第38回 世界漢詩同好會總會(二〇一四年五月十三日)

 『世界漢詩同好會』の第38回総会は、5月13日に開かれます。
 詩題(今回は『初夏情景』)と押韻(今回は「上平声八齊」)を共通として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。

 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



         日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。

                  番号をクリックして下さい。


    作品番号 作 者 題 名 詩 形
   01 深溪 「初夏情景」七言絶句
   02 銅脈 「初夏鎌倉高徳院情景」七言絶句
   03 道佳 「初夏情景」七言絶句
   04 兼山 「初夏情景(一)」七言絶句
   05 兼山 「初夏情景(二)」七言絶句
   06 Y.T 「初夏情景(一)」七言絶句
   07 Y.T 「初夏情景(二)」五言律詩
   08 Y.T 「初夏情景(三)」七言律詩
   09 Y.T 「夏雨情景」五言絶句
   10 謝斧 「初夏情景」七言律詩
   11 押原 「初夏情景」七言絶句
   12 茜峰 「初夏情景(清掃山行)」七言絶句
   13 劉建 「初夏情景」七言律詩
   14 哲山 「初夏情景」五言絶句
   15 薫染 「初夏情景」七言絶句
   16 明鳳 「初夏情景 其一」七言絶句
   17 明鳳 「初夏情景 其二」七言絶句
   18 鮟鱇 「初夏情景 其一」五言絶句
   19 鮟鱇 「初夏情景 其二」七言絶句
   20 鮟鱇 「初夏情景 其三」五言律詩
   21 鮟鱇 「初夏情景 其四」七言律詩
   22 東山 「初夏情景(一)」七言絶句
   23 東山 「初夏情景(二)」七言絶句
   24 點水 「初夏情景」七言絶句
   25 杜正 「初夏情景」七言絶句
   26 洋景 「初夏情景」七言絶句
   27 ニャース 「初夏情景 於申城(上海)」七言絶句
   28 常春 「初夏情景(一)」七言絶句
   29 常春 「初夏情景(二)」七言絶句
   30 常春 「初夏情景(三)」五言絶句
   31 觀水 「初夏情景」七言律詩
   32 Y.T 「初夏偶成」七言絶句
   33 桐山人 「初夏情景(一)」七言絶句
   34 桐山人 「初夏情景(二)」七言絶句
   35 桐山人 「初夏情景(三)」五言律詩
   36 桐山人 「初夏情景(四)」七言律詩
   37 春空 「初夏情景」七言絶句
   38 忍夫 「初夏雜感(一)」七言絶句
   39 忍夫 「初夏雑感(二)」七言絶句
   40 玄齋 「初夏情景」七言絶句
   41 黒浴@「初夏情景」七言絶句
   42 M.T(桐山堂刈谷) 「初夏情景」七言絶句
   43 T.K(桐山堂刈谷) 「初夏情景」七言絶句
   44 眞海(桐山堂刈谷) 「初夏農園」七言絶句
   45 勝江(桐山堂刈谷) 「西尾郷初夏」七言絶句
   46 N.I(桐山堂刈谷) 「初夏情景」七言絶句
   47 老遊(桐山堂刈谷) 「初夏情景」七言絶句





































[01]
投稿者 深溪 

[初夏情景]

閣閣秧田野色斉   閣閣 秧田 野色斉しく

望遠冨岳夕陽西   夕陽の西に冨岳を遠く望み

東郊十里塵機絶   東郊 十里 塵機を絶す

夏草扶疎玉水堤   夏草扶疎たる 玉水の堤

          (上平声「八齊」の押韻)


「閣閣」: 蛙の鳴き声。
「秧田」: 稲田。
「扶疎」: 草の茂るさま。
「玉水」: 日本関東地方、多摩川。
























[02]
投稿者 銅脈 

[初夏鎌倉高徳院情景]

落紅一路樹如齊   落紅一路 樹 斉ふが如し

俳句風懷知大体   俳句の風懐 知が大体

大佛香煙薫風裏   大仏香煙 薫風の裏

蕭然閑坐甲兵洗   蕭然として閑坐 甲兵を洗ふ

          (上平声「八齊」の押韻)

























