作品番号 2013-01
歳朝偶感
八十五齢迎歳新 八十五齢の歳を迎へて新たなり
生来頑健謝双親 生来の頑健 双親に謝す
屠蘇一盞朱顔裡 屠蘇 一盞 朱顔の裡
羇魄難抛癖此身 羇魄 抛ち難き此の身に癖となす
数えること八十六にもなる爺の放浪の癖、今年は正月23日からベトナム(越南)の旅からです。
作品番号 2013-02
念迎春
窮陰選挙主人誰 窮陰の選挙 主人は誰ぞ
政界迎春何所之 政界 春を迎へて何くの所にか之かん
禁断九条號改易 禁断の九条 改易を号し
庶民側耳慮安危 庶民 耳を側て 安危を慮る
歳末のに知事選に衆議院選挙、党魁は日本を取り戻す、はたまた禁断の果実を採ろうという。庶民は如何にすべきや。と。
作品番号 2013-03
謹賀新年
虎年已盡蛇年開,
懇祝家家萬福來.
富貴康寧壽コ外,
滿堂子女作賢材
作品番号 2013-04
癸巳所感
七十余年一炊事
双親他界孝行空
人生岐路従心命
唯識残躯尚未窮
癸巳という六巡目の年男となる感慨をまとめてみました。
中国の戦国時代、趙の都・邯鄲を訪れた若者の不思議な夢から想いを起こしました。
四句目は、残された我が身の行く末がまだ見えてこないという未練がましい繰り言です。
作品番号 2013-05
春光
曙光照紫雲 あけぼのは雲を紫に照らし
瑞雪映輝紅 瑞雪は赤く映え輝く。
一枝装万蕾 一枝は万蕾を装い
将開馨涸叢 将に開かんとして涸れ野にかおる。
作品番号 2013-06
年頭夢辛酉
遷都議案豁胸襟 遷都の議案 胸襟を豁く
癸巳選良良識深 癸巳の選良 良識深し
課題土壌資基礎 課題の土壌 基礎を資け
辛酉年頭福島今 辛酉年頭 福島の今あり
首都機能移転の国会審議は2003年以降ほったらかし。
この夢は福島事故から30年の2041年(辛酉)、汚染土壌の集積地に国会議事堂が建ったらなー。問題の汚染物はセシウム137、半減期30年、 辛酉は革命の年、我が国では延喜から文久まで改元してきた。新選良に期待したいもの。
作品番号 2013-07
年頭偶感 其一
極北海氷少 極北の海氷 少り
寒波南下馳 寒波 南下して馳せる
嚴冬復嚴夏 厳冬 また厳夏
元旦不晴思 元旦 思ひ晴れず
年末に読んだ「温暖化で寒くなる冬」。
北極圏の夏の海氷は、この30年で二分の一に減少し、それによって大気の状態が変わり、冬の天候に影響する。北極の大気が中緯度地域に侵入して厳しい冬を招く、という趣旨だった。
理路整然、背筋が寒くなった。
元旦 晴れやかならざる詩、申し訳なし。
作品番号 2013-08
年頭偶感 其二
熱氣樞機溢 熱気 枢機に溢れ
寒波里巷馳 寒波 里巷に馳す
今年向何處 今年 何処に向ふ
元旦想盈卮 元旦 想い卮に盈つ
暮の29日、朝刊紙の一面記事は「赤字国債の発行」「公務員給与の削減を」「経済改善観測強まる」と並ぶ。熱気結構。だが真っ先にやるべきこと、国会議員の定数削減と歳費、政党交付金の引き下げはもう終ったのかな?
