作品番号 2021-31
新春口號
篷篷瑞氣麗初陽 篷篷 瑞気 初陽麗らかなり
家族團欒椒酒香 家族団欒 椒酒香し
瓶裏白梅春粧好 瓶裏 白梅 春粧好し
殊祈四海太平光 殊に祈る 四海太平の光
作品番号 2021-32
新年書懷
草庵檐下一紅梅 草庵の檐下 一紅梅
數朶迎春笑貌開 数朶 春を迎へて 笑貌開く
百歳人生餘二十 百歳の人生 二十を余し
又銜椒酒意悠哉 又 椒酒を銜んで 意 悠なる哉
作品番号 2021-33
新年
黄髪猶存安老健 黄髪 猶存り 老健に安んず
逍遙史跡弄吟詩 史跡を逍遥し 吟詩を弄ぶ
生年米壽充分活 生年 米寿 充分に活きる
唯悔盛時貪惰嬉 唯悔ゆらくは盛時に惰嬉を貪りことを
作品番号 2021-34
新年
雖嘉改歳莫交歡 改年を嘉すと雖も 交歓莫く
陋屋閉居無授餐 陋屋 閉居 餐を授かる無し
焉得制治新病毒 焉んぞ得ん 新病毒を制治し
令遄回復世寧安 世の寧安を遄(はや)く回復せしめん
柳田周さんの作品は年賀状でいただきました。
読み下しは私が付けました。
作品番号 2021-35
新年作
風吹茅屋喚春來 風は茅屋を吹き 春を喚んで来たり
瑞氣汪然五彩開 瑞気 汪然 五彩開く
破蕾瓶梅香和酒 破蕾 瓶梅 香は酒に和し
歳朝呵硯作詩媒 歳朝 呵硯 詩媒を作す
作品番号 2021-36
新年想
歳旦惠風初日明 歳旦 恵風 初日明らか
吾身心健氣分晴 吾身 心健やかに 気分晴れなり
新型病毒未看歇 新型病毒 未だ歇むを看られず
但願安寧世界榮 但だ安寧と世界の栄ふるを願ふ
作品番号 2021-37
新春
雲迷風吼凛寒光 雲は迷ひ 風は吼え 寒光凛としたり
痩骨窮途鬢有霜 痩骨 窮途 鬢に霜有り
食餅屠蘇天又霽 餅を食し 屠蘇 天又霽る
陶然盎盎早梅香 陶然 盎盎にして 早梅香し
作品番号 2021-38
新年書懷
辛丑迎朝掲旭旗 辛丑 朝を迎へ 旭旗を掲ぐ
早梅破蕾放香披 早梅 蕾を破り 香を放ち披く
馬齡八十喜無恙 馬齢八十 恙無きを喜び
椒酒三杯醉賦詩 酒三杯 酔ひて詩を賦す
作品番号 2021-39
御前崎元旦
暁闇 寒風は冽冽として吹くも
沙鷗羣聚待初曦 沙鴎 群聚して初曦を待つ
囘看波浪飛聲處 回看す 波浪の声を飛ばす処
紅玉芙蓉發一枝 紅玉の芙蓉 一枝発く
御前崎は、太平洋から昇る初日の出が見られることで有名です。
また、北東方向には駿河湾ごしの富士山を目にすることができます。
作品番号 2021-40
新年作
寒窗旁畔對初曦 寒窗 旁畔 初曦に対(むか)ひ
忽見早梅開數枝 忽ち見る 早梅数枝に開くを
幸有吟毫與生紙 幸に吟毫と生紙と有り
冩將春色賦新詩 春色を写し将って新詩を賦す
作品番号 2021-41
九九殘齢
九九殘齢新入期 九九残齢 新たに期に入る
非才病痩意何萎 非才の病痩も 意は何ぞ萎えん
救人妙法尋今古 人を救ふの妙法 今古に尋ね
閲覧生涯萬巻詞 閲覧せん 生涯 万巻の詞
※
八十一に近く、また新年を迎える。さしたる才能もなく、病気持ちの身であるが、決して萎縮せず、
我も人も救う妙法を尋ね、生涯なお、万巻の書を閲覧しよう。
作品番号 2021-42
歳朝偶成
輕寒山色白雲陲 軽寒山色 白雲陲る
氷解知音憶友時 氷解の音を知る 友を憶う時
賀客薫風天地好 賀客薫風 天地好し
東窗笑語早梅披 東窓の笑語 早梅披くなり
作品番号 2021-43
新春作
餘寒晴雪凍雲移 余寒 晴雪 凍雲移る
村舍東窗春日遲 村舍 東窓 春日遅し
千里鶯啼元旦夢 千里鶯啼く 元旦の夢
花香樹上遍南枝 花香の樹上 南枝遍し
作品番号 2021-44
新年書懷
東海韶光旭日生 東海 韶光 旭日生ず
心閑祈念五行精 心閑して祈念 五行の精
應須鍛錬延年術 応に須らく鍛錬すべし 延年の術
身健欣欣瑞氣横 身は健やかにして 欣欣 瑞気横たふ
コロナ蔓延の新年では、なかなか気分が乗りません。
作品番号 2021-45
辛丑歳旦 其一
槎牙老樹瓦盆梅 槎牙たる老樹 瓦盆の梅
數點玲瓏冷蕊開 数点 玲瓏として 冷蕊開く
改暦三元辛丑旦 改暦三元 辛丑の旦
香風棔和春來 香風 梛C 春に和して来たる
