作品番号 2014-01
甲午新春有感(一)
告曉春光瑞色明 曉を告ぐ 春光 瑞色明らかなり
如流淑氣誦經聲 淑氣 流るるが如く 誦經の聲
英山不二無雙體 英山 不二 無双の体
爲貴以和完此生 和を以って 貴しと爲し 此の生を完うせん
十七条第九条は護る可し 兼山
<解説>
「英山(別号)を名乗るのも烏滸がましいが、不二(山)の如く立派でありたい」との意。
又、「人間は独りではなく、神仏と一体である」との意を籠めました。
この国に生まれ来た人間として「十七条の憲法」並びに「新憲法の第九条」の精神は護りたい。
作品番号 2014-02
甲午新春有感(二)
再迎新春甲午年 再び迎ふ 新春 甲午の年
往初懷古六旬前 往初を 懐古すれば 六旬前
以來塵世多波亂 以来 塵世 波乱多し
幾許餘生亦可憐 餘生 幾許 亦憐れむ可し
傘壽過ぎ二度目の新年甲午 兼山
作品番号 2014-03
新年作
申城角落度三年 上海の片隅に越し、三年になります。
呉語慣聴悦耳辺 上海語も耳障りでなくなりました。
喜待新春妻子訪 正月は一家 こちらで水入らず。
鬨声爆竹到窓前 爆竹の音も部屋まで聞こえてきます。
<解説>
ニャースです。
昨年はお世話になりました。
私は上海で年越しです。
先生もよい年になりますように。
作品番号 2014-04
詠馬
竹批髦尾長 竹を批ぎて 髦尾長く
繊麗鋒稜容 繊麗 鋒稜の容
高嘶緑野響 高嘶 緑野に響き
汗馬朝靄衝 汗馬 朝靄を衝く
呼風絶地去 風を呼び 地を絶って去り
本無霜蹄蹤 本より 霜蹄の蹤無し
馳驟一千里 馳驟 一千里
騰驤化飛龍 騰驤 飛龍と化す
<解説>
【語句の説明】
「竹批」: 馬の耳が竹をそいだ様に形の良いこと
「繊麗」: ほつそりして美しい
「鋒稜」: 骨の勁い
「汗馬」: 汗血馬の事 馬西域産の名馬
「絶地」: あまりにも速く走るので地を蹴る事がない
「霜蹄」: 駿馬の蹄
「馳驟」: 馬に乗って駆け巡る
「騰驤」: 飛び翔がる
本年も宜しく御教授願います
五言の古詩です
作品番号 2014-05
謹賀新年
馬耳東風吹彼岸, 馬耳の東風 彼岸に吹き,
樗翁醉夢醒清朝。 樗翁の醉夢 清朝に醒む。
千門萬戸迎新歳, 千門萬戸 新歳を迎へ,
一醉三元多酒豪。 一醉すれば三元に酒豪多し。
作品番号 2014-06
東風第一枝・迎接甲午年游香夢
午夜鐘鳴, 午夜に鐘鳴り,
霜晨夢醒, 霜晨に夢醒め,
更加馬齡新歳。 更に馬齡を加ふる新歳。
千門萬戸迎春, 千門萬戸 春を迎へ,
萬語千言獻瑞。 萬語千言 瑞を獻ず。
荊妻陪我, 荊妻 我に陪し,
勸椒酒、洗滌腸胃。 勸むる椒酒、腸胃を洗滌す。
啜數杯、暫借紅顔, 啜る數杯、暫く紅顔を借り,
白首放心酣醉。 白首 心を放ちて酣醉す。
○
試詩筆、欲舒心肺, 詩筆を試み、心肺を舒(の)ばさんとするも,
志易挫、枕肱午睡。 志 挫け易く、肱を枕に午睡す。
游魂道伴花容, 魂を游ばせて道伴せし花容,
愛人華妝盡美。 愛人(妻)の華妝 美を盡す。
梅林堪探, 梅林 探るに堪へ,
鶴歩入、紅雲如絵。 鶴歩して入る、紅雲の絵のごときに。
已相誓、皆老同穴, 已に相ひ誓ひし、皆老同穴,
翁嫗旅行連袂。 翁嫗 旅に行きて袂を連ぬ。
<解説>
作品番号 2014-07
馬上看花老, 馬上に花を看て老ひ,
更又迎春無恙, 更にまた春を迎えて恙なく,
傾盞誇洪量。 盞を傾けて洪量を誇る。
醉椒酒、貪虚妄, 椒酒に醉って、虚妄を貪り,
有樗翁、游魂夢想。 樗翁あり、魂を游ばせて夢想す。
未棄世、 未だ世を棄てず、
心願瀛寰晴朗。 心から願ふ 瀛寰の晴朗なるを。
有事當破浪, 事あれば當に浪を破るべく,
