第35回 世界漢詩同好会総会(二〇一三年六月三〇日)

 『世界漢詩同好会』の第35回総会は、6月30日に開かれます。
 詩題(今回は『夏至有感』)と押韻(今回は「上平声五微」)を共通として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。

 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



         日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。

                  番号をクリックして下さい。


    作品番号 作 者 題 名 詩 形
   01 道 佳 「夏至有感」七言絶句
   02 常 春 「夏至有感(一)」五言絶句
   03 常 春 「夏至有感(二)」七言絶句
   04 常 春 「夏至有感(三)」七言絶句
   05 茜 峰 「夏至有感」七言絶句
   06 鮟 鱇 「夏至有感 其一」五言絶句
   07 鮟 鱇 「夏至有感 其二」五言絶句
   08 鮟 鱇 「夏至有感 其三」五言絶句
   09 鮟 鱇 「夏至有感 其四」五言絶句
   10 鮟 鱇 「夏至有感 其五」五言絶句
   11 鮟 鱇 「夏至有感 其六」六言絶句
   12 鮟 鱇 「夏至有感 其七」七言絶句
   13 鮟 鱇 「夏至有感 其八」五言律詩
   14 鮟 鱇 「夏至有感 其九」七言律詩
   15 鮟 鱇 「夏至有感 其十」七言絶句
   16 押 原 「夏至有感」七言絶句
   17 S.U 「夏至有感」七言絶句
   18 杜 正 「夏至有感」七言絶句
   19 洋 景 「遊山中湖」七言絶句
   20 Y.T 「夏至有感 一」七言絶句
   21 Y.T 「夏至有感 二」五言絶句
   22 Y.T 「夏至有感 三」五言律詩
   23 東 山 「夏至有感」七言絶句
   24 謝 斧 「夏至有感 一」七言絶句
   25 謝 斧 「夏至有感 二」七言律詩
   26 謝 斧 「夏至有感 三」七言絶句
   27 謝 斧 「夏至有感 四」七言絶句
   28 点 水 「夏至有感」七言絶句
   29 明 鳳 「夏至有感(其一)」七言絶句
   30 明 鳳 「夏至有感(其二)」七言絶句
   31 明 鳳 「夏至有感(其三・節氣攷)」七言律詩
   32 劉 建 「夏至有感」七言律詩
   33 兼 山 「夏至有感 一」七言絶句
   34 兼 山 「夏至有感 二」七言絶句
   35 芳 原 「夏至有感」七言絶句
   36 銅 脈 「夏至有感」七言絶句
   37 老 遊(刈谷桐山堂) 「夏至有感 一」七言絶句
   38 老 遊(刈谷桐山堂) 「夏至有感 二」七言絶句
   39 老 遊(刈谷桐山堂) 「夏至有感 三」七言絶句
   40 M.O(刈谷桐山堂) 「夏至有感」七言絶句
   41 T.K(刈谷桐山堂) 「夏至有感」七言絶句
   42 M.T(刈谷桐山堂) 「夏至有感」七言絶句
   43 松 閣(刈谷桐山堂) 「夏至有感 一」七言絶句
   44 松 閣(刈谷桐山堂) 「夏至有感 二」七言絶句
   45 眞 海(刈谷桐山堂) 「夏至有感」七言絶句
   46 勝 江(刈谷桐山堂) 「至夏」七言絶句
   47 十三山 「夏至有感」七言絶句
   48 藤城 英山 「夏至有感」七言絶句
   49 觀 水 「夏至有感」七言律詩
   50 越粒庵 「夏至有感」七言絶句
   51 忍 夫 「夏至有感 一」七言絶句
   52 忍 夫 「夏至有感 二」七言絶句
   53 忍 夫 「夏至有感 三」七言絶句
   54 禿 羊 「夏至有感」七言絶句
   55 桐山人 「夏至有感 一」七言絶句
   56 桐山人 「夏至有感 二」五言律詩
           
   57 東 山 「夏至有感(別韻)」七言絶句
   58 芳 原 「夏至有感(別韻)」七言絶句
   59 ニャース 「夏至有感」七言絶句
   60 Y.T 「夏至有感(七律)」七言律詩





































[01]
投稿者 道佳 

[夏至有感]

日絲長夏厄天威   日絲の長夏 厄しむ天威

干害禾苗命隠微   干害で禾苗 命は隠微なり

銀漢淋浪田畝潤   銀漢の淋浪 田畝は潤ひ

一陰雨露願豊肥   一陰の雨露 豊肥を願はん

          (上平声「五微」の押韻)


