作品番号 | 作 者 | 題 名 | 詩 形 | |
[01] | 謝斧 | 「秋懷 其之一」 | 七言律詩 | |
[02] | 謝斧 | 「秋懷 其之二」 | 七言律詩 | |
[03] | 謝斧 | 「秋懷 其之三」 | 七言絶句 | |
[04] | 謝斧 | 「秋懷 其之四」 | 七言絶句 | |
[05] | 謝斧 | 「秋懷 其之五」 | 七言絶句 | |
[06] | 常春 | 「秋懷 想三・一一地震」 | 七言絶句 | |
[07] | 常春 | 「秋懷 九月十一日想阿富汗」 | 五言律詩 | |
[08] | 常春 | 「秋懷 花眼」 | 五言絶句 | |
[09] | 黒浴@ | 「秋懷」 | 五言律詩 | |
[10] | 玄齋 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[11] | 玄齋 | 「秋懷 立秋看水芙蓉」 | 七言絶句 | |
[12] | Y.T | 「秋懷 其一」 | 七言絶句 | |
[13] | Y.T | 「秋懷 其二」 | 七言絶句 | |
[14] | 深溪 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[15] | 博生 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[16] | 道佳 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[17] | 展陽 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[18] | 点水 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[19] | 劉建 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[20] | 洋宏 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[21] | 杜正 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[22] | 兼山 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[23] | 桃羊野人 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[24] | 明鳳 | 「出雲路秋懷」 | 七言絶句 | |
[25] | 明鳳 | 「松江城秋懷」 | 七言絶句 | |
[26] | 明鳳 | 「八雲立風土記丘秋懷」 | 七言絶句 | |
[27] | 明鳳 | 「足立美術館秋懷」 | 七言律詩 | |
[28] | 忍夫 | 「秋懷 一」 | 七言絶句 | |
[29] | 忍夫 | 「秋懷 二」 | 七言絶句 | |
[30] | 謝斧 | 「秋懷 其之六」 | 七言絶句 | |
[31] | 謝斧 | 「秋懷 其之七」 | 七言絶句 | |
[32] | 謝斧 | 「秋懷 其之八」 | 七言絶句 | |
