第21回 世界漢詩同好会総会(二〇〇八年四月二〇日)

 『世界漢詩同好会』の第21回総会は、4月20日に開かれました。
 詩題(今回は『送春』)と押韻(今回は「下平声六麻」)として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。
 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



 日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。
 
    作品番号 作 者 題 名 詩 形
   [1]井古綆「送春 七律 其一」七言律詩
   [2]井古綆「送春 七絶 其一」七言絶句
   [3]井古綆「送春 七律 其二」七言律詩
   [4]井古綆「送春 七絶 其二」七言絶句
   [5]井古綆「送春 七絶 其三」七言絶句
   [6]井古綆「送春 七律 其三」七言律詩
   [7]鮟 鱇「送春 五絶」五言絶句
   [8]鮟 鱇「送春 五律」五言律詩
   [9]鮟 鱇「送春 七絶 其一」七言絶句
   [10]鮟 鱇「送春 七絶 其二」七言絶句
   [11]鮟 鱇「送春 七律 其一」七言律詩
   [12]鮟 鱇「送春 七律 其二」七言律詩
   [13]謝 斧「送春」七言律詩
   [14]謝 斧「送春 絶句五首 其一」七言絶句
   [15]謝 斧「送春 絶句五首 其二」七言絶句
   [16]謝 斧「送春 絶句五首 其三」七言絶句
   [17]謝 斧「送春 絶句五首 其四」七言絶句
   [18]謝 斧「送春 絶句五首 其五」七言絶句
   [19]仲 泉「送春偶成」七言絶句
   [20]Y.T「送春怨」七言絶句
   [21]登 龍「送春」七言絶句
   [22]宮前明鳳「送春偶成」七言絶句
   [23]宮前明鳳「雨中送春」五言律詩
   [24]宮前明鳳「人世送春賦」五言律詩
   [25]博 生「送春」七言絶句
   [26]杜 正「名古屋城送春」七言絶句
   [27]緑 風「春日散策」七言絶句
   [28]点 水「送春」七言絶句
   [29]禿 羊「暮春即事」七言絶句
   [30]金剛石「送春」七言絶句
   [31]観 水「送春」七言絶句
   [32]忍 夫「送春」七言絶句
   [33]常 春「送春」七言絶句
   [34]主 彩「想春」五言絶句
   [35]桐山人「送春」七言絶句


番号をクリックして下さい。















[1]
投稿者 井古綆 

[送春 七律 其一]

夜來雨霽出遊嘉   夜来の雨霽れて 出遊嘉し

心向嵐山轉愛車   心は嵐山に向かひて 愛車を転ず

暖日悠揚育垂柳   暖日悠揚 垂柳を育て

薫風駘蕩散櫻花   薫風駘蕩 桜花を散ず

緑肥紅痩春懷盡   緑肥紅痩 春懐尽き

鶯黙鵑啼夏氣加   鴬黙鵑啼 夏気加わる

人壽茫茫誰得計   人寿茫々 誰か計るを得ん

明年遇否此韶華   明年遇へるや否や 此の韶華



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[2]
投稿者 井古綆 

[送春 七絶 其一]

常將開落二嗟嗟   常に開落を将って 二たび嗟々

自古詩歌萬首嘉   古より詩歌 万首嘉なり

知否扶桑雪春暮   知るや否や扶桑は 春暮に雪ふるを

江山粧盡総斯花   江山粧ひ尽くすは 総て斯の花


「二嗟嗟」:一は(開花を)感嘆し、一は(落花を)嘆く

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[3]
投稿者 井古綆 

[送春 七律 其二]

兎走烏飛若夢過   兎走烏飛 夢の若く過ぎ

風光變轉亦誰遮   風光の変転 亦誰か遮らん

青皇大コ繁千草   青皇の大徳は 千草を繁らせ

赤帝嚴威謝萬花   赤帝の厳威は 万花を謝す

鶯語久歡梅里去   鴬語は久しく 梅里を歓ばせて去り

鵑聲新向竹村誇   鵑声は新たに 竹村に向かって誇る

三春勝事都遒盡   三春の勝事は 都て遒尽

酌酒吟詩忘嘆嗟   酒を酌み 詩を吟じて 嘆嗟を忘る

「遒尽」:(しゅうじん)尽きること

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[4]
投稿者 井古綆 

[送春 七絶 其二]