 長い夏の日、日照りが続き、天災に苦しんでいる。
 干害で禾苗が枯れるようなことになってきている。
 天の川から水が注ぎいれられ、田畑が潤い、
 一陰転じて明日からは、雨露の恵みを受け、豊かに育たんことを願うばかりです。















[02]
投稿者 常春 

[夏至有感(一)]

天空俄傾闇   天空 俄かに 闇

驟雨疾風威   驟雨 疾風 威あり

四散行人走   四散して 行人走る

沾濡筍直肥   沾ひ濡れ 筍 直に肥ゆ

          (上平声「五微」の押韻)
























[03]
投稿者 常春 

[夏至有感(二)]

育種熱情持満機   育種の熱情 機に満を持す

競香比色是薔薇   香を競い色を比ぶ 是れ薔薇

命名凝想由縁語   命名 想を凝らす由縁の語

同好交誇誠意違   同好 交々誇る誠意の違

          (上平声「五微」の押韻)
























[04]
投稿者 常春 

[夏至有感(三)]

直上驕陽灼熱輝   直上の驕陽 灼熱の輝

則規本日正回帰   規に則っとり 本日正に回帰せんとす

地球変異多年歳   地球の変異 年歳多し

遺憾包含人与非   遺憾なり人与非を包含するを

          (上平声「五微」の押韻)
























[05]
投稿者 茜峰 

[夏至有感]

水稲日興根蔕肥   水稲 日興 根蔕肥ゆ

折腰除草淤泥衣   折腰 除草 淤泥の衣

昨今宅地何田畝   昨今 宅地 何くぞ田畝

山系和泉遥昔微   山系の和泉 遥昔 微かなり

          (上平声「五微」の押韻)


 6月上旬に植えた稲は 夏至の頃は日ごとに株が張り、緑濃く育っていく。
 除草は全5回するが、夏至頃はその3回目である。農機具ではとれない根の周りの草を、一株一株手で取っていく。
 これが一番大変だ。学校から帰った後 時々手伝った。

 昨今、道路や鉄道が走り、住宅やビルが建ち、その田んぼも何処の辺りやら・・・。
 そういえば、子供のころ 和泉山脈ももっと近くに思ったのに、今は遠くになったような感じがする。
 周辺の眺めも、農耕の様相も、人々の暮らしも、考え方も、すっかり変わり、隔世の感がする。
























[06]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其一]

詩叟題長日,   詩叟 長日を題とするに,

才如露易晞。   才は露の晞(かは)き易きが如し。

緑陰無妙想,   緑陰に妙想なく,

日暮涙沾衣。   日暮れて涙 衣を沾す。

          (上平声「五微」の押韻)

























[07]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其二]

長日依山盡,   長日 山に依りて盡き,

短才低首歸。   短才 首を低(た)れて歸る。

整天涼蔭坐,   整天(終日)涼蔭に坐し,

裁賦雅情違。   賦を裁するも雅情に違(たが)ふ。

          (上平声「五微」の押韻)

























[08]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其三]

閑人游勝地,   閑人 勝地に游び,

長日戀斜暉。   長日 斜暉に戀す。

老骨無前路,   老骨に前路なく,

腿沈依杖歸。   腿沈(おも)く杖に依りて歸る。

          (上平声「五微」の押韻)

























[09]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其四]

短夢難成處,   短夢 成りがたき處,

長天開曙暉。   長天 曙暉を開く。

樗翁奈消遣,   樗翁 消遣をいかんせん,

緑蔭避炎威。   緑蔭に炎威を避く。

          (上平声「五微」の押韻)

























[10]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其五]

陽臺待涼意,   陽臺に涼意を待ち,

目送夕陽歸。   目送す 夕陽の歸るを。

拂面輕風好,   面を拂って輕風好し,

晩來金盞飛。   晩來 金盞飛ぶ。

          (上平声「五微」の押韻)

























[11]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其六]

長日裁詩聽雨,   長日 詩を裁して雨を聽き,

無端流涙霏霏。   端なくも流す涙 霏霏たり。

杜鵑筆底啼盡,   杜鵑 筆底に啼き盡き,

北雁宮池忘歸。   北雁 宮池に歸るを忘れをれば。

          (上平声「五微」の押韻)

























[12]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其七]

