2006年の新年漢詩 第16作は 菊太郎 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-16

  丙戌新年書懐        

平成丙戌破瓜春   平成丙戌、破瓜の春

鬢雪偸生詩酒親   鬢雪生を偸み、詩酒に親しむ

避俗野翁身尚健   俗を避く野翁、身尚健なり

元朝一盞酔吟新   元朝一盞、酔吟新たなり

          (上平声「十一真」の押韻)

漢詩は甚だ未熟ですが、本年、詩吟にも挑戦します。





















 2006年の新年漢詩 第17作は 枳亭 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-17

  丙戌新春感懐        

当喜飯餐無厭飽   当に喜ぶべし 飯餐に 厭飽無く

可安医薬莫相親   安んずべし 医薬に 相親しむ莫し

瑞雲蔽地寿初夢   瑞雲 地を蔽ふ 初夢を寿し

八十一回迎此春   八十一回 此の春を迎ふ

          (上平声「十一真」の押韻)

  [口訳]
   食物に好き嫌いも無く、飽くことも無く、
   医者にも薬にも殆どお世話にならない。この自分を喜び、安心がもてる。
   (騒乱と汚濁の)地上にも瑞雲が広がる、こんな光景の初夢を見て
   八十一回目の新春をめでたく迎えた。






















 2006年の新年漢詩 第18作は ニャース さんからの作品です。
 

作品番号 2006-18

  元旦        

団聚全家満笑声   団聚 全家 笑声満ち、

初光元旦在東京   初光 元旦 東京にあり。

幾多還剰人生興   幾多 まだ剰す 人生の興、

拝地拝天願太平   拝地 拝天 太平を願う。

          (下平声「八庚」の押韻)

 大連から一時帰国し家族でお正月をすごしております。
鈴木先生 今年もよろしくお願いいたします。






















 2006年の新年漢詩 第19作は 諦道 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-19

  新年        

寒柯雪裏浄無塵   寒柯の雪裏清くして塵なし

一朶庭梅香馥親   一朶の庭梅は香馥親し

安坐僧房聴鶯語   僧房に安坐して鶯語を聴く

幽清之処又逢春   幽清之処又春に逢ふ

          (上平声「十一真」の押韻)






















 2006年の新年漢詩 第20作は 諦道 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-20

  元旦        

十八鐘声丙戌辰   十八鐘声丙戌の辰

窓梅一朶曙光親   窓梅一朶曙光親し

真前献供閼伽水   真前に閼伽の水を献供し

祝祷三元万象新   三元に祝祷すれば万象新たなり

          (上平声「十一真」の押韻)






















 2006年の新年漢詩 第21作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-21

  丙戌元旦        

六十年間天下平   六十年間、天下平らかなり

還來丙戌感頻生   還り來る丙戌、感頻りに生ず

往時艱苦渾如夢   往時の艱苦、渾て夢の如し

今日安寧須守成   今日の安寧、須らく守成すべし

          (下平声「八庚」の押韻)






















 2006年の新年漢詩 第22作は 緑風 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-22

  祝新春        

去歳郵民論激昂   去歳 郵民論 激昂す

小泉丸順境颺颺   小泉丸 順境 颺颺

未年金拉致終結   未だ年金拉致終結ならずも

四海仰春祈吉慶   四海 春を迎え 吉慶を祈る

          (下平声「七陽」の押韻)






















 2006年の新年漢詩 第23作は 禿羊 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-23

  丙戌元旦口占        

歳除風疾渉新年   歳除の風疾 新年に渉り

丙戌兆占些悄然   丙戌 兆占して 些か悄然たり

嚏噴一発排邪気   嚏噴ていふん 一発 邪気を排し

上膝慈孫臨賀筵   膝に慈孫を上して賀筵に臨まん

          (下平声「一先」の押韻)


 皆様、明けましておめでとうございます。

 年末に風邪をひいて正月中苦しんでおりました。承句は正月早々風邪を引いて、今年は縁起が悪そうだといった程度の意味です。





















 2006年の新年漢詩 第24作は 人正 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-24

  思新年        

歳旦乾坤旭日紅   歳旦の乾坤に旭日は紅

街頭松竹坐春風   街頭の松竹、春風に坐す

聞便雪降震災域   便りに聞く、雪、震災の域に降ると

但欲寒雲去遠空   但に寒雲、遠空に去らんことを欲す

          (上平声「一東」の押韻)

<解説>

 茨城県土浦で快晴の平成18年の正月を迎えた。町の正月飾りにも春風が吹くようだ。しかし、ニュースで見ると日本海側は大雪とのことだ。新潟県中越地震の震源地である山古志の山にも容赦なく大雪が降っている。一刻も早くあの山の上から雪を降らせる寒雲が去ることを願うばかりだ.






