堤櫻寂寂雨斜斜   堤桜は寂々 雨は斜々

萬朶含愁惜別加   万朶愁ひを含み 惜別加わる

懶出芳時枉一傘   出るに懶(もの)うし芳時 枉げて一傘

徂春立盡望殘花   徂春立ち尽くして 残花を望む

「徂春」:ゆく春。
「望」:ここでは半ばはのぞむ、半ばはうらむ。

※ 転句仄三連、結句平三連。 



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[5]
投稿者 井古綆 

[送春 七絶 其三]

紅事闌珊緑事奢   紅事闌珊 緑事奢る

去鴻來燕轉年華   去鴻来燕 年華を転ず

春愁無限霏微雨   春愁無限 霏微の雨

悉了開花半落花   悉く開花を了へて 半ばは落花

「闌珊」:(ランサン)、おとろえるさま
「霏微」:(雨が)こまやかに降るさま

※ 作詩後「紅事」をネット上を検索したならば、梁川紅蘭の詩の起句に「紅事闌珊緑事新」とあり、
   以前に何処かで拝見し、それが脳裏に有ったのではないかと思います。


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[6]
投稿者 井古綆 

[送春 七律 其三]

徂春草卒別櫻花   徂春草卒 桜花に別れ

故使愚蒙感歳華   故らに愚蒙をして 歳華を感じせしむ

眺望衆山消白雪   衆山を眺望すれば 白雪を消し

瞻觀大氣恨黄沙   大気を瞻観しては 黄沙を恨む

紅飛紫散如奔馬   紅飛紫散は 奔馬の如く

緑沃青肥似走車   緑沃青肥は 走車に似たり

淑景韶光時到復   淑景韶光 時到りて復るも

頽齡只管鬢絲加   頽齢 只管(ひたすら) 鬢糸の加わるのみ

「瞻観」:仰ぎ見る
「緑沃青肥」:緑青と肥沃を互文にして五六年前に使用したが、造語かも知れない。前句の「紅飛紫散に対する」


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[7]
投稿者 鮟鱇 

[送春 五絶]

紅塵滿櫻徑,     紅塵 桜径に満ち,

碧落見歸鴉。     碧落に帰鴉見ゆ。

人散春將去,     人散じて春まさに去らんとし,

閑愁傷晩霞。     閑愁 晩霞にいたむ。



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[8]
投稿者 鮟鱇 

[送春 五律]

昨日櫻雲涌,     昨日 桜雲湧き,

今天野叟嗟。     今天 野叟なげく。

黄鶯聲已老,     黄鴬 声すでに老い,

白髪雪猶加。     白髪 雪なおも加う。

春興歸香夢,     春興 香夢に帰し,

愁人對彩霞。     愁人 彩霞に対す。

不期明歳事,     期せず 明歳の事,

目送夕陽斜。     目送す 夕陽の斜めなるを。



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[9]
投稿者 鮟鱇 

[送春 七絶 其一]

晩春韻事弄櫻花,   晩春の韻事 桜花を弄び,

野店堪傾酒與茶。   野店 傾けるに堪えるたり 酒と茶とを。

依舊題詩送春處,   旧に依り詩を題し春を送るところ,

東皇飛影伴歸鴉。   東皇の飛影 帰鴉を伴いおり。



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[10]
投稿者 鮟鱇 

[送春 七絶 其二]

仰看碧落送歸鴉,   碧落を仰ぎ看て歸鴉を送り,

傷目櫻雲散雪花。   目を傷む 櫻雲の雪花を散じるに。

求句惜春揮筆後,   句を求め春を惜しんで揮筆の後,

夕陽西下一長嗟。   夕陽西下に一長嗟。



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[11]
投稿者 鮟鱇 

[送春 七律 其一]

樗散閑居佯道家,   樗散 閑居して道家といつわり,

老耽韻事思無邪。   老いて耽る韻事 思いよこしまなし。

出門曳杖春林徑,   門を出て杖を曳く 春林の径,

遊目虚心野店茶。   目を遊ばせて心を虚しくす 野店の茶。

鶯語飛声領晴色,   鴬語 声を飛ばして晴色を領し,

櫻雲飄雪映紅霞。   桜雲 雪を飄して紅霞に映ず。

遊魂尽日求詩句,   遊魂 尽日 詩句を求め,

吟送東皇跨赤鴉。   吟じ送る 東皇の赤鴉に跨りおるを。



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[12]
投稿者 鮟鱇 

[送春 七律 其二]