[33] | 南芳 | 「秋懷 一」 | 七言絶句 | |
[34] | 南芳 | 「秋懷 二」 | 七言絶句 | |
[35] | 茜峰 | 「秋懷 山行」 | 七言絶句 | |
[36] | 觀水 | 「秋懷」 | 五言律詩 | |
[37] | 風雷山人 | 「秋懷」 | 七言絶句 | |
[38] | 鮟鱇 | 「秋懷」 | 七言律詩 | |
[39] | 桐山人 | 「秋懷 一」 | 七言律詩 | |
[40] | 桐山人 | 「秋懷 二」 | 七言絶句 |
[秋懷 其之一]
山行底事掃心胸 山行すれば 底事ぞ心胸を掃ひ
秋日登高佳節逢 秋日登高して佳節に逢ふ
紅葉夕陽當目映 紅葉の夕陽 目に當って映じ
緑蕪白露濕衣濃 緑蕪の白露 衣を濕らせて濃やかなり
籠禽向越悲哀叫 籠禽越に向って 悲哀の叫
老馬恋胡憔悴容 老馬胡を恋ひて 憔悴の容
名路利門非我事 名路利門は我事に非ず
何因為客世塵慵 何に因て客と為って 世塵慵し
最初に戻る
[02]
投稿者 謝斧
[秋懷 其之二]
登高佳會思重重 登高の佳會 思ひ重重
酌酒放懷情更濃 酒を酌み懐を放てば情更に濃やかなり
黄菊紅楓C夕景 黄菊紅楓 夕景清く
疎花敗葉寂寒蛩 疎花敗葉 寒蛩寂たり
課題分韻誇文藻 題を課し韻を分ちて 文藻を誇り
探句苦吟嘆凡庸 句を探り吟に苦しみては 凡庸を嘆く
亮月廋樓多興趣 亮月の廋樓に興趣多く
須甘罰爵作詩慵 須く罰爵に甘んじても詩を作ること慵し
最初に戻る
[03]
投稿者 謝斧
[秋懷 其之三]
良宵載酒小舟傭 良宵酒を載せて 小舟を傭ひ
江岸紅楓入眼濃 江岸の紅楓眼に入って濃なり
銀浪金波少停楫 銀浪金波 少しく楫を停め
裁詩初解已秋容 詩を裁して初て解す 已に秋容なるを
最初に戻る
[04]
投稿者 謝斧
[秋懷 其之四]
他郷詩客老龍鍾 他郷の詩客 老ひて龍鍾
今日登高重九逢 今日登高して重九に逢ふ
不似襤褸悪帰去 似ず襤褸の悪帰するを
飛鳶堕水悔吾儂 飛鳶水に堕て吾儂を悔ゆらしむ
最初に戻る
[05]
投稿者 謝斧
[秋懷 其之五]
延目山腰錦繍縫 目を山腰に延ぶれば 錦繍縫ひ
林間坐石少停筇 林間石に坐して 少しく筇を停む
佳哉蘇子鞦韆夜 佳なる哉 蘇子鞦韆の夜
不似紅楓秋暮容 似かず紅楓の秋暮容
最初に戻る
[06]
投稿者 常春
[秋懷 想三・一一地震]
餘震未収煩想重 余震未まだ収まらず 煩想重なるも
巷村欲復勵漁農 巷村復せんと欲し 漁農に励む
假居明月消愁否 仮居の明月 愁いを消すや否や
一怖中秋正近冬 一に怖る 中秋正に冬近しと
最初に戻る
[07]
投稿者 常春
[秋懷 九月十一日想阿富汗]
崩樓經十歳 楼崩れて十歳を経る
紐育鎮魂鐘 ニューヨーク鎮魂の鐘
練達捜羅隊 練達 捜羅の隊
征誅潜伏凶 潜伏の凶を征誅す
高原覇權禍 高原 覇権の禍あり
部族抗爭跫 部族 抗争の跫あり
和解何途遠 和解何んぞ途遠きか
遐思民庶胸 遐かに思う 民庶の胸
最初に戻る
[08]
投稿者 常春
[秋懷 花眼]
花眼無何奈 花眼何奈ともする無し
中秋月二重 中秋の月 二重
餘生年歳疾 余生 年歳疾し
萬事但悠容 万事 但悠容のみ
最初に戻る
[09]
投稿者 黒浴@
[秋懷]
斜陽寥落照霊峰 斜陽 寥落 霊峰を照らす
