作品番号 2026-181
梅雨偶晴
積雨聊晴出舊扉 積雨聊(いささ)か晴れて 旧扉を出(い)づれば
翠梢克映生衣 翠梢 緑樹 生衣に映ず
頡頏輕燕掠頭去 頡頏(きっこう)せる軽燕 頭を掠(かす)めて去り
顧眄榴花如焔緋 顧眄(こべん)すれば 榴花 焔(ほのお)の如く緋なり
「積雨」: ながあめ
「生衣」: 夏に切る衣服、ひとえもの
「頡頏」: 鳥が上へ飛んだり下へ飛んだりする
「顧眄」: 振り返って見ること
作品番号 2026-182
觀音名湯
觀音藥水下田晨 観音の薬水 下田の晨(あした)
六百標高不看人 六百の標高 人を看ず
滾滾明泉涵皺手 滾滾たる明泉 皺手(しゅうしゅ)を涵(ひた)せば
梅花耐雪待遲春 梅花雪に耐へ 遅春を待つ
作品番号 2026-183
元旦
孫臨考試日專書 孫は考試に臨み 日に書を専らにす
我洗身邊欲算余 我は身辺を洗ひ 余を算へんと欲す
整整輪廻無順逆 整整たる輪廻 順逆無ければ
屠蘇馥郁一年初 屠蘇馥郁たり 一年の初め
<解説>
孫は入試の正念場で専ら勉強。我は身辺を整理して残りの時間を考え遺言状を準備する。
整整たる輪廻 順逆無ければ、天に感謝あるのみ。
お屠蘇の芳香に酔う元旦。
作品番号 2026-184
想司馬溫公
積財以欲到兒孫 財を積み以て児孫に到さんと欲すれど
コ薄猶慮反目煩 徳薄ければ猶慮(おそ)る反目の煩ひを
難測天機人太小 測り難き天機 人は太(あまり)に小さし
架書萬巻果誰繙 架書 万巻 果たして誰か繙(ひもと)かん
<解説>
これは、「司馬温公家訓」に感銘を受けて、一部を真似して作ったものです。
結句はご存じの鎌倉文庫の蔵書ですが、どのみち猫に小判ですし、一切を捨てるように妻には言ってあります。
知徳ふたつながら備えた者が、代々続くのは希で、必ず不肖の子孫が出て全てを台無しにしてしまうでしょう。
数百年続いた旧家のような天恵を得るのは、天命と感じます。
司馬温公は、「だから、陰徳を積むにしかず」としめくくっていますが、慨嘆するのみです。
作品番号 2026-185
立春偶成
山色谿淙表瑞祥 山色 渓淙 瑞祥表はす
新鶯睍v笑語長 新鶯 睍v(けんかん) 笑語長し
茲時村巷春風遍 茲の時 村巷 春風遍し
乙巳韶華萬物昌 乙巳 韶華 万物昌たり
「谿淙」: 谷を流れる水のさま
「睍v」: 声の美しいさま
「乙巳」: 令和七年
「韶華」: 華やかな春景色
「昌」 : さかん
作品番号 2026-186
改歳偶成
料峭瑞烟迎好辰 料峭(りょうしょう) 瑞烟 好辰を迎へ
乾坤韶景太平春 乾坤 韶景 太平の春
馬齡八十都似夢 馬齢 八十 都(すべ)て夢に似たり
行雲流水只一身 行雲 流水 只だ一身
「料峭」: 春の風の肌寒い形容
「乾坤」: 天地、自然
「韶景」: 春の景色
「行雲流水」: 空行く雲と流れる水
作品番号 2026-187
姫様道中
櫻花淡淡細江ク 桜花淡淡たり 細江の郷(さと)
華麗衣装行列長 華麗なる衣装 行列長し
再現古來風物誌 再現す 古来の風物誌
路邊觀衆喜呈祥 路辺の観衆 祥を呈するを喜ぶ
<解説>
