第30回 世界漢詩同好会総会(二〇一〇年十二月十九日)

 『世界漢詩同好会』の第30回総会は、十二月十九日に開かれます。
 詩題(今回は『冬至』)と押韻(今回は「下平声十五咸」)を共通として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。
 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



 日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。
番号をクリックして下さい。
 
    作品番号 作 者 題 名 詩 形
   01 謝斧 「冬至 一」七言律詩
   02 謝斧 「冬至 二」七言絶句
   03 謝斧 「冬至 三」七言絶句
   04 謝斧 「冬至書懐」七言絶句
   05 Y.T 「冬至 一」七言絶句
   06 Y.T 「冬至 二」五言律詩
   07 常春 「冬至 一」七言絶句
   08 常春 「冬至 二」七言絶句
   09 常春 「冬至 三」五言律詩
   10 深溪 「冬至」七言絶句
   11 井古綆 「冬至 一」七言絶句
   12 井古綆 「冬至 二」七言絶句
   13 道佳 「冬至」七言絶句
   14 明鳳 「冬至(日本海冬之景)」七言律詩
   15 明鳳 「冬至(日本海寒鰤出漁)」七言絶句
   16 明鳳 「冬至(天樹電波塔建設現場即事)」七言絶句
   17 芳原 「冬至」五言絶句
   18 忍夫 「冬至偶成 一」七言絶句
   19 忍夫 「冬至偶成 二」七言絶句
   20 劉建 「冬至」七言絶句
   21 展陽 「冬至」五言絶句
   22 兼山 「冬至」七言絶句
   23 兼山 「冬至(陽韻)」七言絶句
   24 偸生 「冬至(麻韻)」七言律詩
   25 点水 「冬至」七言絶句
   26 揚田苔菴 「冬至」七言絶句
   27 博生 「冬至感懐」七言絶句
   28 觀水 「冬至」七言律詩
   29 雲錦 「冬至(攤上小景)」五言絶句
   30 黒浴@「冬至偶成」七言絶句
   31 童心 「冬至」七言絶句
   32 鮟鱇 「冬至」七言絶句
   33 茜峰 「冬至山行」七言絶句
   34 杜正 「冬至」七言絶句
   35 禿羊 「冬至山行」七言絶句
   36 桐山人 「冬至」七言絶句





































[01]
投稿者 謝斧 

[冬至 一]

律管灰飛寒気咸   律管灰飛びて 寒気咸く

相天短景暖長衫   相天の短景 長衫暖か

凍雪皚皚布庭戸   凍雪皚皚 庭戸に布く

嚴風陣陣下巉巖   厳風陣陣 巉巖下る

柚子湯温健軀寧   柚子湯温かく 健軀寧んじ

南瓜羮美病魔芟   南瓜羮美く 病魔芟る

草庵酌酒能成醉   草庵酒を酌んで 能く酔を成し

欲準眠他老賀監   準せんと欲っす 眠らんとす 他の老賀監



「賀監」: 賀知章

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[02]
投稿者 謝斧 

[冬至 二]

旅亭永夜嘆逢讒   旅亭の永夜に讒に逢ふを嘆き

至日思家苦酒銜   至日家を思っては 苦酒を銜む

空想邯鄲遠行客   空しく想ふ 邯鄲遠行の客を

不如守拙作愚凡   如かず拙を守って 愚凡と作るを

「至日」: 冬至
「遠行客」: 白楽天より

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[03]
投稿者 謝斧 

[冬至 三]

小斎擱筆了投函   小斎筆を擱いて 投函を了し

至日寒窗冠雪巖   至日寒窓 冠雪の巖

人備新年忙瑣事   人は新年に備へて 瑣事忙しく

試嘗臘酒亦宜緘   試みに臘酒を嘗めては 亦宜しく緘すべし





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[04]
投稿者 謝斧 

[冬至書懷]

初陽薄暮暗寒巌   初陽の薄暮 寒巌暗し

肅殺霜風枯草芟   粛殺たる霜風 枯草芟る

浴得柚湯舒四体   柚湯に浴し得て 四体は舒び

甕頭新酒可開緘   甕頭の新酒 緘開く可し





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[05]
投稿者 Y.T 

[冬至 一]

