作品番号 2018-271
春日感懷
幽庭雨後喚清涼 幽庭の雨後 清涼を喚ぶ
杏白桃紅樹樹蒼 杏白 桃紅 樹樹蒼し
一陣薫風花片舞 一陣の薫風 花片舞ふ
春光九十竹籬傍 春光 九十 竹籬の傍
<感想>
うーん、作ったのが暑くなってからだからでしょうかね、「春日」と言うよりも初夏という感じで、「杏」「桃」で春の風物を出していますが統一感が足りません。
何が原因かというと、「清涼」「薫風」でしょうね。この二語が初夏のイメージをもたらしているので、ここを直すと春の詩になると思います。
もう一点は、結句の「竹籬」ですが、承句で「杏」「桃」を出していますので、場所が混乱しますので、ここは植物は避けた方が良いですね。
「●籬傍」とするか、韻字も含めて下三字を変更するか、そこが考え所でしょう。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-272
春日感懷
撩亂雲峰仰碧蒼 撩乱の雲峰 碧蒼を仰ぐ
薫風一路遠尋芳 薫風 一路 遠く芳を尋ぬ
帶霞十里桃花岸 霞を帯び 十里 桃花の岸
古色鐘樓似故郷 古色 薫風 故郷に似る
<感想>
承句は「一路」と「一日」で迷ったようです。「一路」も悪くはないですが、「薫風」とつなげるとやや常套句の印象が強く、実体験という形から離れていくように思います。
私の個人的な判断では、「一日」の方が良いです。
後は、「薫風」の形容語で「颯颯」とか「嫋嫋」「清爽」などを入れるかでしょうね。
この作品は三稿目で、この後に四稿作、更に五敲作をいただきました。
これで完成という段階まで頑張りました。
春日感懷(最終稿)
一片白雲漂碧蒼 一片の白雲 碧蒼を漂ひ
春風C爽遠尋芳 春風 清爽 遠く芳を尋ぬ
帶霞十里桃花岸 霞を帯び 十里 桃花の岸
古色鐘樓似故郷 古色の鐘楼 故郷に似る
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-273
春愁風情
風葩妖態動詩腸 風葩 妖態 詩腸を動かす
雙蝶優游醉舞香 双蝶 優游 舞ふ香に酔ふ
壟断韶華花上露 壟断 韶華 花上の露
拷A深處俗情忘 緑蔭深き処 俗情忘る
<感想>
承句は「醉舞香」として行くなら、読み方は「香に醉舞す」としましょう。
結句は「拷A深處」と「一庭新緑」とで迷ったようですが、「緑蔭深處」ですと転句から庭の奥深くに入り込んでしまうようです。
この詩は、花も蝶も含めて、全体が「俗情忘」になるはずですので、狭くしない方が良いです。
では「一庭新緑」ではどうか、となると、「緑蔭深處」よりは広がりがありますが、詩をまとめるにはまだ弱いですね。
「満庭春色」「満庭好景」くらいの広さが欲しいですね。
こちらの詩も三稿作で、作品としては次の四稿作で完成となりました。
春愁風情(最終稿)
風葩妖態動詩腸 風葩 妖態 詩腸を動かす
雙蝶優游醉舞香 双蝶 優游 香に酔舞す
壟斷韶華花上露 壟断 韶華 花上の露
滿庭春色俗情忘 満庭の春色 俗情忘る
結句のまとまりが出て、良い詩になったと思います。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-274
春日感懐
檐宇飛來巣雀忙 檐宇 飛來の巣雀忙し
杏花庭外放清香 杏花の庭外 清香を放つ
詩書玩讀須忘老 詩書 玩読 須らく老を忘る
凭几休時入睡郷 几に凭れて 休時 睡郷に入る
<感想>
初案は次の形でした。
春日感懐
草野飛鳴巣雀忙 草野 飛鳴 巣雀忙し
杏花庭外放清香 杏花の庭外 清香を放つ
閑人漫歩須忘老 閑人 漫歩 須らく老を忘る
独坐休時入睡郷 独り坐して 休時 睡郷に入る
再敲作になって、辻褄は合うようになりましたね。
それぞれの句自体は整っていますので、場面さえまとまれば、読みやすい内容です。
一点、起句の「巣」は「飛来」とは合いませんので「野雀」「數雀」でしょうか。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-275
春日感懷
煕春午下獨彷徨 煕春の午下 独り彷徨す
蝶舞飛飛嫩草岡 蝶飛飛と舞ふ 嫩草の岡
提酒臻顚多野興 酒を提げて顚に臻らば野興多し
山櫻片片落花觴 山桜 片片 落花の觴
<感想>
「岡」から「顚」、そして「山」と場所を高く持って行くのが、作者の視点を感じさせて良いですね。
承句の読みはやや無理矢理で、この語順ですと「蝶舞ふこと飛飛たり」ということになります。面倒な感じですね。