今春何処の庭にも花が咲き誇るように祈る。
作品番号 2013-09
元旦
早暁狗児駆 早暁 狗児は駆け
氷川鴨臥眠 氷川 鴨は臥し眠る
童歌初歳譜 童歌 初歳の譜
息白日昂然 息は白くして 日は昂然たり
元旦の朝の情景を浮かべました。
作品番号 2013-10
書初
清新春墨芳 清新 春墨芳し
法帖臨箋紙 法帖 箋紙に臨す
衰眼歳時空 衰眼 歳時空しく
仰崇書聖趾 仰崇す 書聖の趾
作品番号 2013-11
新年詠言
唱來版蕩獨嘆嗟 版蕩唱え来って獨い嘆嗟し
萬馬狂嘶城市嘩 萬馬狂嘶して城市嘩し
今旦迎新便祈念 今旦新を迎えて便ち祈念し
誰匡経済靖邦家 誰経済を匡て邦家靖んず
「版蕩」: 乱世を嘆ずる詩 詩経
「萬馬狂嘶」: 九州生氣恃風雷,萬馬齊喑究可哀己 自珍亥雑詩
「経済」: 経営済民
作品番号 2013-12
新年作
歳暮江南舞雪花
夫妻温酒楽団家
相賀新春微酔裡
謝天與我好年華
作品番号 2013-13
新春友来
朋友訪来茅舎春 朋友 訪なひ来たる 茅舎の春
東風度戸落花頻 東風 戸を度って 落花頻り
剪燈相語往時事 燈を剪り 相語たる 往時の事
酒及天明感更新 酒は天明に及ぶも 感 更に新なり
作品番号 2013-14
新年偶成
旭日満窓春動時 旭日窓に満ち 春動く時
坐看梅蕾点南枝 坐して看る 梅蕾南枝に点ずるを
馬齢傘壽尚強壮 馬齢傘寿 尚ほ強壮
酒嗜遊観我所思 酒嗜遊観 我が思ふ所
作品番号 2013-15
新年賀正
去歳政情将混迷 去歳 政情 将に 混迷
無謀与党悉拘泥 無謀な与党 悉く 拘泥
高齢傘寿今如夢 高齢 傘寿 今夢の如し
知命愉天歩野畦 命を知り 天を愉しみ 野畦を歩く
作品番号 2013-16
癸巳新春所懷
龍頭戴白髪, 龍頭 白髪を戴き,
蛇尾更延長。 蛇尾 更に延長す。
世界多艱苦, 世界に艱苦多く,
歳朝羞壽康。 歳朝 壽康を羞づ。
作品番号 2013-17
憶少年・癸巳新春所懷
巴蛇呑象, 巴蛇は象を呑み,
醉翁傾盞, 醉翁は盞を傾け,
歳朝揮筆。 歳朝に筆を揮ふ。
詩魂縱横好, 詩魂 縱横なるが好く,
倣鳴鴻張翼。 鳴鴻の翼を張るに倣ふ。
○ ○
夢想山青浮水碧, 夢想す 山は青く水の碧なるに浮くを,
是蓬島、嶂堪題壁。 是れ蓬島にして、嶂は壁に題するに堪ふ。
人應買雷斧, 人 まさに雷斧を買ひ,
刻金言不易。 刻むべし 金言の不易なるを
「憶少年」の詞譜は次のとおりです(『欽定詞譜』)。
雙調46字 前段5句両仄韻,後段4句3仄韻
△○△●,△○▲●,△○△仄。○○●△●,●△○○仄(一四)。
●●○○○●仄,▲△△、●△○仄。△○●△●,●△○△仄(一四)。
仄:仄声の押韻。○:平声。●:仄声。△:応平可仄。▲応仄可平。
(一四):五字句を上一下四に作る。「、」七字句を上三下四に作る。
作品番号 2013-18
癸巳新年有感(一)
新正麗日酒思融 新正 麗日 酒思融たり
五體健辛憐老衷 五體 健辛 老衷を憐れむ
試筆不揮詩未就 試筆 揮はず 詩未だ就らず
壽齢滿願謝東風 壽齢 滿願 東風に謝す
辛うじて五體満足老いの春
作品番号 2013-19
癸巳新年有感(二)
窮陰凝閉此迎春 窮陰 凝閉 此に春を迎ふ
淑氣洋洋萬象新 淑氣 洋洋 萬象新たなり
吟歩遲遲詩尚稚 吟歩 遲遲たり 詩尚ほ稚なり
一愚無二無三人 一愚 無二 無三人
初春や新ためたきこと二つ三つ
作品番号 2013-20
迎新年
乾坤家國亂麻時 乾坤 家國 亂麻の時
保革興亡何處之 保革 興亡 何處にか之かん
内憂外患多難問 内憂 外患 難問多し
起死回生萬衆期 起死 回生 萬衆期す
吾が事に非ず亂麻の去年今年
※第34回世界漢詩同好會総会参加詩としていただきましたが、新年漢詩にも掲載しました。
作品番号 2013-21
迎春賦
東風春意動 東風に春意動く
応有樹氷融 応に樹氷の融くこと有るべし
池水魚跳揺 池水 魚跳ねて揺らぎ
畦辺蓑笠翁 畦辺 蓑笠の翁
東の風が吹きだしてそこここに春の気配だ
この分では裏山や畦の氷も融けるに違いない
池の魚も目をさましたようだ 水面が揺れる
爺さまはじっと畑を眺めながら、さてもうそろそろか
作品番号 2013-22
元日作
五雲重万寿 五雲 万寿を重ぬ
一献酔顔紅 一献 酔顔紅なり
元日時開暦 元日 暦を開くの時
清閑笑語同 清閑 笑語を同じくす
鈴木先生、あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます
縁起のいい雲だ お陰さまで元気で又お正月を迎えさせてもらった