翏翏陰風度老杉   翏翏として陰風 老杉を度り

早晨寒逼襲毛衫   早晨 寒 逼って 毛衫を襲(かさ)ぬ

一陽来復自今日   一陽来復 今日よりす

塵外游心弾阮咸   塵外に 心游ばせ 阮咸を弾ず




「阮咸」: 月琴に似た楽器。竹林の七賢、阮咸がこの名手だったので、この名が付いたと言う。
     琴が文人の楽器に対し是は道士の楽器とも云う。



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[06]
投稿者 Y.T 

[冬至 二]

蝋梅纔綻候   蝋梅 纔かに綻ぶの候  

寒逼襲毛衫   寒 逼って毛衫を 襲(かさ)ぬ

降雪徧山野   降雪 山野に徧ねく

陰風度老杉   陰風 老杉を度る

暮鴉鳴枯樹   暮鴉 枯樹に鳴いて

残葉下青巖   残葉 青巖に下(お)つ

臘月年將盡   臘月 年 將に盡きんとし

独閑開旧緘   独り閑かに旧緘を開く






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[07]
投稿者 常春 

[冬至 一]

樓街日暮朔風嚴   楼街日暮れて 朔風厳し

萬朶燈光沿道咸   万朶の灯光 沿道に咸し

冬至直連降誕節   冬至 直に連なる降誕節

高呼救恤募捐函   高く呼ぶ 救恤募捐の函





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[08]
投稿者 常春 

[冬至 二]

睡足猶昏卯酒銜   睡り足りて猶昏く卯酒銜む

欲詩悶悶課題咸   詩を欲して悶悶たり課題の咸

遠聞今夕日南至   遠く聞く今夕日南に至ると

期待明朝春信緘   期して待たん明朝春信の緘を





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[09]
投稿者 常春 

[冬至 二]

富峰清冠雪   富峰 冠雪清し

蘆水往来帆   芦水 往来の帆

呼客新装館   客を呼ぶ 新装の館

遊禽古道杉   禽遊ぶ 古道の杉

不時風北起   不時に 風北より起こり

侵刻日西銜   刻を侵して 日西に銜む

冬至浴香橘   冬至 浴すれば橘香る

敲詩徒句凡   詩を敲けども徒らに句凡たり





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[10]
投稿者 深溪 

[冬至]

飛超不況路嶄嵌   不況を飛超するは 路は嶄嵌たり

柚入坐湯杯可銜   柚を入れ坐湯 杯を銜む可し

無策無能怒為政   無策 無能の 為政を怒るも

耐貧耐寒襲重衫   貧に耐へ寒に耐へ 重衫を襲ふ



 永い不況の道を超越するのは厳しい。
 無能無策の為政者を怒りながら、冬至には柚風呂に入り
 濁酒でも飲みながら、貧と寒さに重ね着でもして耐える
 より仕方があるまい。と。



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[11]
投稿者 井古綆 

[冬至 一]

終天至日作龜鑑   終天 至日 亀鑑きかんを作し

臘日凄凄浴殿衫   臘日 凄凄 浴殿のさん

長夏常秋晩冬節   長夏 常秋  晩冬の節

黄柑浮渜愛平凡   黄柑 に浮かべて 平凡を愛す





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[12]
投稿者 井古綆 

[冬至 二]

今年回想不平凡   今年 回想すれば 平凡ならず

入浴金柑日暖銜   入浴 金柑 日暖銜だんかん

長夏常秋忽冬至   長夏 常秋 忽ち冬至

燕群何處語喃喃   燕群 何れの処か 語喃喃



「日暖銜」: 銜はふくみ持つ


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[13]
投稿者 道佳 

[冬至]

回首今茲又不凡   今茲を回首す 又凡ならざる

天維異変凍寒巖   天維の異変 寒巖に凍ゆ

陶甄年少茶杯飲   年少に陶甄す 茶杯で飲み

至日追懐満溢諴   至日 追懐 満溢し諴ぐ



【大意】

 今年を振り返ると色々あり、平凡ではなかった。国の大本が揺らぎ、異変が起き 見通しもなく寒さに凍えんばかりである。
 こんな中、私は少年時代に焼き物で創った思い出の陶器の湯飲みにお酒を注ぎ、冬至の日、昔を思いながら、心も満たしだんだんと和らいできた。