[03]
投稿者 道佳 

[初夏情景]

峰頂白銀山鳥啼   峰頂は白銀 山鳥は啼く

水村田作彩花畦   水村の田作 花畦彩たり

開華霏散櫻桃匆   開華すれど霏散す 桜桃匆(いそが)し

短美春光何處迷   短し 美しき春光 何処へ迷はん

          (上平声「八齊」の押韻)


大山の山頂は雪で光り輝き、山鳥が啼いている
村里では、田植えに忙しく、畦道にはいろいろな花が咲いている
先ごろまで咲いていた桜桃はなんと早くも散ってしまった
春が大変短くどこへ迷い行ってしまったのか
























[04]
投稿者 兼山 

[初夏情景(一)]

櫻花前線今何處   櫻花 前線 今 何處

燕子歸來食草泥   燕子 歸り來り 草泥を食む

不住光陰春已去   光陰 住らず 春 已に去り

如潮新緑促新題   新緑 潮の如く 新題を促す

          (上平声「八齊」の押韻)


 万緑の中に葉桜失せにけり
























[05]
投稿者 兼山 

[初夏情景(二)]

早曉六時聽遠雞   早曉 六時 遠鶏を聽く

百花飛盡緑初齊   百花 飛び盡して 緑初て齊し

池中水暖動緋鯉   池中 水暖 緋鯉動き

家内怱怱老嫗迷   家内 怱怱 老嫗迷ふ

          (上平声「八齊」の押韻)


 花冷えの過ぐれば暑し昨日今日
























[06]
投稿者 Y.T 

[初夏情景(一)]

梅子青青此゙堤   梅子 青々 緑 堤に満ち

池塘水溢草萋萋   池塘 水溢れて 草 萋々たり

小齋到暮無來客   小斎 暮に到るも 来客 無く

只聴林間杜宇啼   只 林間に 杜宇の啼くを聴くあるのみ

          (上平声「八齊」の押韻)

























[07]
投稿者 Y.T 

[初夏情景(二)]

梅子初黄節   梅子 初めて黄ばむの節

風薫野草萋   風 薫って 野草 萋る

林間聴杜宇   林間 杜宇を聴き

池上望田鶏   池上 田鶏を望む

雙蝶舞花苑   双蝶 花苑に舞ひ

亂鴉飛麦畦   群鴉 麦畦に飛ぶ

拷A催午睡   緑陰に 午睡を催し

時自夢魂迷   時に自ずと 夢魂迷ふ

          (上平声「八齊」の押韻)


「田鶏」: 殿様蛙。因みに中国料理で使う蛙が是。
























[08]
投稿者 Y.T 

[初夏情景(三)]

梅肥時節草萋萋   梅 肥ゆるの時節 草 萋萋

雨霽風温緑満堤   雨霽れ 風 温かく 緑 堤に満つ

十里驅車游古刹   十里 車を駆りて 古刹に游び

半途凭軾憩幽蹊   半途 軾に凭りて 幽蹊に憩ふ

上丘樹蔭囀黄鳥   丘に上れば 樹蔭 黄鳥 囀り

下澤池辺戯水鶏   澤に下れば 池辺 水鶏 戯る

獨佇蘆汀松籟急   獨り 蘆汀に佇めば 松籟 急に

夕雲流去日将西   夕雲 流れ去って 日 将に西せんとす

          (上平声「八齊」の押韻)


「黄鳥」: 高麗鶯(日本鶯とは少し種を異にす)
「水鶏」: 秧鶏(くいな)。
























[09]
投稿者 Y.T 

[夏雨情景]

天陰風颯颯   天陰(かげ)り 風 颯颯

雲湧雨凄凄   雲湧いて 雨 凄凄

草裏蟲声歇   草裏 蟲声 歇み

林間一鳥啼   林間 一鳥 啼く

          (上平声「八齊」の押韻)

























[10]
投稿者 謝斧 

[初夏情景]

