作品番号 2013-31
癸巳迎春
旭日曈曈大八洲 旭日曈曈
洪鈞一転宿雲収 洪鈞一転 宿雲収まる
人心相改遠山曄 人心 相改まり 遠山曄く
擧国再生民冀求 挙国再生 民 冀求す
伊勢遷宮、政権交替その他あらゆる面に於いて 再生を果たすべき年。
作品番号 2013-32
早春即興
出谷早鶯隔竹鳴 谷を出る早鶯 竹を隔て鳴く
野梅相映一枝横 野梅相映じて一枝横たふ
東風先訪春囘速 東風先ず訪ふ 春の囘る速し
小径徘徊残雪晴 小径徘徊 残雪晴れる
作品番号 2013-33
新年漢詩
年餘選挙庶人奔 年余の選挙 庶人奔(はし)り
政策應酬街市喧 政策の応酬 街市喧(かまびす)し
健闘自民回與党 健闘自民 与党に回(かへ)り
外交經濟守公言 外交経済 公言を守らん
「年余」: 冬
「喧」: やかましい
作品番号 2013-34
迎新年
近隣談笑歩川湄 近隣 談笑し 川の湄(ほとり)を歩く
新歳光風清快肌 新歳の光風 清快の肌
神苑白蛇禋樹蔭 神苑 白蛇 樹蔭に禋(まつ)らる
望郷晶子訪歌碑 望郷する晶子の歌碑を訪ぬ
私の住む町(大阪府堺市の一部)では 毎年1月3日 自治会主催で10KM前後のウオーキングをする。
今年は石津川に沿って約8KM歩いた。近隣の人たちと談笑しながら歩く。天候もおだやかで風は冷たいが清々しく肌に心地よかった。
巳年というので白蛇を祭る神社に詣でた後 故郷の歌人与謝野晶子の歌碑を訪ねた。19歳乙女の頃の石津川を思い出して歌った歌は特に興味をそそられた。
作品番号 2013-35
新年有作
癸巳迎朝多所思 癸巳 朝を迎へ 思ふところ多し
外交内政近來危 外交内政 近来危し
人民願望昇平歳 人民の願望は昇平の歳
對應難題今有誰 難題に対応するは今誰かある
近頃の政治に少なからざる不安を抱いています。
作品番号 2013-36
迎新年
鐘共余音合掌祠 鐘の余音と共に祠に合掌す
巳年平世務明夷 巳年の平世明夷に務めん
用和為貴禮経要 和を用って貴しと為すは禮経の要
三国鼎談交誼披 三国鼎談し、交誼披かん
除夜の鐘の余韻がまだ残る中、新たな年の願いを込めて祈りました。
巳年が平和な世の中でありますように、本当に努力してゆかなくてはと。
論語にあるように、礼の要は大切な和であり、鼎立ではなく三国が話し合い、これまでの親しみの情を披いていきたいものです。
作品番号 2013-37
新年口占
政権交代衆心通 政権交代して 衆心通ず
内外難題山積中 内外の難題 山積の中
経済低迷誰克制 経済の低迷 誰か克く制せん
待望救国傑廉雄 待望す 救国 傑廉の雄
作品番号 2013-38
新年口號
瑞光滿室一年初 瑞光室に満つ 一年の初め
獨弄金杯晏晏如 独り金杯を弄して 晏晏如たり
几上狂詩是何者 几上の狂詩 是れ何者ぞ
酒中眞意夢中書 酒中の真意 夢中の書
部屋にいっぱいおめでたい 光の満ちるお正月
ひとり盃もてあそび 気分も安らかな感じ
机の上のへっぽこ詩 これはいったい何だろう?