「雙蝶飛飛」「黄蝶飛飛」とするか、「飛蝶」で始めて「悠悠」のような語を中二字に入れる方が自然だと思いますが、どうでしょう。
ただ、結句に「片片」と畳語がありますので、ここにも畳語を置くよりも「輕風」などを考えても良いでしょう。「回遊」でも良いかと思いますが、起句の「彷徨」と重なるかもしれませんね。
転句は良い句ですが、「提」「臻」「多」と述語が並ぶのが説明臭い印象はあります。
承句でもう岡に登っていると考えれば、ここはもう高みに居ると考えて、例えば「有酒一望多野興(酒有りて一望すれば野興多し)」という展開がありますね。
ご参考に。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-276
梅雨閑詠
滂沱報道鬱陶心 滂沱の報道 鬱陶の心
水害基因十日霖 水害の基因 十日の霖
湿潤書窗蝸試篆 湿潤の書窓 蝸篆を試む
吾修巴調又閑吟 吾は巴調を修めて 又閑吟す
<感想>
内容から見た時に、「閑詠」ではあまりにのんびりしすぎで、被災の現状への思いが感じられません。
「梅雨書懷」としておくべきですね。
同様に、起句の「鬱陶心」も、読みようによっては「災害報道を聴くことが鬱陶しい」という印象を与えますし、その流れで行くと、結句の「閑吟」も「しずかに」というよりも「ひまだから」と捉えられかねません。
「鬱陶心」は「盡悲心」、「只傷心」などに変えましょうか。
承句・転句はそれほど気になりませんが、「湿潤」は湿気の多いことを表した言葉、水害にこだわれば、ここも「潤」ですとのんびりとした印象があります。
まあ、転句から大きく変化させる意図で行けばこれでも良いとも言えますが、游山さんらしくは無いでしょう。
「濕濕」くらいで収めましょうか。
転句から詩が別のものになったように感じます。
結句は「蝸」に対しての「吾」でしょうが、ここも「吾」は「水害の地や人」に対するべきで、そういう意味では途中で変更したことが原因かもしれませんね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-277
春日感懷 一
午下風暄鳥語長 午下風暄かにして 鳥語長し
櫻花萬朶花吐芳 桜花 朶 花は芳を吐く
拷A如水春郊路 緑陰水の如く 春郊の路
日暮歸雲憶故郷 日暮れて 雲去り 故郷を憶ふ
<感想>
初案は次の形でした。
春日感懷(初案)
午下風暄鳥語長 午下風暄かにして 鳥語長し
小庭萬朶花吐芳 小庭の万朶 花は芳を吐く
伴朋獄春郊路 朋を伴ひ 緑野 春郊の路
終日徘徊憶故郷 終日徘徊して 故郷を憶ふ
初案と見比べると、流れがすっきりしてきたと思います。
転句の「拷A水の如し」ですが、先人の詩の用例では「涼気」を表すものが多いですね。「水のように満ちてくる」というイメージでしょう。
この場合、「春郊路」につなげるのに違和感が残るのは、「緑蔭」と「春郊路」と二つの場所があるからでしょうか。
上四字を生かすか、下三字を生かすかですね。
「春愁如水西郊路」「緑陰如水住行客(行客をとどむ)」などが無理の無いところでしょうか。
結句は「雲去り」と読んではいけませんので、「帰雲」としておく形ですね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-278
春日感懐 二
往昔伴朋巡四方 往昔 朋を伴いて 四方を巡る
尋來舊地暖春光 旧地を尋ね来たれば 春光暖かなり
閑身信歩曾遊路 閑身 歩に信せ 曽遊の路
終日山櫻自放芳 終日 山桜 自づから香を放つ
<感想>
こちらも形としては整った詩ですが、内容的には物足りないところがあります。
「往昔巡四方」「舊地」までは良いですが、更に転句で「信歩曾遊路」と来ると重複感が強まります。
転句は「閑身」とあるので、現在の作者の状況を書いて欲しいところ。
昔と変わったのか、変わらないのか、その辺も含めて転句を検討されると良いと思います。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-279
春日感懷
三河山色好風光 三河の山色 風光好し
郊外求巣燕子忙 郊外に巣を求め 燕子忙し
親睦寄朋華愛彩 親睦の朋寄りて 華の彩り愛で
優遊散策樂年芳 優遊 散策 年芳楽しむ
<感想>
起句・承句・結句は調和していて、春の三河山間部の風景をよく描いています。
