ

          (下平声「二蕭」の押韻)


朝、鶏が 暁を告げて鳴き 元旦を祝い、
庭の早梅が咲いて、雪のようだ。
師と友が揮毫する 書初めの会では、
墨香の和気で 春になったようで喜んでいる。



























[21] 投稿者  觀水 
 


  迎春(新年所感)        

妻與兒兒手自招   妻と 児児と 手自ら招き

泰然走筆面前挑   泰然 筆を走らせて 面前に挑ぐ

多休多食多歡樂   多休 多食 多歓楽

書是今年我目標   書せしは是れ今年の我が目標なり

          (下平声「二蕭」の押韻)


妻とそれから子が二人 ちょいと手招きしてやって
ゆるりと筆を走らせて みなの面前披露する
たっぷり食べてよく休み 楽しいことを目一杯
書きましたのが本年の 私の目標ですからね



























[22] 投稿者  觀水 
 


  迎春(歸葉賀正)        

坐慶春千葉   坐ろに慶ぶ春の千葉

應乾酒一瓢   応に乾すべし酒の一瓢

日高賀詞盡   日高く 賀詞尽き

醉至積憂消   酔至り 積憂消す

淑景促鶯語   淑景 鶯語を促し

輕風吹柳條   軽風 柳条を吹く

把箋生雅興   箋を把れば雅興生じ

自祝好詩調   自ら祝す 好詩調ふを

          (下平声「二蕭」の押韻)



千葉の春迎え慶び 飲み干すぞ酒の一瓢
日は高く挨拶済んで 酔いまわり悩みも消える
景色よく鶯さそい 風軽く柳を吹かん
紙とれば風雅の気分 めでたくも好い詩ができた



























[23] 投稿者  觀水 
 


  迎春(故ク迎新)        

回家兩日倦無聊   家に回って両日 無聊に倦み

敢覓怱忙酉歳朝   敢へて怱忙を覓む酉歳の朝

新酒慶春杯可酌   新酒 春を慶び 杯もて酌むべく

故園尋景筆當描   故園 景を尋ね 筆もて当に描くべし

出門閑徑濳紅蕾   門を出づれば 閑径 紅蕾を潜め

送鶻遠山連碧霄   鶻を送れば 遠山 碧霄に連なる

吹髮東風漸温暖   髪を吹く東風 漸く温暖

暫時緩歩裁詩邀   暫時 歩を緩うして 詩を裁して邀へん

          (下平声「二蕭」の押韻)


帰省してから二日ほど 暇持て余し気味なので
あえて忙しそうにする 丁酉年明けた朝
酒開け春を慶んで 杯もって酌むがよく
馴染みの景色尋ねては 筆をふるって描きだせ
門出てみれば径閑か 紅い蕾をひそませる
鶻飛ぶを見送れば 山の続きの碧いそら
髮そよがせる東風 だんだんあたたかくなるは
しばらく歩みおそくして 詩を詠みながらむかえよう



























[24] 投稿者  三斗 
 


  迎春(新年即興)        

椒酒殘芳一醉消   椒酒の残芳 一酔消え

新春獨坐夜蕭條   新春 独坐 夜は蕭条たり

尚存吟興向君語   尚存り吟興 君に向ひ語らむとし

磨墨拈毫調未調   墨を磨り毫を拈るも調未だ調はず

          (下平声「二蕭」の押韻)





























[25] 投稿者 (台湾) 汨羅江 
 


  迎春        

四野春歌慰寂寥,   

徜徉湖海客魂消。   

欣看院落溶溶月,   

靜聽樓台細細簫。   

霧湧階前籠曉柳,   

耕莘隴上播新苗。   

抒懷賞景申宏願,   

頌禱全民樂富饒。   

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[26] 投稿者 (台湾) 蘆馨 
 


  迎春        

青鳥傳芳信,   

迎禧淑景饒。   

別來思舊雨,   

誰共賞花朝。   

把酒情偏重,   

題詩意自遙。   

梅香渾似昔,   

樹樹毎相招。   

          (下平声「二蕭」の押韻)


汨羅江詞長想不到已八十多歳,詩興猶在,甚喜!
還望保重身體,新年快樂!
最近寫詩老是無新意,為支持漢詩,希望大家莫嫌棄!


























[27] 投稿者  瓊泉 
 


  迎春        

歳巡丁酉祝三朝   歳は丁酉に巡って 三朝を祝す

柏酒獻杯嘉氣饒   柏酒 杯を献じて 嘉気饒し

送客出門還有興   客を送り 門を出づれば 還た興有り

碧空仰見紙鳶飄   碧空 仰ぎ見る 紙鳶の飄るを

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[28] 投稿者  ニャース 
 


  迎春(在上海過節)        

佛前古寺舊愁消、   仏前 古寺 旧き愁ひを消し、

塔上寒天冷月宵、   搭上 寒天 月の冷たき宵、

異客不需年夜飯、   異客 需(もと)めず 年夜の飯、

晩鐘聽取慰無聊。   晩鐘 聴取し 無聊を慰めん、

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[29] 投稿者  劉建 
 


  迎春        

立春皓月霽寒宵   立春の皓月  寒宵に霽れ

飢鳥飛廻萬萬条   飢鳥 飛廻る 万万の条

人宿温泉山更響   人温泉に宿り 山更に響く

河随煙霧水迢迢   河煙霧に随ひ 水迢迢

          (下平声「二簫」の押韻)




























[30] 投稿者  忍冬 
 


  迎春(和布刈神社神事)        

関門守歳習隨潮   関門の守歳は 随潮の習いにて

社典儼然和玉簫   社典は厳然として 玉簫に和す

擧炬海中採新藻   炬を挙げ 海中の新藻を採りて

神前奉納祝元朝   神前に奉納し 元朝を祝す

          (下平声「二蕭」の押韻)


  和布刈(めかり)神社は北九州市門司港にある関門海峡に面した神社。
  松本清張作「時間の習俗」の舞台。和布とは「わかめ」のこと。


























[31] 投稿者 (韓國) C溪 
 


  迎春        

寒風吹急雪飄飄,   

昨夜東皇駕御朝.   

斗柄左回春已至,   

屠蘇飮盡臘隨遙.   

老衰難約作詩對,   

少壯易期樽酒邀.   

十二年經同好會,   

次終四五恨何消.   

