2026年の投稿詩 第181作は静岡芙蓉漢詩会の F・U さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-181

  梅雨偶晴        

 積雨聊晴出舊扉   積雨聊(いささ)か晴れて 旧扉を出(い)づれば

 翠梢克映生衣   翠梢 緑樹 生衣に映ず

 頡頏輕燕掠頭去   頡頏(きっこう)せる軽燕 頭を掠(かす)めて去り

 顧眄榴花如焔緋   顧眄(こべん)すれば 榴花 焔(ほのお)の如く緋なり

          (上平声「五微」の押韻)


 「積雨」: ながあめ
 「生衣」: 夏に切る衣服、ひとえもの
 「頡頏」: 鳥が上へ飛んだり下へ飛んだりする
 「顧眄」: 振り返って見ること






















 2026年の投稿詩 第182作は静岡芙蓉漢詩会の 梁山 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-182

  觀音名湯        

 觀音藥水下田晨   観音の薬水 下田の晨(あした)

 六百標高不看人   六百の標高 人を看ず

 滾滾明泉涵皺手   滾滾たる明泉 皺手(しゅうしゅ)を涵(ひた)せば

 梅花耐雪待遲春   梅花雪に耐へ 遅春を待つ

          (上平声「十一真」の押韻)

























 2026年の投稿詩 第183作は静岡芙蓉漢詩会の 梁山 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-183

  元旦        

 孫臨考試日專書   孫は考試に臨み 日に書を専らにす

 我洗身邊欲算余   我は身辺を洗ひ 余を算へんと欲す

 整整輪廻無順逆   整整たる輪廻 順逆無ければ

 屠蘇馥郁一年初   屠蘇馥郁たり 一年の初め

          (上平声「六魚」の押韻)


<解説>

 孫は入試の正念場で専ら勉強。我は身辺を整理して残りの時間を考え遺言状を準備する。
 整整たる輪廻 順逆無ければ、天に感謝あるのみ。
 お屠蘇の芳香に酔う元旦。
























 2026年の投稿詩 第184作は静岡芙蓉漢詩会の 梁山 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-184

  想司馬溫公        

 積財以欲到兒孫   財を積み以て児孫に到さんと欲すれど

 コ薄猶慮反目煩   徳薄ければ猶慮(おそ)る反目の煩ひを

 難測天機人太小   測り難き天機 人は太(あまり)に小さし

 架書萬巻果誰繙   架書 万巻 果たして誰か繙(ひもと)かん

          (上平声「十三元」の押韻)


<解説>

 これは、「司馬温公家訓」に感銘を受けて、一部を真似して作ったものです。
 結句はご存じの鎌倉文庫の蔵書ですが、どのみち猫に小判ですし、一切を捨てるように妻には言ってあります。
 知徳ふたつながら備えた者が、代々続くのは希で、必ず不肖の子孫が出て全てを台無しにしてしまうでしょう。
 数百年続いた旧家のような天恵を得るのは、天命と感じます。
 司馬温公は、「だから、陰徳を積むにしかず」としめくくっていますが、慨嘆するのみです。

























 2026年の投稿詩 第185作は静岡芙蓉漢詩会の 擔雪 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-185

  立春偶成        

 山色谿淙表瑞祥   山色 渓淙 瑞祥表はす

 新鶯睍v笑語長   新鶯 睍v(けんかん) 笑語長し

 茲時村巷春風遍   茲の時 村巷 春風遍し

 乙巳韶華萬物昌   乙巳 韶華 万物昌たり

          (下平声「七陽」の押韻)


 「谿淙」: 谷を流れる水のさま
 「睍v」: 声の美しいさま
 「乙巳」: 令和七年
 「韶華」: 華やかな春景色
 「昌」 : さかん






















 2026年の投稿詩 第186作は静岡芙蓉漢詩会の 擔雪 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-186

  改歳偶成        

 料峭瑞烟迎好辰   料峭(りょうしょう) 瑞烟 好辰を迎へ

 乾坤韶景太平春   乾坤 韶景 太平の春

 馬齡八十都似夢   馬齢 八十 都(すべ)て夢に似たり

 行雲流水只一身   行雲 流水 只だ一身

          (上平声「十一真」の押韻)


 「料峭」: 春の風の肌寒い形容
 「乾坤」: 天地、自然
 「韶景」: 春の景色
 「行雲流水」: 空行く雲と流れる水























 2026年の投稿詩 第187作は静岡芙蓉漢詩会の Y・H さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-187

  姫様道中        

 櫻花淡淡細江ク   桜花淡淡たり 細江の郷(さと)

 華麗衣装行列長   華麗なる衣装 行列長し

 再現古來風物誌   再現す 古来の風物誌

 路邊觀衆喜呈祥   路辺の観衆 祥を呈するを喜ぶ

          (下平声「七陽」の押韻)


