静岡大学附属中学漢詩作品集
  子どもたちと共に考えたもとになる漢詩

 

 附中体育祭  主彩

闘士歓声附中空   闘士の歓声附中の空に

同旗級友熱情紅   旗を同じする級友熱情紅し

望真一思深朋絆   真なること望み思い一つに朋との絆を深め

勝利栄光永遠崇   勝利の栄光は永遠に崇し

               (上平声一東)

 

 

 これをもとに子どもたちがつくった漢詩

 

赤組体育祭  S.S

徒抱個思立舎丘   徒(ともがら)抱き個の思い、舎の丘に立ち

導光向勝掲紅矛   導きし光、勝ちへと向かい紅の矛を掲げ

混朱響叫成親赤   朱に混ざり叫びを響かせ親ら(みずから)も赤となる

仲貴一期共喜憂   仲は貴し、一期の喜憂を共に

               (下平声十一尤)

 

 顕題     S.SH

歓声満溢炎焼朱   歓声満溢し炎焼する朱

重想疾行求捷倶   想い重ね疾行す倶に捷するを求め

同意要労難結一   意を同するには労を要す、一に結するは難し

人心水火束廻迂   人心は水火、束ねるは廻迂なり

               (上平声七虞)

 

 

 道      K.T

炎為委員尽力姿   炎の為委員尽力する姿

踊歌創作感難儀   踊りや歌の創作難儀を感じ

笑顔跳舞歓喜極   笑顔跳舞歓喜極まる

優勝不成皆想離   優勝成らず皆の想い離れる

               (上平声四支)

 

 集団愛    M.Y

校燃四色附中光   校燃える四色附中光る

仲間持誇求最強   仲間誇りを持ち最強を求める

皆踊笑顔臨企画   皆踊る笑顔企画に臨む

如炎深絆純風望   炎の如く絆を深める純風たる望み

               (下平声七陽)

 

 紅軍繋走   O.K

声援響宙立談場   声援宙に響く立談の場

皆考不交如月陽   皆の考え交わらず月と陽の如し

繋志汗時誇示道   志を繋いだ汗と時は誇り示す道

神風互信赤思翔   神風互いに信じ赤の思い翔る

               (下平声七陽)

 

 吹風     A.K

踊思強弱風不期   踊りへの思い強弱なり風期せず

企員悲痛熱心姿   企員悲痛熱心な姿

志燃胸奥生天狗   志燃え胸奥に生まれし天狗

全力楽騒満愛嬉   全力で楽騒し愛嬉満ちる

               (上平声四支)

 

 真      SA.S

仲間炎水不同心   仲間炎水心を同じうせず

天狗躍如猛獣臨   天狗躍如猛獣臨む

装飾闘燃違表裏   装飾闘燃表裏を違える

銘肌砕壁縁由深   銘肌砕壁縁由深まる

               (下平声十二侵)

 

 

 

 

 桜      N.W

尽常厚地吹儚芽   尽常(じんじょう)厚地(こうち)から儚き芽を吹き

越難張根極栄華   難越え根張り栄華を極める

世過未成鮮弁散   世過は未だ成らずとも鮮弁(せんべん)散る

誠生来刻夢開花   誠生(せいせい)来刻(らいこく)開花を夢みる

               (下平声六麻)

 

 隣      T.S

手鈍纏衣枯葉翔   手鈍衣纏い枯葉翔る

灰空隠耀感秋行   灰の空耀きを隠し秋行く感ず

寒中如蟻知人温   寒中蟻の如く人温(ぬく)い知る

僅閃埋多確在傍   僅閃(きんせん)多きに埋もれ確かに傍らに在る

               (下平声七陽)

 

 新大国    M.K

混血英暖地来   混血の英(えいがい)暖地より来し

法下弁振統力培   法の下に弁を振るい統する力を培う

語想熱崇掴衆心   語る想いは熱く崇(たか)衆の心を掴む

争無皆等新道魁   争いが無く、皆等しい新しき道の魁となれ

               (上平声十灰)

 冬校     Y.A

冬覚極寒窓日東   冬の覚め極寒窓の日は東に

過時驚早未帰夢   過ぎる時は驚くほど早く未だ夢から帰らず

校中友話暖填充   校の中で友と話せば暖かさは填充す

震手冷風通附中   震える手冷風でも附中に通う

               (上平声一東)