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[32] 投稿者 (韓國) 藍海 
 


  迎春        

陽生大地立春邀   

消雪東皐發草苗   

梅綻前庭香氣動   

月斜後院吉祥饒   

韶光九十年中最   

異客三更夜半蕭   

布コ東君山野潤   

南村花信遠人招   

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[33] 投稿者 (韓國) 蓮塘 
 


  迎春        

コ禽膊膊唱元朝,   

天下迎春瑞旭燒.   

臘破ク儺誇伎樂,   

雪乾山野發芽嬌.   

飮冰孤士尚欽孔,   

逐鹿羣雄願倣堯.   

舊計功遷新計竝,   

童心皺貌醉紅潮.   

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[34] 投稿者 (韓國) 一愚 
 


  迎春        

東風一起自霄   

陽氣温和寒暖調   

屋外梅英紅萬朶   

川邊柳眼告迸   

知時歌燕歌情樂   

感物詩人詩興饒   

花草發花香發散   

家家開戸遇花朝   

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[35] 投稿者  明鳳 
 


  迎春        

新年試筆靜心調   新年の試筆に 静心調ひ

字勢C奇詩味饒   字勢は清奇にして 詩味饒(おお)し

妙墨磨來初日上   妙墨磨り来れば 初日上り

鳴禽哈哈一天遙   鳴禽哈々として 一天遥かなり

          (下平声「二蕭」の押韻)


 1月29日、北陸には珍しい好天の日に、石川漢字友の会で「書き初め大会」を催行した折の感懐です。

(註)
「試筆」: 書き初め
「妙墨磨來」: 墨を磨るは病夫の如くし、筆を把るは壮士の如くす(漢和辞典より引用)


























[36] 投稿者  明鳳 
 


  迎新年        

新春祥瑞度青霄   新春の祥瑞 青霄に度り

歳旦風光梅影搖   歳旦の風光に 梅影揺らぐ

天候温和初日出   天候は温和にして 初日の出

皇居參賀祝旗遙   皇居の参賀に 祝旗遥かなり

          (下平声「二蕭」の押韻)


正月二日のテレビ放映は、先ず8時頃に富士山の山頂から上る初日の出を映し、次には皇居参賀の列が延々と続く平和な姿で、今年の新年は穏やかに明けた感懐です。

























[37] 投稿者  小園 
 


  歳晩新年        

郷邨盡歳野情饒   郷邨 尽歳 野情饒か

殷軫市場迎半宵   殷軫 市場 半宵を迎ふ

淑氣滿庭初日上   淑気庭に満ち 初日上す

和風穆穆曉雲遙   和風 穆穆 暁雲遥かなり

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[38] 投稿者  聖峰 
 


  新年雜詩(賀次子結婚)        

村鷄一叫報三朝   村鷄 一叫 三朝を報ず

麗日風和春色調   麗日 風は和らぎて 春色調ふ

故歳児郎結婚宴   故歳 児郎 結婚の宴

昇平彌願吉遙   昇平 彌よ願ふ 吉祥遥かなり

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[39] 投稿者  N.M 
 


  新年作        

雲晴朝日四望華   雲晴れて朝日 四望華やぎ

小徑風和梅柳芽   小径 風は和らぎて 梅柳の芽

舊友訪來催雅宴   旧友 訪ね来て 雅宴を催す

新年美酒興無涯   新年 美酒 興涯無し

          (下平声「六麻」の押韻)




























[40] 投稿者  老遊 
 


  新年詩        

電腦年年映像驕   電脳 年年 映像は驕る

小人盡玩徹晨宵   小人玩び尽くし 晨宵を徹(とお)す

文明利器有雙刄   文明の利器に 双刃有り

騒客推詩旭日邀   騒客詩を推し 旭日邀ふ

          (下平声「二蕭」の押韻)


 昨年はスマホでモンスター探しが流行し、小学生が車にはねられて死亡しました。

  スマホは軽率に取り扱ってはなりません。


























[41] 投稿者  一兔 
 


  新年作        

鶏聲告刻紫雲朝   鶏声 刻を告げ 紫雲の朝

萬物清清天地遙   万物洋洋として 天地遥かなり

賀客訪來晴暖日   賀客訪ね来たる 晴暖の日

新春雪解早梅條   新春雪解け 早梅の条

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[42] 投稿者  桐山人 からの作品です。
 


  迎春(一)        

陽光千里慶元朝   陽光千里 元朝を慶す

正氣浩然天地暸   正気浩然 天地暸(あき)らか

行客往來交祝賀   行客の往來 祝賀を交はし

一旋白鷺碧空遙   一旋の白鷺 碧空遥かなり

          (下平声「二蕭」の押韻)




























[43] 投稿者  桐山人 からの作品です。
 


  正旦與孫散策        

紫雲披地立春朝   紫雲 地に披く 立春の朝

天地澄明渡水橋   天地澄明 水橋を渡る

携手児孫影相戯   手を携へし児孫 影相戯る

紅顔晴目正夭夭   紅顔 晴目 正に夭夭

          (下平声「二蕭」の押韻)


 孫と散歩がてら初日の出を、近所の高台に見に行きました。

























[44] 投稿者  桐山人 からの作品です。
 


  立春        

風雪縦横人影消   風雪縦横 人影消ゆ

野原滿目氣蕭寥   野原満目 気は蕭寥

尚尋古徑枯苔路   尚尋ぬ 古径枯苔の路

纔得幽林梅蕾條   纔かに得たり 幽林 梅蕾の条(えだ)

          (下平声「二蕭」の押韻)



























【その他の韻】(便宜上100番台にしてあります)



[101] 投稿者  兼山 
 


  丁酉元旦(一)無官之樂        

太多悲喜丙申年   悲喜 太だ多し 丙申の年

丁酉歳朝詩有縁   丁酉 歳朝 詩縁有り

八秩四齡無官樂   八秩 四齡 無官の楽

高吟醉斷憶從前   高吟 酔断 従前を憶ふ

          (下平声「一先」の押韻)


    新玉の年の初めの祝ひ詩

























[102] 投稿者  兼山 
 


  丁酉元旦(二)守護憲法        

丙申丁酉太平光   丙申 丁酉 太平光

劫後人心百事忘   劫後 人心 百事忘る

守護玉條非容易   守護 玉条 容易に非ず

勿辭決意拝年忙   辞する勿れ 決意 拝年忙はし

          (下平声「七陽」の押韻)