転句で変化を出そうとしたのかな、やや苦しい感じがあります。
このままでいくなら「親睦」と「朋」はくっつけないといけませんが、「親睦」とわざわざ言わなくても「故友」で良いです。「寄」は「集まった」ということでしょうが日本語臭いですね。
「故友偶來」とか「訪來」として、友達で何をしたのか、を下三字で書きましょう。
「華愛彩」は語順がおかしいので、「愛華彩」として挟み平としておきましょう。
推敲作がこちらです。
春日感懷(再敲作)
三河山色好風光 三河の山色 風光好し
郊外求巣燕子忙 郊外に巣を求め 燕子忙し
故友訪來愛華彩 故友 訪来 華の彩り愛で
優遊散策樂年芳 優遊 散策 年芳楽しむ
推敲作は良い内容になったと思います。
あと、検討するとすれば「愛華彩」でしょうか。
せっかくの句ですので、「花を愛づる」にしても、もう少しすっきりとした表現が欲しいですね。
友人とゆったりと話をしたような場面が合うと思いますが。
「故友來嘉天祿景」(「天祿」は天から授かった幸福、故友来たり嘉す 天祿の景)とか。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-280
春日感懷
春來庭院正芬芳 春来たりて庭院 正に芬芳たり
リ日流鶯弄淑光 晴日 流鶯 淑光を弄す
勝地共君揮彩筆 勝地 君と共に彩筆を揮ふ
花朝夕月遠思ク 花朝 夕月 遠くの郷を思ふ
<感想>
それぞれの句だけで見ると問題はありませんが、例えば起句の「庭院」は後半の「弄彩筆」から考えると狭すぎるように感じますね。
全体の拡がりを考えても、ここは野原くらいが適当ですから「滿野」「獄」などを入れましょう。
承句は「流鶯」に対して「晴日」はあまり働きが無く、「枝上」「樹樹」と関連する語が良いですね。
転句は良いですが、結句の「思郷」を考えると、場所を示す「勝地」よりも景色を表す「勝景」の方が適するででしょう。
結句は句中対のバランスが悪く、「朝花夕月」あるいは「花朝月夕」(一年中という意味になります)ではいけませんか。
下三字は「遠くの郷を」ということならば「思遠郷」の語順になります。ここは「遠く郷を思ふ」と読みましょう。
再敲作は次の形でした。
春日感懷(再敲)
春來滿野正芬芳 春来たりて満野 正に芬芳たり
枝上流鶯弄淑光 枝上 流鶯 淑光を弄す
勝景共君揮彩筆 勝景 君と共に彩筆を揮ふ
花朝月夕遠思ク 花朝 月夕 遠く郷を思ふ
ロマンチックな良い詩になったと思います。
転句の「勝景」から考えると、承句は「流鶯」と音を出すよりも「萬朶櫻雲」と叙景にしておいた方が良さそうです。
「櫻雲」は「紅櫻」「雲櫻」などでも良いでしょう。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-281
春日感懷
郊外閑遊風送光 郊外 閑遊すれば 風光を送る
白櫻爛漫放清香 白桜爛漫 清香を放つ
春禽恰恰嚶鳴囀 春禽恰恰 嚶鳴の囀り
遲景悠悠野趣長 遅景 悠悠 野趣長し
<感想>
まとまりよくお作りになっていると思います。
後半は対句に仕立てで工夫もされていますね。
転句の「嚶鳴」は同意字の重ね、結句の「野趣」は修飾語と名詞ですので「興趣」と同意の組み合わせにした方が良いです。
承句の「白桜」がやや浮いているので、前半と後半を入れ替えて、桜で詩を終らせるのも面白いかと思います。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-282
春日感懷
黒ユ山原鳥語長 緑は山原に遍く 鳥語長し
千枝藤架滿園香 藤架には千枝 満園香し
舊朋談笑日將午 旧朋と談笑 日将に午ならん
克小庭風送光 小庭の緑樹 風光送る
<感想>
読み下しに難が幾つかありますね。
起句は良いですが、承句は「千枝の藤架」と読まなくてはいけません。
転句は「旧朋と」はおかしく、「旧朋談笑す」と主語述語にしましょう。
「談笑」は「笑語」としても良いでしょう。
結句は「小庭」と「樹陰」をひっくり返して読むのは無理です。ただ、「緑樹の小庭」でもおかしくはないので、句を直す必要はないかもしれません。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-283
春日感懷 一
春加拿大歐丁香 春のカナダの欧丁香
滿目輕煙盡日芳 満目 軽煙 尽日芳し
回首天隅山影紫 首を回せば 天隅 山影紫なり
故人尋會此他郷 故人尋ね会す 此は他郷