求和睦、宜相謙讓。 和睦を求め、宜しく相ひ謙讓すべし。 ○ 晩年閑靜, 晩年は閑靜, 韵事清爽, 韵事は清爽, 禿筆走, 禿筆 走れば, 錦箋好句高尚。 錦箋の好句 高尚なり。 山妻哂笑白頭喜, 山妻 哂笑す 白頭の喜ぶを, 作詩堪、任意低唱。 作りたる詩、意に任せて低唱するに堪ふるを。 坐三元, 三元に坐さば, 何不飛聲吟豪放? 何んぞ聲を飛ばして吟豪放に吟ぜざらん? 期逃遁塵網, 塵網より逃遁せんと期し, 享受肴膳, 享受す 肴膳を, 壽長滋養。 壽長の滋養を。
<解説>
作品番号 2014-08
四海波平萬象新 四海波平らかに 万象新なり
謝恩誓願拝初晨 謝恩を誓願し 初晨を拝す
一家無恙児孫集 一家恙無く 児孫集い
先酌屠蘇草舎春 先ず屠蘇を酌す 草舎の春
作品番号 2014-09
内憂外患在何隅 内憂外患 何隅に在らん
地異天災疎老軀 地異天災 老躯に疎し
迎午八回冥土近 午を迎ふること八回 冥土近し
新春不慶是癡愚 新春慶ばざれば是痴愚ならん
作品番号 2014-10
千門旗影暖, 千門旗影暖かなり
萬戸夢中春。 萬戸 夢中の春
独喜清閑日, 独り喜ぶ 清閑の日
三元感更新。 三元 感更に新なり
作品番号 2014-11
対峙寒風春気求 寒風に対峙す春気の求め
鬼吹覆圧八荒尤 鬼吹(きすい)は覆圧し 八荒の
清香玉骨独唯放 清香の玉骨 独り唯だ放つ
魁広天空花実優 魁けて天空に広がり花も実も優れん
作品番号 2014-12
佳気晴風處處春 佳気晴風処々に春
歳朝如祝鳥声頻 歳朝祝ふが如く鳥声頻りなり
那知老叟生涯計 那ぞ知らん老叟生涯の計
分韻揮毫詩思新 韻を分かち毫を揮ひて詩思新たにす
作品番号 2014-13
和風麗日拝年晨 和風 麗日 拝年の晨
濁世無関気自新 濁世 関はる無く 気 自ずから新たなり
一酔醺然詩興好 一酔 醺然 詩興好し
迎来八十有三春 迎え来る八十有三の春
作品番号 2014-14
元朝佳気動 元朝 佳気動き
椒酒好薫新 椒酒 好薫新たなり
舊友無恙否 舊友 恙なきや否や
遙懐竹馬春 遙に懐ふ 竹馬の春
作品番号 2014-15
元旦鶏鳴日出初 元旦の鶏鳴 日出づる初め
野人欲賦訪村居 野人 賦さんと欲して 村居を訪ふ
馬群静穏食春草 馬の群は 静穏にして 春草を食む
当歳無争意晏如 当歳 争ひ無くして 意 晏如たり
作品番号 2014-16
旭日輝窓瑞気高 旭日窓に輝き瑞気高まる
坐看黄鳥老梅翱 坐して看る黄鳥 老梅に羽ばたくを
晴耕雨読今成熟 晴耕雨読 今や成熟
賦得賀詩揮禿毫 賀詩を賦し得て 禿毫を揮ふ
作品番号 2014-17
旭日映窓佳気高 旭日窓に映え佳気高まる
静観黄鳥老梅翱 静観す黄鳥 老梅に羽ばたくを
知己交誼無双悦 知己との交誼 無双の悦び
拝読賀書揮禿毫 賀書を拝読し 禿毫を揮ふ
作品番号 2014-18
甲午初陽掃俗塵 甲午の初陽 俗塵を掃ひ
肥前山色惠風新 肥前の山色 恵風新たなり
桂冠九歳安茅屋 桂冠九歳 茅屋に安んじ
耳順加三詩酒親 耳順三を加えて 詩酒に親しむ
作品番号 2014-19
春陽春氣春風復 春陽春気春風 復へり
蒼竹老松寒葉C 蒼竹老松寒葉 清し
電網詩人繙雅句 電網詩人の 雅句を繙き
芳醪靜詠肇年平 芳醪静詠 肇年平らかなり
作品番号 2014-20
春從萬古有還紆 春は万古より 有りてまた紆(めぐ)り
先自履端初詣徂 先ずは履端より 初詣に徂(ゆ)く
~域呈祥風物改 神域は祥を呈して 風物改まり
御籤占託得心娯 御籤の占託に 心娯を得る
作品番号 2014-21
家内安全祈願符 家内安全は 祈願の符