<解説>

 姫様道中は、江戸時代に公家や大名の姫様が姫街道を往来した様子を再現したお祭りです。
 毎年四月に浜松市浜名区細江町気賀で行われています。
 豪華絢爛な衣装をまとったお姫様を始め約百名の行列が練り歩きます。

























 2026年の投稿詩 第188作は静岡芙蓉漢詩会の Y・H さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-188

  天龍川        

 C流諏訪水溶溶   清流の諏訪(すわ) 水溶溶

 落灑飛泉色倍醲   落ち灑(そそ)ぐ飛泉 色倍(ますま)す醲(じょう)たり

 嶺上猿聲悲痛惹   嶺上の猿声 悲痛を惹く

 長河向海勢如龍   長河海に向って 勢ひ竜の如し

          (上平声「二冬」の押韻)


<解説>

 天竜川は、諏訪湖を水源ととする延長二一三キロの一級河川で遠州灘に注いでいます。
 上流には、佐久間ダム、秋葉ダム、船明ダムなどがあり、古くは久根鉱山、峰之沢鉱山など、鉱石の採掘も盛んでした。

























 2026年の投稿詩 第189作は静岡芙蓉漢詩会の Y・H さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-189

  想トランプ關税        

 米國横謀激震傳   米国の横謀 激震伝ふ

 相爭貿易輒憂煎   相争ふ貿易 輒ち憂煎

 折衝關税困難究   折衝の関税 困難を究む

 互見腹中誰是先   互に見る腹中 誰か是先んず

          (下平声「一先」の押韻)


<解説>

 トランプ関税、世界で何が起きているのか?日本も甚大な影響。
 関税の標的となった各国はアメリカを一斉に批判した。
 トランプ氏は、アメリカが貿易不均衡の犠牲になってきたと主張。
 関税強化で雇用と製造業を復活させると強調した。

























 2026年の投稿詩 第190作は静岡芙蓉漢詩会の Y・H さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-190

  同窗會        

 歳月閑流已七旬   歳月閑かに流れ 已に七旬

 傷神友去自悲辛   傷神 友は去り 自づから悲辛す

 引杯談語延年術   杯を引き談語 延年の術

 共願息災長壽身   共に願うは息災 長寿の身

          (上平声「十一真」の押韻)


<解説>

 久しぶりの同窓会。しかし、恩師は既に亡く、我が級友も知らせを受けているだけでも十人ほどはいる。
 騒ぐこともなく、いずれは我が身。
 最後の同窓会とすることで閉会した。

























 2026年の投稿詩 第191作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-191

  釜奥(かまおく)山中散策        

 鶯聲訥訥竹叢邊   鶯声 訥訥(とつとつ) 竹叢の辺

 花散華開又一年   花散り華開き 又一年

 嫩草陵丘風颯颯   嫩草 陵丘 風は颯颯

 春霞湧出碧山巓   春霞 湧き出づ 碧山の巓

          (下平声「一先」の押韻)


<解説>

 今は第二東名高速が通っている山の方、畑を作っていた。
 鶯が鳴いていた(夏)を思い出して作ってみた。
 滝はどうなったろうか。

























 2026年の投稿詩 第192作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-192

  亀虫之害        

 頻發害虫農苑愁   頻発せる害虫 農園を愁ひ

 孤翁佇立志難留   孤翁佇立し 志留まり難し

 徒勞殺剤無成果   徒労せる殺剤 成果無く

 歳月空流蕾落休   歳月空しく流れ 蕾は落ちて休む

          (下平声「十一尤」の押韻)


<解説>

 昨年の秋は、亀虫が次々と飛来し、みかんは大害。
 野菜も天候の変化で値段も高くなり、稲まで市場から無くなった。

























 2026年の投稿詩 第193作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-193

  雙孫歸宅        

 共終部活夕陽曛   共に部活を終えれば 夕陽曛たり

 茜色暮天歸路雲   茜色の暮天 帰路の雲

 姉弟笑聲厨裏響   姉弟の笑声 厨裏に響けば

 嫗翁滿福意欣欣   嫗翁 満福 意欣欣

          (上平声「十二文」の押韻)

























 2026年の投稿詩 第194作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 令和7年5月30日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第36集』としてまとめました。

作品番号 2026-194

  昔日夜景        

 隣田閣閣亂蛙聲   隣田 閣閣 乱蛙の声

 井水群螢点又清   井水の群螢 点じて又清し

 窗外微涼庭樹動   窓外 微涼 庭樹動き

 遠聞汽笛夜風輕   遠く聞く汽笛 夜風軽し

          (下平声「八庚」の押韻)


<解説>

 田舎育ちの小生、幼いころは、ツルベの井戸で風呂をくみバケツで水を運んだ。
 蛍が家の中へ飛び田植えが終わると蛙がうるさかった。