<感想>
カナダに以前旅行した時にライラックが美しかったので詩にしたい、ということで、ライラックをどう表現するのかというご質問がありました。
ライラックの中国名は「歐丁香」とお伝えしましたが、「歐」は実はヨーロッパという意味の時は平声。もう一つの訳語である「洋丁香」も平声、「下三平」になってしまうので困りましたね。
色々と辞書を探したら「紫丁香」というのがありました。
転句に「紫」はありますが、優先するのは花の名前ですから、ここを「紫丁香」としておきましょう。
「紫」の色が早めに出てくることで、全体の色彩感も明るくなるメリットもあります。
起句に二つ、「カナダ」と「ライラック」入れましたが、特に「カナダ」は苦労されたと思います。
「ライラック」をもう少し語って、承句を「馥郁輕風滿地芳」のようにしても良いでしょう。
転句の最後の「紫」は「翠」でどうでしょう。
結句は「尋來故友實他郷」(故友を尋ね来たれば 実に他郷)とした方が良いでしょうかね。
再敲作は次の形になりました。
春日感懷 一(再敲作)
春加拿大紫丁香 春のカナダの紫丁香
馥郁輕風滿地芳 馥郁たる軽風 満地芳し
回首天隅山影翠 首を回せば 天隅 山影翠たり
尋來故友實他郷 故友を尋ね来たれば 実に他郷
整った詩になっていると思います。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-284
春日感懷 二
春日友尋來異郷 春の日 友を尋ね 異郷に来る
彩霞飛蝶歐丁香 彩霞 飛蝶の欧丁香
東郊風暖加拿大 東郊 風暖かな加拿大
花氣艷陽終日芳 花気 艶陽にして終日芳し
<感想>
起句は「友を尋ね」ですと語順が逆です。
ついでに、「日」が重複していますので、「春近訪朋來異郷」としておきましょう。
承句は、こちらも「紫丁香」としておきましょう。
「彩霞」と「飛蝶」の遠近がきついので、転句の「東郊」と入れ替えた方が目線の流れが自然でしょう。
あるいは、「輕風」としておくのも良いでしょう。
ついでに「飛蝶」を「蝶舞」としておくと良いかと思います。
転句は「彩霞風暖」でもよいですが、遠くを見ている形で「彩霞遠嶺」と続けるのも考えられますね。
再敲作は次の形になりました。
春日感懷 二(再敲作)
春近訪朋來異郷 春近く 朋を訪ね 異郷に来たる
東郊風暖紫丁香 東郊 風暖かにして 紫丁香
彩霞遠嶺加拿大 彩霞 遠嶺の加拿大
花氣艷陽終日芳 花気 艶陽にして終日芳し
推敲作は、全体を改めて見直してみますと、結句ですが、「終日」を頭に持ってきて、「終日艶陽花氣芳」と入れ替えた方が話の通じが良いように思いますね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-285
春日感懷
麗日春光照禪房 麗日 春光 禅房を照らす
幽庭杜若苑花荒 幽庭 杜若 苑花荒れたり
業平往古愁思地 業平 往古 愁思の地
池畔回遊碑坐傍 池畔 回遊 碑の傍に坐す
<感想>
起句の「禅」は仏教関係で使う場合には平声になります。
「寺房」「法堂」でしょうか。
承句は花苑が荒れていたのでしょうか。全体の流れでは花がきれいに開いていた方が合うのですが。
「庭」と「苑」も重複していますので、「紫花塘」と韻字を替えてはどうでしょうね。
転句は「業平」と呼び捨ては良くありません。「在五中将」が一番良いですが、「中将」だけでも有名人だから良いでしょう。
「中将」とするならいっそ「王孫」(帝室の子。貴公子)とするのもオシャレです。
「思」は名詞の時は仄字になりますので、ここは「羇愁地」(旅先での愁いの地)としましょう。
「王孫折句羇愁地」(王孫句を折る羇愁の地)とか、愁いを言わないで「中将東下繋駒地(中将東下し駒を繋ぐ地)」が考えられます。
結句は下三字が無理です。「碑の傍らに坐す」ですと「碑」と「傍」を続けないといけませんが、「坐碑傍」ですと平仄が合いません。
あっさりと「池畔回遊塵念忘(池畔回遊すれば塵念忘る)」としても良いですし、「池畔古碑苔色蒼」「千歳口碑池樹蒼」なども面白いでしょうね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-286
春日感懷
春興訪來慈眼坊 春興 訪来す 慈眼坊
牡丹滿園放清香 牡丹 満園 清香を放つ
溫顔老衲花枝賜 温顔の老衲 花枝賜ふ
靜寂禪堂鐘韻長 静寂の禅堂 鐘韻長し
<感想>