首夏出遊瓢酒携   首夏出遊して瓢酒携へ

山行排草入幽蹊   山行草を排して 幽蹊に入る

乞茶田媼清神爽   茶を田媼に乞えば 神を清くして爽やかに

聞路村童疲足迷   路を村童に聞いては 足を疲て迷う

燕子平飛楊柳   燕子平飛して 楊柳緑に

卯花初發杜鵑啼   卯花初て發いて 杜鵑啼く

扶疎樹裏香城浄   扶疎たりし樹裏に 香城浄く

借榻跏趺與物斉   榻を借って跏趺すれば物と斉し

          (上平声「八齊」の押韻)

























[11]
投稿者 押原 

[初夏情景]

清風習習草萋萋   清風習習 草 萋萋

溌剌池魚水拍堤   溌剌たる池魚 水 堤を拍つ

初夏拷禽語靜   初夏の緑園 禽語 静か

圍棋閑客忘陽低   棋を圍む閑客 陽の低きを忘る

          (上平声「八齊」の押韻)

























[12]
投稿者 茜峰 

[初夏情景(清掃山行)]

拾芥山行迂回蹊   拾芥の山行 蹊を迂回す

踏破叢莽下降溪   叢莽を踏破し 溪に下降す

談諧朋友慈苺味   朋友と談諧し 苺の味を慈しむ

緑樹薫風杜宇啼   緑樹 薫風 杜宇啼く

          (上平声「八齊」の押韻)


 私の所属する山岳会の全国連盟では、毎年6月第1日曜日は一斉に清掃登山をする。
それぞれ決められた近くの山を 清掃する。
 山道を迂回しながら、ポリ袋、ごみばさみ等を持って登る。
草むらに分け入ったり、小川の谷道に下ったりして 隠れたごみを拾う。
途中で採ったキイチゴなどを食べ野趣を楽しみ 仲間と談笑 ほっと息していると、
緑の木々のどこからか風に乗ってホトトギスの声が聞こえる。

 清掃とはいえ 労働半分、山行気分満喫半分の 楽しい山行である。
























[13]
投稿者 劉建 

[初夏情景]

枝繁葉茂鳥飛低   枝繁り 葉茂り 鳥飛ぶこと低く

壕テ紅稀柳覆隄   緑暗く 紅稀なり 柳堤を覆ふ

點水蜻蜒跳上下   水を点じて 蜻蜒 上下に跳び

穿花蛺蝶舞東西   花を穿ちて 蛺蝶 東西に舞ふ

樓空人去未能解   楼空しく 人去り 未だ解すこと能くせず

雁杳魚沈忽得迷   雁杳として 魚沈み 忽ち迷ひを得る

禍起蕭墻有前兆   禍は蕭墻に起こらば 前兆有り

變生肘腋無端倪   変は肘腋に生まれても 端倪無し

          (上平声「八齊」の押韻)


「禍」: ここではマレーシア機の失踪事件を指す。
「變」: 異変が極近くに起きて何者かがどこかに(異次元を含む)に拉致した可能性。
























[14]
投稿者 哲山 

[初夏情景]

風爽爽鳥囀   風爽爽として鳥囀り

花乱草萋萋   花乱れて草萋萋

午影書窗内   午影 書窓の内

胡虫欲出迷   胡虫 出んと欲して迷ふ

          (上平声「八齊」の押韻)

























[15]
投稿者 薫染 

[初夏情景]

年年愛惜晩春溪   年年愛惜す 晩春の渓

歳歳歡迎野鳥啼   歳歳歓迎す 野鳥の啼くを

内海微風翻被服   内海微風 被服を翻(ひるがへ)し

青山岳麓小川堤   青山の岳麓 小川の堤

          (上平声「八齊」の押韻)

























[16]
投稿者 明鳳 

[初夏情景(其一)]

晩來好雨地中齊   晩来の 好雨は 地中に 斉(ひと)しく

端午竹林求笋躋   端午の 竹林に 笋(たけのこ)を 求めて 躋(のぼ)る

早曉叢篁心氣爽   早暁の 叢篁(そうこう)は 心気 爽やかに

豐年筍膳此相携   豊年の 筍膳(じゅんぜん) 此(ここ)に 相 携(たずそ)ふ

          (上平声「八齊」の押韻)