山天快霽凱風加,   山天 快霽 凱風加わるも,

病骨三春未賞花。   病骨 三春 いまだ花を賞さず。

雨洗紅塵流院落,   雨は紅塵を洗って院落に流れ,

人増白髪憶生涯。   人は白髪を増して生涯を憶う。

宦遊窮北無榮譽,   宦遊 北に窮まりて栄誉なく,

鵬翼圖南入晩霞。   鵬翼 南へ図るも晩霞に入る。

遊目依窗送飛影,   目を遊ばせ窗に依りて飛影を送れば,

東皇振羽化歸鴉。   東皇 羽を振って帰鴉と化す。



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[13]
投稿者 謝斧 

[送春]

艶陽時節疾如梭   艶陽の時節 疾きこと梭の似く

漫約佳遊期易差   漫りに佳遊を約すも 期差ひ易し

心愛林泉携濁酒   心に林泉を愛して 濁酒を携さへ

身随杖履蹈残花   身は杖履に随って 残花を蹈む

老鶯渋舌黄梅熟   老鶯舌を渋らせて 黄梅は熟し

新筍脱苞蒼竹斜   新筍苞を脱して 蒼竹は斜なり

今日送春留不得   今日春を送るも 留め得ず

又憐遅暮仰天嗟   又遅暮を憐んで 天を仰いで嗟す

以送春詞詠吾遅暮之情
首聯出句用通韻



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[14]
投稿者 謝斧 

[送春 絶句五首 其一]

遅暮値春春易差   遅暮春に値ふも 春差ひ易し

閑中忙事是鶯花   閑中の忙事 是れ鶯花

倩将青帝難牽復   青帝を倩ひ将っても牽復難く

少把杯盞領物華   少く杯盞を把って物華を領せん



「遅暮値春」: 年を加えて 春に逢う
「閑中忙事」: 閑かな中の忙しい事
「倩将青帝」: 春の神様を傭うて
「牽復」: 春をひきよせて春を回さん



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[15]
投稿者 謝斧 

[送春 絶句五首 其二]

病客送春慵出家   病客春を送って家を出るに慵し

且然未必負鶯花   且然 未だ必ずしも鶯花に負かず

東風無力韶光老   東風力無く 韶光老い

枝杪已抽青葉加   枝杪已に抽んで 青葉を加ふ




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[16]
投稿者 謝斧 

[送春 絶句五首 其三]

四月送春寒意斜   四月春を送りて 寒意斜に

雨餘含涙落残花   雨餘涙を含んで 残花落つ

白頭未老時遊目   白頭未だ老いず 時に遊目すれば

夏木枝頭添緑加   夏木枝頭 緑を添へて加ふ


「寒意斜」: 四月は気候は暖ですが、雨のため寒く、そのため寒意は斜



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[17]
投稿者 謝斧 

[送春 絶句五首 其四]

浴沂弄水歩晴沙   沂に浴し 水を弄して 晴沙を歩せば

空惜韶光情可嘉   空しく韶光を惜むも 情嘉とす可し

青帝留春已無力   青帝春を留むも 已に力無く

汀洲換景夏容加   汀洲 景換りて 夏容加ふ



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[18]
投稿者 謝斧 

[送春 絶句五首 其五]

閑却残春改物華   残春を閑却すれば物華改まり

無聊白屋出無車   無聊たりし白屋 出に車無し

一聲何処新鵑急   一聲何処にか 新鵑急に

空引郷愁情思斜   空しく郷愁を引けば 情思斜なり



韻と題が与えられて作ると、推敲して使わなかった詩句が余まってしまいました。
少し鷄肋の感がありますので、それらを集めて詩を作ってみたら、止めどもなくできました。
古人もこんなことで連作の詩を作ったのではないでしょうか。
五作目は新鵑から望郷の念になるのは、安直で面白くないでしょうか、すこし反省してます。



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[19]
投稿者 仲泉 

[送春偶成]