    警世の憲法九条年賀状

























[103] 投稿者  兼山 
 


  丁酉新年書懷(一)八秩四齡        

八秩四齡迎歳時   八秩 四齡 歳を迎ふの時

東風放馥早梅披   東風 放馥 早梅披く

人生萬事恍如夢   人生 万事 恍として夢の如し

一醉滄桑増鬢絲   一酔 滄桑 鬢糸を増す

          (上平声「四支」の押韻)


    酉年や八十四才年男

























[104] 投稿者  兼山 
 


  丁酉新年書懷(二)干支七巡        

干支七度歳華回   干支 七度 歳華回る

宇宙無涯人去來   宇宙 無涯 人去り來る

多事多情忘塵俗   多事 多情 塵俗を忘れ

耽吟欲賦奈吾才   吟に耽じ 賦さんと欲すれど 吾が才を奈せん

          (上平声「十灰」の押韻)


    地動説か天動説か歳巡る

























[105] 投稿者  Y.T 
 


  新春書懐        

肥州地割満悲歌   肥州 地割け 悲歌 満ち

三陸颱風毀稲禾   三陸の颱風 稲禾を毀つ

応須忘却昨年禍   応に須からく 昨年の禍を忘却し

偏願今春好事多   偏へに願ふべし 今春 好事多かれと

          (下平声「五歌」の押韻)


 明けまして御目出度う御座います。
 熊本の大地震と東北の台風災害を思い、作りました。


























[106] 投稿者  ニャース 
 


  迎新年        

迎新客舎飾門松   

陽暦無人打寺鐘   

妻子相来団聚楽   

他郷何処酒香濃   

          (上平声「二冬」の押韻)


 新年を迎えるにあたり、中国の宿舎にも門松を飾る。
 陽暦の新年は中国ではお寺の鐘をつく人がいない。
(このような正月気分がでない中国でも)妻子がもってきた、おせちで団欒を楽しめば、
 どこが他郷なのか(ここが故郷になるではないか)酒の香りも濃くおいしいぞ。

   門松はミニですが。(笑)


中国は旧正月ですから、あまり元旦気分ではありません。
休みも31日〜1月2日です。
漢詩は折にふれ、書いております。

























[107] 投稿者  深渓 
 


  迎春        

九旬我喜又迎春   九旬を我れ喜び 又春を迎ふ

一醉爲詩答吉辰   一酔 詩を為りて 吉辰に答ふ

華髪頽齡身尚健   華髪 頽齢 身尚を健なり

期頤遐算感更新   期頤の遐算 感更に新たなり

          (上平声「十一真」の押韻)



「九旬」: 九十。
「吉辰」: 目出度い朝。
「華髪」: 白髪頭。
「頽齢」: 老齢。
「期頤」: 百歳。
「遐算」: 遥かに数える、長生き。

























[108] 投稿者  深渓 
 


  卒寿偶感        

丁酉迎春感更新   丁酉の春を迎て 感更に新たなり

算齡九十養天真   齢を算ふこと九十 天真を養はん

寺東茅屋希人訪   寺東の茅屋 人の訪ふ希なり

歩歩詩心老大身   歩歩 詩心 老大の身

          (上平声「十一真」の押韻)



「丁酉」: 平成二十九年。
「算齢」: 年齢を数える、数え年。
「天真」: 自然のまま、飾り気のない心。
「寺東」: 深大寺東町。
「茅屋」: 愚老宅。
「歩歩」: 一歩一歩。
「希人訪」: 人の訪れが少ない、珍しい。
「詩心」: 詩を理解し、これに趣味を感じる人。
「老大身」:年老いた身、老人。



〇 丁酉の今年、数えて九十才になる。
  昭和初年の世代は尋常ならず戦争戦禍に明け暮れ、吾少年にして参戦、敗戦後、衣食住にと諸々苦難に苛まされるも、
  戦争や戦災で失った人々の分まで生き延びてよし百歳まで生きようと・・・・・
  詩など吟って泰平を喜ぶ今日である。

〇古来より壽賀は数え年で祝うと・・・近年満年齢なるか。


























[109] 投稿者  観水 
 


  平成丁酉新年試筆        

今日吾生計四旬   今日 吾が生 四旬を計ふも

惑心猶似去年春   惑心 猶ほ似たり 去年の春に

試呵凍筆詩如箇   試みに凍筆に呵せば 詩箇くの如し

足否自稱風雅人   自ら風雅の人と称するに足るや否や

          (上平声「十一真」の押韻)



今年になって私も 数えでいえばもう四十
なのに心の惑いよう 去年と変わりありません
試しに筆をあたためて できましたのがこの詩です
風雅の人を名乗るのに これで足りるかどうかしら

 明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い申し上げます。

 誕生日は年の後半なので、満年齢でいえば不惑まではまだ2年近く残っている勘定なのですが、
新しい年の初めにあたって、ついいろいろと考えてしまいます。

























[110] 投稿者  東山 
 


  丁酉新年(一)        

早拂柴門閑迓晨   早に柴門を払ひ 閑に晨を迓へ

心齊一炷先拝親   心齊一炷 先ず 親を拝す

光澄氣洌盈家内   光澄み気洌く 家内に盈ち

翁媼相斟祝肇春   翁媼相斟んで 肇春を祝ふ

          (上平声「十一真」の押韻)


先生、新年おめでとうございます。
今年の元旦は全国的に良いお天気で、良い兆しを感じました。

10月の愛知大会、是非行きたいと思っております。

本年も宜しくご教導をお願いいたします。


























[111] 投稿者  東山 
 


  丁酉新年(二)        

因歳幾多還看春   歳を因ねて幾多 還た 春を看て

春尋草屋又監人   春は草屋を尋ねて 又 人を監る

人生遮莫偸生慘   人生 遮莫 偸生の惨

慘淡獨斟嗤自因   惨淡 独り斟んで 自らの因を嗤ふ

          (上平声「十一真」の押韻)




























[112] 投稿者  常春 
 


  丁酉新年 観大国動向有感 其一       

衆庶旧懐夢未醒   衆庶旧懐の夢 未だ醒めず

雄邦内向索安寧   雄邦内に向かい安寧索む

初頭一着果何奈   初頭の一着 果たして何奈

刮目衰翁忘我齢   刮目して衰翁 吾齢を忘る

          (下平声「九青」の押韻)