作品番号 2021-46
辛丑歳旦 其二
燦燦初陽滿梵庭 燦燦として初陽 梵庭に満つ
早梅馥郁玉瓏玲 早梅馥郁 玉瓏玲
迎來新歳幸無恙 迎へ来たる新歳 幸ひ恙無く
只愧甎全又累齡 只愧づ 甎全として 又齢を累ぬるを
作品番号 2021-47
新春偶成
踏青西圃傲霜枝 踏青 西圃 霜に傲る枝
閑寂寒江淑氣遲 閑寂の寒江 淑気遅し
冠状病災飄疾衍 冠状の病災 飄疾として衍す
歸家穩坐獨敲詩 帰家 穏坐し 独り詩を敲す
コロナ禍下の新年、自宅に籠もることが多い、稀の散歩で川の畔に寒梅を見つけた。
作品番号 2021-48
迎新歳
柴門馥郁早梅枝 柴門 馥郁 早梅の枝
四海春陽迎歳時 四海 春陽 歳を迎ふる時
疫病傷心聊自慰 疫病に傷心 聊か自らを慰む
元朝淑氣賦新詩 元朝の淑気 新詩を賦す
本年、恙なく新年を迎えることができましたことを詠んでみました。
作品番号 2021-49
辛丑年頭
天地洋洋淑氣移 天地洋洋 淑氣移る
春光燦燦早梅披 春光燦燦 早梅披く
新型病菌人間掩 新型病菌 人間を掩ひ
前路滄桑辛丑期 前路滄桑たり 辛丑の期
作品番号 2021-50
新年感懷
風和旭日入寒墀 風和らぎて 旭日寒墀に入る
閑飲屠蘇有所思 閑かに屠蘇を飲めば 思ふ所有り
舊歳無窮滔惡疫 旧歳窮り無く 悪疫滔(はびこ)る
懇望世上太平時 懇望す 世上 太平の時
元日の朝、屠蘇を飲みながらの懐い。昨年来の新型コロナウイルスの早期終息を願う。
作品番号 2021-51
歳晩書懷
霏霏六出古松枝 霏霏たる六出 古松の枝
一陣狂風啼鳥窺 一陣の狂風 啼鳥窺ふ
世路崢エ寒徹骨 世路 崢エ 寒骨に徹す
凍雲暮色歳云移 凍雲 暮色 年云(ここ)に移る
年末に雪が降りました。雪景色と年末の慌ただしさ、世の中の状況の厳しさをあわせて創りました。
作品番号 2021-52
新年作
正旦霏微春信遲 正旦 霏微 春信遅し
老梅窗裡歳寒姿 老梅 窓裡 歳寒の姿
先欣康健屠蘇酒 先ず欣ぶ 康健 屠蘇の酒
揮筆親朋遙寄詩 筆を揮って親朋 遥かに詩を寄す
今年のお正月、早春の気配遠く、庭の老梅が寒さに耐えている。
厳しい世情だが、まず自身の健康を喜び、屠蘇を味わった。
久し振りの知人、友人に詩を書き送った。
作品番号 2021-53
辛丑新年
壁龕瓶裏竹松梅 壁龕 瓶裏 竹松梅
窗外初陽春色開 窓外 初陽 春色開く
惡疫居然妨歸省 悪疫 居然 帰省を妨げ
新年賀宴但雙杯 新年の賀宴 但 双杯のみ
「壁龕」: 床の間
作品番号 2021-54
改歳懷少時
元旦街坊散歩時 元旦 街坊 散歩の時
不看羽板紙鳶兒 看ず 羽板 紙鳶の児
年年廢弛新春景 年年 廃弛 新春の景
此夜白頭懷舊巵 此夜 白頭 懐旧の巵
作品番号 2021-55
新年即事
春聲佳氣慶雲姿 春声 佳気 慶雲の姿
茅宇苑梅開舊枝 茅宇 苑梅 旧枝開く
有爲轉變無限意 有為転変 意限り無し
鏡花水月感懷滋 鏡花 水月 感懐滋し
作品番号 2021-56
新年
迎年ク友憶君時 年を迎へ 郷友の君を憶ふ時
一笑和顏知是誰 一笑 和顔 是れ誰か知らん
春氣梅香滿庭角 春気 梅香 庭角に満つ
太平四海獨爲詩 太平の四海 独り詩を為す
作品番号 2021-57
節分
呼聲招福追儺夕 福を招く呼び声 追儺の夕べ
嚼豆幾回懐往時 豆を嚼むは幾回ぞ 往時を懐かしむ
青壯矜持還血氣 青壮の矜持 還た血気
昂揚失意総無遺 昂揚 失意 総て遺る無し
作品番号 2021-58
立春
庭梅膨蕾立春時 庭梅 蕾み膨らむ立春の時
今日開花明日弥 今日開花 明日弥ます
又識薫香風向妙 又識る 薫香の風向に妙なるを
閑居逸楽自然移 閑居逸楽するは自然の移ろひ
作品番号 2021-59
早春偶成
小院庭柯花綻時 小院 庭柯 花綻ぶ時
老梅枝上見鶯兒 老梅枝上 鶯児を見る
幽室東窗迎月酌 幽室 東窓 月を迎へて酌む
早春夕照賦新詩 早春 夕照 新詩を賦す
作品番号 2021-60
立春
如月立春三両枝 如月の 立春 三両の枝梅
疎梅茅屋独題詩 疎梅の茅屋 独り詩を題す
寒灯老大東風夢 寒灯 老大 東風の夢
駅使幽尋欲贈誰 駅使 幽尋 誰にらんと欲す