紅葉飛風錦繍重 紅葉風に飛び 錦繍重なる
日旰点灯帰不得 日旰(ひかん)点灯なるも 帰るを得ず
佇庭隅独楽吟蛩 庭隅に佇み 独り吟蛩を楽しむ
最初に戻る
[10]
投稿者 玄齋
[秋懷]
秋宵欲動汝愁容, 秋宵 汝が愁容を動かさんと欲するも
恰似參商奈未逢。 恰も参商に似たり 未だ逢わざるを奈んせん
檠下陳辭願長久, 檠下 辞を陳ねて長久なるを願い
遠同山月思千重。 遠く山月を同にすれば 思い千重ならん
「参商」: 参星(しんせい: オリオン座の三つ星)と商星(しょうせい: さそり座のアンタレスを含む三つ星)の二つの星が同時に夜空に上がらないように、お互いに遠く離れて会えない状況を指しています。
最初に戻る
[11]
投稿者 玄齋
[秋懷 立秋看水芙蓉]
日升無看閉芙蓉, 日は升りて看ること無し芙蓉の閉ずるを,
人憶舊年忘老容。 人は旧年を憶いて老容を忘るればなり。
獨愛眞情謂君子, 独り真情を愛して君子と謂ひ,
專心自傚後凋松。 専心なること自ら後凋の松に傚はん。
「水芙蓉」: 蓮の花のことです。
「君子」: 蓮の別名の「君子花(くんしか)」を指します。
(周敦頤(しゅうとんい)の「愛蓮説(あんれんせつ)」より)
「後凋松」: 『論語』子罕第九の篇「子曰,歳寒。然後知松柏之後彫也。」
最初に戻る
[12]
投稿者 Y.T
[秋懷]
返照江楓琥珀濃 返照の江楓 琥珀 濃し
隔川坐聴暮天鐘 川を隔て 坐に 聴く暮天の鐘
往時記得不勝泪 往時 記得(おもいいで) 泪に勝(た)へず
喞喞虫聲愁殺儂 喞喞たる 残蛩 儂を愁殺す
何となくヴェルレーヌの「落葉」の一節を、意識して作りました
鐘のおとに/胸ふたぎ
色かへて/涙ぐむ
過ぎし日の/おもひでや。
最初に戻る
[13]
投稿者 Y.T
[秋懷 其二]
風吹楓樹冷於冬 風は楓樹を吹いて 冬於(よりも)冷やかなり
霜葉飄零杳絶蹤 霜葉 飄零して 杳として蹤を絶つ
浮生歓楽毎如此 浮生の歓楽 毎に此くの如し
涙眼低頭憂満胸 涙眼 頭を低れ 憂い胸に満つ
最初に戻る
[14]
投稿者 深溪
[秋懷]
何処秋風涼入胸 何処よりか 秋風 涼胸に入る
無聊静寂及時供 無聊の静寂 時に及んで供す
深思老識望郷意 深く思ふ 老いて識る 望郷の意
持健悠悠独曳筇 健を持して 悠悠 独り筇を曳かん
「無聊」: 心に残ることがあり楽しまない、退屈。
最初に戻る
[15]
投稿者 博生
[秋懷]
秋風徐度白芙蓉 秋風 徐かに度る 白芙蓉
院落無人聴夜蛩 院落 人無く 夜蛩を聴く
独坐南軒明月下 独り坐す南軒 明月の下
茫茫回顧思重重 茫茫回顧 思い重重
歳ふるごとに秋の夜は想いに浸る事多し。
最初に戻る
[16]
投稿者 道佳
[秋懷]
悲哉災禍過多重 悲しい哉 災禍過多重なり
喪失故郷窮大凶 故郷を喪失 窮まる大凶
不聄秋声風噴処 聞こえず秋声 風噴く処
雲天月兎涙河蹤 雲天の月兎涙河の蹤
【大意】
何と悲しいことか。今年は災害が度重なり、故郷を喪い、
大変な災いにみまわれている多くの人々がいる。
いつも聞きなれているあの秋の虫たちの音も聞こえてはこない。
風が激しく吹き雲がなびく空にようやく月が見えてきた。
そこには兎が涙を流している蹤が見えるようだ。
最初に戻る
[17]
投稿者 展陽
[秋懷]