起句の「慈眼坊」は愛知県知立市にある慈眼寺、牡丹で有名なお寺です。
「春興」は、ここで主題とも言える言葉を出してしまうのはどうかな、と思いますので、訪問記という感じで「一日」とした方が良いでしょう。
また、牡丹は私たちの感覚では桜の終った晩春の花、というイメージですが、季語としても初夏ですので、「春」の字は避けた方が良いでしょう。
同様に、題名も「(訪)慈眼寺牡丹」としておくと良いでしょう。
承句は「園」が平声ですので、ここは「満院」としておきましょう。
転句は、和尚さんが一枝剪ってくれたということですね。下三字の語順は本来は「賜花枝」ですが、これは押韻の関係ですから許容範囲です。
全体によく整った、穏やかな詩になっていると思います。
転句で「老衲」が登場する展開は、藤井竹外の「芳野」を思わせるようですね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-287
春日感懷
萬花滿野地天香 万花野に満ち 地天香し
春夜歡談在異郷 春夜の歓談 異郷に在り
寧日谷鶯聲緩渡 寧日の谷鶯 声緩く渡る
清流新草映斜陽 清流 新草 斜陽に映ず
<感想>
全体の時刻が整わないのと、第二句の「歓談」と「在異郷」という心情がややずれるので、「故郷を離れて春を迎えた寂しさ」という方向でそろえたいですね。
そうなると、承句を「行客逍遙獨異郷」としておく形でしょう。
転句の「寧日」は流れに合わないので「出谷新鶯」と丁寧に説明することにすれば全体の流れが整いますね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-288
春日感懷
春風駘蕩李花香 春風駘蕩 李花香る
獨坐窗前懷故郷 窓前に独り坐して故郷を懐かしむ
遠訪故人消息斷 故人を遠訪するも消息を断つ
陶然忘老有離觴 陶然 老を忘れて有離を傷む
<感想>
内容的には、前半はよくまとまっています。
ただ、後半はややだらけた印象で、話としては前半だけで終っています。
この場合には懐郷の気持ちを結句に持ってきて、前半はせっかくの春景色をもう少し述べた方がよいでしょう。
転句は「遠訪」ですと故郷まで訪ねていったということですが、「懷郷」は故郷に戻っていないわけで、話が矛盾します。
結句も「陶然」はうっとりとした心情、「忘老」も良い方向の気持ちですので、最後の言葉と合わないです。
承句に春の情景を入れ、「獨坐窗前」を転句の上四字に置く、結句は「陶然忘老」を生かすのか、「離傷」を生かすのか、どちらかに絞る形で再考してみましょう。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-289
春日感懷
散上峰頭望故郷 散じて峰頭に上って故郷を望む
桃花萬朶放清香 桃花 万朶 清香を放つ
長年絶景不持続 長年の絶景 持続できず
情願村翁坐竹牀 村翁の情願 竹牀に坐してきく
<感想>
起句の「散上」は、グループで出かけて解散したということでしょうか。
これは主語が無いとわかりませんね。
その「峰頭」から「故郷」が見えるということでしたら、どこの峰なのかを最初に示した方がよいですね。
どこなのかは私にはわかりませんが、例えば「稲武峰頭」などの形です。
承句はこれで良いですが、「桃花」ですと「清香」よりも「芳香」があうようにも思います。
転句からは話が掴みにくいのですが、先祖伝来の美しい自然を守ることができなかったと嘆く老人が居たということでしょうか。
承句の「桃花」が「絶景」ということなのか、悩みます。
言葉が先走ったようで、気持ちが伝わってきませんね。
転句は「天来好景半崩壊」というところでしょうか。
結句は「村翁の情願」と読むのは無理で、「情願の村翁」となります。「情願」を「慨慨」「嘆慨」としておくと、全体の流れが少しはできるでしょうか。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-290
春日感懷
櫻雲散策好風光 桜雲 散策 好風光
鶯囀蒼天雁一行 鶯囀 蒼天 雁一行
矢作川邊春草 矢作の川辺 春草緑なり
韶華蝶蝶野花香 韶華 蝶蝶 野花香し
<感想>
うーん、色々と詰め込みすぎたような印象ですね。
起句は「桜雲が散策した」という形で妙ですね。「櫻雲垂地」「櫻花爛漫」が良いでしょう。
承句は「鶯」は分かりますが、「雁一行」と更に鳥を出す必要はないですね。「蒼」は韻字ですのでこれを使うようにして「鶯囀亮然天地蒼」など。
