作品番号 2014-31
新春即事(七十九歳春)
歳旦残燈照一隅 歳旦 残燈 一隅を照らし
野肴獨酌濁醪壷 野肴 獨り酌む 濁醪の壷
舊歓記得淡於夢 旧歓 記(おも)ひ得(いず)れば 夢よりも淡く
七十九年如隙駒 七十九年 隙駒の如し
作品番号 2014-32
甲午新春書懐
三国元来如一軀 三国 元来 一躯の如し
何為寸地諍辺隅 何為ぞ 寸地 辺隅に諍ふ
不関天上乱雲気 関せず 天上 乱雲の気
諸彦共遊文雅娯 諸彦 共に遊ばん 文雅の娯
作品番号 2014-33
新年即事 一
元朝瑞氣到邱隅 元朝の瑞気邱隅に到り
茅屋野翁衰耗蘇 茅屋の野翁衰耗蘇る
一女居家爲粗餐 一女家に居り粗餐を為り
二男帰省祝觴倶 二男帰省して祝觴を倶にす
昔常酣酔妣憂體 昔 常に酣酔して妣は体を憂ひ
今毎訓蒙妻誚吾 今 毎(たびたび)訓蒙して妻は吾を誚む
父母霊前安泰告 父母の霊前に安泰を告げ
兒曹偕老是寶珠 児曹偕老是宝珠
作品番号 2014-34
迎新年
新春白雪舞交衢 新春 白雪 交衢に舞ひ
家族團欒圍火爐 家族団欒 火炉を囲む
男子漫談乗醉興 男子は漫談 酔興に乗ず
女人茶話滑於酥 女人は茶話 酥より滑らか
作品番号 2014-35
新年漢詩(「希望」)
人生永旅求希望 人生とは希望を求める永久の旅
苦難悲哀練一場 悲哀や苦難は一場の試練
不幸到来有必幸 不幸が来れば必ず幸せ有り
笑顔挑戦新今行 笑顔で挑戦新たに今行かん
<解説>
この混沌とした世の中においても、人それぞれ何事が起ころうと前向きに、唯一希望だけは持ち続け新たに挑戦してゆきたいものです。
作品番号 2014-36
新年書懐(「地球声(二)」)
大気塵汚山海川 大気はもとより、海、山、川に産廃、放射能等の汚染
異常寒暖自茫然 自然環境が異常になり年々温暖化が進行
洪水熱波多災害 熱波や浸水その他多くの災害が発生しています
環境改良当最先 環境の改善を当に最も先んずべきなり
作品番号 2014-37
迎新年
賀年八秩與誰倶 八秩の年 誰と倶に 賀さんや
莫忘雙親育故吾 忘る莫かれ 雙親 故吾を育みしを
児孫三代心身健 児孫 三代 心身健やかなり
應是自知無上愉 應に是れ 自ら知るべし 無上の愉なるを
初春や親子三代恙なし 兼山
作品番号 2014-38
新年感懐
寒閨残夢醒 寒閨に残夢醒む
鶏叫竹林東 鶏は叫ぶ 竹林の東
挙首看窓雪 首を挙げては 窓雪を看
低頭聴北風 頭を低れては 北風を聴く
<解説>
少し暗い雪国の目覚めですが、どこの家でも、この後で明るい家庭内行事が続きます。
作品番号 2014-39
新年書懐
継続山行愉唱歌 山行を継続し 唱歌を愉しむ
作詩写景意柔和 作詩 写景 意(おもい)は 柔和す
老生莫失志望気 老生 失ふ莫かれ 志望の気(こころ)
仮使遅遅励琢磨 たとひ遅遅なりとも 琢磨に励まん
<解説>
「年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに初めて老いる。」(米・詩人 サミュエル・ウルマン)の言葉をかみしめながら、自分への励ましと、戒めを込めて、新年の思いを表した。
山行やコーラス、漢詩づくり、絵手紙等を楽しみながら、出来る限りプラス思考で毎日を過ごしている。
どれも遅遅として進歩はおぼつかないが、たとえ一歩の前進でもと思い、希望を失わずにいきたいものだ。
作品番号 2014-40
元旦看曙光
富嶽開天紅雪膚 富嶽 天を開き 雪膚紅し
