[1] 鮟鱇 「冬至」 七言律詩
[2] 井古綆 「歳末有感」 七言律詩
[3] 人正 「思冬至」 七言絶句
[4] 謝斧 「冬至偶成」 七言律詩
[5] Y.T 「當冬至、患伊拉克」 七言絶句
[6] 謝斧 「冬至」 七言絶句
[7] 登龍 「冬至」 七言絶句
[8] 深溪 「冬至天行」 七言絶句
[9] 嗣朗 「冬至」 七言絶句
[10] 長岡瀬風 「冬至」 七言律詩
[11] 常春 「冬至」 七言絶句
[12] 常春 「冬至」 七言絶句
[13] 西克 「冬至訪湖畔古祠」 七言絶句
[14] 真瑞庵 「冬至」 七言絶句
[15] 点水 「冬至」 七言絶句
[16] 菊太郎 「冬至」 七言絶句
[17] 禿羊 「過年與朋友宿月瀬山荘、偶冬至」 七言絶句
[18] 諦道 「冬景色」 七言絶句
[19] 庵仙 「冬至降雪夢」 七言絶句
[20] 庵仙 「冬至日向老撾」 七言絶句
[21] 岡田嘉崇 「冬至」 七言律詩
[22] 藤原崎陽 「冬至」 七言絶句
[23] 海山人 「乙酉至日」 五言絶句
[24] 桐山人 「冬至」 七言絶句
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[冬至]
日短夜長年未新, 日は短くして夜長く 年 いまだ新ならず,
星明雲散雪爲銀。 星明るく雲散じて 雪 銀と
吟翁傾酒轉乘興,
禿筆求詩不待春。 禿筆 詩を求めて春を待たず。
夢蝶飄飄舞空想, 夢蝶 飄飄 空想に舞ひ,
芳梅楚楚映清淪。 芳梅 楚楚として清淪に映ず。
老懷最愛天温暖, 老懐 最も愛す 天の温暖,
覓句又佯花下賓。 句を覓めて また佯る 花下の賓。
[語釈]
禿筆:使い古した筆。
清淪:清らかなさざ波。
佯る:振りをする。
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[2]
投稿者 井古綆
[歳末有感]
守拙多年慣赤貧 守拙多年赤貧に慣れ、
妻嘆桂玉順風塵 妻は桂玉を嘆き風塵に順ふ
病床長臥苦盛夏 病床長く臥して盛夏を苦しみ、
骨疾纔癒待麗春 骨疾纔かに癒えて麗春を待つ
轉眼他郷悲惨禍 眼を他郷に轉じて惨禍を悲しみ、
馳心異国憫流民 心を異国に馳せて流民を憫れむ
人間至福無優健 人間の至福は健に優る無し、
託喜青錢致寸眞 喜びを青錢に託して寸眞を致さん。
[語釈]
桂玉:物価高。
青銭に託す:歳末助け合い。
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[3]
投稿者 人正
[思冬至]
買暦縫衣只待春 暦を買ひ衣を縫ひ只春を待つ
光陰如矢總爲塵 光陰矢の如く總て塵となる
昔時学舎思交誼 昔時の学舎の交誼を思う
君逝前年涕涙新 君逝くは前年か涕涙新たなり
<解説>
来年の暦も買ったし、衣服も準備したし、後は正月を待つばかりだ。
この1年を思い出すとあっという間に過ぎていってしまったな。
昔の学生時代の友達との交流を思い出す。
そう言えば、君が亡くなったのは去年の今頃だったと思うとまた涙が出てくる。
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[4]
投稿者 謝斧
[冬至偶成]
納慶履長何必眞 履長を慶び納む 何んぞ必ずしも眞ならんや
從今寒沍苦酸辛 今從り寒沍 苦だ酸辛す
山茶花發紅粧艷 山茶花發きて 紅粧艶やかに
盧橘子低黄熟新 盧橘子低れて 黄熟新らし
自信生涯能守分 自ら信ず生涯 能く分を守り
仍懷世事早抽身 仍は懷ふ世事 早く身を抽かん
蝸蘆無事披袍坐 蝸蘆事無く 袍を披て坐し
酌酒圍爐別有春 酒を酌み炉を囲んでは 別に春有り
<解説>
「山茶」: 和名稱椿 非山茶花(茶梅)
「盧橘」: 金柑 非枇杷
此詩破格 非詠物之體 為題冬至偶成
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[5]
投稿者 Y.T
[當冬至、患伊拉克]
伊國被侵流血頻 伊國 侵を被むり 流血 頻り
邦都是處漲兵塵 邦都 是(あらゆ)る處 兵塵 漲る
一陽来復當佳節 一陽来復 佳節に當り
待望和平念日新 和平 待ち望んで 念ひ 日に新たなり
<解説>
[語釈]
是處:あらゆる處、到る處
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[6]
投稿者 謝斧
[冬至]
南瓜味美酌芳醇 南瓜味美く 芳醇を酌み
柚子浴湯医病身 柚子浴湯 病身を医す
宮線初長和気動 宮線初めて長く 和気動き
一陽来復又逢春 一陽来復 又春に逢ふ
<解説>
至日茹南瓜而浴柚子湯 則無病息災 是日本之風習也
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[7]
投稿者 登龍
[冬至]