短才長日消閑處,   短才 長日に閑を消す處,

幽徑涼陰緑四圍。   幽徑の涼陰 緑 四もを圍む。

歩歩裁詩擅清韵,   歩歩に詩を裁して清韵をほしいままにすれば,

路傍野店醉魂飛。   路傍の茅店に醉魂飛ぶ。

          (上平声「五微」の押韻)

























[13]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其八]

老翁耽韵事,   老翁 韵事に耽り,

屡次洗行衣。   屡次(しばしば)行衣を洗ふ。

長日尋幽歩,   長日 幽を尋ねて歩めば,

短才如露晞。   短才 露のごとくに晞(かは)く。

緑陰無感想,   緑陰に感想なく,

白首轉心機。   白首 心機を轉ず。

飲酒旗亭似,   酒を飲んで旗亭に似たり,

餐霞充腹饑。   霞を餐(くら)腹の饑へたるを充たすに。

          (上平声「五微」の押韻)

























[14]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其九]

老來偏愛筆堪揮,   老い來って偏へに愛す 筆の揮ふに堪ふるを,

屡次尋幽頻忘歸。   屡次(しばしば)幽を尋ねて頻に歸るを忘る。

長日消閑緑陰坐,   長日 閑を消すに緑陰に坐し,

短才游目碧苔圍。   短才 目を游ばす 碧苔の圍むに。

苦吟形勝詩嚢破,   苦吟すれば形勝に詩嚢破れ,

笑入旗亭酒盞飛。   笑って入れば旗亭に酒盞飛ぶ。

何敢自憐無綵筆?   なんぞ敢へて自らを憐まんや綵筆なきと,

霞光盡美暮山輝。   霞光 美を尽くして暮山に輝けば。

          (上平声「五微」の押韻)

























[15]
投稿者 鮟鱇 

[夏至有感 其十]

別君盡日聽淫雨,   君と別れて盡日 淫雨を聽き,

獨坐山廬涙未晞。   獨り山廬に坐して涙うまだ晞(かは)かず。

以謂驕陽照雲上,   謂へらく驕陽 雲上に照り,

女巫流汗晒天衣。   女巫 汗を流して天衣を晒しをらん。

          (上平声「五微」の押韻)

   于2013年6月21日夏至,東京尽日下雨了。






















[16]
投稿者 押原 

[夏至有感]

窗外未晴煙雨霏   窓外 未だ晴れず煙雨 霏たり

紫陽花發草苗肥   紫陽花 発き早苗 肥ゆ

颱風酷暑不招客   颱風 酷暑 不招の客

冀望開秋稔四圍   冀望 開秋 稔り四圍

          (上平声「五微」の押韻)


 これから夏本番、天災無く稔りの秋を迎えたい。

























[17]
投稿者 S.U 

[夏至有感]

詩人片月夕陽微   詩人 片月 陽微かなり

閑夢一庭雲外飛   閑夢 一庭 雲外に飛ぶ

自愛茶香梅雨近   自ら愛す 茶香 梅雨近し

草堂池上故山違   草堂 池の上 故山違ふ

          (上平声「五微」の押韻)


 

























[18]
投稿者 杜正 

[夏至有感]

門外幽蹊拷A圍   門外の幽蹊 緑陰 囲み

蓮池水滿雨聲微   蓮池 水満ち 雨声 微か

旧朋契闊訪陋屋   旧朋 契闊(けいかつ)に 陋屋(ろうおく)を訪う

永昼相斟酩酊歸   永昼 相斟み 酩酊して帰る

          (上平声「五微」の押韻)


門の外の小道は、緑の木々の陰に囲まれ、
庭の蓮池は、水が満ち ひっそりした中に雨の音が微かに聞こえる
すると古い友達が、しばらくぶりにわが家を訪れた
夏至近くで永くなった昼中、酒を酌み交わして、友は酩酊して帰った

























[19]
投稿者 洋景 

[遊山中湖]

薫風嫋嫋告ャ圍   薫風嫋嫋 緑囲みを成す

晃蕩新陰染素衣   晃蕩新陰 素衣を染む

殘雪芙蓉雲靉靆   残雪の芙蓉 雲靉靆

碧湖漣漪正光輝   碧湖漣漪 正に光輝たり

          (上平声「五微」の押韻)


 世界文化遺産登録確実になった富士山と周辺、何時見ても素晴らしいです。何時までもその美しさを見られる事を願います。

























[20]
投稿者 Y.T 

[夏至有感 一]

