2014年の新年漢詩 第61作は刈谷桐山堂の Y.I さんからの作品です。
 

作品番号 2014-61

  迎新年        

早梅含笑兩三株   早梅 笑ひを含む 両三の株

氷解東風春水湖   氷は解く 東風 春水の湖

物候復更身尚健   物候復た更まり 身尚ほ健

歳朝萬事意愉愉   歳朝 万事 意愉愉たり

          (上平声「七虞」の押韻)



























 2014年の新年漢詩 第62作は刈谷桐山堂の W.I さんからの作品です。
 

作品番号 2014-62

  新年        

晴日太平風景殊   晴日 太平の風景殊なり

東天明霽鳥相呼   東天 明霽にして 鳥相呼ぶ

春聲微響稱光紫   春の声 微かに聞こえ 称光紫なり

供祖辛盤酒一壺   祖に供す 辛盤と酒一壺

          (上平声「七虞」の押韻)



























 2014年の新年漢詩 第63作は刈谷桐山堂の 小園 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-63

  甲午新年        

韶光淑氣滿庭隅   韶光 淑気 庭隅に満つ

樹下鶯聲梅一株   樹下の鶯声 梅一株

ク友圍鑪茶馥郁   朋輩鑪を囲めば 茶馥郁たり

懷思昔日意愉愉   昔日を懐思し 意愉愉たり

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第64作は刈谷桐山堂の M.O さんからの作品です。
 

作品番号 2014-64

  迎春        

東風解凍意愉愉   東風 解凍 意愉愉たり

鶯囀南枝尚友呼   鶯は南枝に囀り 尚ほ友を呼ぶ

柏酒春盤新歳宴   柏酒 春盤 新歳の宴

繍衣笑語楽清娯   繍衣 笑語 清娯を楽しむ

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第65作は刈谷桐山堂の 老遊 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-65

  新年作        

経世済民丞相馳   経世済民 丞相は馳す

八釐租税物騰時   八釐の租税 物騰がるの時

媼翁驚嘆啜糊口   媼翁は驚嘆し糊口を啜る

願使長驅財政基   願はくば長駆して財政の基をしめんと

          (上平声「四支」の押韻)



























 2014年の新年漢詩 第66作は 桃羊野人 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-66

  迎新年        

屠蘇満肚坐春風   屠蘇満肚 春風に坐す

一笑高吟田舎翁   一笑 高吟 田舎の翁

心緒誰知天下志   心緒誰か知る 天下の志

五雲靉靉曙光紅   五雲靉靉 曙光紅なり

          (上平声「一東」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第67作は ニャース さんからの作品です。
 

作品番号 2014-67

  迎新年 (臨春節)        

人集車站滬城隅   

相問同郷票買無   

苦幹一年為団聚   

皮箱手重赴長途   

          (上平声「七虞」の押韻)


「滬城」: 上海の街























 2014年の新年漢詩 第68作は 謝斧 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-68

  立春即事 一       

立春此日帯行厨   立春の此の日 行厨を帯び

出戸踏青遊興娯   戸を出でて 青踏し遊興娯しむ

北郭吟梅謀一酔   北郭梅を吟じて一酔を謀るも

生憎竹杖酒銭無   生憎も竹杖 酒銭無き

          (上平声「七虞」の押韻)


「北郭」: 城郭之北、 或云青邱























 2014年の新年漢詩 第69作は 謝斧 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-69

  立春即事 二        

初値立春和病軀   初(漸く)立春に値って病躯和らぎ

暖沙遊目睡雙鳧   暖沙遊目す 雙鳧の睡を

杖頭鵝眼嚢中句   杖頭の鵝眼 嚢中の句

故過青旗酒可沽   故に青旗を過ぎりては酒を沽ふべし

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第70作は 謝斧 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-70

  立春即事 三        

舊寺梅枝破蕾無   舊寺の梅枝蕾を破る無や

立春春浅日当壚   立春春浅く 日日壚に当らん

草廬倦讀無聊久   草廬讀に倦みて無聊久しく

初試出遊傭杖扶   初(漸く)出遊を試みて杖を傭うて扶けん

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第71作は 謝斧 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-71

  立春即事 四        

昨雨初晴草木蘇   昨雨初て晴れて 草木蘇り

立春春淺践青蕪   立春春淺く 青蕪を践む

風寒水冷陽光暖   風寒く水冷たくも 陽光は暖かく

雪解氷銷物象殊   雪解けて氷銷て 物象殊なる

翁抱乳猫時坐睡   翁は乳猫抱いて 時に坐睡し

童追家狗日遊娯   童は家狗を追って日日に遊娯す

幾枝破蕾斜好   幾枝は破蕾して 斜好く

梅影眼明能慰吾   梅影眼に明らかに 能く吾を慰めん

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第72作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-72