何はともあれ先ずは一杯
新しい暦を開くとのどかな清々しい時間が流れて
みんないい顔だねえ
作品番号 2013-23
癸巳新年
日将電脳探詩篇 日々電脳をもちひて詩篇を探す
収集詠吟超五千 収集せし吟詠五千を超す
活用嚢中珠玉句 嚢中の珠玉の句を活用して
推敲自作楽今年 自作を推敲して今年を楽しまん
日頃からパソコンを用いて、唐詩・宋詩を中心として、七言絶句を集めていますが、最近5000首を越えました。
そこで、これらの漢詩を活用して、自分の自作の詩をつくることを、今年は楽しみたいという元日の気持ちを表したものです。
貴ページは大変勉強になっていますので、一度は提出したいと思っておりました。
新年に思い切って出してみますので、どうぞよろしく厳しくご叱正賜りますようお願い申し上げます。
作品番号 2013-24
所向春来 向かふ所春来たる
梅雪争春天守堂 梅雪 春を争ふ天守堂
栄華衰乱史編常 栄華は衰乱 史編常なり
観英覚剣極真如 英を観て覚剣極まる真如を
不久万花潜内剛 久からずして万花内剛を潜めん
大阪城の梅林は、梅の小さなほころびと、小雪が舞い、どちらが春を誘うかとばかり、競いあっているよう。
その向こうにぼんやりと見える天守閣は、栄華を極め、衰亡への織りなす歴史を窺わせるようでした。
ふと一輪の芽を観ていると、そこには万物の天性の力が秘められていると心をうたれるものがありました。
しばらくすれば咲き誇る花となる強さが潜んでいるようで・・・
作品番号 2013-25
迎春
四海風和淑気移, 四海、風和らぎて淑気移り
三元独喜早梅披。 三元独り喜ぶ 早梅披(ひら)くを
春光麗日屠蘇酒, 春光麗日 屠蘇の酒
一夢功名知者誰。 一夢の功名 知る者は誰ぞ
昨年は西洋の定型詩研究に凝ってしまいまして、年初に漢俳を一首作っただけで、後は英語のソネットを作ったり、妻が作った童謡を英訳したりして、すっかりご無沙汰してしまいました。
本年も宜しくお願い致します。
作品番号 2013-26
癸巳新年作
初陽燦燦滿千門 初陽燦燦 千門に滿つ
天地仁風旭旆翻 天地仁風 旭旆翻がえる
賦得新詩揮禿筆 新詩賦し得て 禿筆を揮ひ
健康自壽賀三元 健康自ら壽ぎ 三元を賀す
作品番号 2013-27
癸巳偶感
政事争奪去荒年 政事の争奪荒む年を去り
癸巳新正我亦虔 癸巳の新正我も亦虔む
椒酒一杯梅有信 椒酒 一杯 梅に信有り
昇平貧計素心伝 昇平の貧計 素心を伝ふ
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくご指導下さい。
作品番号 2013-28
顧一年
早晨寒逼襲重衫 早晨 寒は逼って重衫を襲ふ
到日終天美酒銜 到日 終天 美酒の銜
長夏常秋厳冬節 長夏 常秋 厳冬の節
不如守拙愛平凡 拙を守って平凡を愛しむに如かず
作品番号 2013-29
歳首
多難時事尚依然 時代の状勢はなお依然として多難だ
祈願平安里社前 郷里の神社の前で平安を祈願する
不識七旬何益世 七十歳台、何が世の役に立つのかわからないが
好奇好学用之専 面白い事をさがして学ぶ、これを専らにしよう
作品番号 2013-30
新年作(勅題「立」)
旭日曈曈放瑞光 旭日 曈曈として瑞光を放ち
書窓瓶裏早梅香 書窓の瓶裏 早梅 香る
履端立志對宣紙 履端 志を立て 宣紙に対す
揮筆蓬蓬百慮忘 筆を揮へば 蓬蓬と 百慮忘る
「曈曈」: 朝日のかがやき始める様
「履端」: 年のはじめ
「蓬蓬」: 気がたかぶってきて
朝日がまぶしくめでたい光を放っている
書斎の窓の瓶裏から早梅が香ってくる
年の初めに志を立て 宣紙に向かい、
筆を揮うと 気が高ぶってきて やなことをすべて 忘れる
作品番号 2013-31
癸巳迎春
旭日曈曈大八洲 旭日曈曈
洪鈞一転宿雲収 洪鈞一転 宿雲収まる
人心相改遠山曄 人心 相改まり 遠山曄く
擧国再生民冀求 挙国再生 民 冀求す
伊勢遷宮、政権交替その他あらゆる面に於いて 再生を果たすべき年。
作品番号 2013-32
早春即興
出谷早鶯隔竹鳴 谷を出る早鶯 竹を隔て鳴く
野梅相映一枝横 野梅相映じて一枝横たふ
東風先訪春囘速 東風先ず訪ふ 春の囘る速し
小径徘徊残雪晴 小径徘徊 残雪晴れる
作品番号 2013-33
新年漢詩
年餘選挙庶人奔 年余の選挙 庶人奔(はし)り
政策應酬街市喧 政策の応酬 街市喧(かまびす)し
健闘自民回與党 健闘自民 与党に回(かへ)り
外交經濟守公言 外交経済 公言を守らん
「年余」: 冬
「喧」: やかましい