今年の「竹の子」は、表年(おもてどし)にあたり、出来が良いと言われる。
宿雨の後の早朝に、朝掘りの「竹の子」を求め、早速 旬(しゅん)の美味を食した。
























[17]
投稿者 明鳳 

[初夏情景(其二)]

端午叢篁求笋躋   端午の 叢篁に 笋(たけのこ)を 求めて 躋(のぼ)れば

竹林生育地中齊   竹林の 生育は 地中に 斉(ひと)しく

晩來好雨知時節   晩来の 好雨は 時節を 知る

朝掘新鮮筍膳携   朝掘りは 新鮮にして 筍膳(たけのこぜん) 携(たずそ)ふ

          (上平声「八齊」の押韻)


春の到来遅く、花見や農耕の時期が心配だったが、その時機が至れば、花見も農耕も例年通りで一安堵乎。
「竹の子」も端午の時節に「旬」の味覚を頂いて、自然の恵みを満喫した。

























[18]
投稿者 鮟鱇 

[初夏情景 其一]

緑陰篩日景,   緑陰 日景を篩ひ,

白首探詩題。   白首 詩題を探る。

人小山高處,   人は小さく山は高きところ,

閑吟競午鷄。   閑吟 午鷄と競ふ。

          (上平声「八齊」の押韻)























[19]
投稿者 鮟鱇 

[初夏情景 其ニ]

初夏臥游尋碧溪,   初夏 臥游して碧溪を尋ぬれば,

緑陰肥處老鶯啼。   緑陰肥ゆるところ老鶯啼く。

蒼巖堪坐輕風爽,   蒼巖 坐るに堪へて輕風は爽か,

目送清流山麓西。   目送せし清流は山麓の西。

          (上平声「八齊」の押韻)






















[20]
投稿者 鮟鱇 

[初夏情景 其三]

日暄春已逝,   日は暄にして春はすでに逝き,

風軟繞雙栖。   風軟かく雙栖を繞る。

行樂尋湖畔,   行樂 湖畔を尋ね,

逍遙伴老妻。   逍遙 老妻を伴ふ。

浮光水輝煥,   光を浮かべて水は輝煥し,

游目嶺高低。   目を遊ばす嶺に高低あり。

霞彩收歸鳥,   霞彩 歸鳥を収め,

旅亭聽水鷄。   旅亭に水鷄を聽く。

          (上平声「八齊」の押韻)



「雙栖」: 夫婦ふたりの住まい。
「水鷄」: 蛙のこと。























[21]
投稿者 鮟鱇 

[初夏情景 其四]

清貧少好伴荊妻,   清貧 好むを少なくして荊妻を伴ひ,

探勝逍遙桃李蹊。   勝を探り逍遙す 桃李の蹊。

花痩緑肥春已逝,   花は痩せ緑は肥えて春すでに逝き,

山高人小夏難題。   山は高く人は小さく夏は題とするに難し。

風光游目詩無用,   風光 目を游ばせば詩に用は無く,

茅店傾杯酒到臍。   茅店 杯を傾ければ酒 臍に到る。

暫借紅顔望河水,   暫く紅顔を借りて望む河水,

清輝瀲瀲洗長堤。   清かに輝いて瀲瀲と長堤を洗ふ。

          (上平声「八齊」の押韻)






















[22]
投稿者 東山 

[初夏情景(一)]

新轟O風村野景   新緑薫風 村野の景

黄雲燕語鯉旗蹊   黄雲燕語 鯉旗の蹊

朝陽吟歩遠山笑   朝陽吟じ歩けば 遠山笑い

今日江畔草木萋   今日江畔 草木萋たり

          (上平声「八齊」の押韻)

























[23]
投稿者 東山 

[初夏情景(二)]

雨止携筇新緑蹊   雨止んで筇を携ふ 新緑の蹊

午陰C澗老鶯啼   午陰の清澗 老鶯啼く

登臺眺望故郷景   台に登り眺望す 故郷の景

五月晴空見絳霓   五月の晴空 絳霓を見る

          (上平声「八齊」の押韻)

























[24]
投稿者 點水 

[初夏情景]