 生まれ年の干支が七巡して八回目を迎えた時、この一年健全に生きれるかとの不安が過りました。
 それから3年、平均寿命を疾うに越して余命を生きている今日、「the end」 を気にせず、何事にも関心、好奇の眼を持ち続けたいとの想いが強くなりました。


























[113] 投稿者  常春 
 


  丁酉新年 観大国動向有感 其四(離合詩)        

偶否高言排他聯   偶か否か 高言排他聯ねれば

人心熱気一時然   人心の熱気 一時に然ゆ

惹起声援澎湃浪   惹起す 声援澎湃たる浪

若奈先進国家前   若奈んぞ 先進国家の前は

          (下平声「一先」の押韻)


 この詩、離合詩。隠し文字を含みます。

























[114] 投稿者  岳城 
 


  年頭自況        

庭梅玉蕾吐清香   庭梅の玉蕾 清香を吐き

山頂朝暉放瑞光   山頂の朝暉 瑞光を放つ

最慶家人身好在   最も慶ぶ家人 身の好在を

一陽来復酒三觴   一陽来復 酒 三觴

          (下平声「七陽」の押韻)


  何はともあれ健康第一 
  今年も「百薬の長」を欠かすことなく過したい。


























[115] 投稿者  調布 T.N 
 


  丁酉初詣深大寺        

元朝春氣滿園庭   元朝の春気園庭に満つ

吶吶鶯聲側耳聽   吶吶たる鶯声耳を側だて聴く

世界政情撩亂兆   世界の政情撩乱の兆し

祈求外内共安寧   外内共に安寧を祈り求む

          (下平声「九青」の押韻)


深大寺境内の隅からまだ若い鶯の声も聴けて、平和な風景でした。
しかし、世界各地からテロや暴動のニュースが届き、不穏な足音を感じます。


























[116] 投稿者  青眼居士 
 


  昔日新春        

梵鐘聲裏一年除   梵鐘声裏一年除(さ)り、

盛饌盤前祝意攄   盛饌盤前祝意攄(の)ぶ。

礼物得收兒不住   礼物収め得たれば児は住(とど)まらず、

風鳶羽子興村墟   風鳶 羽子 村墟に興ず。

          (上平声「六魚」の押韻)



「礼物」: お年玉
「羽子」: 羽根つき

























[117] 投稿者  青眼居士 
 


  丁酉元旦口占        

百八鐘聲掃俗塵   百八の鐘声俗塵を掃ひ、

醒於短夢五雲晨   短夢醒むれば五雲の晨。

三杯椒酒爲藍尾   三杯の椒酒 藍尾を為す、

投老何須事隠淪   投老 何ぞ須ひん隠淪を事とするを。

          (上平声「十一真」の押韻)



「隠淪」: 隠遁生活

























[118] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎接丁酉年 其一 五言絶句      

金鷄報酉年,   金鷄 酉年を報じ,

白首醒茅庵。   白首 茅庵に醒む。

椒酒清香洗,   椒酒 清らかに香りて洗へば,

詩筆走雲箋。   詩筆 雲箋を走る。

          (中華新韻八寒平声の押韻)




























[119] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎接丁酉年 其二 五言絶句      

青女花唇吐,   青女(霜雪の神)の花の唇は吐く,

金鷄報酉年。   金鷄の酉年を報ずるを。

三元忝三酉,   三元(元旦)三酉(酒)を忝くし,

切願世平安。   切に願ふ 世の平安を。

          (中華新韻八寒平声の押韻)




























[120] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎接丁酉年 其三 七言絶句        

鳴送神猿歸故山,   鳴いて神猿の故山へ歸るを送り,

金鷄新報曙光鮮。   金鷄 新たに報ず 曙光の鮮やかなるを。

千門萬戸賀春處,   千門萬戸 賀春の處,

但願和平遍宇寰。   但(ただ)に願ふ 和平の宇寰(世界)に遍きを。

          (中華新韻八寒平声の押韻)




























[121] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎接丁酉年 其四 七言絶句        

去歳如猿取月啼,   去歳は猿の月を取らんと啼く如く,

今年逞志作金鷄。   今年は志を逞しくして金鷄とならんとす。

高鳴破曉迎新旭,   高らかに鳴いて曉を破り新旭を迎へ,

却老揮毫競好奇。   老いを却(しりぞ)け揮毫し好奇を競はん。

          (中華新韻十二斉平声の押韻)




























[122] 投稿者  鮟鱇 
 


  丁酉迎春偶成 七言律詩        

夢叩竅門尋繆斯,   夢に竅門(秘訣)を叩いて繆斯(ミューズ)を尋ね,

恭恭致敬忝金卮。   恭恭として致敬(挨拶)し金卮を忝(かたじけな)くす

霞漿馥郁洗塵垢,   霞漿 馥郁として塵垢を洗ひ,

老叟欣然接睿知。   老叟 欣然として睿知に接す。

悟道舊愚迷贅語,   道を悟るに舊愚は贅語に迷ひし と,

買虚新筆選華辭。   虚を買へば新筆 華辭を選ばんか と。

醒來弟子從調教,   醒め來たれば弟子は調教に從ひ,

鷄犬昇天作好詩。   鷄犬 昇天して好詩を作る。

          (中華新韻十三支平声の押韻)




























[123] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎接丁酉年 其五 漢俳        

金鷄破曉鳴,      金鷄 曉を破りて鳴き,

千門萬戸賀春聲。   千門萬戸に賀春の聲。

欣欣頌泰平。      欣欣として泰平を頌(たた)ふ

          (中華新韻十一庚平声の押韻)




























[124] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎接丁酉年 其六 漢俳        

三元啜三酉,      三元に三酉(酒)を啜り,

吟競金雞與詩友。   吟じて金鷄と競ふ 詩友と。

風流當共有。      風流 まさに共有すべし。

          (中華新韻七尤仄声)




























[125] 投稿者  鮟鱇 
 


  迎春樂・丁酉新懷        

金鷄破曉鳴開朗,     金鷄 破曉に開朗(ほがらか)に鳴き,

白頭醒、喜無恙。      白頭醒めて、恙なきを喜ぶ。

賀新年、           新年を賀し、

笑對良妻諒,        笑って對せば良妻 諒とす,

傾玉盞、誇洪量。      玉盞を傾け、洪量を誇るを。

             〇   

到正午、遊魂酣暢,    正午に到り、魂を遊ばせて酣暢,

試醉筆、裁詩堪賞。    醉筆を試みて、詩の賞するに堪ふるを裁す。

字眼清輝吉兆,       字眼 清らかに輝くは吉兆,

浩氣充天亮。        浩氣 天の亮(あきら)かなるに充つ。

          (中華新韻十唐仄声の押韻)