お酒のなかでひらめいた ココロを夢で書いたもの
作品番号 2013-39
新春雑感
陶然自笑下愚身 陶然と自ら笑ふ 下愚の身
山色呈祥復遇春 山色 祥を呈す 復た春に遇ふ
独坐題詩炉火側 独り坐して詩を題す 炉火の側
無辞閑酌是如賓 辞する無く閑酌して 是れ賓の如し
独坐・独酌・苦吟・炉の傍らで閑酌は御客さんのようである。
作品番号 2013-40
迎春
五更穿孔釣綸垂 五更 孔を穿ち 釣綸(ちょうりん)垂れ
氈帳湖風淅淅吹 氈帳(せんちょう) 湖に淅淅として吹く
魚陟負氷寒帖帖 魚陟(のぼ)りて氷を負ひ 寒帖帖
新陽北地訪春遲 新陽 北地 訪ふ春遅し
今年もよろしくお願いします。
網走湖でのワカサギ釣りの光景です。
作品番号 2013-41
地球声
久遠光輝日月星 久遠の光輝 日に月や星
不知人類至長齢 知らず 人類長齢に至るも
未終愚戦核汚染 未だ終らず 愚戦に核汚染
祈願平和天地霊 祈願する 平和を天地の霊に
太陽と惑星、月の星仲間は憂いの眼差しで見ています。
人間は長い年月、辛酸の歴史を経ているのに。
まだ愚かな戦いや核の開発、汚染がやみません
世界の平和を天地精霊の神に祈るばかりです
作品番号 2013-42
迎新年
瑞氣随風客共來 瑞気 風を随へて 客共に来る
瓶梅馥郁百花魁 瓶梅 馥郁として 百花の魁
詩朋賀宴乘佳興 詩朋の賀宴 佳興に乗ず
歳旦呈祥萬壽杯 歳旦 祥を呈す 万寿の杯
客が来て初めて正月の気風が湧いてきて、花瓶の梅が咲き、香りを放っている。
詩吟の客と一杯酌み交わす酒、一段と興がのり、一年の幸を先取りした気分になった。
作品番号 2013-43
新年作
鐘音清響曉光開 鐘音 清響 暁光開く
四海祥雲春意催 四海の祥雲 春意催す
椒酒醉吟晴色好 椒酒 酔吟 晴色好し
辛盤賀客笑顔來 辛盤 賀客 笑顔来る
昔は、除夜の鐘が鳴り終わると家族で熱田神宮へ初詣に行きました。
帰る頃は東の空が少しだけ明るくなり、寒さに震えながら新しい年を迎えていました。
午后になるとお年始のお客様を招き、忙しくても楽しい元日でした。
現在は年末年始ゆっくりできなくて・・・・
昔を懐かしく思いました。
作品番号 2013-44
迎春
祥雲淑氣喜春來 灯燃え 万戸 二更の風
樹下鶯聲窗外梅 石火光中 今歳窮まる
朋友至携田舎酒 窓角 月明らかにして 鐘韻は響く
平安癸巳賀年杯 団欒の和気 笑声充つ
作品番号 2013-45
迎新年
東風瑞氣麗初陽 東風 瑞気 初陽麗かなり
嬌囀鶯聲百事忘 嬌囀の鶯声 百事忘る
送舊迎新翁媼壽 旧を送り新を迎ふ 翁媼
怡顔孫子拝年忙 怡顔の孫子 拝年忙し
作品番号 2013-46
若草山
寒風曉氣彩雲開 寒風 暁気 彩雲開く
白雪古都山水隈 白雪の古都 山水の隈まで
人語鹿鳴大安趣 人語 鹿鳴 大安の趣
四囲春迊綻初梅 四囲 春は
若草山に集う人々、のんびりと歩いている鹿、そんな穏やかな古都の春のきざしを詠みました。
作品番号 2013-47
新年作
池塘細草薄氷摧 池塘 細草 薄氷
窗下盆栽淑氣催 窓下 盆栽 淑気催す
歳旦揮毫親筆硯 歳旦 揮毫 筆硯に親しみ
太平椿壽老堪咍 太平 椿壽 老いて
毎年五鉢、松竹梅の盆栽を作っています。
正月は色紙に揮毫しています。
長寿で太平です。
作品番号 2013-48
新年作
初鶯朗囀一枝梅 初鶯 朗囀す 一枝の梅
茶友舊交和気開 茶友 旧交 和気開く
笑語佳肴忘百事 笑語 佳肴 百事忘る
平安新歳喜春來 平安 新歳 春の来るを喜ぶ
庭先に鶯が来て啼くことがあります。
古くからの茶友と茶事など行うのは本当に楽しいことです。
今年はお茶と漢詩を楽しむ年にしたいと思います。
作品番号 2013-49
新年
寒光生草喜春來 寒光 草を生じ 春の来るを喜ぶ
一樹清香綻早梅 一樹の清香 早梅綻ぶ
歳晩忘眠更漏轉 歳晩 眠るを忘る 更漏転ず
新年萬壽彩雲開 新年 万寿 彩雲開く