古稀有七命成吁 古稀有七に 命(さだめ)は吁(う)と成り
浮生如夢喜無事 浮生は夢の如く 事無きを喜ぶ
無病息災風雅倶 無病息災なれば 風雅を倶(とも)にせん
「符」: 護符
作品番号 2014-22
雅致不知吟得無 雅致知らずして 吟じ得るや無(いな)や
託宣欲問請~符 託宣問わんと欲して 神符を請(もと)む
春從萬古花相似 春は万古より 花は相似て
人自履端年壽殊 人は履端より 年寿は殊なり
温故知新明黒白 温故知新に 黒白(こくびゃく)を 明らかにし
一期一會樂C娯 一期一会に 清娯を楽しむ
尋章摘句詩情顯 尋章摘句すれば 詩情顕(あき)らかに
甲午歳朝心意愉 甲午の歳朝は 心意愉たり
作品番号 2014-23
一根網線結萍香C
隔海飛鴻賀馬年。
薄紙傳情存友誼,
開屏歌韻頌團圓。
日中共慶承平世,
朝野同揚富裕鞭。
詩道弘揚人有慶,
祝君幸福賽神仙。
作品番号 2014-24
一衣帶水結詩緣 一衣帯水 詩縁を結ぶ
同好交流甲午年 同好の交流 甲午の年
拜受賀辭情意湛 拝受の賀辞 情意湛(ふか)く
忽知故友氣魂圓 忽ちに知る 故友 気魂円かなるを
東瀛風鎮迎青帝 東瀛 風鎮まり 青帝を迎へ
南海波平披紫煙 南海 波平らかに 紫煙を披く
三國詞朋聚清韻 三国の詞朋 清韻を聚め
吟聲萬里到神仙 吟声 万里 神仙に到らん
作品番号 2014-25
旭日曈曈上 旭日曈曈として上り
蓬蓬瑞氣籠 蓬蓬瑞気籠む
新正馳駿馬 新正駿馬馳る
萬里颯春風 万里春風颯たり
作品番号 2014-26
新年舊歳隔今宵,
聽説外灘人若潮。
不問霧霾來那處,
但知元旦即明朝。
作品番号 2014-27
雨否春煙遠 雨の降るや降らざるや 春煙遠し
祠壇何處鐘 祠壇何れの處ぞ 鐘の鳴る
洛陽城裏旦 洛陽城裏に夜が明ける
改暦老奈重 改暦 老いの重ぬるをいかんせん
作品番号 2014-28
一笑才華無俗塵 一笑す才華俗塵に無し
空堂最愛読書人 空洞最も愛す読書の人
新春欲去東風夢 新春東風の夢去らんと欲す
吟興寒灯筆墨親 吟興寒灯筆墨に親しむ
作品番号 2014-29
迎春温暖古稀奴 迎春温暖 古稀の奴
雖賀常常閉戸愉 賀と雖も常常 戸を閉じて愉しむ
朝筆午書而晩酌 朝に筆とり 午には書を 而して晩に酌むをなす
忘憂倦則狗倶趨 憂ひを忘れ 倦めば則ち 狗倶に趨る
作品番号 2014-30
孟春来客少 孟春 来客少(まれ)なり
獨酌濁醪壷 獨り酌む 濁醪の壷
醉到歓無極 醉ひ到たり 歓 極まり無く
放吟忘老軀 放吟 老躯を忘る
東風第一枝 詞譜・雙調100字,前段九句四仄韻,後段八句五仄韻 史達祖ほか
▲●○○,△○▲●,△○▲▲○仄。▲○△●○○,▲▲▲○▲仄。○○▲●,▲▲▲、△○○仄。●●▲、▲●○○,▲●●○○仄。
△▲▲、▲△▲仄,△●▲、▲○△仄。▲○△●○○,●▲▲○▲仄。△○△●,▲▲▲、△○○仄。●▲▲、▲▲○○,▲▲●○○仄。
2014年の新年漢詩 第7作も 鮟鱇 さんから詞の作品です。
迎新春・迎接甲午年所懷
馬上看花:事をなすに粗略であることをいう。
迎新春 詞譜・雙調104字,前段八句七仄韻,後段十一句六仄韻 柳永
●●●○●,●●○○○仄。○●○○仄。●○●、○○仄。●○○、○○●仄。●●●、○●○○○仄。●●○●仄,○○●、○○○仄。
●○○●,●●○仄。○●●,●○●●○仄。○○●●○○●,●○○、●●○仄。●○○,○●○○○○仄。○○●○仄(一四),●●○●,●○○仄。
2014年の新年漢詩 第8作は 紫照 さんからの作品です。
新年口號
2014年の新年漢詩 第9作は 常春 さんからの作品です。
甲午新年漢詩
門松はめいどのたびの一里づか馬かごもなしとまり屋もなし