 迎春樂 詞譜・雙調52字,前段四句四仄韻,後段四句三仄韻 柳永ほか

  ▲○△●○○仄,▲▲▲、△○仄。●○○、●●○○仄,▲●●、○○仄。
  △●●、△○△仄,▲▲●、△○○仄。●●○○△●,●●○○仄。
   ○:平声。●:仄声。
   △:平声が望ましいが仄声でもよい。▲:仄声が望ましいが平声でもよい。
   仄:仄声の押韻。




























[126] 投稿者  鮟鱇 
 


  賀聖朝・丁酉新年試筆        

金鷄旭旦高鳴報,     金鷄 旭旦(日の出)に高らかに鳴いて報ず,

春來蓬島。          春の蓬島に来たるを。

白頭無恙,          白頭 恙なく,

醒來相對,          醒め來って相ひ對す,

愛人花貌。          愛人(つま)の花貌に。

             〇   

賀年傾酒,          年を賀して酒を傾け,

遊魂試筆,          魂を遊ばせて筆を試し,

染箋多少。          箋を染むること多少。

贅翁思願,          贅翁(隠居の老人)は思ひ願ふ

和平周遍,          和平(平和)周遍(あまね)く,

全球修好。          全球 修好せるを。

          (中華新韻六豪仄声の押韻)

 賀聖朝 詞譜・雙調47字,前段五句三仄韻,後段六句兩仄韻 馮延巳ほか

  △○▲●○○仄,○○△仄。△○○●,●○○●,●○○仄。
  △○△●,△○●●,●○○仄。●○○●,▲○△●,△△○仄。
   ○:平声。●:仄声。
   △:平声が望ましいが仄声でもよい。▲:仄声が望ましいが平声でもよい。
   仄:仄声の押韻。(拙作は中華新韻六豪)





























[127] 投稿者  鮟鱇 
 


  賀熙朝・丁酉新年試筆        

朗朗金鷄鳴破曉,     朗朗と金鷄 破曉に鳴いて,

酉年將報,          酉年にまさに報ぜんとす,

蝸居安好。          蝸居の安好なるを。

旭光明耀,          旭光 明らかに耀やき,

醉翁清醒,          醉翁 清らかに醒め,

愛人花貌,          愛人(妻)の花貌,

柔媚含笑。          柔媚に笑みを含む。

             〇   

眼前椒酒洗蒼老,     眼前の椒酒 洗ひたる蒼老,

借暫且紅顏,        借るは暫且(しばらく)の紅顏,

乘興揮毫巧。        興に乘れば揮毫 巧みなり。

妙思得詞藻,        妙思 詞藻を得れば,

箋上樂園,          箋上の樂園,

滿地芳草。          滿地の芳草。

          (中華新韻六豪仄声の押韻)

 賀熙朝 詞譜・雙調61字,前段七句五仄韻,後段六句四仄韻 歐陽炯ほか

  ●●○○○●仄,●○○仄,▲○○仄。△○▲●,●○○▲,●△○仄,○●○仄。
  ●○○●▲○仄,▲●●△○(一四),○●▲△仄。●○○○仄,○●●○,▲●○仄。
   ○:平声。●:仄声。
   △:平声が望ましいが仄声でもよい。▲:仄声が望ましいが平声でもよい。
   仄:仄声の押韻。(拙作は中華新韻七尤仄声の押韻)
   (一四):前の五字句は,上二下三ではなく,一・四に作る。





























[128] 投稿者  鮟鱇 
 


  玉女迎春慢・丁酉新年試筆        

鳴送猴年,          鳴いて猴年(申年)を送り,

金鷄報、           金鷄は報ず、

歳序更新清曉。       歳序の更新せる清曉。

贅叟偸生醒覺,       贅叟 生を偸んで醒覺(目覚め),

旭日燒雲臨照。       旭日 雲を燒いて臨照す。

傾杯多少,          杯を傾けること多少,

共賀正、           賀正を共にす、

與妻偕老。          妻の老いを偕(とも)にせると。

温顔嬌媚,          温顔 嬌媚にして,

椒酒洗滌,          椒酒は洗滌す,

詩筆輕巧。          詩筆の輕巧なるを。

             〇   

醺然暫且瞑思,       醺然として暫且(しばらく)瞑思し,

遊魂欲問,          魂を遊ばせて問(たず)ねんとす,

繆斯微笑。          繆斯(ミューズ)の微笑せるを。

望斷雲箋渺渺,       望斷せる雲箋 渺渺として,

恰似氷原皓皓。       恰も似たり 氷原の皓皓たるに。

詠懷張翼,          詠懷 翼を張り,

到紫洞、           紫洞に到り、

謁言花貌。          花貌に謁言せり。

玉女歡迎,          玉女は歡迎す,

遠客篤學訣竅。       遠客の訣竅(秘訣)を篤く學びをるを。

          (中華新韻六豪仄声の押韻)

 玉女迎春慢 詞譜・95字 前段九句六仄韻,後段九句五仄韻 彭元遜

  ○●○○,○○●、●●●○○仄。●●○○●仄,●●○○○仄。○○○仄,●●●、●○○仄。○○○●,○●●○,○●○仄。
  ○○●●○○,○○●●,●○○仄。●●○○●仄,●●○○●仄。●○○●,●●●、●○○仄。●●○○,●●●○○仄。
   ○:平声。●:仄声。
   △:平声が望ましいが仄声でもよい。▲:仄声が望ましいが平声でもよい。
   仄:仄声の押韻。(拙作は中華新韻六豪仄声の押韻)
   、:句中逗。、の前後は一句。





























[129] 投稿者  緑風 
 


  祝新年        

持手賀書文字声   手に持つ賀書 文字に声あり

停雲落月到深更   停雲落月 深更に到る

人生流転君頑否   人生 流転 君 頑なるや否や

共祷健康長命盈   共に祷る健康長命の盈つるを

          (下平声「八庚」の押韻)




























