作品番号 2021-391
疫苗(ワクチン)
劃期着目病原矛 画期の着目 病原の矛
編集擬矛磨盾酬 編集 矛に擬へ 盾を磨きて酬ゆ
實用即生矛變異 実用 即に生ず 矛の変異
舊來新鋭共存尤 旧来 新鋭 共存尤もならん
今実用のワクチンはメッセンジャーRNA型・ウイルスの持つスパイク(矛)と類似のものを体内で産生、ウイルスに備える。
変異とはこのスパイクの幾つが変異すること。
旧来のワクチンとは、スペイン風邪以来百年の経験を持つウイルスの弱毒化、不活化など、主原料はウイルスそのもの、安全確認を含めて開発三年と言われる。
作品番号 2021-392
奥運會軆操競技
輕柔跳馬軆操躬 軽く柔らか 跳馬体操の躬(からだ)
筋骨吊環鐵棒隆 筋骨 吊り輪 鉄棒に隆
翻倒回天飛舞地 翻倒 天に回り 地に飛び舞ふ
百看不厭眼如童 百看厭はず 眼 童の如くして
「翻倒」: 宙返り
オリンピックのテレビ観戦、選手一人一人の演技が大写しされる体操競技に見とれた。
作品番号 2021-393
身軆障碍者奥運會
四肢欠損競遊泳 四肢欠損 遊泳を競ひ
義足全盲顕闘魂 義足 全盲 闘魂顕らか
恥我平常安逸惰 恥づ我 平常安逸に惰せるを
殘生日日断憂煩 残生の日々 憂煩断たん
パラリンピック 水着で肢体の欠陥を曝け出す水泳競技、義足でのジャンプ、疾走。
伴走と友に走る全盲。これら選手の笑顔に癒やされて。
作品番号 2021-394
想中國征旆南沙諸島
海南成覇賭乾坤 海南に覇を成さんと 乾坤を賭す
焉得以威招斷魂 焉んぞ威を以て断魂招くを得んや
大聖須令治亂世 大聖は須く乱世を治めしむべし
和平未遂督相論 和平未だ遂げず 相論ずるを督す
作品番号 2021-395
詠藤井聡太叡王奪取三冠達成
兩雄棋上秘攻防 両雄 棋上 攻防を秘め
闘智終盤制叡王 智を闘はす終盤 叡王を制す
遂得三冠年最少 遂に三冠を得たり 年最少
燈素氣破顔凉 青灯 素気 破顔凉たり
作品番号 2021-396
散策小濱界隈
曲徑曉鐘聲 曲経 暁鐘の響
舊家殘月宜 民家 残月宜し
新楊搖細縷 新楊 細縷を揺らし
老舗保C奇 老舗 清奇を保(まも)る
妙舞繊腰館 妙舞 繊腰の館
紅裾醉瞼姿 紅裾 酔瞼の姿
門扉涼氣醞 門扉 涼気を 醞(かも)し
格子畫簾垂 格子は画簾を垂らす
商賈欣欣賑 商賈 欣々の賑ひ
漁歌躍躍詩 漁歌 躍々の詩(うた)
至京鯖街道 京に至る 鯖街道を
擔桶早朝馳 桶を担ぎ早朝馳するを
作品番号 2021-397
熱海土石流災害
豪雨集中將避難 豪雨集中 将に避難せんとすれば
奔騰泥石襲人家 奔騰せる泥石 人家を襲ふ
過多盛土急斜面 過多の盛土 急斜面
責任安存期照邪 責任 安くに存す 邪を照らすを期せん
熱海市の土石流災害は大惨事でした。多数の死者、崩壊の家など、復旧作業は今も続いています。
この災害は、天災・人災 ? これから裁判等で議論されることになるでしょう。
作品番号 2021-398
喜大谷選手活躍
四年渡米願方酬 渡米四年 願ひ方に酬ゆ
