作品番号 2010-61
(新年漢詩・交流詩)賀新年連作五首 其之二
邦家土俗淑C覃 邦家の土俗 淑C覃く
先慶瑤春瑞色含 先づ慶ぶ瑤春の 瑞色を含む(慶仄用)
旦旭祈年進椒酒 旦旭に祈年して椒酒を進め
人人祚慶賀筵酣 人人祚慶 賀筵酣なり
作品番号 2010-62
(新年漢詩・交流詩)賀新年連作五首 其之三
旭日曈曈万戸覃 旭日曈曈万戸に覃び
邦家民庶泰平耽 邦家の民庶 泰平耽しむ
桃符更得希髏キ 桃符を更り得て 髏キを希い
爆竹聲中椒酒甘 爆竹聲中 椒酒甘し
<解説>
「爆竹聲中椒酒甘」: 剽窃句 「爆竹聲中一歳除」王安石
自知不及原詩 可羞
作品番号 2010-63
(新年漢詩・交流詩)賀新年連作五首 其之四
民庶窘窮何可堪 民庶窘窮して 何んぞ堪う可けんや
世情景況險艱諳 世情の景況に 險艱諳んず
今朝迎歳蝸廬穩 今朝歳を迎えば 蝸廬穩かに
試筆平安洗硯潭 平安を試筆して 硯潭を洗う
作品番号 2010-64
(新年漢詩・交流詩)賀新年連作五首 其之五
糊塗廟議弄朝三 糊塗の廟議 朝三を弄し
擲舊迎新空忍慙 舊を擲うち新を迎えては 空しく慙を忍ばん
冗子書來一年計 冗子書し來る一年の計
艱難國歩向誰談 艱難たる國歩 誰に向って談ず
<解説>
「朝三」: 朝三暮四 『荘子』
「書來一年計」: 和臭 日本之風習也
當年頭而定一計 俗謂曰「一年之計在元旦矣」
作品番号 2010-65
(新年漢詩・交流詩)賀新年
初陽燦燦照茅庵 初陽は燦燦と茅庵を照らす
閑酌屠蘇就半酣 屠蘇を閑酌 すなわち半酣
喜悦今朝齢七八 喜悦す 今朝 齢 七八
仍然康健又凝湛 仍然として 康健また凝湛なるを
作品番号 2010-66
(新年漢詩・交流詩)賀新年
醉賀新年午夢酣, 酔って新年を賀せば午夢 酣(たけなわ),
詩魔作虎臥龍潭。 詩魔 虎となって龍潭に臥す。
鬼謀善借龍纏繞, 鬼謀 善く龍の纏繞するを借り,
虎口拔牙醒草庵。 虎口に牙を抜いて草庵に醒む。
作品番号 2010-67
(新年漢詩)新春即事
家餐満卓老妻庖 家餐 卓に満つるは 老妻の庖
稚子歓声揺隠巣 稚子の歓声 隠巣を揺がす
宴尽寥寥児輩去 宴尽きて寥寥たり 児輩去る
冷杯独酌食残肴 冷杯 独り酌んで 残肴を食す
作品番号 2010-68
(新年漢詩・交流詩)新年述懐
元日朝餐緑酒甘 元日の朝餐 緑酒甘なり
竊期絶嶮陟巌探 竊かに期す 絶嶮 巌を陟りて探らんことを
去年傷毀戒吾暴 去年の傷毀 吾が暴なることを戒むも
逼塞坊中非所堪 坊中に逼塞するは堪ふる所に非ず
作品番号 2010-69
(新年漢詩)題平成庚寅勅題「光」
冷気旧年残夢中 冷気の旧年 残夢の中
東方遥拝曙光紅 東方 遥に拝す 曙光紅なり
窮途不況風雲斂 窮途の不況 風雲斂(おさ)まり
四海昇平祷碧翁 四海の昇平 碧翁に祷る
<解説>
不況の風が冷たい旧年からまだ覚めやらないが、今年、明るい兆しも見え初めている。未曾有の不況の嵐がおさまり、世界の平和を天に祷る。