[130] 投稿者  陳興 
 


  元旦後天晴過富士見茶屋舊跡遠望見富士雪峰  
    元旦の後五日、天晴れ、富士見茶屋旧跡を過ぎりて遠く富士の雪峰を望む  

松枝竹劍翠如新,   松枝 竹剣 翠 新なるが如く

年後皆為賀歳人。   年後 皆なる、賀歳の人

富士山纔露尖角,   富士山 わづかに尖角を露はし

東京已是滿城春。   東京 已に是れ 満城の春

          (上平声「十一真」の押韻)




























[131] 投稿者  紫舟 
 


  元旦        

淑氣汪然旭日紅   淑気 汪然 旭日紅たり

元朝天地太平風   元朝の天地 太平の風

兒孫帰省皆無恙   児孫帰省して 皆恙無く

一族團欒笑語同   一族 団欒 笑語同じうす

          (上平声「一東」の押韻)




























[132] 投稿者  謝斧 
 


  年頭詠言        

迎新紫気溢乾坤   新を迎えて紫気乾坤に溢れ

沐浴剃髭盥水温   沐浴剃髭 盥水温かなり

武水清流歩朝渚   武水清流 朝渚を歩し

冑山屹立拝初暾   冑山屹立 初暾を拝す

邦家安寧庶民喜   邦家安寧 庶民喜ぶも

殊域紛争兵卒屯   殊域は紛争して兵卒屯す

四海英知須盡力   四海英知 須く力を盡べし

一歌板蕩漫危言   板蕩を一歌して 漫に危言す

          (上平声「十三元」の押韻)



「板蕩」: 世が乱れる 『詩経』
「危言」: 国政に対して浴びせられる民間の批判の声のこと。


























[133] 投稿者  謝斧 
 


  応制 詠「野」        

野遊焼筍摘芹蓀   野遊筍を焼いて 芹蓀を摘み

春日踏青草色暄   春日青を踏めば 草色暄かなり

除却秋天易悽切   除却す 秋天悽切になり易きを

緑蕪千里爽心魂   緑蕪千里 心魂を爽かにす

          (上平声「十三元」の押韻)



「秋天曠野行人絶 馬首東来知是誰」 王昌齢「出塞行」


























[134] 投稿者  凌雲 
 


  謹賀新年        

即即光陰走   即即 光陰走り、

無家祝賀間   家に祝賀の間無し。

寒風吹短髪   寒風 短髪を吹き、

渾欲作詩閑   渾て作詩の閑を欲す。

          (上平声「十五刪」の押韻)




























[135] 投稿者  地球人 
 


  迎春        

晨鶏氷解対晴空   晨鶏 氷解け 晴空に対す

万戸門松淑気通   万戸 門松 淑気通ず

一去寒波春盎盎   一去する 寒波 春盎盎

屠蘇快飲太平風   屠蘇 快飲し 太平風

          (上下平「一東」の押韻)




























[136] 投稿者  洋景 
 


  迎春        

丁酉三朝立志新   丁酉三朝 立志新たなり

健全感謝賀正人   健全に感謝 賀正の人

尋花訪景鳥翔處   花を尋ね景を訪うて 鳥翔る処

求句清遊待嬉春   句を求めて清遊す 嬉春を待つ

          (上平声「十一真」の押韻)




























[137] 投稿者  深渓 
 


  愚老丁酉歳旦        

平成丁酉九秩年   平成 丁酉 九秩の年

瑞氣盈庵籬落邊   瑞気 籬落の辺 庵に盈つ

唯唯健康謝神佛   唯唯 健康 神仏に謝し

一心清淨托吟箋   一心清浄を 吟箋に托さん

          (下平声「一先」の押韻)




























[138] 投稿者  兼山 
 


  新年偶作(一)賀状交歓        

知己勿辭天地春   知己 辞する勿れ 天地の春

年年歳歳白於銀   年々 歳々 銀よりも白し

先師朋輩傷心訃   先師 朋輩 傷心の訃

爾後爾今誰與親   爾後 爾今 誰と与にか親しまん

          (上平声「十一真」の押韻)


    薄墨の愈々増えし去年今年

























[139] 投稿者  兼山 
 


  新年偶作(二)築地問題        

築地問題歎隔年   築地 問題 隔年を歎ず

是非誰識世多賢   是非 誰か識らん 世に賢多し

論難相似辺野古   論難 相似たり 辺野古

離島東都豈偶然   離島 東都 豈偶然ならんや

          (下平声「一先」の押韻)


    初競りや移転問題の声潜む

























[140] 投稿者  輪中人 
 


  迎春        

歳朝門巷五雲新   歳朝の門巷 五雲新た

物換星移幾度春   物換り 星移り 幾度の春

和気揚揚児孫健   和気揚揚として 児孫健なり

双親一句入佳辰   双親一句 佳に入るの辰

          (上平声「十一真」の押韻)


  元旦世間はすべてが新しい
  時代が移り世の中が変わって幾年か過ぎた
  子や孫は元気揚々としている
  親は一句を作って悦に入っている


























[141] 投稿者  楊川 
 


  迎春(丁酉歳旦)        

東風麗日早梅披   東風の麗日早梅披き

依舊幽香傳歳時   旧に依り幽かに香る 歳時を伝ふ

芳酒幾杯愉醉興   芳酒幾杯 酔興を愉しみ

陶然鄙老入新詩   酔郷の鄙老 新詩に入りたり

          (下平声「九青」の押韻)


今年の正月三ケ日は好天気がつづき
お屠蘇気分で力まずに先づは新年の一作目を・・・・
平和な風景でしたが、世界各地からはテロや暴動のニュースが届き不穏な足音を感じます。


























[142] 投稿者  久森正詠 
 


  丁酉新年作        

銀髭頻拈米齡人   銀髭 頻りに拈る 米齢の人

人日炊文烹字新   人日文を炊しぎ字を烹ること 新なり

顧慨荊妻已同老   顧みて荊妻を慨かしめ 已に同に老ゆるも

可愉貧計一瓶春   貧計 一瓶の春を愉しむべけんや

          (上平声「十一春」の押韻)




























[143] 投稿者  明鳳 
 

作品番号 2017-48

  喜迎新春        

新春祥瑞溢乾坤   新春の祥瑞 乾坤に溢れ

歳旦風光初計存   歳旦の風光に 初計存す

天候温和迎旭日   天候は温和にして 旭日を迎へ

皇居參賀祝慶旛   皇居の参賀に祝慶の旛

          (上平声「十三元」の押韻)




