強靭心身勢未休 強靭なる心身 勢ひ未だ休まず
兩國人民熱期待 両国 人民 熱く期待す
好調投打二刀流 好調 投打の二刀流
海の向こう、大谷選手の活躍はすばらしい。
投打の二刀流は、全米のニュースを独占。
日本人の誇りである。
ホームラン王は残念・無念。今後の活躍に期待。
作品番号 2021-399
東京五輪 其一
冠毒蔓延不可逃 冠毒(コロナ)の蔓延 逃るるべからず
開催贊否世間騒 開催の賛否 世間を騒がす
無人觀客結論至 観客無人 結論至る
多様難題共苦勞 多様の難題 共に苦労す
東京オリンピックの前に。
作品番号 2021-400
東京五輪 其二
開催異例意周到 異例の開催 意周到
滿滿闘魂旗幟挑 満々たる闘魂 旗幟挑げて
榮譽奨牌歡喜沸 栄誉の奨牌 歓喜に沸く
成功閉幕款良宵 成功の閉幕 良宵を款(よ)しむ
韻
東京五輪も無事閉幕して安堵の気持ちです。多少のトラブルはあったが、先ずは成功だと思う。
日本も過去最多のメダル獲得に沸き、日本人の素晴らしさに改めて感動した。
作品番号 2021-401
宸題窗恭賦
開窗旭日太平天 開窓 旭日 太平の天
恰見庭梅賀肇年 恰(あたか)も見る 庭梅 肇年を賀す
淑氣風滿邦土 淑気 祥風 邦土に満つ
玲瓏瑞雪富峯巓 玲瓏 瑞雪 富峯の巓
言霊(ことだま)の
幸(さきわ)ふ国の
初日富士
作品番号 2021-402
白絲瀑泉即事
萬縷如絲瀑布C 万縷 糸の如く 瀑布清し
鱗鱗飛沫彩虹生 鱗鱗 飛沫 彩虹生ず
錦楓千樹通山麓 錦楓 千樹 山麓に通ず
富嶽玲瓏明水聲 富岳 玲瓏 水声 明らか
紅富士や
鮮苔生(む)せる
縷縷の瀧
作品番号 2021-403
辛丑中秋賞月
C宵星彩九霄悠 清宵 星彩 九霄悠かなり
皎皎正圓明鏡浮 皎皎 正に円かなる明鏡浮かぶ
竹馬迎朋一樽酒 竹馬の朋を迎へ 一樽の酒
桂花香裏故園秋 桂花の香裏 古園の秋
名月や
李白も考(ちち)も
笑顔にて
作品番号 2021-404
偶成
樵風吹老幾經秋 樵風老を吹き 幾つ秋を経
皓皓一輪瑤月浮 皓皓と一輪 瑶月浮かぶ
絶響蟲聲十三夜 絶響 虫声 十三夜
香飄籬菊思悠悠 香飄(ただよ)ふ籬菊 思ひ悠悠
まあるまる
月映えの富士
十三夜
作品番号 2021-405
三池平古墳
登丘三保翠松原 丘に登れば 三保翠松の原
杳望豆州山上暾 杳(はる)かに望む 豆州 山上の暾(ひので)
先史農耕樵獵地 先史 農耕樵猟の地
廬陵豪壯古墳存 廬陵 豪壮なる古墳存り
「廬陵」: 庵原山を指す
昭和三十一年蜜柑畑の中から古墳が見つかって大騒ぎになった。
全長六十五bの前方後円墳。
バスに乗って大勢の見物客が続いた。
作品番号 2021-406
文通七十年
受領紙函涼氣佳 受領す 紙函 涼気佳し
蓬萊急便茘枝牌 蓬莱の急便 茘枝の牌
文通幾百霜髯歳 文通は幾百 霜髯の歳
蔗味芳香昔日懷 蔗味 芳香 昔日懐かしむ
高校の頃、突然文通して欲しいと、台湾の日本人学生から手紙が来て、七十余年彼と文通している