転句は良いですね。
結句は「韶華」で春景色を大きくまとめておいて、「蝶蝶」と急に小さなものを出すのはバランスが悪く、ここでは「韶華」を削って、「野花飛蝶浴春陽」と流してはどうでしょうか。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-291
春日感懷
清晝紅桃花吐芳 清昼 紅桃 花は芳を吐く
孤村古寺滿庭香 孤村の古寺 満庭香し
春天草野看飛燕 春天の草野 飛燕を看る
暖日雀遊幽竹莊 暖日 雀遊ぶ 幽竹の荘
<感想>
前半は申し分ない描写ですね。
後半は「燕」と「雀」が出てくること、場面が「草野」「幽竹荘」と移っていることがあり、詩が前後で切れている感じがします。
前半が良いので、そちらの場面のまま、後半の景色に流したいですね。
直すとすれば、まず場所を揃えたいので、結句の「幽竹荘」は「幽竹蒼」として、お寺の庭の話に持って行きましょうか。
そうなると転句の「草野」も邪魔ですので、転句は「春天明朗回飛燕」として、後は、結句の「雀」を出すかどうかですね。
結句では、「暖日」が「清昼」「春天」と流れてくると、もう要らない言葉です。「雀」と併せて、ここの四字に何かを置きたいですね。
作者自身や村人、旅人が登場するとか、風を吹かせるとか、その辺りを自由に楽しく想像を広げて、楽しんでください。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-292
春日感懷
光風草嫩碧生香 光風 草嫩 碧香を生ず
日暖梅花野趣長 日暖か 梅花 野趣長し
孫子鞦韆増爽氣 孫子 鞦韆 爽気増す
春禽閑庭夕陽斜 春禽 閑庭 夕陽斜め
<感想>
起句は「碧」だけでは何のことかわかりませんね。「東風嫩草地生香」で、「嫩草草生香」とかぶらせても良いです。
承句は良いです。
転句は、「孫のブランコ」でどうして「爽気」が湧くのか、私には疑問がありますが、まあそんなものだと言われればそうかもということでしょうね。
「爽気」よりも何か良い言葉はないでしょうかね。
結句は平仄が違います。また、「閑」は「しずか」という意味で「春禽」の鳴き声とは合いませんので、「春禽啼盡已斜陽」としておきましょう。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-293
春日感懷(京枝垂櫻)
清風啼鳥碧空翔 清風 啼鳥 碧空に翔る
兩岸輕糸滿澗香 両岸の軽糸 満澗の香
流湊櫻花紅一面 流湊の桜花 紅一面
親朋再會醉歌長 親朋 再会 酔歌長し
<感想>
表現したいことがたくさん有って、どうまとめるかに苦労されたと思います。
そういう意味では、不要な言葉を削って、必要な言葉を膨らませて表現を豊かにしたいところです。
起句は「啼鳥」が必要でしょうか。全体の風景の中であまり役割が無い言葉です。また、この詩は旅先の詩になりますので、季節や場所がわかるような言葉が欲しいところ、できれば「櫻花垂地古都粧」のようにひとまずしておいて、以下を考えましょう。
承句の「兩岸」ですが、川に来ていることがまだ設定されていませんので、苦しいですね。
そのため、「輕糸」もしだれ桜の枝の比喩とはなかなか理解出来ません。転句の「紅」と「軽糸」をくっつけた方が良いので「軽糸」はそちらに移して、承句は先ほど削った「風」を入れて、「吹渡東風滿岸香」はどうでしょう。
転句は「川に赤い花びらが散り敷いていた」ということなので、「落紅水」と挟み平にして、その上を「軽糸」、その上に何を置くか、という順で考えてください。
結句も急に宴会の話になり、驚きます。この季節に約束して集まる、ということで「約期朋(舊)友」でどうでしょう。
以上を参考に、推敲を進めて下さい。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-294
春日感懷
今朝衣服美人粧 今朝 衣服 美人の粧ひ
鶯語誘引訪姑娘 鶯語誘引 姑娘を訪ぬ
赤桃白紫薔薇苑 赤桃白紫 薔薇の苑
懷顧歡談過艶陽 懐顧 歓談 艶陽過ごす
<感想>
全体の意味について確認をしましょうか。
「姑娘」は「(親戚の)おばさん」という意味と「若い娘(俗語)」があります。「懐顧歓談」なので「おばさん」かなと思いましたが、「美人粧」を「おしゃれをした」と理解しましたので、そうなると末継さんの昔からの(若い)ご友人のところに行ったのかな、と解釈することにしました。
