2021年の投稿詩 第391作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-391

  疫苗(ワクチン)        

劃期着目病原矛   画期の着目 病原の矛

編集擬矛磨盾酬   編集 矛に擬へ 盾を磨きて酬ゆ

實用即生矛變異   実用 即に生ず 矛の変異

舊來新鋭共存尤   旧来 新鋭 共存尤もならん

          (下平声「十一尤」の押韻)


 今実用のワクチンはメッセンジャーRNA型・ウイルスの持つスパイク(矛)と類似のものを体内で産生、ウイルスに備える。
 変異とはこのスパイクの幾つが変異すること。
 旧来のワクチンとは、スペイン風邪以来百年の経験を持つウイルスの弱毒化、不活化など、主原料はウイルスそのもの、安全確認を含めて開発三年と言われる。
























 2021年の投稿詩 第392作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-392

  奥運會軆操競技        

輕柔跳馬軆操躬   軽く柔らか 跳馬体操の躬(からだ) 

筋骨吊環鐵棒隆   筋骨 吊り輪 鉄棒に隆

翻倒回天飛舞地   翻倒 天に回り 地に飛び舞ふ

百看不厭眼如童   百看厭はず 眼 童の如くして

          (上平声「一東」の押韻)


「翻倒」: 宙返り

 オリンピックのテレビ観戦、選手一人一人の演技が大写しされる体操競技に見とれた。























 2021年の投稿詩 第393作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-393

  身軆障碍者奥運會        

四肢欠損競遊泳   四肢欠損 遊泳を競ひ

義足全盲顕闘魂   義足 全盲 闘魂顕らか

恥我平常安逸惰   恥づ我 平常安逸に惰せるを

殘生日日断憂煩   残生の日々 憂煩断たん

          (上平声「十三元」の押韻)


 パラリンピック 水着で肢体の欠陥を曝け出す水泳競技、義足でのジャンプ、疾走。
 伴走と友に走る全盲。これら選手の笑顔に癒やされて。
























 2021年の投稿詩 第394作は静岡芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-394

  想中國征旆南沙諸島        

海南成覇賭乾坤   海南に覇を成さんと 乾坤を賭す

焉得以威招斷魂   焉んぞ威を以て断魂招くを得んや

大聖須令治亂世   大聖は須く乱世を治めしむべし

和平未遂督相論   和平未だ遂げず 相論ずるを督す

          (上平声「十三元」の押韻)


























 2021年の投稿詩 第395作は静岡芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-395

  詠藤井聡太叡王奪取三冠達成        

兩雄棋上秘攻防   両雄 棋上 攻防を秘め

闘智終盤制叡王   智を闘はす終盤 叡王を制す

遂得三冠年最少   遂に三冠を得たり 年最少

燈素氣破顔凉   青灯 素気 破顔凉たり

          (下平声「七陽」の押韻)


























 2021年の投稿詩 第396作は静岡芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-396

  散策小濱界隈        

曲徑曉鐘聲   曲経 暁鐘の響

舊家殘月宜   民家 残月宜し

新楊搖細縷   新楊 細縷を揺らし

老舗保C奇   老舗 清奇を保(まも)る

妙舞繊腰館   妙舞 繊腰の館

紅裾醉瞼姿   紅裾 酔瞼の姿

門扉涼氣醞   門扉 涼気を 醞(かも)し

格子畫簾垂   格子は画簾を垂らす 

商賈欣欣賑   商賈 欣々の賑ひ

漁歌躍躍詩   漁歌 躍々の詩(うた)

至京鯖街道   京に至る 鯖街道を

擔桶早朝馳   桶を担ぎ早朝馳するを

          (上平声「四支」の押韻)


























 2021年の投稿詩 第397作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-397

  熱海土石流災害        

豪雨集中將避難   豪雨集中 将に避難せんとすれば

奔騰泥石襲人家   奔騰せる泥石 人家を襲ふ

過多盛土急斜面   過多の盛土 急斜面

責任安存期照邪   責任 安くに存す 邪を照らすを期せん

          (下平声「六麻」の押韻)


 熱海市の土石流災害は大惨事でした。多数の死者、崩壊の家など、復旧作業は今も続いています。
 この災害は、天災・人災 ? これから裁判等で議論されることになるでしょう。
























 2021年の投稿詩 第398作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-398

  喜大谷選手活躍        

四年渡米願方酬   渡米四年 願ひ方に酬ゆ 

強靭心身勢未休   強靭なる心身 勢ひ未だ休まず

兩國人民熱期待   両国 人民 熱く期待す 

好調投打二刀流   好調 投打の二刀流

          (下平声「十一尤」の押韻)