姫様道中は、江戸時代に公家や大名の姫様が姫街道を往来した様子を再現したお祭りです。
毎年四月に浜松市浜名区細江町気賀で行われています。
豪華絢爛な衣装をまとったお姫様を始め約百名の行列が練り歩きます。
作品番号 2026-188
天龍川
C流諏訪水溶溶 清流の諏訪(すわ) 水溶溶
落灑飛泉色倍醲 落ち灑(そそ)ぐ飛泉 色倍(ますま)す醲(じょう)たり
嶺上猿聲悲痛惹 嶺上の猿声 悲痛を惹く
長河向海勢如龍 長河海に向って 勢ひ竜の如し
<解説>
天竜川は、諏訪湖を水源ととする延長二一三キロの一級河川で遠州灘に注いでいます。
上流には、佐久間ダム、秋葉ダム、船明ダムなどがあり、古くは久根鉱山、峰之沢鉱山など、鉱石の採掘も盛んでした。
作品番号 2026-189
想トランプ關税
米國横謀激震傳 米国の横謀 激震伝ふ
相爭貿易輒憂煎 相争ふ貿易 輒ち憂煎
折衝關税困難究 折衝の関税 困難を究む
互見腹中誰是先 互に見る腹中 誰か是先んず
<解説>
トランプ関税、世界で何が起きているのか?日本も甚大な影響。
関税の標的となった各国はアメリカを一斉に批判した。
トランプ氏は、アメリカが貿易不均衡の犠牲になってきたと主張。
関税強化で雇用と製造業を復活させると強調した。
作品番号 2026-190
同窗會
歳月閑流已七旬 歳月閑かに流れ 已に七旬
傷神友去自悲辛 傷神 友は去り 自づから悲辛す
引杯談語延年術 杯を引き談語 延年の術
共願息災長壽身 共に願うは息災 長寿の身
<解説>
久しぶりの同窓会。しかし、恩師は既に亡く、我が級友も知らせを受けているだけでも十人ほどはいる。
騒ぐこともなく、いずれは我が身。
最後の同窓会とすることで閉会した。
作品番号 2026-191
釜奥(かまおく)山中散策
鶯聲訥訥竹叢邊 鶯声 訥訥(とつとつ) 竹叢の辺
花散華開又一年 花散り華開き 又一年
嫩草陵丘風颯颯 嫩草 陵丘 風は颯颯
春霞湧出碧山巓 春霞 湧き出づ 碧山の巓
<解説>
今は第二東名高速が通っている山の方、畑を作っていた。
鶯が鳴いていた(夏)を思い出して作ってみた。
滝はどうなったろうか。
作品番号 2026-192
亀虫之害
頻發害虫農苑愁 頻発せる害虫 農園を愁ひ
孤翁佇立志難留 孤翁佇立し 志留まり難し
徒勞殺剤無成果 徒労せる殺剤 成果無く
歳月空流蕾落休 歳月空しく流れ 蕾は落ちて休む
<解説>
昨年の秋は、亀虫が次々と飛来し、みかんは大害。
野菜も天候の変化で値段も高くなり、稲まで市場から無くなった。
作品番号 2026-193
雙孫歸宅
共終部活夕陽曛 共に部活を終えれば 夕陽曛たり
茜色暮天歸路雲 茜色の暮天 帰路の雲
姉弟笑聲厨裏響 姉弟の笑声 厨裏に響けば
嫗翁滿福意欣欣 嫗翁 満福 意欣欣
作品番号 2026-194
昔日夜景
隣田閣閣亂蛙聲 隣田 閣閣 乱蛙の声
井水群螢点又清 井水の群螢 点じて又清し
窗外微涼庭樹動 窓外 微涼 庭樹動き
遠聞汽笛夜風輕 遠く聞く汽笛 夜風軽し
<解説>
田舎育ちの小生、幼いころは、ツルベの井戸で風呂をくみバケツで水を運んだ。
蛍が家の中へ飛び田植えが終わると蛙がうるさかった。