静院風薫梅子熟   静院 風薫り 梅子(うめ) 熟し

清泉水漲鯉魚肥   清泉 水漲り 鯉魚 肥ゆ

日長無客到茅屋   日長 客の茅屋に 到る無く

只有銜泥雙燕歸   只 泥を銜んで 双燕の帰る有るのみ

          (上平声「五微」の押韻)
























[21]
投稿者 Y.T 

[夏至有感 二]

拷A醒午夢   緑陰 午夢より醒むれば

蛙鼓到書幃   蛙鼓 書幃に到る

仰首眺前苑   首を仰(あ)げて 前苑を眺むれば

梅天已落暉   梅天 已に落暉なり

          (上平声「五微」の押韻)

























[22]
投稿者 Y.T 

[夏至有感 三]

南苑鎖朱夏   南苑 朱夏を鎖ざし

蓬庵客訪稀   蓬庵 客の訪れ稀なり

青蛙池畔閙   青蛙 池畔に閙がしく

白鷺水辺飛   白鷺 水辺に飛ぶ

腐草新螢少   腐草 新蛍 少(まれ)に

歓花嫩葉肥   歓花(ねむ) 嫩葉 肥ゆ

梅天歩幽径   梅天に 幽径を歩み

迥望遠山微   迥望すれば 遠山微かなり

          (上平声「五微」の押韻)


「腐草」: 古代中国の人は、草が腐って蛍になると信じていた。
























[23]
投稿者 東山 

[夏至有感]

至日連陰閉竹扉   至日連陰 竹扉を閉ざし

泥喃漫聞弛褐衣   泥喃漫ろに聞き 褐衣を弛む

支分間事還詩債   間事を支分し 詩債を還せば

雨霽軽風晩照微   雨霽軽風 晩照微かなり

          (上平声「五微」の押韻)
























[24]
投稿者 謝斧 

[夏至有感 一]

長日消閑出草扉   長日消閑草扉を出でて

森森~廟拷A圍   森森たる~廟 緑陰を囲む

先生昼寝蚊香散   先生昼寝ねて蚊香(蚊遣香)散じ

不夭斧斤樗夢微   斧斤は夭らず樗夢微かなり

          (上平声「五微」の押韻)

























[25]
投稿者 謝斧 

[夏至有感 二]

今歳邦家物候違   今歳邦家 物候違い

漸迎夏至熾炎威   漸夏至を迎えて炎威熾なり

三春降雪黄鶯少   三春の降雪 黄鶯少に

五月入梅紅雨稀   五月入梅 紅雨稀れ

長日難消慵惰久   長日消し難く 慵惰久しく

病懷易倦起居非   病懷倦み易く 起居非なり

追涼枕箪尋~廟   涼を枕箪に追って ~廟を尋ね

坐睡階除寛葛衣   階除に坐睡して 葛衣を寛(緩)めん

          (上平声「五微」の押韻)

























[26]
投稿者 謝斧 

[夏至有感 三]

北窗移榻世情微   北窗に榻を移せば世情微

長日無聊苦暑威   長日無聊にして暑威に苦しむ

謝斧樗陰無可有   斧を謝せし樗陰 無可有(之郷)

蝶飛栩栩夢依稀   蝶飛栩栩として夢依稀たり

          (上平声「五微」の押韻)


 謝斧先生晝寝於樗陰 遊夢無可有之郷
 化為胡蝶而戯於虚空 夢中初聞雷怒声 夢忽醒

























[27]
投稿者 謝斧 

[夏至有感 四]

先生晏起懶開扉   先生晏起して扉を開くに懶し

茅屋袒肩団扇揮   茅屋袒肩して 団扇揮ふ

長日何須挑手燭   長日何ぞ須いん 手燭を挑げるを

夏宵苦短夜遊非   夏宵短きに苦みては夜遊非なり

          (上平声「五微」の押韻)
























[28]
投稿者 点水 

[夏至有感]

梅雨期憂降雨微   梅雨期の憂い 降雨微なり

臺風影響暗雲飛   台風の影響 暗雲飛ぶ

從今炎熱傷心骨   今より炎熱 心骨を傷める

願望祝融低暑威   願望す 祝融 暑威を低めることを

          (上平声「五微」の押韻)


「祝融」: 中国で夏の神

 入梅のあと、雨が少なく心配でしたが、台風の影響で事情は変わったようです。
 今後は盛夏の暑さがどれだけ優しくなるかで、祝融に和らげてくれるようお願いしております。

