 海の向こう、大谷選手の活躍はすばらしい。
 投打の二刀流は、全米のニュースを独占。
 日本人の誇りである。
 ホームラン王は残念・無念。今後の活躍に期待。
























 2021年の投稿詩 第399作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-399

  東京五輪 其一        

冠毒蔓延不可逃   冠毒(コロナ)の蔓延 逃るるべからず

開催贊否世間騒   開催の賛否 世間を騒がす

無人觀客結論至   観客無人 結論至る

多様難題共苦勞   多様の難題 共に苦労す

          (下平声「四豪」の押韻)


 東京オリンピックの前に。























 2021年の投稿詩 第400作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-400

  東京五輪 其二        

開催異例意周到   異例の開催 意周到

滿滿闘魂旗幟挑   満々たる闘魂 旗幟挑げて

榮譽奨牌歡喜沸   栄誉の奨牌 歓喜に沸く

成功閉幕款良宵   成功の閉幕 良宵を款(よ)しむ

          (下平声「二蕭」の押韻)


 東京五輪も無事閉幕して安堵の気持ちです。多少のトラブルはあったが、先ずは成功だと思う。
 日本も過去最多のメダル獲得に沸き、日本人の素晴らしさに改めて感動した。
























 2021年の投稿詩 第401作は静岡芙蓉漢詩会の 恕庵 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-401

  宸題窗恭賦        

開窗旭日太平天   開窓 旭日 太平の天

恰見庭梅賀肇年   恰(あたか)も見る 庭梅 肇年を賀す

淑氣風滿邦土   淑気 祥風 邦土に満つ

玲瓏瑞雪富峯巓   玲瓏 瑞雪 富峯の巓

          (下平声「一先」の押韻)


  言霊(ことだま)の 
    幸(さきわ)ふ国の
      初日富士
























 2021年の投稿詩 第402作は静岡芙蓉漢詩会の 恕庵 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-402

  白絲瀑泉即事        

萬縷如絲瀑布C   万縷 糸の如く 瀑布清し

鱗鱗飛沫彩虹生   鱗鱗 飛沫 彩虹生ず

錦楓千樹通山麓   錦楓 千樹 山麓に通ず

富嶽玲瓏明水聲   富岳 玲瓏 水声 明らか

          (下平声「八庚」の押韻)


  紅富士や
    鮮苔生(む)せる
      縷縷の瀧

























 2021年の投稿詩 第403作は静岡芙蓉漢詩会の 恕庵 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-403

  辛丑中秋賞月        

C宵星彩九霄悠   清宵 星彩 九霄悠かなり

皎皎正圓明鏡浮   皎皎 正に円かなる明鏡浮かぶ

竹馬迎朋一樽酒   竹馬の朋を迎へ 一樽の酒

桂花香裏故園秋   桂花の香裏 古園の秋

          (下平声「十一尤」の押韻)


  名月や
    李白も考(ちち)も
      笑顔にて
























 2021年の投稿詩 第404作は静岡芙蓉漢詩会の 恕庵 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-404

  偶成        

樵風吹老幾經秋   樵風老を吹き 幾つ秋を経

皓皓一輪瑤月浮   皓皓と一輪 瑶月浮かぶ

絶響蟲聲十三夜   絶響 虫声 十三夜

香飄籬菊思悠悠   香飄(ただよ)ふ籬菊 思ひ悠悠

          (下平声「十一尤」の押韻)


  まあるまる
    月映えの富士
      十三夜
























 2021年の投稿詩 第405作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-405

  三池平古墳        

登丘三保翠松原   丘に登れば 三保翠松の原

杳望豆州山上暾   杳(はる)かに望む 豆州 山上の暾(ひので) 

先史農耕樵獵地   先史 農耕樵猟の地

廬陵豪壯古墳存   廬陵 豪壮なる古墳存り

          (上平声「十三元」の押韻)


「廬陵」: 庵原山を指す

 昭和三十一年蜜柑畑の中から古墳が見つかって大騒ぎになった。
 全長六十五bの前方後円墳。
 バスに乗って大勢の見物客が続いた。
























 2021年の投稿詩 第406作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 11月22日に静岡市の教育会館を会場として、二年振りの合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第29集』としてまとめました。

作品番号 2021-406

  文通七十年        

受領紙函涼氣佳   受領す 紙函 涼気佳し

蓬萊急便茘枝牌   蓬莱の急便 茘枝の牌

文通幾百霜髯歳   文通は幾百 霜髯の歳

蔗味芳香昔日懷   蔗味 芳香 昔日懐かしむ 

          (上平声「九佳」の押韻)


 高校の頃、突然文通して欲しいと、台湾の日本人学生から手紙が来て、七十余年彼と文通している