作品番号 2010-70
(新年漢詩・交流詩)賀新年
天地歳朝春已含 天地 歳朝 春 已(すで)に含む
街頭賀客酔顔談 街頭の賀客 酔顔の談
敲門喜溢拝年信 門を敲(たた)く 喜び溢るる 拝年の信
雪解梅花来自南 雪解けて 梅花 南より来たる
<解説>
天地に元旦が訪れ 春の兆しが見えている
街頭に年賀で訪れている人々は 酔顔で会話している
郵便配達の人が来て 喜び溢れる年賀状を届けてくれる
雪は解け もう梅花の便りが南からやってきた
作品番号 2010-71
(新年漢詩・交流詩)賀新年
般若摩訶佛典耽 般若 摩訶 佛典に耽ず
皆空五蘊不能探 皆空 五蘊 探ずること能はず
賀春如此尋常事 賀春 此(かく)の如く 尋常の事
犬馬之齢何用慙 犬馬の齢 何ぞ慙づることを用ゐんや
<解説>
「摩訶般若犬馬の齢屠蘇の味」
「般若心経」: 摩訶般若波羅蜜多心経、略称・心経。
「摩訶」: 優れていること。偉大なこと。
「般若」: 修行の結果として得られた悟りの智慧。
「五蘊」: 物質と精神を五種(色受想行識)に分類。
「犬馬之齢(齒)」: 自分の年齢を謙遜して言う言葉。
作品番号 2010-72
(新年漢詩)新年書懐
旭日燦然茅舎中 旭日 燦然たり 茅舎の中
杖郷加七白頭翁 杖郷 七を加ふ 白頭の翁
任他政變非吾事 さもあらばあれ 政変 吾が事に非ず
随分優游坐恵風 分に随ひ 優游として 恵風に坐せん
作品番号 2010-73
(新年漢詩・交流詩)賀新年
瑞気氤氳盈草庵 瑞気
児孫藹藹共歓談 児孫 藹藹として 共に歓談す
古稀雖近老身健 古稀 近しと雖も 老身健なり
椒酒三杯酔興酣 椒酒三杯 酔興 酣なり
作品番号 2010-74
(新年漢詩・交流詩)賀新年
革命年明経済曇 革命の年明くも 経済曇り
政論迷走庶民堪 政論迷走 庶民は堪ふるのみ
臥薪嘗胆古新語 臥薪嘗胆 古く新しき言葉
浮世馴貧辛苦湛 浮世の貧に従えば 辛苦も楽し
作品番号 2010-75
(新年漢詩・交流詩)賀新年(早梅)
朔風凛凛雪花參 朔風凛凛 雪花
早曉踏霜衰草潭 早暁 霜を踏む 衰草の潭
春意往尋何處水 春意 往き尋ねん 何処の水
纔知疎影暗香甘 纔かに知る 疎影 暗香の甘きを
作品番号 2010-76
(新年漢詩)賀新年(新歳芳宴)
舊知故友集茅庵 旧知の故友 茅庵に集ひ
滿座笑声寧日談 満座の笑声 寧日の談
一酌一吟新歳賦 一酌一吟 新歳の賦
春風剪剪小庭南 春風剪剪たり 小庭の南
作品番号 2010-77
(新年漢詩)庚寅之旦
庚寅元旦曙光新 庚寅元旦 曙光新たなり
浄域倶妻幾度春 浄域 妻を倶なひて 幾度の春
拍手低頭心自洗 拍手 低頭 心自ら洗ふ
年移暁嶺老風塵 年は暁嶺に移り 風塵老ゆ
作品番号 2010-78
(新年漢詩)新年
元朝瑞気満晴空 元朝の瑞気 晴空に満ち
送舊迎新八十翁 旧を送り 新を迎ふ 八十の翁
朗朗吟聲幽雅宴 朗朗たる吟声 幽雅の宴
庚寅賀客酒觴中 庚寅の賀客 酒觴の中