【語意】
「今茲」: ことし
「天維」: 国の大本
「陶甄」: とうけん−陶器をつくる
「茶杯」: 湯呑み
「至日」: 冬至の日
「諴」: やわらぐ



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[14]
投稿者 明鳳 

[冬至(日本海冬之景)]

冬至飛龍暗霧緘   冬 至り 飛龍は 暗霧に とざ

北溟短景噪烏喃   北溟の短景に そう

來如覬下添他興   来るときは 下を うかがひ 他興に 添ふが 如く

去若摩天非我監   去るときは天を摩し 我るに 非ざるが 若し

砂上眼凝生沫處   砂上にまなこを凝らせば しぶきを 生ずる 処

濤邊芥倚滅容函   濤辺にあくた倚って すがたを滅するよろい

連穹凍浪雷轟響   そらに連なる 凍浪に雷轟らいごう響き

海裂朔雲風遶巖   海 裂く 朔雲に 風は いわおを遶る



 波の華が吹雪く日本海の渚辺に、餌を探す寒烏が鳴き騒いで、突風の中を上下し飛翔している寸景です。

「飛龍」: 雪のこと。
「北溟」: 北のうみ。
「短景」: 冬の短い日。
「覬」: 伺い、のぞく。
「朔雲」: 北風の雲。



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[15]
投稿者 明鳳 

[冬至(日本海寒鰤出漁) 冬至り、日本海寒鰤かんぶりの出漁]

風刀凛冽痛寒銜   風刀凛冽たり 痛寒 ふく

冬至飛龍遶破帆   冬至りて 飛龍ははんを遶る

湧浪雷轟齎海幸   浪をわきたたす 雷轟は海のさちもたら

出船繋湊勇融緘   ふねつなぎみなとは 勇んでくくりを融く




 日本海の寒鰤漁は、鰤起こしの雷が轟渡ると、愈々出漁と相為る。

「風刀」: 身を切る風。
「凛冽」: 寒気の厳しい様。



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[16]
投稿者 明鳳 

[冬至(天樹電波塔建設現場即事)]

天樹塔巓冬霧緘   天樹の塔巓とうてん 冬霧はとざ

衝雲昇陟擧頭監   雲を衝く昇陟しょうちょく 頭を挙げてれば

累層技法今如此   累層の技法は 今かくの如く

押上界隈驚不凡   押上 界隈に 驚きはつねならず




 墨田区押上界隈は、日々上に伸び上がるスカイツリーの昇陟に、634(むさし)メートルに達する日も目前哉。

「天樹」: 東京スカイツリー。
「即事」: 見たまま。


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[17]
投稿者 芳原 

[冬至]

寒窓沈有焔   寒窓 焔有りてしずかなり

聴雪著衣衫   雪を聴いて衣衫をはおる

冬至三餘楽   冬至りて三餘の楽あり

吟詩賞月咸   詩を吟じ月を賞して和む





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[18]
投稿者 忍夫 

[冬至偶成 一]

短日灯前独可監   短日の灯前 独り監みるべし

幸哉吾道是平凡   幸ひなるかな 吾道是れ平凡なり

生来魯鈍貪安逸   生来 魯鈍にて安逸を貪る

莫笑男児不立巖   笑ふ莫かれ 男児 巌に立たざるを





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[19]
投稿者 忍夫 

[冬至偶成 二]

内憂外患立峻巌   内憂 外患 峻巌に立ち

民主政権如朽杉   民主政権 朽杉の如し

只願英雄還出世   只願ふらくは 英雄 還た世に出でて

一陽来復示明鑑   一陽来復 明鑑を示せ





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[20]
投稿者 劉建 

[冬至]

黄鍾音響鳥啼喃,   黄鍾の音響 鳥喃として啼き

緹室窗林鹿口饞。   緹室の窓林 鹿口饞る

陽生以陰猶未極,   陽は陰を以てすら猶未だ極まらず生まれ 

千年一遇異風颿。   千年一遇 異風颿る




   冬至になると思いだす音の響き、鳥の喧しい囀り、
   冬籠りの部屋の窓からは、林の鹿が木の皮を貪っているのが見える。
   冬至には暖かさが生まれるとはいえ、未だ寒さも極まっていないのに、
   千年に一度の異常気象が世界を駆け巡っている。