[29]
投稿者 明鳳 

[夏至有感(其一)]

日照時長至晝暉   日照の 時は 長くして 昼暉(ちゅうき)を 至(きわ)め

陰陽氣象始回歸   陰陽の 気象は 回帰を 始む

分岐金火午簾動   金火を 分岐して 午簾は 動くも

夏景自之炎熱威   夏景は 之(これ)より 炎熱 威(たけ)し

          (上平声「五微」の押韻)


「金火」: 秋と夏























[30]
投稿者 明鳳 

[夏至有感(其二)]

日長夏景火雲巍   日 長き 夏景に 火雲は 巍(たか)く

如燬暑氛來往稀   燬(や)くが 如き 暑氛(しょふん)に 来往は 稀なるも

救急笛號鳴不斷   救急の 笛号は 鳴りて 断(た)へず

熱中症候奈炎威   熱中の 症候に 炎威を 奈(いかん)せん

          (上平声「五微」の押韻)


「火雲」: 夏雲
「來往」: 往来(街なかの様子)
「笛號」: (救急車の)サイレン























[31]
投稿者 明鳳 

[夏至有感(其三・節氣攷)]

農繁時季燕翔飛   農繁の 時季は 燕(つばくらめ)翔飛し

穫麥植禾梅子肥   麦を 穫(かりい)れ 禾(いね)を 植ゑ 梅の 子(み)肥ゆ

四立中間從節氣   四立は 中間に 節気を 従へ

二分晝夜半回歸   二分の 昼夜は 回帰を 半(なかば)す

陰陽變轉自然信   陰陽の 変転は 自然に 信(まか)せ

五行循環歳事祈   五行の 循環に 歳事の 祈り

夏至日長趨大暑   夏至の 日は 長く 大暑に 趨(おもむ)き

分岐金火避炎威   金火を 分岐して 炎威を 避けん

          (上平声「五微」の押韻)


「攷」: 考の古字
「翔飛」: スイスイ飛ぶ
「四立」: 立春・立夏・立秋・立冬
「二分」: 春分と秋分
「陰」: 月・秋・北・夜・女
「陽」: 日・春・南・昼・男
「五行」:木・火・土・金・水(夫々が、相生と相克す。)
「歳事」: 一年中の出来事
「大暑」:七月二十二〜二十四日
「金火」: 秋と夏
























[32]
投稿者 劉建 

[夏至有感]

日合天刑井宿依   日 天刑に合し 井宿に依り

辰星太白北河圍   辰星 太白 北河囲ふ

地神厭影陽終遠   地神 影を厭い 陽終わること遠く

野鬼遊光陰始微   野鬼 光を遊び 陰始まること微かなり

泉涸無穰雲葉薄   泉涸れ 穣無く 雲葉薄く

草焦有旱雨絲稀   草焦げ 旱有り 雨絲稀なり

却求浸潤浤浤溢   却って求む 浸潤 浤浤と溢れ

一夜狂霖曉又歸   一夜 狂霖 暁に又歸る

          (上平声「五微」の押韻)


「天刑」: 木星。
「井宿」: 双子座を指す。
「北河」: 双子座の星。2013年6月21日、夏至の日の午前2時37分に井宿(双子座)において
      水星(辰星)と金星(太白)が最接近。その前日に地球と太陽と木星が合。
      『開元占経』巻二十二に「石氏曰:太白辰星聚於一舎,天下小旱。」とある。
「野鬼遊光」: 『玉燭宝典』に引く『風俗通義』に「夏至五月五日,著五采避兵。題曰,野鬼遊光。」とある。
「狂霖」: 暴雨。

 

























[33]
投稿者 兼山 

[夏至有感 一]

四季春秋夏必歸   四季 春秋 夏 必ず歸る

陽光此日最長輝   陽光 此の日 最も長く輝く

地天諸法依然在   地天の 諸法 依然として在り

國境紛争理莫違   國境 紛争 理に違ふこと莫かれ

          (上平声「五微」の押韻)


 今年又陽熱至極自然の理
























[34]
投稿者 兼山 

[夏至有感 二]

國會周邊老若圍   國會 周邊 老若圍む

示威游行到斜暉   示威 游行 斜暉に到る

戰争放棄零原發   戰争 放棄 零原發

惨禍勿忘人未歸   惨禍 忘る勿かれ 人未だ歸らざる

          (上平声「五微」の押韻)