麥秋白晝緑楊堤   麦秋の白昼 緑楊の堤

雲雀高飛燕子低   雲雀は高飛 燕は低く

収穫插秧農事急   収穫 插秧 農事は急

田夫捷足走町畦   田夫は捷足 町畦を走る

          (上平声「八齊」の押韻)

























[25]
投稿者 杜正 

[初夏情景]

首夏奇峰樹色斉   首夏の奇峰 樹色 斉し

薫風樵径杜鵑啼   薫風の樵径 杜鵑 啼く

昔時競採君安在   昔時の競採 君 安こに在りや

山上孤筇思故谿   山上にて 孤筇 故谿を思ふ

          (上平声「八齊」の押韻)


夏に入ったばかりの山の峰々 樹色が若葉一色だ。
薫風が吹くきこりの道を歩いていると、ホトトギスが啼いた。
昔、小さい頃、山に入って競っていろいろなものを採り合った君 今はどこにいるのだろう。
山上に登って 一人杖をついて 故郷の谷のことを思い出すのだ。
























[26]
投稿者 洋景 

[初夏情景]

藤花嫋嫋玉簾低   藤花嫋嫋として玉廉低れ

習習薫風芬郁齎   習習たる薫風 芬郁齎す

双燕翩飛碧天下   双燕翩飛す 碧天下

舊巣不忘屋檐啼   舊巣忘れず 屋檐に啼く

          (上平声「八齊」の押韻)

























[27]
投稿者 ニャース 

[初夏情景 於申城(上海)]

江南立夏雨雲低   江南 立夏 雨雲低れ

歸巢怱忙衆鳥啼   巣に帰らんと怱忙 衆鳥啼く

禽獸又知團聚樂   禽獣も又知る 団聚の楽しみ

白頭何意選孤棲   白頭 何の意か 孤棲を選ぶ

          (上平声「八齊」の押韻)


江南地方は立夏を迎えているが、雨雲がたれこめている。
鳥たちは、慌ただしく自分の巣に帰っていく。
禽獣でも皆の集まりを楽しんでいるのに、
私は何故 ひとり暮らしをしているのだろう。
























[28]
投稿者 常春 

[初夏情景(一)]

正終春菜急耕犂   正に春菜を終え 耕犂急なり

忽整秧田燕落泥   忽ち整ふ秧田 燕 泥に落つ

合理文明工省力   合理の文明 省力工なるも

惟祈天帝秋熟黎   惟だ 天帝に祈る 秋の熟黎を

          (上平声「八齊」の押韻)

























[29]
投稿者 常春 

[初夏情景(二)]

一望茶園槍芽齊   一望の茶園 槍芽斉ふ

農機採剪觀東西   農機の採剪 東西に観る

今消酬唱纔單韻   今酬唱消えて 纔かに単韻

年歳從新不可稽   年歳 新に従ひて稽まるべからず

          (上平声「八齊」の押韻)

























[30]
投稿者 常春 

[初夏情景(三)]

生生新獄   生々 新緑の野

雍鼻歩叢畦   雍鼻(鼻歌) 叢畦を歩む

乍覺幼時唱   乍ち覚ゆ 幼時の唱

舊懷青壯迷   旧懐す 青壮の迷を

老鶯鳴隠篠   老鶯 篠に隠れて鳴き

新燕剪銜泥   新燕 泥を銜えて剪る

好景心跳動   好景 心跳動す

幸哉今隠棲   幸いなる哉 今の隠棲

          (上平声「八齊」の押韻)

























[31]
投稿者 觀水 

[初夏情景]

田夫韻事數相迷   田夫の韻事は数しば相迷ふも

孟夏風光是好題   孟夏の風光是れ好題

輕燕悠悠雲上下   軽燕悠悠たり雲の上下

野童喜喜水東西   野童喜喜たり水の東西

鬢邊蝶舞開眼   鬢辺蝶は舞ひ青眼を開き

鞋底花驚度曲堤   鞋底花は驚き曲堤を度る

一日逍遙欲歸處   一日逍遥して帰らんと欲する処

自知胸裏妙詩携   自ら知る胸裏妙詩携ふを

          (上平声「八齊」の押韻)