 2006年の新年漢詩 第25作は 参川古稀 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-25

  元日新詠(改)        

青松賀歳五雲中   青松 賀歳 五雲の中

白鶴飛来淑気通   白鶴飛び来たり 淑気通ず

賓客欣欣無限思   賓客欣欣 限りなきの思ひ

芳醇暢飲満堂紅   芳醇 暢飲 満堂紅し

          (上平声「一東」の押韻)

<解説>

 じいさんとばあさんの二人きりの元旦に、孫も来、友達もやって来た。飲んべえの爺さんは早速酒宴、孫達はゲームでキャッキャッと騒いでいる。
 外は寒い今年の冬だが、家の中は春うららです。






















 2006年の新年漢詩 第26作は 謝斧 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-26

  御題 笑        

拊掌呵呵欲解頤   掌を拊ち呵呵 頤を解かんとし

笑門来福復何疑   笑門来福 復た何んぞ疑わん

縱令歓楽無開口   縱令 歓楽して 口を開くこと無きも

勿使傾城生百眉   傾城をして百眉を生ぜしむ勿れ

          (上平声「四支」の押韻)


「不開口笑是癡人」   (「対酒」 白楽天 )
「回眸一笑百媚生」   (「長恨歌」 白楽天)
  「眉」は「こびる」 媚の転用 眉仮借媚 眉媚成

我が意を得たりと手を打って、顎を外して呵々大笑する
笑門来福を疑うわけではありません。
ただ、歓楽しても口を開いて笑うことの無い愚かな人を責めるよりは
笑いを用いて、かわいらしい仕草で手練手管を弄す美人には、くれぐれも用心しなければ























 2006年の新年漢詩 第27作は 鯉舟 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-27

  拝歳有作        

靉靆瑞雲度恵風   靉靆たる瑞雲 恵風度(わた)り

晨鶏報暁狗声雄   晨鶏暁を報じ 狗声雄なり

前途幾盞屠蘇酒   前途幾盞 屠蘇酒

痩骨何傷七十翁   痩骨何ぞ傷(かなしま)ん 七十翁

          (上平声「一東」の押韻)



 この年齢になりますと、屠蘇を祝うのはあと何回だろうかとつい先々のことを考えますが、今年も永らえて新年を迎えられたことを喜び又感謝しております。
 鈴木先生には永らくご無沙汰しましたが、本年もよろしくお願い申し上げます。






















 2006年の新年漢詩 第28作は サラリーマン金太郎 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-28

  丙戌新年書感        

新市誕生将一年   新市誕生将に一年ならんとす

匆忙職務不成眠   匆忙(こつぼう)職務眠りを成さず

偸間開籍巴篇作   偸間開籍(とうかんかいせき)巴篇作(な)る

黄鳥報春心豁然   黄鳥春を報じて心豁然たり

          (下平声「一先」の押韻)



 平成18(2006)年、謹賀新年!

鈴木淳次先生をはじめ、同門の皆様、今年もよろしくお願いします。






















 2006年の新年漢詩 第29作は世界漢詩同好會でもお世話いただいている台湾の 蝶依 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-29

  新春寄懷        

新春題雁字,   

筆底問升沉。   

久客無歸意,   

佳詩慰素心。   

長懷滄海外,   

極目白雲深。   

憶汝君知否,   

匆匆直到今。   

          (上平声「十一真」の押韻)






















 2006年の新年漢詩 第30作も台湾の 蝶依 さんからの作品です。
 

作品番号 2006-30

  迎春有感        

攬勝吟花未厭多,   

風塵作客等濶゚。   

紛紛世務隨流水,   

淡淡春情欲解歌。   

眼底浮雲山影轉,   

林間拾翠鳥聲和。   

飛霞一片濃於酒,   

更合詩狂入綺羅。   

          (下平声「五歌」の押韻)