 八一五・三一一も人未帰還
























[35]
投稿者 芳原 

[夏至有感]

螢窗聞拷J   蛍窓 緑雨を聞く

燕子復翻飛   燕子 復た翻りて舞ふ

世事年年遠   世事 年年に遠く

黄梅日日肥   黄梅 日日に肥ゆ

          (上平声「五微」の押韻)

























[36]
投稿者 銅脈 

[夏至有感]

軒窓塵外趣   軒窓は塵外の趣き

几案眼中稀   几案眼中稀なり

客子荘周夢   客子は荘周の夢

破亡計已非   破亡の計は已に非なり

          (上平声「五微」の押韻)

























[37]
投稿者 老遊(刈谷桐山堂) 

[夏至有感 一]

榴華杏實肆長暉   榴華 杏實は長暉を肆にし

涸轍鮒魚招雨祈   涸轍の鮒魚は雨を招かんと祈る

借問玄冥何處滞   借問す 玄冥は何くの處に滞るか

烏衣不語掠禾飛   烏衣語らず 禾を掠めて飛ぶ

          (上平声「五微」の押韻)

























[38]
投稿者 老遊(刈谷桐山堂) 

[夏至有感 二]

麥下勤農曝暑威   麥下農に勤(いそし)むも 暑威に曝され

乾坤涸渇吹蛙稀   乾坤は涸渇し 吹蛙稀なり

清幽何處堪長日   清幽長日に堪ふるは何れの處か

先覺松陰與柳依   先づ覺ゆ 松陰と柳に依るを

          (上平声「五微」の押韻)

























[39]
投稿者 老遊(刈谷桐山堂) 

[夏至有感 三]

炎塵百里四方囲   炎塵百里 四方の囲み

紫燕衝風掠穂飛   紫燕 風を衝き 穂を掠めて飛ぶ

耕作農人心悶悶   耕作の農人 心悶悶

日長無雨奈晴暉   日長 雨無く 晴暉を奈んせん

          (上平声「五微」の押韻)

























[40]
投稿者 M.O(刈谷桐山堂) 

[夏至有感(關島旅游)]

穹昊雲流夏日暉   穹昊 雲流れ 夏日の暉

吾人遊泳彩魚圍   吾人遊泳すれば 彩魚囲む

快風午睡銀沙上   快風 午睡 銀沙の上

朝夕滄茫恍忘歸   朝夕 滄茫たり 恍として帰るを忘る

          (上平声「五微」の押韻)
























[41]
投稿者 T.K(刈谷桐山堂) 

[夏至有感]

江頭花盡路人稀   江頭 花は尽き 路人稀なり

天道橋邊燕子飛   天道橋辺 燕子飛ぶ

午下驕陽吾影矮   午下 驕陽 吾影は矮たり

一碑苔径緑陰囲   一碑 苔径 拷A圍む

          (上平声「五微」の押韻)

























[42]
投稿者 M.T(刈谷桐山堂) 

[夏至有感]

日長夏至紫花圍   日長くして夏至 紫花圍ふ

梅雨軒檐雙燕飛   梅雨 軒檐 双燕飛ぶ

童子喧喧畦上路   童子は喧喧として 畦上の路

盤飧已整未來歸   盤飧已に整ふるも 未だ歸り来たらず

          (上平声「五微」の押韻)

























[43]
投稿者 松閣(刈谷桐山堂) 

[夏至有感 一]

冬行夏至忽多違   冬行き夏至れば 忽ち違ふこと多し

如火傾河虹彩輝   火の如く 河傾き 虹彩輝く

夜夜繙書吾欲睡   夜夜 書を繙き 吾睡らんと欲す

替衣轉轉適天機   衣を替へ 轉轉として 天機に適ふ

          (上平声「五微」の押韻)
























[44]
投稿者 松閣(刈谷桐山堂) 

[夏至有感 二]

開海開山風更微   海開き山開き 風更に微なり

傾河如火彩虹輝   河傾き 火の如く彩虹輝く

半長半短遊三日   半長く半短く 遊ぶこと三日

青紫花馨雙蝶飛   青紫 花馨 双蝶飛ぶ

          (上平声「五微」の押韻)
























[45]
投稿者 眞海(刈谷桐山堂) 

[夏至有感]

日長野色草空肥   日長 野色 草空しく肥ゆ

壟畝南薫對翠微   壟畝 南薫 翠微に対す

夜來一雨含風軟   夜来の一雨 風を含んで軟なり

青果生生繞惚   青果 生生 緑幃を繞る

          (上平声「五微」の押韻)