斜陽照水白雲重 斜陽 水に照り 白雲重なる
遠近江山菊気濃 遠近の江山の 菊のかほりが濃い
処処黄花開爛漫 処処の黄花は 爛漫に開く
枝枝紅葉鎖青峯 枝枝の紅葉は 青峯を鎖(とざ)す
看書意倦踦窓縁 看書して意が倦めば 窓縁に踦りかかり
得句清新歩月笻 清新な句が得れば をついて月と歩む
風透衣裳残暑散 風が衣裳を透り 残暑散る
星稀夜静爽吟胸 星稀れの静かな夜に 吟ずる胸(こころ)が爽やかに
最初に戻る
[18]
投稿者 点水
[秋懷]
獨坐風軒暮色濃 風軒に獨坐すれば 暮色濃く
湘簾搖曳息鳴蛩 湘簾 搖曳して 鳴蛩やむ
昨秋歩月微吟荐 昨秋は月に歩み 微吟すること荐り
間者衰衰萬事慵 このごろ 衰え 萬事慵し
最初に戻る
[19]
投稿者 劉建
[秋懷]
青橙相對帶秋容, 青橙 相対し 秋容を帯び
馬乳千珠酒正濃。 馬乳 千珠 酒正に濃く
白髪幾莖凝酔目, 白髪 幾莖ぞ 酔目を凝らし
登高遥看豁心胸。 登高 遥を看れば 心胸豁(ひら)ける
「馬乳」:葡萄のこと。毎年、山葡萄で果実酒を作り、数日で赤紫色に染まる。
最初に戻る
[20]
投稿者 洋宏
[秋懷]
歩径落輝紅葉峰 歩径 落輝 紅葉の峰
窓中片月秋風濃 窓中 片月 秋風濃やか
夜長独懐先去友 夜長 独懐 先に去りし友
座聴幽愁時刻鐘 座して聴く幽愁 時刻鐘
最初に戻る
[21]
投稿者 杜正
[秋懷]
暑退効居四壁蛩 暑 退きたる 効居 四壁の蛩
蕭条庭虚桂香濃 蕭条たる 庭虚 桂香 濃し
三伏節電人消痩 三伏の節電 人 消痩す
秋信侵衣涼入胸 秋信 衣を侵し 涼 胸に入る
夏の暑さが過ぎ去った寓居に、周り中から蛩の鳴き声が聞こえるようになった。
さびしい庭には 金木犀の香りも強く漂ってくる。
今夏の震災対応緊急節電は厳しくて消痩した。
今、秋の兆しが衣服に直に入ってきて、涼さが胸にしみいるようだ。
最初に戻る
[22]
投稿者 兼山
[秋懷]
草屋蕭蕭四壁蛩 草屋 蕭蕭 四壁蛩
天空秋興入吟笻 天空 秋興 吟笻に入る
宋玉綿綿無限恨 宋玉 綿綿 無限の恨み
悲哉或否意從容 悲しい哉 或いは否や 意從容
最初に戻る
[23]
投稿者 桃羊野人
[秋懷]
一夕無聊訪老農
相逢白髪自従容
西風喚得楓林色
陰隠何来日没鐘
最初に戻る
[24]
投稿者 明鳳
[出雲路秋懷]
伯備出雲巡路從 伯備 出雲の 巡路に 従へば
八雲立阜靉如洶 八雲 立つ阜(おか)は 靉(くもたなび)き 洶(わ)くが 如し
雲州庭訓興何盡 雲州の 庭訓(ていきん) 興 何んぞ 尽きん
神話聳雲千古蹤 神話は 雲に 聳へ 千古の 蹤(あと)
「八雲たつ」は出雲の枕詞として、「雲」がモチーフである故、「起承転結」全句に「雲」をよみ込みました。(「雲」尽く 詩)
最初に戻る
[25]
投稿者 明鳳
[松江城秋懷]
千鳥名城秋雨濃 千鳥の 名城に 秋雨 濃(こま)やかに
壯重雄大閣樓容 壯重雄大なる 閣楼の 容(すがた)
壘門天守靄雲裡 塁門と 天守は 靄雲(あいうん)の 裡(うち)
開府彌齡秀氣鍾 開府 齢を 弥(わた)って 秀気 鍾(あつ)まる
「千鳥城」は「松江城」の「雅称」で、今年は「松江開府400年」の記念行事が目白押しである。
最初に戻る
[26]
投稿者 明鳳
[八雲立風土記丘秋懷]
神話島根洲引封 神話の 島根は 洲(くに)引きの 封(くに)