一陽來復暗傳春 一陽來復暗に春を傳ふ
籬角臘梅天下珍 籬角の臘梅天下の珍
浴柚村翁順閑課 柚に浴す村翁閑課に順ひ
鞭駑延壽勵斯身 駑に鞭ち延壽斯の身を勵ます
<解説>
起句 陰気が極まり陽気が生じ始め何となく春がち近づいて来るようで
承句 籬の黄梅は優れた宝のように感じる
轉句 柚子の湯に浴する慣わしに従い英気を養い
結句 のろ馬に鞭打ち長生きして斯身を勵ます。
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[8]
投稿者 深溪
[冬至天行]
柚入浴槽茅屋人 柚を浴槽に入れし 茅屋の人
坐湯晏起不辭貧 坐湯 晏起して 貧を辭せず
天行老拙如流水 天行 老拙 流水の如き
未作祭詩迎早春 未だ祭詩を作さじして 早春を迎へん
<解説>
坐湯晏起=湯に入り朝寝坊する。
天行=天体の運行・春夏秋冬正しくすすみこと。
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[9]
投稿者 嗣朗
[冬至]
今迎節気我家因 今は節気を迎へ 我が家の因
芋粥南瓜飧待春 芋粥南瓜の飧げ 春を待つ
風雲荒天只辛苦 風雪荒天 只辛苦のみ
一陽来復夢中身 一陽来復 夢中の身
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[10]
投稿者 長岡瀬風
[冬至]
老逢冬至暗傷神 老いて冬至逢ひ 暗に傷神し
晝短夜長多苦辛 晝短夜長 苦辛多し
欲笑水仙伸緑袖 笑はんとす水仙 緑袖を伸し
漸抽二麥藉青茵 漸く抽んず二麥 青茵を藉く
朝嘗薄粥思佳味 朝に薄粥を嘗めて 佳味を思ひ
夕食南京感令辰 夕に南京を食して 令辰を感ず
寒暖未違千古事 寒暖未だ違はず 千古の事
一陽来復待春人 一陽来復 春を待つ人
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[11]
投稿者 常春
[冬至]
蝋梅欲発蕾黄伸 蝋梅 発かんとし 蕾の黄 伸ぶ
橘柚芳香包老身 橘柚の芳香 老身を包む
此夜南瓜旨於酒 此の夜 南瓜 酒より旨し
一陽来復眼前春 一陽来復 眼前の春
<解説>
我が庭には今柚子、夏みかんが黄ばんでいます。花と違って芳香を放つとはいえませんが、承句はきわめて和風に風呂に浮かべた柚子の香です。
老齢晩酌は欠かせませんが、何かにつけ酒量を減らしたい。酒の肴に向かない冬至の南瓜も年に一度の行事、酒を控え目にしたいなー。
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[12]
投稿者 常春
[冬至]
寒水微陽鴻雁馴 寒水 微陽 鴻雁馴れ
珠黄橘柚動枝頻 珠黄の橘柚 強風 頻り
分冬此日進羞粥 分冬の此の日 進羞の粥
長夜団欒薄酒親 長夜の団欒 酒を薄うして親しむ
<解説>
近くの川には、今留鳥、冬鳥 5〜6種類 と賑やかです。
よい散歩道となっています。
名物は遠州の空っ風、枝もたわわな柚子、よく実が落ちないものよ。
結句薄酒は節酒のつもり、断酒とまではいきません。
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[13]
投稿者 西克
[冬至訪湖畔古祠]
芙岳千峰白扇新 芙岳千峰白扇新たに
古祠參道隔後塵 古祠の參道後塵を隔つ
初冬訪間瑚辺暮 初冬間に訪ふ瑚辺の暮れ
林径看時鳥俔人 林径時に看る鳥の人を俔ふを
<解説>
近くの山に登り山麓湖畔の古祠を過ぎた時の印象です
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[14]
投稿者 真瑞庵
[冬至]
至日影長村社樹 至日 影は長し 村社の樹
書房背暖午眠人 書房 背は暖かし 午眠の人
今夕沐槽浮柚子 今夕 沐槽 ゆずを浮かべ
以慈霜髪老生身 以って慈しまん 霜髪老生の身
<解説>
破瓜の歳を迎えようとする身は、年の瀬の忙しさなどどこ吹く風、日長書斎で居眠り。
そんな役立たずの身で居ながらやっぱり長生きはしたいもの。
今夜は柚子湯にでも浸って年老いた体をいたわってやろう
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[15]
投稿者 点水
[冬至]
枯木蕭然立水濱 枯木は蕭然と水濱に立ち
北風池面鴨鳧巡 北風の池面 鴨鳧は巡る
自今屡次寒波襲 自今屡次 寒波襲ふも
白日変長情緒新 白日長さを変へ 情緒新し
<解説>
冬至の後からも寒波がやってきますが、しかし、日脚は伸び、日照も強くなります。自然と気分も変わってきます。
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[16]
投稿者 菊太郎
[冬至]
籬垣菊老立霜晨 籬垣の菊老いて 霜晨に立つ