その前提で考えて行きましょう。
平仄がやや乱れていますので、仄起式で揃える形で行きましょうか。
起句は「美人粧」は率直過ぎますので、「今日服衣佳麗粧」としましょうか。
承句は逆に二字目を平字にしますので、「鶯語」を「鶯聲」とすれば良いですが、下の「姑娘」に対応させるなら「老鶯」なんてのも良いかもしれません。
もう少し検討すると、「昔からの友人と会った」という事情をもう少し書かないと話が分からないですので、「旧友」「故友」とか「依舊」(昔のまま)という言葉が入ると良いですね。
結句にも「懐顧」がありますが、ここは「歡笑歡談」とか「高笑歡談」が良いかと思いますので、承句に入れる形で考えてはどうでしょうか。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-295
春日感懷
櫻樹千枝一路香 桜樹 千枝 一路香し
曉天山色好風光 暁天 山色 風光好し
野家叢竹聲何處 野家の叢竹 声何の処ぞ
閑歩怡然憶故郷 閑歩 怡然として故郷を憶ふ
<感想>
全体の統一感に悩んでいると書かれていましたが、結句に「億故郷」のきっかけが足りませんから、最後の言葉が浮いている印象だからでしょう。
転句は「声は何処」と言っているのに「竹叢」と場所を書いていたらおかしいですね。
竹なのでとりあえず雀として、「野家叢竹雀聲少(野家の叢竹 雀声少なく)」と持ってきましょうか。
声にこだわらなければ、「叢竹新青色(叢竹 青色を新たにし)」も可能です。
結句に行きますが、夕方ですと「帰鳥」とか「帰雲」で望郷に繋がるのですが、場面が朝ですので朝から故郷が恋しくなるというのが難しいですね。
承句を「暮天」として夕方に持って行くことも考えられますが、作者を出して「行客怡然憶故郷」として収めるところでしょうか。
発想を変えて、作者が故郷で暮らしていると持って行って「是故郷」で結ぶと、結句の自由度がかなり増すと思います。
完成作(三稿作)は次の形になりました。
春日感懷(三敲作)
櫻樹千枝一路香 桜樹 千枝 一路香し
曉天山色好風光 暁天 山色 風光好し
野家叢竹新青色 野家の叢竹 青色を新たにし
終日安閑是故郷 終日 安閑 是れ故郷
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-296
訪河津櫻歸途探梅花
清晨櫻苑好風光 清晨の桜苑 風光好し
楚楚丹葩蘇水傍 楚楚たる丹葩 蘇水の傍ら
更訪江梅寒徹骨 更に江梅を訪へば 寒骨に徹す
兩三破蕾吐微香 両三の蕾破れて 微香を吐く
<感想>
詩だけで見ると、桜の後に梅が開くという順番で普通の桜とは逆ですのでやや心配しましたが、「河津桜」が題名に残っていますので、まあ大丈夫でしょう。
その河津桜は「楚楚」、梅は「兩三」と対応させましたが、「楚楚」の清らかなイメージは早梅の方が向いているように感じます。
対句ではありませんが、二つの花を並べる形になりますので、形容の組み合わせを再考してみてください。
あと、転句の「江」は前の「水」とどう異なるのか、字面としては同じ場所に存在するように見えますので、梅の方を少し変えてはどうでしょうね。
推敲作は次の形になりました。
訪河津櫻歸途探梅花
清晨櫻苑好風光 清晨の桜苑 風光好し
染盡丹葩蘇水傍 染め尽くす丹葩 蘇水の傍ら
更訪早梅寒徹骨 更に早梅を訪へば 寒骨に徹す
數枝破蕾吐微香 数枝の蕾破れて 微香を吐く
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-297
早曉觀南瓜花
早朝壟畝蜜蜂聲 早朝の壟畝 蜜蜂の声
靜近微香爽氣生 静かに近づけば微香 爽気生ず
黄萼南瓜如喇叭 黄萼の南瓜 喇叭の如し
葉闔梃ゥ子初成 葉間 時に見る 子初めて成るを
<解説>
カボチャの受粉は日の出の頃が一番良いと言われ、畑に行くと既に蜜蜂が何匹も羽音を立てている。
近づけば花心から蜂が送り出す何とも言えない香りが爽やかな気を生じる。南瓜の葉の間には小さな実もついている。
<感想>
早朝の畑の様子を描いたものですね。
承句の「靜近」と作者の行動を出していますが、ここは叙景として、作者は登場しない方が良いですね。
ここは「南瓜花香」として、転句を再考するのが適当かと思います。
例えば、「黄萼金葩如喇叭」でしょうか。
結句は「時」が良いか、「已」が良いか、迷いますね。