蒸し暑い夏至の一日、雨が降ったり止んだり、
草はますます繁り、
昨夜来の一雨で野菜も草も共に生長している。
その様子を緑の幃りが包んでいるようだ。
























[46]
投稿者 勝江(刈谷桐山堂) 

[至夏]

山村夏至拷A圍   山村 夏至れば 拷A圍む

十里南風草更肥   十里の南風 草更に肥ゆ

扶杖遊行花圃裏   杖に扶けられ遊行す 花圃の裏

薔薇千彩馥香飛   薔薇 千彩 馥香飛ぶ

          (上平声「五微」の押韻)


岐阜のバラ園に行った時、品種が多くて色が鮮やかで美しく咲いていました。
感動して暑さを忘れて園内を歩き回った思い出があります。

























[47]
投稿者 十三山 

[夏至有感]

陽光長日野田輝   陽光長日 野田に輝く

耕地鋤叢汗浸衣   地を耕し叢を鋤いて 汗衣を浸す

一颯涼風清冽水   一颯の涼風 清冽の水

碧空爽快映榴緋   碧空爽快 榴(ザクロ)の緋映える

          (上平声「五微」の押韻)


あかあかと太陽が長時間田畑の上に輝いている。
その下で畑仕事をしていると作業着が汗でびしょびしょだ。
一瞬の涼風、清冽な水が体を冷やしてくれる。
晴れ渡った空 柘榴の花の緋色がよく映えるのと合わせ爽やかでとても気持ちがいい。
























[48]
投稿者 藤城 英山 

[夏至有感(憶古稀夏)]

七秩光陰夏日帰   七秩の光陰 夏日に帰れば

兵軍拡大識非違   兵軍の拡大は非違なるを識る

國民代代不忘誓   国民は代代 誓ひを忘れず

世界平和久遠祈   世界の平和 久遠に祈る

          (上平声「五微」の押韻)

























[49]
投稿者 觀水 

[夏至有感]

欲尋野趣發柴扉   野趣 尋ねんと欲して柴扉を発(ひら)けば

夏熱焦肌汗濕衣   夏熱 肌を焦がして 汗 衣を湿す

初送遲遲午雲去   初めて送る 遅遅として午雲の去るを

却知漸漸晩風微   却って知る 漸漸として晩風の微かなるを

長堤十里無行客   長堤 十里 行客無く

暮鳥三聲遠落暉   暮鳥 三声 落暉遠し

散歩低吟芳草路   散歩 低吟す 芳草の路

新螢集處戴星歸   新蛍 集ふ処 星を戴せて帰る

          (上平声「五微」の押韻)


おもしろいことないかなと 扉を開けて出て行けば
夏の暑さに肌は焼け きものも汗でベタベタだ
真昼の雲がだらだらと 通り去るのを見送って
暮れ刻の風だんだんに 吹き初めるのを感じ取る
はるかに続く堤防に 人の姿がなくなれば
ねぐらに向う鳥たちも 沈む夕日を追いかける
鼻唄なんかうたいつつ 散歩たのしむ草のみち
蛍の光あつまれば 星も出てきたサァ帰ろう
























[50]
投稿者 越粒庵 

[夏至有感]

夏日最長繞緑幃   夏日最も長く 緑幃を繞る

朝来溽暑透羅衣   朝来溽暑 羅衣を透かす

呻吟一夜今無恙   呻吟一夜 今恙無し

暴飲百杯知昨非   暴飲百杯 昨の非を知る

          (上平声「五微」の押韻)


二日酔いの体たらく、夏至有感の名に恥じます。
























[51]
投稿者 忍夫 

[夏至有感 一]

夕陽山影払炎威   夕陽山影 炎威を払ひ

同志登樓宴卓圍   同志登楼して 宴卓を囲む

半醉相嘲功未立   半ば酔ひ相嘲る 功未だ立たざるを

生來不介被疎衣   生来 介せず 疎衣を被るを

          (上平声「五微」の押韻)
























[52]
投稿者 忍夫 

[夏至有感 二]

一庭草莽国摧   一庭 草莽 緑増々肥え

日鎖柴門避暑威   日々柴門を鎖して 暑威を避く

閑讀老荘親午睡   閑に老荘を読み 午睡に親しみ

揚簾涼夕見螢飛   簾を揚ぐれば 涼夕 蛍飛ぶを見ゆ

          (上平声「五微」の押韻)
