  立春即事        

寒氣未融春尚無   寒氣 未だ融せず 春尚無し

暖冬異變杞人愚   暖冬 異變 杞人の愚

漸膨多少梅花蕾   漸く膨む 多少 梅花の蕾

黄鳥欲鳴空去乎   黄鳥 鳴かんと欲して 空しく去る

          (上平声「七虞」の押韻)


  杞憂なり春は名のみか四季廻る 兼山























 2014年の新年漢詩 第73作は 点水 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-73

  立春即事        

立春佳日得心娯   立春の佳日 心娯を得たり

信歩逍遥不畏迂   歩にまかせて逍遥 迂を畏れず

風暖寒銷流水畔   風暖かく 寒さきえたる流水の畔

浮沈自在緑頭鳧   浮沈自在は緑頭の鳧

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第74作は 亥燧 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-74

  立春即事        

古書千巻得祥符   古書千巻 祥符を得

洗浄硯池臨欧虞   硯池を洗浄して欧虞を臨す

塵外清遊唯畏老   塵外の清遊 唯老を畏る

戯吾俄演七賢徒   戯れに吾 俄かに七賢の徒を演ずる

          (上平声「七虞」の押韻)


 年末に沢山の書籍をいただきました。私にはお守り札のようです。
早速、竹林の七賢人を気取って臨書を始めましたが、奈何せん
年とりすぎて・・・とても間に合いそうにありません。
























 2014年の新年漢詩 第75作は 劉建 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-75

  立春即事        

遙岑雲臥望春湖   遙岑 雲臥し 春湖を望み

踏水羣翔越渡鳧   水を踏み 群翔し 越渡の鳧

樹蔭蒼蒼天欲曉   樹蔭 蒼蒼として 天暁とし

酔顔赫赫日将晡   酔顔 赫赫として 日将に将晡

魚多使釣人投網   魚多ければ 釣人をして投網せしみ

兔少令耕者守株   兔少なければ 耕者をして守株せしむ

爲避寒貧当自活   為に避け 寒貧 当に自活すべし

惟除惡鬼貼桃符   惟だ除く  悪鬼 桃符を貼る

          (上平声「七虞」の押韻)


「守株」: 自分では努力しないでうまい収穫にありつこうとする。ここでは、転じて株を買う意。























 2014年の新年漢詩 第76作は 銅脈 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-76

  立春即事        

苦吟無限月輪孤   苦吟限り無く月輪孤なり

拈毫軽寒一葉梧   拈毫軽ら寒く一葉の梧

灯影新春花半散   新春の灯影花半ばに散る

書窓詩夢心計麤   書窓詩の夢心計麁なり

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第77作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-77

  迎新年  其一       

祭詩年底死,   詩を祭って年底に死に,

破夢歳朝蘇。   夢を破って歳朝に蘇へり。

益壽傾椒酒,   壽を益して椒酒を傾け,

揮毫題玉壺。   揮毫 玉壺を題とす。

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第78作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-78

  迎新年 其二        

鏡中衰鬢雪,   鏡の中の衰鬢に雪,

空谷隙駒驅。   空谷に隙駒驅く。

舊歳誇才氣,   舊歳 才氣を誇れば,

新年誓守愚。   新年 愚を守るを誓ふ。

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第79作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-79

  迎新年 其三        

馬齒徒増抱酒壺,   馬齒 徒(いたづら)に増して酒壺を抱き,

歳朝傾盞坐茅廬。   歳朝 盞を傾けて茅廬に坐る。

一年之計待天兎,   一年の計 天兎を待ち,

隨意裁詩守古株。   意に隨ひて詩を裁し古き株を守らん。

          (上平声「七虞」の押韻)
























 2014年の新年漢詩 第80作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-80

  迎新年 其四        

馬不停蹄禿筆驅,   馬は蹄を停(と)めず禿筆は驅け,

大書年計向桑楡。   年計を大書し桑楡に向かふ。

歳朝仍舊再強志,   歳朝 舊に仍(よ)り再び志を強くし,

未恐冬寒害老躯。   未だ恐れず 冬寒の老躯を害するを。

          (上平声「七虞」の押韻)
