素戔鳴命討妖凶 素戔鳴命(すさのおのみこと)は 妖凶を 討ち
八重垣作瑞祥湧 八重垣 作れば 瑞祥 湧く
出藻枕詞雲際恭 出藻(いずも)の 枕詞は 雲際に 恭(うやうや)し
八束水臣津野命(やつか みずおみ つのの みこと)の「国引き」の神話や、天照大神の弟・素戔鳴命 すさのおのみこと)は 乱暴者で「天の岩戸」事件を起こしたが、天下って「妖凶」即ち「八岐大蛇(やまたのおろち)」を征伐したことなど、出藻(出雲の別称)は 正に 神話の国である。
最初に戻る
[27]
投稿者 明鳳
[足立美術館秋懷]
安來玉砌碧雲衝 安来(やすき)の 玉砌(ぎょくせい) 碧雲に 衝(むか)ひ
足立館庭塵外容 足立の 館庭は 塵外の 容(かたち)
名畫収蔵千五百 名画の 収蔵は 千 五 百
銘園調和一番庸 銘園 調和して 一番を 庸(つら)ぬく
參觀順路看無極 参観の 順路は 看るに 極まり 無く
展示明窗感有從 展示の 明窓に 感 従う 有り
巨匠圖成神授技 巨匠の 図 成るは 神授の 技(わざ)
藝風萬疊列仙蹤 芸 風 万 畳し 列仙の 蹤(あと)
足立美術館は横山大観の名画120点を始め、その庭園は、2003年以来8年連続で日本一の栄誉に輝いて居ると聞く。その格付けは「米国・日本庭園専門誌」に拠るが、因みに、京都「桂離宮」は2位と言う。
最初に戻る
[28]
投稿者 忍夫
[秋懷 一]
月明雁陣両三峰 月明の雁陣 両三の峰、
幽院虫声百歳松 幽院の虫声 百歳の松。
但識無常懐過日 但だ、無常をしりて過日を懐ひ、
今宵可楽酒精濃 今宵 酒精の濃きを楽しむべし。
最初に戻る
[29]
投稿者 忍夫
[秋懷 二]
夕陽返照両三峰 夕陽の返照 両三の峰、
十里西郊稲穂重 十里 西郊 稲穂重なる。
忽戻童心追赤卒 忽ち童心に戻りて赤卒(アカトンボ)を追ひ、
涼風一陣浄縁鐘 涼風 一陣 浄縁の鐘
最初に戻る
[30]
投稿者 謝斧
[秋懷 其之六]
日暮林巒嵐気封 日暮の林巒 嵐気封じ
秋風何事涙沾胸 秋風何事ぞ涙胸を沾す
曾遊菊酒登高處 曾って遊ぶ菊酒登高の処
懷顧昔時尋舊蹤 昔時を懐顧して旧蹤を尋ねん
最初に戻る
[31]
投稿者 謝斧
[秋懷 其之七]
晨起遊虞雙屐従 晨起遊虞して 雙屐従い
朝暉風揺木芙蓉 朝暉風は揺るす 木芙蓉
蟬聲已歇秋聲動 蝉声已に歇て秋声動き
處處村村聞草蛩 処処村村 草蛩を聞く
最初に戻る
[32]
投稿者 謝斧
[秋懷 其之八]
秋宵衣冷近初冬 秋宵衣冷ややかに 初冬に似たり
膝上乳猫眠気濃 膝上の乳猫 眠気濃やかなり
軒下酌杯懷舊處 軒下杯を酌んで旧を懷う処
昔時皓月照前峯 昔時の皓月 前峯照さん
最初に戻る
[33]
投稿者 南芳
[秋懷 一]
神輿道行好追従 神輿道行 好追従
担手音聲落葉重 担手の音聲落葉に重なる
陶器船舶還一興 陶器の船舶還一興
樂人猶未夢中庸 樂人猶ほ未だ夢中に庸ふ
田舎の秋祭りを懐かしみながら作詩しました。
作りもの中に金属の台所用品で龍や虎または家電製品の竜宮城等奇抜な作品が作成されています。陶器の船舶もその一つです。
最初に戻る
[34]
投稿者 南芳
[秋懷 二]
神輿作物自然従 神輿と作物(作りもの)自然従
担手音聲落葉重 担手の音聲落葉に重なる