天城溶海展雲衢 天城 海に溶けて雲衢展く
黎明村社初光出 黎明の村社 初光出づれば
吉語掌聲歡洽呼 吉語 掌声 歓 洽く呼ばはる
作品番号 2014-41
早春即事 二
残雪良辰客至無 残雪の良辰 客の至る無く
自家臘酒野叟娯 自家の臘酒は 野叟の娯しみ
籬邊杏樹帯紅玉 籬邊の杏樹 紅(くれない)の玉(ぎょく)を帯び
院裏柳條牽翠珠 院裏の柳條 翠りの珠を牽く
嫋嫋東風弄新草 嫋嫋たる東風 新草を弄び
繊繊偃月照庭蕪 繊繊たる偃月 庭蕪を照らす
濁醪三斗發豪気 濁醪 三斗 豪気 発し
漫舞高吟且忘吾 漫舞 高吟して 且し吾を忘る
作品番号 2014-42
新年書感
履端小雪灑窓沙 履端小雪 窓沙に灑ぎ
入夜鳴条冬意加 夜に入って鳴条 冬意加ふ
寒粥梅葅願無病 寒粥梅葅 無病を願ふ
老嬬初見鬢絲華 老嬬初めて見る 鬢絲の華
<解説>
正月三が日は穏やかでしたが急に寒くなり、七草粥を作って一年の無病息災を願いました。
で、このところ、嫁さんがよう美容院に行くなあと思っていたら、白髪を発見しました。
手もごっつうなるし、苦労かけてしもうてすまんなあと、この頃になってようやく思うようになりました。
作品番号 2014-43
迎新年(初詣即事)
改歳開端万象蘇 改歳 開端 万象蘇る
老杉矗矗一雲無 老杉 矗矗 一雲無し
清清瑞気満神域 清清たる瑞気 神域に満ち
家族息災祈賽倶 家族 息災 祈賽を倶にす
作品番号 2014-44
迎新年
六度午年家運愉 六度 午年 家運愉(やわら)ぐ
相思偕偶欲長駆 相思 偕偶 長駆を欲す
拝迎初日五山寺 拝迎す初日 五山の寺
祈願鐘声到古都 祈願の鐘声 古都に到る
<解説>
そろって六度目の午年を迎え、これからも長く駆けてゆきたいという初詣の思いを作詩しました。
作品番号 2014-45
迎新年
歳朝寒気満庭隅 歳朝の寒気 庭隅に満つ
散策村園風切膚 村園を散策すれば 風 膚を切る
刷刷踏霜慶快響 刷刷 霜を踏めば 慶快に響き
仰望梅蕾待春蘇 仰ぎ望めば 梅蕾 春を待って蘇えらん
<解説>
元旦の朝の寒さが 庭の隅々にまで満ちている
村園を散策すると 風が膚を切るように寒い
ところが、刷刷(さくさく)と 霜を踏むと 慶快に響くではないか
仰ぎみれば 梅蕾が春を待って蘇えろうとしている
作品番号 2014-46
新年賀正
旭日輝窓瑞気趨 旭日窓に輝き瑞気はしる
坐看初雀老梅娯 坐して看る初雀 老梅にたのしむを
旧知交誼無双悦 旧知との交誼 無双の悦び
八十人生如隙駒 八十の人生 隙駒の如し
作品番号 2014-47
新春即事
歳旦晴明淑気殊 歳旦晴明 淑気殊なり
村翁獨酌祝觴愉 村翁独酌 祝觴を愉しむ
菲才何厭唐書ト 菲才何ぞ厭はん 唐書をトしみ
恬淡靜吟一隅 恬淡静吟 一隅にらぐ
作品番号 2014-48
年頭懐
七十四翁身百憂 七十四歳になる老いの身には心配が多い
殊危転舳急操舟 殊に舳先を転じて急いで舟を操るのが危ぶまれる
少年血気今安在 若い時の血気は今何処に在るやら
只愧無為臨斡流 移りゆく流れに臨んで為す事が無いのを只だ愧じている
作品番号 2014-49
平等院
瑞気洋洋甲午年 瑞気 洋洋 甲午の年
清流滾滾玉橋辺 清流 滾滾 玉橋の辺
雲中菩薩奏楽器 雲中菩薩 楽器を奏で
擴翼鳳凰舞空巓 翼を擴ぐる鳳凰 空巓を舞ふ
作品番号 2014-50
甲午歳旦口占
曈曈迎旭日 曈曈たる旭日を迎へ
加七八旬年 八旬年に七を加へたり