剪剪風刀落葉頻 剪剪たる風刀 落葉頻りなり
曝背南軒茅屋裏 南軒に背を曝す 茅屋の裏
陽回明旦一天新 陽は回り 明旦 一天新たなり
<解説>
神奈川県地方、雪こそ降りませんが、例年になく寒い冬至を迎えそうです。
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[17]
投稿者 禿羊
[過年與朋友宿月瀬山荘、偶冬至。]
厳霜半夜満澄旻 厳霜 半夜 澄旻に満ち
囲火林間酌醴醇 火を囲んで 林間 醴醇を酌む
時彼無言儂亦黙 時に 彼 言無く 儂も亦黙せり
柴燎訥訥独話頻 柴燎 訥訥 独話頻なり
<解説>
過年朋友と月ヶ瀬山荘に宿す、偶々冬至なり。
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[18]
投稿者 諦道
[冬景色]
寒柯雪裏浄無塵 寒柯の雪裏浄して塵なし
朶朶庭梅香馥親 庭の梅の香りが馥郁とているとしている
安坐僧房聴鶯語 静かなお寺で一人座っていると鶯の鳴き声が聞こえてくる
幽清之処又逢春 そういうところにも春は巡ってくる
<解説>
北陸の冬景色を詠みました
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[19]
投稿者 庵仙
[冬至降雪夢]
皚皚尺雪迎冬至 皚皚たる尺雪 冬至を迎う
柔浴微陽山嶺新 柔かに微陽を浴し 山嶺新たなり
忘却老躯忘躰力 老躯を忘却し 躰力を忘れ
夢奔斜面樹氷巡 夢む 斜面を奔り 樹氷を巡ぐるを
<解説>
冬至の日に降雪があり夢を抱いた
真っ白な雪が冬至の朝、30cmも積もった。
柔らかな冬に日差しに山脈(山なみ)は見る目に眩しい。
老いた身体や体力を忘れて、
夢を見た。雪の斜面を滑り、樹氷を巡っている自分の姿を。
若いときは雪が降ればすぐスキーに出かけたものだ。私の近くの山はどの山もスキー場がある。つい最近まで行っていた。
この冬至も雪が一杯降ったので、出かけようと気持の上では準備完了。しかしもう、身体も体力も付いていけない。頭の中で樹間を滑っている今日この頃である。
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[20]
投稿者 庵仙
[冬至日向老撾]
心緒多忙冬至晨 心緒 多忙 冬至の晨
侵寒超海遠行身 寒を侵し 海を超ゆ 遠行の身
老撾大師承招待 老撾 大師の 招待を承(う)け
如夢交歓異国賓 夢の如き交歓 異国の賓
<解説>
冬至の日にラオスに向かう
身も心も多忙な冬至の朝早く、
寒さに逆らって、海を超えて海外旅行である。
ラオス大使の招待を受けた。
この旅行は夢のような交歓で、異国のお客さんとなる。
ラオスから来ている駐在日大使とお友達です。この度の招待は、ラオス大使の息子さんが結婚するというものです。ラオスで式を挙げるというので夫婦で招待を受けました。こんなことが滅多にないので、是非と言うことで話がまとまり、冬至の日(実際はその数日後)出発します。この旅行を楽しみにしています。
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[21]
投稿者 岡田嘉崇
[冬至]
水凍同雲入令辰 水凍り同雲 令辰に入り
朔風伴雹自無塵 朔風雹を伴って自ぞから塵無し
寒嚴餞歳世間臘 寒嚴しく 餞歳 世間の臘
日短窮陰雪裏春 日短く窮陰 雪裏の春
柚果涵湯千古習 柚果湯に涵す 千古の習
南瓜餔食百年身 南瓜食を餔う 百年の身
一陽来復微陽動 一陽来復 微陽動き
晩節平安撃壤人 晩節平安たり 撃壤の人
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[22]
投稿者 藤原崎陽
[冬至]
蓬頭霜髪老衰身 蓬頭霜髪 老衰の身
弱線添長物候新 弱線長きを添えて 物候新し
憐恕病妻難結夢 病妻を憐恕して 夢結び難く
凍雲不動切焦春 凍雲動かず 春を焦がれること切なり
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[23]
投稿者 海山人
[乙酉至日]
極陽初入奥 極陽 初(ようや)く奥に入るも
寒気即侵人 寒気 即(すなわ)ちく人を侵す
露木梅芽出 露木に梅芽出で
乾坤一待春 乾坤 一に春を待つ
[語釈]
「乙酉至日」:2005年の冬至。12月22日。
「極陽」:"陰"極まった低い太陽。
「乾坤」:陰陽。天地。さらには万物。
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[24]
投稿者 桐山人
[冬至]
江上散行霜雪晨 江上 散行 霜雪の晨
西空殘月影猶輪 西空の殘月 影猶ほ輪たり
窮陰更宿酷寒気 陰を窮むれども更に宿す 酷寒の気
堰草焼痕纔一春 堰草の焼痕 纔かに一春