作品番号 2010-79
(新年漢詩)迎八十歳之新年
乾坤瑞気入佳辰 乾坤の瑞気 佳辰に入り
百八鐘声歳此新 百八の鐘声 歳此に新たなり
無恙杖朝身尚健 恙が無し 杖朝 身尚ほ健たり
余生琴瑟共相親 余生 琴瑟 共に相親しまん
作品番号 2010-80
(新年漢詩)庚寅元旦
松竹吉祥千里風 松竹 吉祥 千里の風
新春和気瑞雲中 新春の和気 瑞雲の中
雖貪快飲屠蘇酒 貪なりと雖も 快飲す 屠蘇の酒
満肚高吟初旭紅 満肚 高吟 初旭紅なり
作品番号 2010-81
(新年漢詩)賀新年
早鶯樹上白雲通 早鶯 樹上 白雲通ず
正旦瑞光春水東 正旦 瑞光 春水の東
芳墨清奇新筆硯 芳墨 清奇 筆硯新た
佳肴椒酒恵風充 佳肴 椒酒 恵風充つ
作品番号 2010-82
(新年漢詩)賀新年
梅枝花発暗香通 梅枝花発きて 暗香通ず
暖日新鶯鳥語工 暖日 新鶯 鳥語工みなり
賀客一觴嬉笑宴 賀客一觴 嬉笑の宴
初春慶気太平風 初春の慶気 太平の風
作品番号 2010-83
(新年漢詩)賀新年
紫雲千里入晴空 紫雲千里 晴空に入る
村舎古梅花影中 村舎の古梅 花影の中
初日早鶯啼一竹 初日 早鶯 一竹に啼き
柳糸風動小楼東 柳糸 風に動く 小楼の東
作品番号 2010-84
(新年漢詩)平成庚寅正月
庭樹鶯来鳥語工 庭樹 鶯来たりて 鳥語工みなり
花明韶景坐東風 花明らかにして 韶景 春風に坐す
三元賀客探春酒 三元 賀客 探春の酒
万事新晴瑞気通 万事 新晴 瑞気通ず
作品番号 2010-85
(新年漢詩)五十一春
百八鐘声歳已終 百八の鐘声 歳已に終はり
東天仰見曙光紅 東天迎ぎ見れば 曙光紅なり
一年祈幸笑顔満 一年の幸を祈ると 笑顔満つ
万事順風和気充 万事順風 和気充てり
作品番号 2010-86
(新年漢詩)歳旦
瑞気洋洋旭日紅 紫雲洋洋として 初日紅なり
遥望雪嶺草堂中 遥かに雪嶺を望む 草堂の中
今年更究詩書業 今年更に究めむ 詩書の業
勉励揮毫字勢雄 勉励 毫を揮へば 字勢雄なり
作品番号 2010-87
(新年漢詩)新年作
山紫玲瓏瑞兆穹 山紫玲瓏 瑞兆の穹(そら)
軽寒淑気柴門中 軽寒の淑気 柴門の中
吟朋款待珍羞卓 吟朋款待す 珍羞の卓
歳旦芳樽満面紅 歳旦の芳樽 満面紅なり
作品番号 2010-88
(新年漢詩)賀新年
歳旦軽陰山色濛 歳旦 軽陰 山色濛たり
鶏鳴一叫小楼東 鶏鳴一叫 小楼の東
行人笑語酒家路 行人笑語 酒家の路
樹上祥雲鶴馭空 樹上 祥雲 鶴空を馭す
作品番号 2010-89
(新年漢詩)賀新年
山気春生万里風 山気春を生ず 万里の風
暁光遍到玉堂中 暁光 遍く到る玉堂の中
佳肴歓宴椒花酒 佳肴 歓宴 椒花の酒
一朶鶯声瑞気通 一朶 鶯声 瑞気通ず
作品番号 2010-90
(新年漢詩)賀新年
庭梅玉蕾旭光紅 庭梅の玉蕾 旭光紅なり
出谷早鶯西又東 谷を出づる早鶯 西又東
百八鐘声滌煩悩 百八の鐘声 煩悩を滌ふ
三元万里太平風 三元 万里 太平の風