 

 妖女岩    K.Y

深霧響哀魔女声   深い霧哀しく響く魔女の声

舟人聴唱失心衡   舟人唱を聴き、心の衡を失う

憧歌漕行不知壁   歌に憧れ漕ぎ行く、壁も知らず

岩迫既遅艇成牲   岩が迫れば既に遅く、艇は牲と成る

               (下平声八庚)

 

 闘志     S.SY

選手蹴球賭一杯   選手蹴球す一つの杯を賭け

両雄力闘湧歓哀   両雄力闘湧く歓びと哀しみ

荒声入魂師姿頼   声を荒げ入魂する師の姿頼もしき

我鍛望夢必機来   我鍛え夢を望めば必ず機来る

               (上平声十灰)

 

 蹴球魂    S.Y

我愛蹴時心最輝   我愛し、時を蹴り、心最も輝く

苦懐戦己見微希   苦懐(くかい)でも己と戦い微かな希みを見る

共魂球進吾常勝   魂と共に球は進み吾常勝す

願固志杯向匠扉   願い固まる、杯を志し匠扉(しょうび)へ向かう

               (上平声五微)

 

 蒼日々    T.A

催終治興奮     催し終わり興奮を治め

残一感寥乎     一つを残し寥乎を感じる

顧自創良級     自を顧みると良い級を創る

後日望和愉     後日和やかな愉しさを望む

               (上平声七虞)

 

 漫才王決定戦 N.S

刻史削凌笑舞台   史に刻み凌ぎを削る笑いの舞台

嗤詆追夢芸夭才   嗤詆(してい)夢を追う芸の夭才

師裁誘言投返   師裁き(きゃく)を誘う言(ことば)の投返

歎決王新道開   歎(しんたん)王決し新しき道開かれる

               (上平声十灰)

 

 

 子どもたちと共にもう一つつくってみた漢詩

 

  体育祭   主彩

 輝映明光秋爽空  輝映明光秋爽の空

 笑声汗涙土埃中  笑声汗涙土埃の中

 鷹揚如鬼奔跳踊  鷹揚(おうよう)鬼の如く奔り(はしり)跳び踊る

 胸底感心深絆充  胸底感心し深い絆充つ

               (上平声一東)

 

 

平仄までは合わせられなかった子どもたちの漢詩

 

 想      W.Y

有想求愛道倍輝   想ひ有り求愛道輝きを倍す

流水思冷溢笑帰   流水思ひ冷やされ溢れる笑み帰る

朱炎心涛表企画   朱炎心の涛企画に表れ

志離合難不成希   志離れ合わせること難しく希成らず

               (上平声五微)

 

 天狗体育祭  S.A

必死悟空取誇成   必死さに悟空し誇りを取って成し

慨然喜楽感頭難   慨然喜楽し頭の難を感じ

天狗団結真不栄   天狗は団結し真栄えず

一瞬価値誠時晶   一瞬価値、誠時は晶なり

               (下平声八庚)

 

 留心     K.T

遥碧栄光赫炎揺   遥碧の栄光赫炎(かくえん)揺れ

企画感熱一意跳   企画熱き感じ意を一つに跳(おど)

火子昂揚成天狗   火の子昂揚し天狗と成る

憶想留心熒不消   憶想留心し(ともしび)消さず

               (下平声二簫)

 

 晴天     M.H

不混周熱冷心泉   周りの熱と混ざらず冷えた心の泉は

攫取勝輪本番伝   勝ちと輪を攫取し本番伝わる

包赤懸走果頂点   赤に包まれ懸走し果は頂点となる

繋魂成愛晴我煙   魂繋ぎ愛成し我が煙を晴らす

               (下平声一先)

 

 幻影     Y.T

赤将負圧放合図   赤の将圧を負い合図を放つ

魂走継想周染朱   魂の走り想いを継ぎ周り朱に染まる

天狗汗涙不拭一   天狗汗と涙一つも拭わず

仲間墜闇同光無   仲間闇に墜ちる同じ光無し

               (上平声七虞)

 

 

 紅車     K.N

車音清響富士山   車音清響(せいきょう)富士の山

戦士満溢闘志顔   戦士満溢闘志の顔

真紅託寄最高峰   真紅に託寄、最高峰

始動最終頂時間   始動最終、頂への時間

               (上平声 十五N)