「窺看」なども面白いかもしれません。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-298
初夏
高嶺陰涼薄暑移 高嶺 陰涼 薄暑移る
玲瓏清露似玻璃 玲瓏 清露 玻璃に似たり
幽姿白片山荷葉 幽姿 白片 山荷葉
美様龍鐘雨打時 美様 龍鐘 雨打つ時
<感想>
友人の思い出の詩ということでしたら、題名を「山荷葉」とした方が良いでしょう。
起句の「薄暑移」は「初夏になった」ということ、あるいは「初夏の暑さがどこかに行った」ということ、この場合には後者かと思いますが、すぐ上に「陰涼(日かげ)」がありますので、重複感はあります。
ただ、丁寧な描写と言えば言えなくもないので、このままでも良いですが、直すならば「緑樹(草)滋」、植物を出したくなければ「翠樹涯」「碧嶂陲」「碧翠帷」と場所を出してはどうでしょう。
承句はきれいな句ですが、「玲瓏」はそもそも玉の美しさを表しますので、「似玻璃」と同じ、どちらかで良いでしょう。「清」も邪魔かもしれませんね。
「玲瓏」を残すなら、韻字に「陲」「滋」を持ってきても良いでしょう。
転句は良いですね。「素葩幽影」というのもどうかと考えました。
結句の「美様」はサンカヨウのことでしょうか。わかりません。
少し飛躍しますが、友人を思い出す形で「懷友」とすることもできます。あるいは「憶昔交情」もあるかと思いました。
友人のことを書かないならば、花のことを膨らませる形でしょうね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-299
初秋即事
簾影素風滿一庭 簾影 素風 一庭に満つ
殘蟬盡日把杯聽 残蝉 尽日 杯を把りて聴く
暮天煙火娟娟景 暮天の煙火 娟娟の景
明月更清如夢醒 明月 更に清し 夢醒むるが如し
<感想>
初秋らしい清々しい風物が選ばれていて、バランスが良いですね。
ただ、描こうとするお気持ちと漢詩の表現が少しずれている印象ですので、その辺りを見ていきましょう。
起句は「簾を揺らす秋風」「その秋風が庭を吹いている」という二つの景をまとめたもの。これは俳句でしたらよく見る手法ですが、漢詩では主語述語が大切になりますので、「簾影」がどうしたのかが気になります。
「簾が風吹く庭に満ちている」ではわかりにくいですね。
「簾動」として、上二字でまず主述を完成させておくと良くなります。また、「素」は仄字ですので「四字目の孤平」、「秋風」「西風」が良いでしょう。
承句も、気持ちとしては四字目で切れて、「蝉が一日中鳴いている」「それを私は呑みながら聴いた」というお気持ちでしょうが、「一日中、蝉の声を聴きながら呑んでいた」と「尽日」が「把杯」に繋がってしまいます。
例えば「蟬聲切切」と声の形容にしてみるとか、下三字を「几邊聽」と酒から離れて「机に向かい聴いた」としても良いでしょう。「読書していた」ならば「盡日」でも納得できますからね。
一度書き上げてから、別の人の目になって読み返すと良いです。
後半はすっきりとした景です。ただ、「更」がありますので、花火が上がった空に月も懸かっていたという画面になります。
花火の向こうの月に対して「清」が適するかどうか、これは作者の考えになりますが、再考してみてはどうでしょうね。
2018. 9.12 by 桐山人
作品番号 2018-300
韮山反射爐
富士白銀冠雪巓 富士 白銀 冠雪の巓
翠屏碧嶂豆州連 翠屏 碧嶂 豆州連なる
焱爐反射生鋼砲 焱炉の反射 鋼砲を生む
當識工夫千古賢 当に識るべし 工夫 千古の賢
<感想>
この作品は三敲作です。
初稿と再敲作も載せましょう。
世界遺産韮山反射爐(初案)
伊豆羊腸路八千 伊豆の羊腸路八千
銀峯突兀富士前 銀峰突兀 富士の前
焱爐反射生大砲 焱炉の反射 大砲を生む
遺産重重詩景宣 遺産 重重 詩景宣ぶ
世界遺産韮山反射爐(再敲作)
伊豆羊腸眺遠天 伊豆の羊腸 遠天を眺む
銀峯突兀翠屏連 銀峰 突兀 翠屏連なる
焱爐反射生鋼砲 焱炉の反射 鋼砲を生む
事業回天奮宙拳 事業 回天 宙拳を奮ふ
三稿作になって、富士をまず前に出して、だんだんと韮山に近づいていく形になりましたが、分かりやすくなりましたね。
結句は、韮山反射炉はまだ160年程、「千古」では長すぎます。
「昔の賢者(技術者)」という意味で「古賢」の二文字は残して、五字目を考えてはどうでしょうね。
2018. 9.12 by 桐山人