風流人のまねごとは しょっちゅう迷ってばかりでも
夏のはじめのこの景色 詩の題材にちょうどよい
燕かるがる跳びまわる 雲の上やら下やらへ
子供わいわい騒いでる 川の東や西やらで
頭のまわり舞う蝶に 親しい眼差し送りつつ
足もとの花驚かし 曲がりくねった土手を行く
たっぷり一日歩いたら そろそろ家に帰るとき
自然と気付く胸のうち よい詩ができていることに
























[32]
投稿者 Y.T 

[初夏偶成]

異郷漂泊独羈棲   異郷に 漂泊し 独り 羈棲す

初夏時聴杜宇啼   初夏 時に杜宇の啼くを聴く

日午涼陰催一睡   日は午にして 涼陰 一睡を催(もよお)し

林間夢覚客心迷   林間 夢覚めて 客心 迷う

          (上平声「八齊」の押韻)

「羈棲」: 旅住まい。
























[33]
投稿者 桐山人 

[初夏情景(一)]

滿園躑躅白紅齊   園に満つる躑躅 白紅斉し

颯颯薫風飛蝶低   颯颯たる薫風 飛蝶低し

古寺門前野衣老   古寺の門前 野衣の老

鄙歌長嘯午鳩啼   鄙歌 長嘯すれば 午鳩啼く

          (上平声「八齊」の押韻)

























[34]
投稿者 桐山人 

[初夏情景(二)]

樹樹濃陰萬草萋   樹樹 陰を濃くして 万草萋し

薫風一陣度閑溪   薫風一陣 閑渓を度る

水聲瀝瀝清涼趣   水声は瀝瀝たり 清涼の趣

幽境更深苔石蹊   幽境 更に深し 苔石の蹊

          (上平声「八齊」の押韻)

























[35]
投稿者  

[初夏情景(三)]

首夏川原路   

丘山緑一齊   

橘花清氣滴   

栗樹馥香提   

田水浸蔬圃   

野風過麦畦   

孤筇吟午下   

閑歩酒壺攜   

          (上平声「八齊」の押韻)

























[36]
投稿者 桐山人 

[初夏情景(四)]

郊村一路草萋萋   郊村一路 草萋萋

午下農人憩稻畦   午下 農人 稲畦に憩ふ

柔嫋輕風搖克   柔嫋たる軽風 緑樹を揺らし

翩翻雙燕覓新栖   翩翻たる双燕 新栖を覓む

嘯吟詩句野鳩和   詩句を嘯吟すれば 野鳩和し

來往陌阡郷犬啼   陌阡を来往すれば 郷犬啼く

夏日晴光還似舊   夏日の晴光 還た旧の似し

悠然更歩酒壺攜   悠然として更に歩すに酒壺を携ふ

          (上平声「八齊」の押韻)

























[37]
投稿者 青空 

[初夏情景]

薫風漾緑上清溪   薫風は緑を漾はす 清渓の上(ほとり)

躑躅滿庭山鳥啼   躑躅は庭に満ち 山鳥啼く

聳立塔堂千歳寶   聳立せる塔堂 千歳の宝

香煙讀經淨心齋   香煙 読経 淨心齋し

          (上平声「八齊」の押韻)

























[38]
投稿者 忍夫 

[初夏雜感(一)]

楊柳薫風十里堤   楊柳、風を薫らせる 十里の堤、

耕人暫憩兩三畦   耕人 暫く憩ふ 両三畦。

孤追白蝶迷行路   孤り白蝶を追って、行路に迷ひ、

借問村童湖水西   村童に借問す 湖水の西。

          (上平声「八齊」の押韻)

























[39]
投稿者 忍夫 

[初夏雜感(二)]

田園處處老鶯啼   田園 処々 老鶯啼き、

徐揚疎簾野色齊   徐々に疎簾を揚ぐれば 野色斉し。

草木浴光生爽氣   草木は光を浴びて、爽気を生じ、

清風一陣竹林西   清風 一陣 竹林の西。

          (上平声「八齊」の押韻)

