「黄鍾」:陰暦11月を指す。冬至。
「緹室」:古代の節気の一つ。門戸をしっかり締める意。



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[21]
投稿者 展陽 

[冬至]

晩照年将尽   晩照 年が将に尽きんと

寒山雪満巖   寒山 雪が巌(いわ)に満つ

三更窓影白   三更の窓影が白く

独坐酒杯銜   独坐して酒杯を銜(ふく)む





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[22]
投稿者 兼山 

[冬至]

至日閑窓落日銜   至日 閑窓 落日を銜み

沈沈寒氣襲重衫   沈沈 寒氣 重衫を襲ふ

欲詩不寢一杯酒   詩を欲して 寢ねず 一杯の酒

遮莫吾人隔聖凡   遮莫 吾人 聖凡を隔つ




  冬至十日李杜成り難し般若湯



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[23]
投稿者 兼山 

[冬至(陽韻)]

晝間最短夜間長   晝間 最も短く 夜間は長し

美食南瓜浴柚湯   南瓜を 美食し 柚湯に浴す

自喜壽齢身未老   自ら喜ぶ 壽齢 身未だ老いず

更知宇宙正蒼茫   更に知る 宇宙の 正に蒼茫なるを




  天と地と身は浮き舟の柚子湯かな



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[24]
投稿者 偸生 

[冬至(麻韻)]

粗糲雑葅長慣乏   粗糲 雑葅 長く乏しきに慣れ

僻山扶病在貧家   僻山に 病を扶けて 貧家に在り

醒鐘有静暘尤短   醒鐘 静有り 暘は尤も短く

醉筆無那字總斜   酔筆 無那(いかんともするなし)字は総て斜めなり

天吼朔風寒北雁   天に朔風吼えて 北雁は寒く

地然炊炭煖南瓜   地に炊炭然えて 南瓜は煖かし

仙丹不及斯良習   仙丹は及かず 斯の良習に

曷覓芙蓉伏火砂   曷ぞ覓めん 芙蓉伏火の砂を



「醒鐘」: 目覚まし時計
「暘」: 昼
「良習」: 冬至にかぼちゃを食べる習わし
「芙蓉伏火砂」: 埋火で仙人が練る仙薬
「芙蓉砂」: 光明砂
「伏火」: 埋火



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[25]
投稿者 点水 

[冬至]

夕陽忽地没連巖   夕陽 忽地 連巖に没し

凛冽山風吹古杉   凛冽たる山風 古杉を吹く

翁媼了知新氣始   翁媼は新氣始まるを了知し

圍爐長夜語喃喃   爐を圍み 長夜 語ること喃喃たり





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[26]
投稿者 揚田苔菴 

[冬至]

庭際暗香風雪緘   庭際の暗香 風雪 緘(とざ)し

嚴冬寒氣襲重衫   厳冬の寒気 重衫を襲ふ

莫嫌至日晩來急   嫌(いと)ふ莫かれ 至日 晩来 急なるを

長夜仰星杯酒銜   長夜 星を仰いで 杯酒 銜(ふく)まん





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[27]
投稿者 博生 

[冬至感懐]

陰風至日暮寒厳   陰風至日 暮寒厳し

屹立蒼枯古代杉   屹立 蒼枯の古代杉

歳月滔滔狼顧念   歳月滔滔 狼顧の念

人生八十晩成巌   人生八十 晩成巌し




 寒風の中 屹然と立つ古神木
 我も八十、老残の身
 これから如何なるものか。



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[28]
投稿者 觀水 

[冬至]

田夫所望是平凡   田夫 望む所 是れ平凡

碌碌偸生不可讒   碌碌として生を偸むも 讒る可からず

克香濃勝少醉   緑酒 香り濃やかにして 少く酔ふに勝へ

南瓜味美得能饞   南瓜 味美うして 能く饞るを得たり

既游温水浮黄柚   既に游ぶ 温水の黄柚を浮べるに

方喜家人把汗衫   方に喜ぶ 家人の汗衫を把れるを

愉快一陽來復日   愉快なり 一陽来復の日

閑居興感十分銜   閑居 興感 十分に銜む



  わたしが望んでいるものは ただ平凡な暮らしだけ
  ろくろくとした人生も けちつけるには及ばない
  香りゆたかなこのお酒 ちょっと酔うにはじゅうぶんで
  おいしく炊けたこのカボチャ こころゆくまで食べられる
  ユズのお風呂はポカポカで ちょうどお湯から出てくれば
  うれしいことに妻がいて 着替えのシャツを持っている
  愉快に過ごす冬至の日 これから春が目を覚ます
  ひまなくらしと言ったって 楽しいことがたくさんだ