[144] 投稿者  偸生 
 


  連日期聽訥鶯        

少嘉無日不期鶯   

陋巷却愉虚隱名   

山寺東林招客意   

鄙邦南麓待春情   

安居禁足破三笑   

緩杖寛心持獨行   

簞食單瓢栽一柳   

惺惺唯欲畢殘生   

          (下平声「八庚」の押韻)




























[145] 投稿者  真瑞庵 
 


  七十五翁迎春書懷        

百八鐘聲聞枕前   百八の鐘声 枕前に聞く

鳥飛兔走又新年   鳥飛兔走 又新年

人生百歳不能得   人生百歳 得る能はず

馴悩親煩擬地仙   悩に馴れ煩に親しみ 地仙に擬せん

          (下平声「一先」の押韻)




























[146] 投稿者  洋晴 
 


  新年作        

初光燦燦映青空   初光燦燦として青空に映じ

春意歡迎瑞靄中   春意歓び迎ふ 瑞靄中

醉客陶然遊歩處   醉客陶然 遊歩の処

旭旗齊靡太平風   旭旗斉しく靡く 太平の風

          (上平声「一東」の押韻)




























[147] 投稿者  澄朗 
 


  新年雜感        

學史思今遠俗塵   史に学び 今を思へば 俗塵遠く

洋洋四海入佳辰   洋洋たる四海 佳辰に入る

滄桑世上風雲斂   滄桑とした世上 風雲斂め

新暦迎來老大春   新暦迎へ来たる 老大の春

          (上平声「十一真」の押韻)




























[148] 投稿者  柳田周 
 


  新年作        

拾年多病倍身衰   拾年多病 倍す身は衰え

爲却奮心傾好奇   却って心を奮はす為に好奇に傾く

七十七羞戔益世   七十七 世に益すること戔(すくな)きを羞づるも

猶須炳燭作明時   猶ほ炳燭を須(もち)ひて明と作す時

          (上平声「四支」の押韻)




























[149] 投稿者  杜正 
 


  勅題「野」        

新正鳥喜麗初陽   新正 鳥喜びて初陽麗し

有信舊朋懷故郷   旧朋より信有りて故郷を懐ふ

往歳水災侵曲岸   往歳の水災 曲岸を侵す

禱祈再會野梅香   再会を祷祈して野梅の香し

          (下平声「七陽」の押韻)




























[150] 投稿者  芳原 
 


  啓泰平        

曙光滄海東   曙光 滄海の東

萬戸盡春風   万戸 尽く春風

應見泰平啓   応に泰平の啓くなるを見るべし

一天淑氣充   一天 淑気充つ

          (上平声「一東」の押韻)




























[151] 投稿者  豊邨 
 


  新年作        

鶏聲告旦歳華新   鶏声旦を告げ 歳華新た

松竹呈鮮天壌春   松竹鮮を呈し 天壌の春

白屋門前無轍跡   白屋の門前 轍跡無く

凌寒半禿醉香醇   寒を凌ぐ半禿 香醇に酔ふ

          (上平声「十一真」の押韻)




























[152] 投稿者  鮟鱇 
 


  新春茗溪聯句作一律        

雪華萬點落東京,   雪華萬点 東京に落ち,

飛鳥遙觀林外驚。   飛ぶ鳥 遙かに林外を観て驚く。

醉叟醒看樓影暗,   醉叟 醒めて看るに樓影暗く,

美人獨佇鏡池明。   美人 独り佇む 鏡池の明るきに。

莫道詩詞必言志,   道(い)ふ莫れ 詩詞は必ず志を言ふと,

但求字句盡含情。   但(ただ)に求む 字句の情を含み盡すを。

春光普照武陵地,   春光 普く照らす武陵の地,

桃李梅櫻花縱。   桃李梅櫻 花は縱。

          (下平声「八庚」の押韻)



<解説>

 私が所属する漢詩結社「葛飾吟社」の新年会は、新年の挨拶と飲み食いだけではつまらないということで
 毎年、柏梁体の詩をみんなで詠んでいます。
 今年はそれに加え、七言律詩をみんなで連句で作ってみようということで詠んだのが上掲作です。
 天気予報では、雪が降るかも ということで
 まず、陳興さんが
  雪華萬點落東京,飛鳥遙觀林外驚。(陳興)
 続いて私が
  醉叟醒看樓影暗,美人獨佇鏡池明。(鮟鱇)
 そして紫陌青猫さんが
  莫道詩詞必言志,但求字句盡含情。(青猫)
 最後に田旭翠さんが
  春光普照武陵地,桃李梅櫻花縱。(旭翠)

 この作品、いちおう四人が各二句を詠んだことにしてありますが、
 実はみんなでワイワイガヤガヤと作ったものです。
 四人の名はそれぞれの二句についての編責みたいなものです。
 作品としては
 私の詠んだ二句が陳興さんの句をしっかり咀嚼して詠んでいるとは言い難いこと
 また、末句の櫻は冒韻であることに誰も気がつかなかったこと
 など、問題はありますが、
 みんなでわいわい言いながら詩を作るのはとても楽しく
 一人で作ることだけが詩ではない、とつくづく思いました。

 なお、題にあります「茗溪」は、東京お茶の水界隈のことで、葛飾吟社は月一回の例会をお茶の水で開いています。
























[153] 投稿者  茜峰 
 


  迎新年        

耕植遊山保健康   耕植 遊山 健康を保つ

唱吟描画冀清香   唱吟 描画 薫香を冀(こいねが)ふ

凝望天地窺時世   天地を凝望し 時世を窺ひ

心耳傾聽㩳脊梁   心耳傾聴して 背梁を㩳(そばだて)ん

          (下平声「七陽」の押韻)




























[154] 投稿者  兼山 
 


  迎春(二) 成人之日        

幾星霜過少年時   幾星霜 過ぐ 少年の時

已老無功未成詩   已に老ゆ 功無く 詩未だ成らず

何料迎春猶料峭   何ぞ料らんや 迎春 猶料峭なり

梧桐最是天下知   梧桐 最も是れ 天下知る

          (上平声「四支」の押韻)


    尽く梧葉落ちし侭春迎ふ

























[155] 投稿者 (中国陜西省) 李惠 
 


  初春過田間駐足        

陌上青草秀耕地,   

探頭伸腰迎晨曦。   

冬藏蟄居斂鋒芒,   

春綻新生暈染急。   

          




