[40]
投稿者 玄齋 

[初夏情景]

朝來新樹歩山蹊   朝来 新樹の山蹊を歩き

再會行途草萋萋   再び行途に会うて 草 萋萋たり

壕テ影深春已去   緑暗うして影深うして春已に去り

堅懷一念奮然題   堅く一念を懐ひて奮然として題す

          (上平声「八齊」の押韻)


朝から新緑の樹々の中で山道を歩いていくと、再びその道の途中であるあなたと出会い、そこは草が茂っているところでした。
深い緑で陰も深い中、春はすでに去ってゆき、堅く一つの思いを抱いて心をふるい立たせて漢詩を作りました。
























[41]
投稿者 黒浴@

[初夏情景]

燕子飛翔山麓畦   燕子 飛翔 山麓の畦

周囲水漲稲萋萋   周囲 水漲り  稲萋萋

漉ム鬱蒼幽清趣   緑林 鬱蒼 幽清趣あり

昼寂藪中鶯獨啼   昼寂にして薮中 鶯独り啼く

          (上平声「八齊」の押韻)

























[42]
投稿者 M.T(刈谷桐山堂) 

[初夏情景]

首夏光輝落日低   首夏の光輝 落日低し

漁船來往過長堤   漁船 來往 長堤を過ぐ

涼風樹下酣眠夢   涼風 樹下 酣眠の夢

煙火轟轟月色迷   煙火 轟轟 月色迷ふ

          (上平声「八齊」の押韻)

























[43]
投稿者 T.K(刈谷桐山堂) 

[初夏情景]

蛙聲閣閣近窗啼   蛙声 閣閣 窓に近づきて啼く

蓬艾香蒲壕齊   蓬艾 香蒲 壕黷ノ斉し

倚机繙書浴蘭節   机に倚り書を繙く 浴蘭の節

古詩吟詠夕陽低   古詩 吟詠すれば 夕陽低し

          (上平声「八齊」の押韻)

























[44]
投稿者 眞海(刈谷桐山堂) 

[初夏農園]

薫風吹袖草萋萋   薫風袖を吹き 草萋萋

花後田園桃李蹊   花後の田園 桃李の蹊

初夏晴耕農事樂   初夏の晴耕 農事の楽しみ

一苗萬顆待新畦   一苗万顆 新畦に待つ

          (上平声「八齊」の押韻)


 春の万花散り尽くし、新緑が一面に広がっている。
 畑にも草が生い茂り、桃李の枝には小さな実がついている。
 農事には、一粒万顆の楽しみがある。
 今年も見事に実ってほしいものだ。
























[45]
投稿者 勝江(刈谷桐山堂) 

[西尾郷初夏]

郭環城跡駅亭西   郭は環る城跡 駅亭の西

白堊家家月影低   白堊の家家 月影低し

首夏茶人斜面裏   首夏 茶をつむ人 斜面の裏

清風克落花蹊   南風緑樹 落花の蹊

          (上平声「八齊」の押韻)


 六万石の城下町として城跡が歴史公園になっています。
 また、抹茶で有名な緑豊かな西尾です。
 町の中を流れる川(みどり川)は桜が美しい。今は葉桜であざやかです。
 抹茶と緑の文化が香る町をめぐり、作った詩です。
























[46]
投稿者 N.I(刈谷桐山堂) 

[初夏情景]

秧田茜映暮雲低   秧田 茜に映え 暮雲低し

清爽薫風渡緑畦   清爽たる薫風 緑畦を渡る

四月郊村農事急   四月 郊村 農事急なり

故郷追憶杜鵑啼   故郷を追憶すれば 杜鵑啼く

          (上平声「八齊」の押韻)

























[47]
投稿者 老遊(刈谷桐山堂) 

[初夏情景]

農人荷鍤夕陽低   農人鍤を荷えば 夕陽低れ

百頃禾田一鑑齊   百頃の禾田 一鑑齊ふ

今日殘飧街土上   今日 殘飧 街土の上 

須知辛苦汗顔齎   須らく知るべし 辛苦 汗顔の齎なるを

          (上平声「八齊」の押韻)