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[29]
投稿者 雲錦 

[冬至(攤上小景)]

廟前冬至盛   廟前冬至の盛り

攤上隊柚函   攤上柚函隊す

街吏銷銭搶   街吏銷銭を奪えば

商人門裏讒   商人門裏で謗しる



「攤上」: 露天商

  お寺の前では冬至の賑わい
  屋台の上には柚子の箱が並んでいる
  役人が来て売上を没収してしまうと
  商人は門の裏側で罵っている


冬になり南京では柚子などの果物を売る露天商が増えてきています。
ところが露天での商いは不法行為なので、時々警察の手入れがあるのです。
売り上げや商品を没収された商人は、警察が去ったあとで文句ばかり言っています。



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[30]
投稿者 黒浴@

[冬至偶成]

暮霞湖水泛孤帆   暮霞 湖水に泛ぶ 孤帆

落照伊吹峰勢厳   落照 伊吹の峰勢 厳し

回首庚寅狂乱跡   回首す 庚寅 狂乱の跡

祈求辛卯吉祥函   祈求す 辛卯 吉祥の函





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[31]
投稿者 童心 

[冬至]

神苑初冬訪老杉   神苑の初冬老杉を訪ひ

深森静寂拝奇岩   深森の静寂に奇岩を拝す

早観高台紅梅蕾   高台には早や観る紅梅の蕾

遠望湖中見白帆   湖中を遠望すれば白帆を見る





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[32]
投稿者 鮟鱇 

[冬至]

海濱風冷帶潮鹹,   海浜 風冷たく潮を帯びて鹹(から)く,

夕照將收一短帆。   夕照 将に收めんとす 一短帆。

回憶生涯漫傷感,   生涯を回憶して漫(みだ)りに感を傷めれば,

殘年暗澹晩寒嚴。   残年 暗澹として晩寒厳し。





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[33]
投稿者 茜峰 

[冬至山行]

駢植雪中郊野杉   駢植す 雪中 郊野の杉

林泉清寂棘茨芟   林泉は清寂にして 棘茨芟る

山行快適思労役   山行は快適なれど 労役を思ふ

短晷暮雲愈峻厳   短晷暮雲 愈 峻厳なり



 近郊の野山には杉林が多い。外材に圧されてか放置されたままのが目立つ。
 しかし中には 枝打ち下草刈りが施され手入れの行き届いているのがある。
 木肌を見せすっくと並び立つ樹林を小雪の舞う中歩くと、すがすがしい気分になり癒される。
 だが、労役はいかばかりかと思われる。
 短日やや急ぎ足で歩き、厳かな気分に浸る。




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[34]
投稿者 杜正 

[冬至]

暁起乾坤積雪巖   暁起すれば 乾坤 積雪の巖

故人包届喜開緘   故人の包届き 喜びて緘を開く

欣欣取出迎春酒   欣欣として取り出す 迎春の酒

酔楽吟詩作不凡   酔楽して詩を吟ずれば 作 凡ならず



 朝 起きてみると辺り一面 積雪の巖
 友人の包が届き 喜んで 緘を開いた
 喜びながら取り出す 迎春の酒
 これを酔楽して 詩を吟ずれば なかなかいい詩ができたではないか



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[35]
投稿者 禿羊 

[冬至山行]

冬樹堅芽鳥啄銜   冬樹の堅芽 鳥は啄銜し

高枝雪落湿寒衫   高枝 雪落ちて 寒衫を湿ほす

凋残至日春還近   凋残の至日 春還た近し

一燦陽光照凍巉   一燦の陽光 凍巉を照す





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[36]
投稿者 桐山人 

[冬至]

蕭条寒雨洽嶄巌   蕭条たる寒雨 嶄巌を洽ほし

迷路帰鴉息老杉   路に迷ひし帰鴉 老杉に息む

朧月怱忙陰気閉   朧月 怱忙として 陰気閉ぢ

暮山濛曖雪雲緘   暮山 濛曖 雪雲緘す





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