平素謝疎遠 平素の疎遠を謝し
賀詞呈一篇 賀詞 一篇を呈す
作品番号 2014-51
東京奥林匹克偶感
君知半世紀前容 君は知る 半世紀前の容を
技術革新鍾績舂 技術革新は績(てがら)を鍾(あつ)めて舂(うすづ)く
所得倍増民入夢 所得倍増に民は夢に入り
五輪聖火好天従 五輪の聖火に好天は従ふ
作品番号 2014-52
新年作
歴歴陽光曉色清
早梅枝上瑞禽聲
新春走筆村齋裏
天馬行空墨氣平
作品番号 2014-53
元日書懷
禁門之北社門南
安住纔留大隠菴
猶有文窮無俗黒
馬齡躋得八旬三
作品番号 2014-54
甲午元旦(山棲即事)
鴉來雀譟野翁家
坐見孱庭四季花
貧窶何歎無晩運
老羸偏喜有年華
空齋拭墨黙漱筆
敗榻聞香瞑煮茶
憑枴得時山底出
講詩歸毎日西斜
「
「
「
「
「
※語注は桐山人が施しました。
作品番号 2014-55
迎春
庭園梅發兩三株 庭園の梅発く 兩三の株
春日幽香黄鳥呼 春日 幽香が黄鳥を呼ぶ
靉靆曉雲佳氣動 靉靆たる曉雲 佳気動く
新年頑健太平圖 新しき年 頑健 太平の図
作品番号 2014-56
迎新年
凜烈裂膚風景殊 凜裂膚を裂く 風景殊なり
歳除老體拂庭隅 歳除 老体 庭隅を払ふ
初陽淑氣祈無恙 初陽 淑気 恙無きを祈る
同友迎春詩酒娯 友と同に春を迎へ 詩酒の娯しみ
作品番号 2014-57
迎新年
淑氣瑞光庭一隅 淑気瑞光 庭の一隅
初鶯梅蕾兩三株 初鶯 梅蕾 兩三の株
親朋談笑喜正旦 親朋は談笑し 正旦を喜ぶ
美酒佳肴醉玉壺 美酒 佳き肴 玉壺に酔ふ
作品番号 2014-58
甲午新春
迎春村舎拂庭隅 春を迎ふる村舎 庭隅を払ふ
淑氣四山風景殊 淑気 四山 風景殊なり
甲午新正傾柏葉 甲午新年 柏葉を傾け
親朋談笑意愉愉 親朋 談笑 意愉愉たり
作品番号 2014-59
迎新年
雲晴微暖鳥相呼 雲晴れ微暖 鳥相呼ぶ
草木青青風景殊 草木青青 風景殊なり
喜壽歳朝身尚健 喜寿 歳朝 身尚ほ健たり
知音茶友共圍爐 知音 茶友 共に炉を囲む
作品番号 2014-60
迎新年
東風微暖拂庭隅 東風 微暖 庭隅を払ふ
南面鶯啼梅一株 南面 鶯啼く 梅一株
傘壽新年身尚健 傘寿の新年 身尚ほ健なり
春盤賀客意愉愉 春盤 賀客 意愉愉たり
作品番号 2014-61
迎新年
早梅含笑兩三株 早梅 笑ひを含む 両三の株
氷解東風春水湖 氷は解く 東風 春水の湖
物候復更身尚健 物候復た更まり 身尚ほ健
歳朝萬事意愉愉 歳朝 万事 意愉愉たり
作品番号 2014-62
新年
晴日太平風景殊 晴日 太平の風景殊なり
東天明霽鳥相呼 東天 明霽にして 鳥相呼ぶ
春聲微響稱光紫 春の声 微かに聞こえ 称光紫なり
供祖辛盤酒一壺 祖に供す 辛盤と酒一壺
作品番号 2013-63
甲午新年
韶光淑氣滿庭隅 韶光 淑気 庭隅に満つ
樹下鶯聲梅一株 樹下の鶯声 梅一株
ク友圍鑪茶馥郁 朋輩鑪を囲めば 茶馥郁たり
懷思昔日意愉愉 昔日を懐思し 意愉愉たり
作品番号 2013-64
迎春
東風解凍意愉愉 東風 解凍 意愉愉たり
鶯囀南枝尚友呼 鶯は南枝に囀り 尚ほ友を呼ぶ
柏酒春盤新歳宴 柏酒 春盤 新歳の宴
繍衣笑語楽清娯 繍衣 笑語 清娯を楽しむ
作品番号 2014-65
新年作
経世済民丞相馳 経世済民 丞相は馳す
八釐租税物騰時 八釐の租税 物騰がるの時
媼翁驚嘆啜糊口 媼翁は驚嘆し糊口を啜る
願使長驅財政基 願はくば長駆して財政の基をしめんと