[156] 投稿者 (中國) 魏厚賓 
 


  丁酉賀新春        

鳳凰銜玉鳳凰飛,   

鳳入千家鳳不歸。   

日麗神州天五色,   

雲開氣象地三輝。   

頭戴吉光還故里,   

鬢釵目羽向心扉。   

青鸞到此報春信,   

願者人間盡コ徽。   

          (上平声「五微」の押韻)




























[157] 投稿者  忍夫 
 


  迎春 其一        

迎新山際曙光紅   迎新 山際 曙光紅く

旭日昇天遍照東   旭日天に昇り 遍く東を照らす

五色彩雲催吉兆   五色の彩雲 慶吉の兆

不疑享受太平風   享受を疑はず 太平風

          (上平声「一東」の押韻)




























[158] 投稿者  忍夫 
 


  迎春 其二        

圍爐家宴祝初春   炉を囲む家宴 初春を祝す

相誓切磋心氣新   相誓ふ 切磋 心気新た

暫對書机開醉眼   暫らく書机に対し 酔眼を開く

詩中自號一閑人   詩中自ら号す 一閑人

          (上平声「十一真」の押韻)




























[159] 投稿者  點水 
 


  迎春        

書齋閑坐洗心塵   書斎に閑坐し心塵を洗ひ

轉眼前庭詩景新   前庭に眼を転ずれば 詩景 新なり

玉骨枝頭花欲綻   玉骨の枝頭 花綻びんとし

鳴鶯舌渋報初春   鳴鶯の舌 渋れども初春を報ず

          (上平声「十一真」の押韻)




























[160] 投稿者  真海 
 


  新年作        

歳夕祠堂社鼓譁   歳夕の祠堂 社鼓譁し

神垣礼拝惜年華   神垣礼拝 年華を惜しむ

新禧婉孌春粧好   新禧 婉孌 春粧好し

晨賀飄颻雪絡紗   晨賀 飄颻として 雪紗を絡ふ

          (下平声「六麻」の押韻)




























[161] 投稿者  真海 
 


  與昔友迎歳朝        

喚春淑氣曉雲開   春を喚ぶ淑気 暁雲を開く

千里朋儔献壽來   千里の朋儔 寿を献じて来る

一朶瓶梅花漸發   一朶の瓶梅 花漸く発き

芳香美酒共傾杯   芳香の美酒 共に杯を傾く

          (上平声「十灰」の押韻)




























[162] 投稿者  W.I 
 


  新年作        

早春風暖滿晴空   早春 風暖かにして 晴空に満つ

梅發南窗笑語中   梅発き 南窓 笑語の中

雀影啼聲傾柏葉   雀影 啼声 柏葉傾き

太平佳節思無窮   太平 佳節 思ひ窮まり無し

          (上平声「一東」の押韻)




























[163] 投稿者  A.K 
 


  新年詩        

普来瑞氣野人家   普く来たる瑞気 野人の家

春色東風樹樹花   春色 東風 樹樹の花

雞犬相聞身已老   鶏犬相聞こゆ 身已に老ゆ

歳朝安穩煮清茶   歳朝 安穏 清茶を煮る

          (下平声「六麻」の押韻)




























[164] 投稿者  游山 
 


  丁酉新春所懷        

鷄鳴一叫引初㬢   鷄鳴一叫 初㬢を引く

滿地新正物色宜   四面 和風 物色宜し

七十四齡存宿志   七十四齢 宿志存す

温柔敦厚更敲詩   温柔敦厚 更に詩を敲く

          (上平声「四支」の押韻)




























[165] 投稿者  仁山 
 


  新年        

首廻八十有餘歳   首を廻らせば八十有余歳

白髪軒昂意氣誇   白髪 軒昂 意気誇る

詩友草堂吟句宴   詩友 草堂に吟句の宴

窗前香發白梅花   窓前 香は発く 白梅の花

          (下平声「六麻」の押韻)




























[166] 投稿者  T.S 
 


  新年作        

紅楓散盡發新芽   紅楓 散じ尽くして新芽を発く

初釜春装閑煮茶   初釜 春装 閑かに茶を煮る

只樂息災迎半壽   楽は只息災にして半寿を迎ふ

道遙加學惜年華   道遥かなれど学び加へ 年華を惜しまん

          (下平声「六麻」の押韻)




























[167] 投稿者  美豊 
 


  新年作        

春陽賀客到田家   春陽 賀客 田家に到る

風暖庭前梅一花   風暖かにして 庭前 梅一花

美酒佳肴歡笑宴   美酒 佳肴 歓笑の宴

鶯聲依舊覺年華   鶯声 旧に依り 年華を覚ゆ

          (下平声「六麻」の押韻)




























[168] 投稿者  K.T 
 


  新年作        

歳旦瑞光千里遐   歳旦の瑞光 千里遐(はる)かなり

早春微暖發梅花   早春の微暖 梅花発く

朋來懇話平和事   朋来たりて懇ろに話す 平和の事

萬戸笑聲郷國嘉   万戸 笑声 郷国嘉し

          (下平声「六麻」の押韻)




























[169] 投稿者  松閣 
 


  歳丁酉元旦        

正拝初陽茅屋邊   正に拝せん 初陽 茅屋の辺

雛親啐啄頌聲傳   雛と親 啐と啄 頌声を伝ふ

詩文欲作新翰墨   詩文作さんと欲し 翰墨を新たにす

書畫怡情又一年   書画 怡情 又一年

          (下平声「一先」の押韻)




























[170] 投稿者  藤佳 
 


  新年作        

寒雲歳晩渇呼茶   寒雲 歳晩 渇して茶を呼ぶ

慶賀盛花千兩加   慶賀 盛花 千両加ふ

初詣清清籤緊結   初詣で 清清 籤を緊く結び

猶思夢夢興何涯   猶ほ思ふ 夢夢 興何ぞ涯あらん

          (下平声「六麻」の押韻)




























[171] 投稿者  Y.N 
 


  新年作        

迎春佳氣野人家   春を迎ふ 佳気 野人の家

梅朶初陽自發花   梅朶 初陽に自ら花を発く

濁酒一樽元旦宴   濁酒一樽 元旦の宴

和風千里語榮華   和風千里 栄華を語らん

          (下平声「六麻」の押韻)