雑踏迷兒秋祭趣 雑踏迷兒(まよいご)秋祭趣(おもむき)
他年追憶共敲鐘 他年の追憶共に鐘敲く
田舎の秋祭りを懐かしみながら作詩しました。
作りもの中に金属の台所用品で龍や虎または家電製品の竜宮城等奇抜な作品が作成されています。陶器の船舶もその一つです。
最初に戻る
[35]
投稿者 茜峰
[秋懷 山行]
昔年標指紅葉峰 昔年 標指す 紅葉の峰
汗顔荷担歩九重 荷担に 汗顔し 九重を歩く
談笑友朋何退去 談笑せし 友朋 何(いくばく)か 退去す
山中歌唱刻深胸 山中での 歌唱 刻深の胸(きょう)
「標指」: 目標とする。目指す。
「九重」: 幾重にも重なる
山岳会に属しよく山を歩いている。
何年か前、奈良県から三重県にまたがる台高山脈を紅葉を求めて歩いたのが印象に残る。テント、食料等を担ぎ、汗びっしょりになり、アップダウンを繰り返しながら縦走した。
テント場では大声で山の歌を、あれこれかき集めるごとく歌ったのが胸の奥に深く残る。
その頃一緒に歩き、語り合った仲間の何人かは、病気や死亡、体力の衰え等で山行から離れた。
私は山行を続けているが、体力が衰え、重い荷物が持てなくなった。
[秋懷]
蕩子還家夢 蕩子 還家の夢
親朋會故峰 親朋 故峰に会す
三年無共語 三年 共に語る無くも
九日喜相逢 九日 相逢ふを喜ぶ
華髮金風爽 華髮 金風爽かなり
盛筵克濃 盛筵 緑酒濃かなり
絃歌多感興 絃歌 感興多く
暮色促吟蛩 暮色 吟蛩を促す
夢のなか国に帰って みんなして山に出かける
久しぶり何年ぶりかな また会えてホントに嬉しい
秋の風さわやかだなあ ウマい酒いっしょに飲もうぜ
楽しくて歌い騒げば 黄昏に虫も鳴きだす
[秋懷]
深秋百里落楓重, 深秋百里 落楓重なり
値夜三更霜気濃。 値夜三更 霜気濃やか
星彩光芒形瑞鳳, 星彩光芒 瑞鳳を形り
月華雲影織飛龍。 月華雲影 飛龍を織る
最初に戻る
[38]
投稿者 鮟鱇
[秋懷]
客窗明月照花容, 客窗の明月 花容を照らし,
妻子醉顔紅未冬。 妻子(つま)の醉顔 紅くして未だ冬ならず。
宇治鳳凰張翼好, 宇治の鳳凰 翼を張りて好しく,
嵐山光景詠歌重。 嵐山の光景 歌を詠むを重ねしむ。
人間到處青山墓, 人間 到る處 青山の墓,
塵外應時黄檗鐘。 塵外 時に應じて黄檗の鐘。
身老不関來往事, 身老いたれば不関せず 來往の事,
秋宵一刻酒千鍾。 秋宵一刻 酒千鍾。
<解説>
妻子:妻のこと。妻と子ではない。
未冬:名詞の動詞的用法としては、杜甫「城春草木深」句の「春」がある。
宇治鳳凰:宇治平等院鳳凰堂。
嵐山:京都の嵐山
黄檗鐘:宇治。万福寺の鐘。
最初に戻る
[39]
投稿者 桐山人
[秋懷 一]
西風颯颯暑威雍 西風颯颯 暑威雍らぎ
石砌無人頻乱蛬 石砌 人無く 乱蛬頻り
今夕月光周皓皓 今夕の月光 周く皓皓
当年民思久恟恟 当年の民思 久しく恟恟
暴濤千里海村憒 暴濤千里 海村憒れ
激雨萬砂山邑衝 激雨 萬砂 山邑衝つ
未息憂愁四時斡 未だ憂愁
一吟傷悼為君供 一吟の傷悼 君が為に供せん
最初に戻る
[40]
投稿者 桐山人
[秋懷 二]
炎暑未収聴乱蛬 炎暑未だ収まらざるに乱蛬を聴く
中秋新月影豊容 中秋の新月 影は豊容
東西千里地天動 東西 千里 地天動き
同見清光倚老松 清光を同に見んと 老松に倚る