−一休蜷川狂歌問答
2014年の新年漢詩 第10作は 風雷山人 さんからの作品です。
2014年年賀
2014年の新年漢詩 第11作は 道佳 さんからの作品です。
魁寒梅 魁の寒梅
<解説>
寒風と対峙し、強い心で草木の萌えいずる春を待つ。
なにか国の隅々が禍に覆われてしまい寒々としたものがある。
その中で、唯独り咲く梅の花の芳しい香りがしてくる。
寒中先駆けて、天空に広がり花も実も優れている。
「鬼吹」: 人に災いを及ぼす気
「覆圧」: 上から覆い、おしつける
「八荒」: 国の隅々
「尤」: わざわい
「玉骨清香」: 寒い中、清らかな香りの梅
2014年の新年漢詩 第12作は 亥燧 さんからの作品です。
甲午新年書感
<解説>
あけましておめでとうございます。
暖かい正月です。雀が日光浴してます。家内と二人だけの正月をのんびり過ごしています。
さて今年は何をしようかと、硯を前に思案中です。
2014年の新年漢詩 第13作は 押原 さんからの作品です。
新年感懐
2014年の投稿詩 第14作は 越粒庵 さんからの作品です。
新年試作
2014年の新年漢詩 第15作は 杜正 さんからの作品です。
平成甲午年勅題「静」
<解説>
元旦に鶏の声がし、朝日が上る。
自分は詩を吟じようと思って、村里の家を訪れると、
馬の群が、静かに穏やかに春の草を食べていた。
これを見て、今年、戦は無いと思い、安心するのだった。
アジアの緊張が高まっていますが、今年、平和な一年であることを祈願いたします。
2014年の新年漢詩 第16作は 緑風 さんからの作品です。
新年賀正 一
2014年の新年漢詩 第17作は 緑風 さんからの作品です。
新年賀正 二
2014年の新年漢詩 第18作は 東山 さんからの作品です。
甲午新年 一
2014年の新年漢詩 第19作は 東山 さんからの作品です。
甲午新年 二
2014年の新年漢詩 第20作は 明鳳 さんからの作品です。
迎新年(其一)
「履端」: 年の初め
「御籤」: 御神籤
「占託」: 神託
2014年の新年漢詩 第21作は 明鳳 さんからの作品です。
迎新年(其二)
「古稀有七」: 七十七歳(喜寿)
「吁」: なげき
「浮生」: 儚い人生、
2014年の新年漢詩 第22作は 明鳳 さんからの作品です。
迎新年(其三)
「履端」: 年の初め
「年壽」: 人の運命
「歳朝」: 元旦
2014年の新年漢詩 第23作は世界漢詩同好會の台湾幹事でいらっしゃる 汨羅江 さんからいただいた作品です。
午馬重來,賀
桐山堂詩家騷壇走馬、一馬當先,賦詩以頌
2014年の新年漢詩 第24作は 桐山人 から、汨羅江さんへのお返しです。
甲午新年(和汨羅江先生賀詩)
謹看台中國汨羅江詞長賀詩、喜不盡。以和詩一首拝呈感謝之意。
2014年の新年漢詩 第25作は芙蓉漢詩会の 洋景 さんからの作品です。
新年作
2014年の新年漢詩 第26作は 陳興 さんからの作品です。
元旦
2014年の新年漢詩 第27作は 芳原 さんからの作品です。
迎新年
<解説>
先生 明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます
こぬか雨か春のかすみか
どこかでお寺の鐘が鳴る
ここは京都 東の空に初日の出
馬齢を重ねて新しい暦
老いと時間の駆け比べか
2014年の新年漢詩 第28作は 銅脈 さんからの作品です。
初春偶成
2014年の新年漢詩 第29作は 哲山 さんからの作品です。
迎新年
2014年の新年漢詩 第30作は Y.T さんからの作品です。
早春即事