暮鐘忽已乱金葩   暮鐘忽ち己に金葩を乱す

一陣狂風舞柳花   一陣の狂風柳花舞ふ

多恨傾城春色去   多恨傾城春色去る

想君半夜惜年華   君を想ふ半夜年華を惜しむ




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[20]
投稿者 Y.T 

[送春怨]

桃李凋零柳色斜   桃李 凋零して 柳色 斜めなり

芳郊緑徧惜残花   芳郊 緑 徧ねくして 残花を惜しむ

杜宇不知春去恨   杜宇は知らず 春の去く恨みを

叫聲日暮入吾家   叫聲 日暮 吾家に入る




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[21]
投稿者 登龍 

[送春]

不言不語一歎嗟   言わず語らず一に歎嗟す

幾賦三春我那誇   幾たびか三春を賦し我那ぞ誇らん

已識人生都似夢   已に識る人生都て夢のごとし

老懷難耐問生涯   老懷耐え難く生涯を問わん





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[22]
投稿者 宮前明鳳 

[送春偶成]

花散爛春君莫嗟   花散る爛春 君嗟(なげ)く莫れ

感今致想叡知加   今に感じ想いを致せば叡知加わり

題詩拈筆娯常在   詩を題し筆を拈(ひね)れば娯(たのしみ)は常に在り

覓句胸中若麗華   句を覓(もと)むる胸中は麗華の若(ごと)し


 待ち遠しかった「開花宣言」も、早花散る頃ともなれば、忽ち爛漫の花びらも「地に敷く絨毯」となる。
只、春を送るこの晩春こそ、爛春とも言うべき風情の見出せる「詩題に格好の時期」でもあろう。



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[23]
投稿者 宮前明鳳 

[雨中送春]

送春花爛漫   春を送るに花爛漫

惜散復何嗟   散るを惜しんで復(また)何ぞ嗟(なげ)かん

好是濛濛雨   好(よ)し是れ 濛々の雨

新泥發嫩芽   新泥は嫩芽(どんが)を発(ひら)く



「春に三日の晴れ無し」と言う通り、爛漫の花見も「三日見ぬ間の桜かな」の風情である。
そして、濛々の雨中に、地へ目を遣ると「男爵(馬鈴薯)」の新芽は土を持上げ出した。亦、地物の「竹の子」も店頭に見え始め、「独活(うど)」の初芽は「粕汁」に美味を添え、食通には嬉しい「旬の時期」でもある。



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[24]
投稿者 宮前明鳳 

[人世送春賦]

重齡君莫嘆   齢(よわい)を 重ねるも 君 嘆く 莫(なか)れ

養氣叡知加   気を 養へば 叡知 加わる

閲古湧詩興   古(いにしえ)を 閲(けみ)すれば 詩興を 湧かし

彌今齎麗華   今に 弥(わた)れば 麗華を 齎(もた)す

失望人則老   失望すれば 人は 則(すなわ)ち 老ゆるも

感動悦能嘉   感動すれば 悦(よろこび)は 能(よ)く 嘉(よみ)す

鏡裏増皮皺   鏡裏には 皮皺(ひしゅう)を 増すも

胸中若玉葩   胸中は 玉葩(ぎょくは)の 若(ごと)し



 サムエル・ウルマン(1840〜1924)の詩に曰く「青春とは、人生の或る期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ」と。今の世の中「後期高齢者医療の問題」で議論百出の有様なるも、「人世の送春」に思いを馳せると「如何に老病を避けるか」の根本問題に「心の様相」が有ることを、老若を問わず今一度思いを照らしてみるべきであろう。



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[25]
投稿者 博生 

[送春]

梅桜桃李擅韶華   梅桜桃李 韶華を擅にし

今旦愁懐踏落花   今旦 愁懐 落花を踏む

芳事匆匆春已去   芳事匆匆 春已に去り

軟風麦雨長藤芽   軟風 麦雨 藤芽を長ぜしむ


春爛漫を演出した春花も終り、一抹の淋しさを感じさせる晩春
しかし、そこには、又次の季節を迎える萌芽が見える。




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[26]
投稿者 杜正 

[名古屋城送春]