[53]
投稿者 忍夫 

[夏至有感 三]

水聲風葉夕陽微   水声 風葉 夕陽微かなり

暫息田園欲不歸   暫し田園に息(やす)めば 帰らざらんと欲す

明日還都多瑣事   明日 都に還(かえ)らば 瑣事多し

今宵貪看萬星輝   今宵 貪(むさぼ)り看む 萬星の輝き

          (上平声「五微」の押韻)
























[54]
投稿者 禿羊 

[夏至雜感]

長霖萬物若歔欷   長霖 万物 歔欷するが若し

老叟登床脱濕衣   老叟 床に登りて湿衣を脱す

何事迫胸黒甜裏   何事ぞ 胸に迫る 黒甜の裏

亡君責我往年非   亡君 我が往年の非を責む

          (上平声「五微」の押韻)
























[55]
投稿者 桐山人 

[夏至有感 一]

四山翠碧淡濃幃   四山 翠碧 淡濃の幃

溪澗清聲風更微   溪澗の清聲 風更に微なり

終日偸閑至長夏   終日 閑を偸みて 長夏に至る

流心流景已忘機   流心 流景 已に機を忘る

          (上平声「五微」の押韻)
























[56]
投稿者 桐山人 

[夏至有感 二]

階前梅子熟   階前 梅子熟し

庭樹此梭゚   庭樹 香@衣を沾す

稲圃老蛙嘯   稲圃に老蛙は嘯き

柳枝雛燕飛   柳枝に雛燕は飛ぶ

日長傾影短   日は長くして 傾影短かく

地僻訪人稀   地は僻にして 訪人稀なり

老杖行吟裡   老杖 行吟の裡

遊観午景輝   遊観すれば 午景輝く

          (上平声「五微」の押韻)
























[57]
投稿者 東山 

[夏至有感 (別韻)]

節氣循環至日天   節気循環 至日の天

新秧梅子邑江邊   新秧梅子 邑江の辺

只祈慈雨穣穣歳   只祈る慈雨 穣穣の歳

昨夏濁流流美田   昨夏濁流 美田を流す

          (下平声「一先」の押韻)
























[58]
投稿者 芳原 

[夏至有感 (別韻)]

繙書尋義至三更   書を繙き義を尋ねて三更に至る

丈室沈沈灯影清   丈室沈沈として灯影清し

風信出庭梅子落   風信 庭に出づれば梅子落つ

流星長嘯古人情   流星 長嘯す古人の情

          (下平声「八庚」の押韻)


雨上がりの夜更け 厚い漢和辞典を繰りながら字義を確かめる
気がつくと夜中過ぎだ 狭い部屋は静まり返って灯りが一つ
見慣れた部屋が清清しい
小さな音に誘われて庭に出て見ると熟れた梅の実が二つ三つ
さっきの風だ
空はいつの間にか晴れて山の向こうに星が消える
おッ、これだ 思い切り息を吸って「流星光底長蛇を逸す」
























[59]
投稿者 ニャース 

[夏至有感]

江辺小鎮夏風微   

未散朝霞訪客稀   

百姓就餐忙炒菜   

閑人古寺太平祈   

          (上平声「五微」の押韻)


上海の市内に七宝という古鎮があります。
昼は観光客でごったがえすのですが、早朝 ジョキングで10キロ走り、着いたらまだ誰も観光客はいませんでした。
その際の情景を詠みました。
























[60]
投稿者 Y.T 

[夏至有感(七律)]

梅天陋屋客来稀   梅天 陋屋 客の来たること稀に

五畝寒園鎖扇扉   五畝の寒園 扇扉 鎖さる

覓侶青蛙池畔閙   侶を覓む青蛙 池畔に閙がしく

尋魚白鷺水辺飛   魚を尋ぬ白鷺 水辺に飛ぶ

陰陰腐草新蛍少   陰陰たる腐草 新蛍 少(まれ)に

灼灼歓花嫩葉肥   灼灼たる歓花 嫩葉 肥ゆ

夕照荒郊歩幽径   夕照の荒郊 幽径を歩し

廻頭迥望遠山微   頭を廻らし迥かに望めば 遠山 微かなり

          (上平声「五微」の押韻)


語釈:「腐草」古代中国の人は、草が腐って蛍になると信じていた。
    [礼記]に「腐草為蛍」とある。  尚、「歓花」は合歓に限らず単に咲き誇る花の美称として使いました。