 2014年の新年漢詩 第81作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-81

  迎新年 其五        

茫茫思往事,   茫茫として往事を思ひ,

夢醒老翁蘇。   夢醒めて老翁蘇へる。

旭日昇東海,   旭日 東海に昇り,

荊妻勸酒壺。   荊妻 酒壺を勸む。

芳香流草舎,   芳香 草舎に流れ,

淑氣滿江湖。   淑氣 江湖に滿つ。

院落梅紅綻,   院落に梅 紅く綻ひ,

瓊姿立畫圖。   瓊姿 畫圖に立つ。

          (上平声「七虞」の押韻)
























 2014年の新年漢詩 第82作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-82

  迎新年 其六        

老翁取暖煽冬扇,   老翁 暖を取るに冬扇を煽ぎ,

歳暮祭詩隣夏爐。   歳暮 詩を祭るに夏爐に隣る。

刀筆十年生暗銹,   刀筆 十年にして暗き銹(さび)を生じ,

鬼才一夜作凡夫。   鬼才 一夜にして凡夫となる。

醒來悪夢傾椒酒,   悪夢より醒め來って椒酒を傾け,

滌洗吟魂守古株。   吟魂を滌洗して古き株を守る。

乘興揚揚磨醉墨,   興に乘って揚揚と醉墨を磨き,

擬唐求句望前途。   唐に擬(なぞら)へて求句を求め前途を望む。

          (上平声「七虞」の押韻)
























 2014年の新年漢詩 第83作は 観水 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-83

  元旦口號        

起浴東風半夢ク   起て東風に浴すも半ば夢郷

空杯尚含去年香   空杯 尚ほ含む去年の香

人間萬事多勞苦   人間 万事 労苦多きも

醉裏三朝足福幸   醉裏 三朝 福幸足る

          (下平声「七陽」の押韻)


はるかぜに目を覚ましても 心はんぶん夢のなか
お酒も空っぽなんだけど 残り香だけは年を越す
世の中なんて何だって 大変なことばかりでも
聞こし召してるお正月 じゅうぶん幸せだと思う

























 2014年の新年漢詩 第84作は 観水 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-84

  迎新年        

年年碌碌恰如愚   年年 碌碌として恰も愚の如し

獨把紅箋脱火爐   独り紅箋を把りて火炉を脱す

搖壁凍風驚鬢髮   壁を揺らす凍風 鬢髮驚き

透窓寒氣顫皮膚   窓を透かす寒気 皮膚顫ふ

苦吟守歳詩三首   苦吟 歳を守る詩三首

喜飮迎朝酒兩壺   喜飲 朝を迎ふ酒両壺

好煮濃茶起妻子   好し濃茶を煮て妻子を起こし

共圍祝膳盡歡娯   共に祝膳を囲みて歓娯を尽くさん

          (上平声「七虞」の押韻)


毎度毎度のことながら あいも変わらぬロクデナシ
ひとり紙束かかえ込み コタツを抜けて部屋を出る
凍える風が壁揺らし 髪の毛ざわざわさわがせて
冷たい空気窓越しに 肌をぶるぶるふるわせる
苦労しいしい詩を作り やっと三首の大晦日
喜びお酒飲み干せば たちまち二本のお正月
さてとお茶でも淹れてやり 妻と子どもを起こしたら
皆でおせちをつつきつつ 愉快に過ごしたいものだ
























 2014年の新年漢詩 第85作は刈谷桐山堂の 老遊 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-85

  新春        

晨鶏人日卜占間   晨鶏 人日 卜占の間

豚犬牛羊檻舎閑   豚犬牛羊 檻舎閑かなり

七菜吹羹嘗米粥   七菜羹を吹きて 米粥を嘗め

新春祝馬染朱顏   新春馬を祝ひて朱顏を染む

          (上平声「十五刪」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第86作は 桐山人 の作品です。
 

作品番号 2014-86

  立春郊行        

立春猶有薄寒虞   立春猶ほ有り 薄寒の虞れ

雙鷺水邉飢凍倶   雙鷺 水邉 飢凍を倶にす

扶老詩翁夕陽裏   扶老の詩翁 夕陽の裏

素梅氷艶映江隅   素梅 氷艶 江隅に映ず

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の新年漢詩 第87作は 桐山人 の作品です。
 

作品番号 2014-87

  立春即事        

立春猶有薄寒虞   立春猶ほ有り 薄寒の虞れ

隠鬱低雲夕日孤   隠鬱たる低雲 夕日孤なり

凍雀階前忘聚噪   凍雀 階前 聚噪を忘れ

飢鴉梢上倦凝呼   飢鴉 梢上 凝呼に倦む

弊廬屢屢乏蔬菜   弊廬 屡屡 蔬菜乏しく

窮老常常少盞壺   窮老 常常 盞壺を少(か)く

纔得一香風度處   纔かに得たり 一香 風度る處

素梅氷艶照庭隅   素梅 氷艶 庭隅を照らす

          (上平声「七虞」の押韻)

