金城満地雨絲斜   金城 満地 雨絲 斜なり

散策公園水一涯   公園を散策し 水 一涯

天守遙望偲往時   天守より遙望し 往時を偲ぶ

栄枯如夢惜残花   栄枯 夢の如し 残花を惜しむ


 雨が降る春の日、名古屋城を訪れた。
 公園を散策して堀を巡ってから天守閣に登って外を眺めた。
 昔、何代もの武将達も同じような景色を眺めたことだろう。
 春の花が散りがたくわずか残っているが、栄枯盛衰は夢のように過ぎていくものだ。

「金城」:名古屋城
「満地」:あたりいったい



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[27]
投稿者 緑風 

[春日散策]

鳥語喈喈爛漫花   鳥語喈喈 爛漫の花

詩心浮上野辺涯   詩心浮上し野辺の涯(ほとり)

遊人喧噪徘徊久   遊人喧噪に徘徊すること久し

物我相亡日既斜   物我相亡(わす)れ日既に斜め




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[28]
投稿者 点水 

[送春]

薫風習習散煙霞   薫風習習 煙霞を散ず

麦隴青青一望遐   麦隴 青青一望遐か

新燕喧騒老鶯静   新燕 喧騒 老鶯静か

庭前酌酒餞韶華   庭前 酌酒 韶華を餞る




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[29]
投稿者 禿羊 

[暮春即事]

離郷三歳遂帰家   郷を離れて三歳 遂に家に帰る

春尽荒園新緑芽   春尽の荒園 緑芽新たなり

終日蹲踞芟乱草   終日 蹲踞して 乱草を芟(くさぎ)り

暮陰北際見苔花   暮陰 北際に 苔花を見る




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[30]
投稿者 金剛石 

[送春]

風雨一過在天涯   風雨 一過 天涯にあり

枝枝新緑山減霞   枝枝の新緑 山は霞を減じ

殘鶯不語春空老   殘鶯 語らず 春空は老いて

愁聽啼鵑哭落花   愁ひ聴く啼鵑 落花を哭す

<解説>

  移り変わる春を送る詩
旅人の身で、またまた春が過ぎていってしまった・・・
風雨も過ぎ去り、漂流の境遇
木々の枝枝は緑濃くなり、山山の春霞はいつの間にか消えてしまった。
もう鶯の声を聴くことも無く、春の空はどんどん季節が移り
愁いの中で聴くホトトギスはあたかも落花を惜しむかのように啼いている。


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[31]
投稿者 観水 

[送春]

朦朧煙雨掩人家   朦朧たる煙雨 人家を掩ひ

恨殺庭前似掛紗   恨殺す 庭前 紗を掛くるに似たるを

借問天公是何意   借問す 天公 是れ何の意ぞ

不教騷客惜殘花   騒客をして 残花を惜しませざるは





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[32]
投稿者 忍夫 

[送春]

青春欲去思無涯   青春去らんと欲して思い涯無し

朧夜看桜惜落花   朧夜 桜を看て落花を惜しむ

今日不堪孤飲酒   今日孤り酒を飲むに堪へず

唯行向月故人家   唯だ月に向かって行けば故人の家


 桜花がだいぶ散ってしまっうのをみると、春はもうじき終わりだと切なさを感じるのが、日本人の情と思います。
 そのような晩は一人酒を飲むのも空しく、友と語らいたくなるという気持ちを詠みました。




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[33]
投稿者 常春 

[送春]

巷間庭苑巷塵遮   巷間の庭苑巷塵遮り

魚躍鳥窺蜂蝶加   魚跳び鳥窺い蜂蝶加わる

柳暗郎娘歎折柳   柳暗の郎娘折柳を歎き

花明叟嫂愛飛花   花明の叟嫂飛花を愛む





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[34]
投稿者 主彩 

[想春]

再迎春旅立   再び迎える春の旅立ち

壇上涙光華   壇上光華に涙し

顧楽持襟呷   楽しさを顧みて襟を持ち呷る

送徒共我誇   徒を送る我が誇りと共に

<解説>

先日,本校でも卒業式がありました。
そのときの思いを詩にしてみたものです。
毎年訪れるこの行事ですが,そのときそのときによって,思いが違います。


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[35]
投稿者 桐山人 

[送春]

老鶯處處近閭家   老鴬 処処 閭家に近く

垂柳新陰拷e斜   垂柳 新陰 緑影斜めなり

一片春愁三月雨   一片の春愁 三月の雨

不如醉詠對殘花   如かず 酔詠して残花に対するに





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