冬の太陽の光を受けて、草花は香を迎え喜ぶ。
私は新しい年を迎え、長寿を祈る気持ち。
昨年入院生活をしてから、若くない自分に対して長命したいと思い、新年の結句に表現してみました。
作品番号 2013-50
新年作
清風料峭洽郷關 清風は料峭として郷関に洽き
旭旆呈祥麗日間 旭旆祥を呈す 麗日の間
韻事高吟心未老 韻事の高吟 心未だ老いず
一聲矍鑠剪塵寰 一声 矍鑠 塵寰を剪つ
作品番号 2013-51
早春即興
今朝逢五十餘春 今朝 五十餘の春に逢ふ
心意庭梅亦一新 心意 庭梅 亦一新
淑気清齋磨淡墨 淑気 清齋 淡墨を磨く
揮毫落紙筆翰人 毫を揮ひて 紙に落とす 筆翰の人
作品番号 2013-52
迎春
門懸松竹雪中梅 門に懸くる松竹 雪中の梅
椒酒迎賓和氣開 椒酒 賓を迎へ 和気開く
族子児曹成長早 族子 児曹の成長早く
歓聲笑顔又嘉哉 歓声 笑顔 又嘉き哉
毎年お正月に、集まった親戚の子ども達が成長する姿を見るのがうれしく、その気持ちを詠みました。
作品番号 2013-53
年頭偶懐
春還消息訪寒桃
不識東風陌上遭
半日讀書三椀粟
中宵閑宇一杯醪
天長黙黙尊辛苦
路遠孜孜貴瑣勞
白屋有期輕俗處
衰軀猶欲志慮高
作品番号 2013-54
新年試筆
古稀加一又新年
雙耳未聾雙眼焆
時執耒鋤三畝圃
閑耽花月地行仙
作品番号 2013-55
新年作
晨鶏旭日拝年初 晨鶏 旭日 拝年の初め
嘉客欣欣到蔽廬 嘉客 欣欣 敝廬に到る
銜餅蘭孫巡賀宴 餅を銜える蘭孫 賀宴を巡り
満堂酔裏一軒渠 満堂 酔裏 一軒渠
鶏が夜明けを告げ 朝日の昇るさま まさに年の初め
客が喜んで 我家にやって来た
餅を銜えた かわいい孫が 祝賀の酒盛りの宴のなかを駆け巡り
みんな 飲み合い 大笑い
作品番号 2013-56
迎春
佳氣東風春首時 佳気東風 春首の時
粉華朝市五情離 粉華朝市五情を離れ
一家相和初湯後 一家相和す初湯の後
清浄心身耳順巵 清浄心身耳順の巵
交流詩としていただきましたが、新年漢詩としても掲載をさせていただきます。
作品番号 2013-57
迎新年
沐浴揮毫酌栢巵 沐浴揮毫して栢巵酌み
獨懷昔日更堪思 獨り昔日を懐かしめば更に思ふに堪ふ
路傍羽板錦衣艶 路傍の羽板 錦衣艶やか
空際紙鳶孺子嬉 空際の紙鳶 孺子嬉しむ
偏愛村村佳氣足 偏に愛す 村村佳気足く
唯嘆處處舊風衰 唯嘆ず 處處旧風衰ふ
爰迎新歳眞無事 爰に新歳を迎へて真に事無く
久老故ク多展眉 久しく故郷に老えば 眉を展ること多し
「羽板」:羽子板 日本女児之遊具 「零落街頭羽板稀」(『日本雑事詩』黄遵憲)
「錦衣」:黄遵憲詩用「時衣」 「時衣」之句本編冒韻、因用「錦衣」
作品番号 2013-58
迎春
靈峰富士泰然姿 霊峰富士 泰然たる姿
數片浮雲山腹隨 数片の浮雲 山腹に随(したが)ふ
寸地寒梅聊帶蕾 寸地の寒梅 聊(いささ)か蕾を帯びれば
身心偏俟百花時 身心偏(ひとへ)に俟(ま)つ 百花の時
「聊」: とりあえず
「俟」: 止まってじっと待つ
「富士」: 富士山
交流詩としていただきましたが、新年漢詩としても掲載をさせていただきます。
作品番号 2013-59
迎春
歳朝臨慶賀, 歳朝 慶賀に臨み,
洗臉改新時。 臉(かお)を洗ふ 改新の時。
窗外留晴雪, 窗外 晴雪を留め,
鏡中増鬢絲。 鏡中 鬢絲を増す。
山妻斟緑酒, 山妻 緑酒を斟み,
野叟啜金卮。 野叟 金卮を啜る。
美醉乘吟興, 美醉して吟興に乘り,
偶題偕老詩。 たまたま題す 偕老の詩。
交流詩としていただきましたが、新年漢詩としても掲載をさせていただきます。
作品番号 2013-60
迎新年
東天日出恵風吹 東天 日出で 恵風吹き
淑気蓬篷酒一卮 淑気篷篷 酒一卮
對鏡朱顔人未老 対鏡 朱顔 人未だ老いず
星霜幾轉興無涯 星霜幾転 興 涯り無し
交流詩としていただきましたが、新年漢詩としても掲載をさせていただきます。