 2014年の投稿詩 第88作は 哲山 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-88

  向寒        

向寒呼雪気   向寒 雪気を呼び

裸樹忽衣綿   裸樹 たちまち綿を衣る

終日池魚没   終日 池魚は没し

梅莟稍玉連   梅莟 ようやく玉連ねる

          (下平声「一先」の押韻)



<感想>

 「向寒」は晩秋から初冬の季節を表します。寒さの厳しいところでは、雪が木々を覆うこともあるでしょうね。
 転句までは流れが自然で、季節感がよく出ていると思います。

 結句は、そうした寒さが厳しくなる中で、梅は蕾を膨らませ始めているという発見が描かれていて、実景である分、素直な感動が伝わります。

 「莟」「蕾」もそうですが仄声ですので、ここは平仄が合いません。「梅枝稍莟連」と入れ替えておくところでしょう。
 「稍」は「ようやく」と読みますが、「漸」と同じで「だんだん、次第に」という意味です。「やっと」という意味合いならば「纔」を用います。



2014. 2. 3                  by 桐山人
























 2014年の投稿詩 第89作は 東山 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-89

  歩肥前佐賀城下        

城北城西歩里村   城北城西 里村を歩けば

長崎街道巷中存   長崎街道 巷中に存り

今時閑静行人少   今時閑静 行人少なく

往歳諸賢國事奔   往歳諸賢 国事に奔る

          (上平声「十三元」の押韻)



<感想>

 「長崎街道」は豊前の小倉から長崎までの五十七里の街道だったとのこと。幕末には多くの維新の志士たちがこの街道から長崎へと向かったわけですが、頼山陽、吉田松陰などがよく知られていますね。
 そうした往事の姿と現代の様子を並べたのが後半ですが、結句に昔のことを置いたので、現在の「閑静」な姿を言うよりも、作者のちょっとお国自慢したい誇らしい気持ちが前面に出てきましたね。
 これはこれで、良いまとめでしょう。

 前半は「城北」「城西」「里村」「巷中」、更に「長崎街道」と場所を表す言葉が多く、結局、どこを言っているのか分かりにくいですね。
 直接歩いた作者の頭の中は地図も風景も入っていてすっきりとしているのでしょうが、読者の方は記述の順序に従って追っていきますので、そのあたりの配慮が要るでしょう。
 具体的には「巷中存」の三字を検討すれば収まると思います。



2014. 2. 3                  by 桐山人
























 2014年の投稿詩 第90作は 真瑞庵 さんからの作品です。
 

作品番号 2014-90

  寒中書懷        

宿夜朔風燈色酸   宿夜 朔風 灯色酸タリ

茅檐窗罅月團團   茅檐ノ窓罅(か) 月團團

鏡光冱凅春情遠   鏡光 冱凅(ごこ)トシテ 春情遠ク

爐炭凋枯霜鬢寒   爐炭 凋枯(ちょうこ)トシテ 霜鬢寒シ

酒盞醉前承草露   酒盞 酔前 草露ヲ承ケ

藥鐺醒後練仙丹   薬鐺 醒後 仙丹ヲ練ル

以無暦日居村里   以ッテ 日ヲ暦フル無ク 村里ニ居スレバ

六紀餘生何有難   六紀ノ餘生 何ゾ難ヤ有ラン

          (上平声「十四寒」の押韻)



<感想>

 日常の生活がうかがわれる詩ですね。
 「寒中」は、「朔風」「冱凅」「春情遠」「爐炭」などでうかがわれますが、その他の部分が普段の生活という感じで、もう少し「寒い〜」という描写が出ても良いように思います。
 これは生活を丁寧に見つめて作詩をされているから、より具体性を求めて描写が細かくなっているのだと思いますが、読者は題名を見てから詩を読むわけで、物足りなさを感じるでしょう。
 例えば、「茅檐窗罅」にしても窓の破れ目から月を眺めるという場所の説明で、「寒さに震えて」というニュアンスがありません。そう考えると、月も「団団」が良いのかどうか、これも悩ましいところになります。



2014. 2.10                  by 桐山人