作品番号 | 作 者 | 題 名 | 詩 形 | |
[01] | 井古綆 | 「夏日即興 一 琵琶湖舟遊」 | 七言絶句 | |
[02] | 井古綆 | 「夏日即興 二」 | 五言律詩 | |
[03] | 井古綆 | 「夏日即興 三」 | 七言律詩 | |
[04] | 井古綆 | 「當夏寓懷 一」 | 七言絶句 | |
[05] | 井古綆 | 「當夏寓懷 二 挽笑山翁」 | 七言律詩 | |
[06] | 井古綆 | 「當夏寓懷 三」 | 七言律詩 | |
[07] | 井古綆 | 「當夏寓懷 四」 | 七言律詩 | |
[08] | 井古綆 | 「當夏寓懷 五」 | 七言律詩 | |
[09] | 香@風 | 「溽暑」 | 五言絶句 | |
[10] | 香@風 | 「夏日雜詩」 | 七言絶句 | |
[11] | 香@風 | 「閑人偶成」 | 七言絶句 | |
[12] | 香@風 | 「長良川」 | 七言絶句 | |
[13] | 忍 夫 | 「夏日即興 一」 | 七言絶句 | |
[14] | 忍 夫 | 「夏日即興 二」 | 七言絶句 | |
[15] | 忍 夫 | 「夏日即興 三」 | 七言律詩 | |
[16] | 謝 斧 | 「當夏寓懷」 | 七言律詩 | |
[17] | 風雷山人 | 「夏日即興」 | 七言絶句 | |
[18] | Y.T | 「夏日即事」 | 七言絶句 | |
[19] | 真瑞庵 | 「當夏書懷」 | 七言律詩 | |
[20] | 兼 山 | 「夏日即興(地球温暖化)」 | 七言絶句 | |
[21] | 謝 斧 | 「夏日寓懷」 | 七言律詩 | |
[22] | 明 鳳 | 「當夏寓懷(初夏一日遊行温泉)」 | 七言律詩 | |
[23] | 明 鳳 | 「夏日即興(山代散策吟)」 | 七言律詩 | |
[24] | 明 鳳 | 「夏日即興(花式冰鞋溜冰場)」 | 七言絶句 | |
[25] | 明 鳳 | 「當夏寓懷(花様滑冰觀覽吟)」 | 七言絶句 | |
[26] | 明 鳳 | 「當夏寓懷(蘭孫誕生)」 | 五言絶句 | |
[27] | 展 陽 | 「夏日即興」 | 七言絶句 | |
[28] | 菊太郎 | 「夏日即興」 | 七言絶句 | |
[29] | 点 水 | 「夏日即興」 | 七言絶句 | |
[30] | 風散士 | 「夏日即興 一」 | 七言絶句 | |
[31] | 風散士 | 「夏日即興 二」 | 七言絶句 | |
[32] | 風散士 | 「當夏寓懷 一」 | 七言絶句 | |
[33] | 風散士 | 「當夏寓懷 二」 | 七言絶句 | |
[34] | 風散士 | 「當夏寓懷」 | 七言律詩 | |
[35] | 禿 羊 | 「当夏寓懷」 | 七言律詩 | |
[36] | 鮟 鱇 | 「夏日即興 一」 | 七言律詩 | |
[37] | 鮟 鱇 | 「夏日即興 二」 | 七言律詩 | |
[38] | 鮟 鱇 | 「當夏寓懷」 | 七言律詩 | |
[39] | 博 生 | 「夏夕即興」 | 七言絶句 | |
[40] | 杜 正 | 「夏日即興」 | 七言絶句 | |
[41] | 常 春 | 「當夏偶懐 一」 | 七言絶句 | |
[42] | 常 春 | 「當夏偶懐 二」 | 五言律詩 | |
[43] | 井古綆 | 「夏日即興 四」 | 七言絶句 | |
[44] | 井古綆 | 「夏日即興 五」 | 七言律詩 |
[夏日即興 琵琶湖舟遊]
樓筵餘韻及遊舟、 楼筵の余韻は遊舟に及び、
舟使平波散客愁。 舟は平波を使て客愁を散ぜしむ。
愁變忘機湖畔景、 愁ひは忘機に変わる湖畔の景、
景揺瀲灔水中樓。 景は瀲灔と揺れる水中の楼。
「平波」: さざなみ。
「客愁」: ここでは船酔いに使用。
「忘機」: 無心になる。
「瀲灔」: さざ波が動くさま。
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[02]
投稿者 井古綆
[夏日即興 二]
納涼清夜遊、 納涼 清夜の遊、
江畔數螢浮。 江畔 數蛍浮ぶ。
呼友頻明滅、 友を呼んで 頻りに明滅、
随風共去留。 風に随って 共に去留す。
小軀如墨滴、 小躯は 墨滴の如く、
短命似蜉蝣。 短命は 蜉蝣(かげろう)に似る。
一憐郷澗濁、 一に憐れむ 郷澗の濁るを、
再見衆星不。 再び衆星に見(まみ)へるや不(いな)や。
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[03]
投稿者 井古綆
[夏日即興 三]
晴天靠毎爽風流、 晴天 毎(つね)と靠(たが)ひ 爽風流れ、
晝作黄昏暑氣収。 昼は黄昏と作って 暑気収まる。
玉兎急追明耀滅、 玉兎は急追して 明耀(めいよう)滅し、
金烏蒙蓋黒盤浮。 金烏は蓋(ふた)されて 黒盤浮ぶ。
四邊曚昧消炎夏、 四辺 曚昧(もうまい) 炎夏を消し、
萬頃蕭寥成早秋。 万頃 蕭寥(しょうりょう) 早秋と成る。
設若杞人遭此景、 設若(もし)杞人(きひと) 此の景に遭はば、
更令賢者抱深憂。 更に賢者を令(し)て 深憂を抱かせしむ。
「曚昧」: 薄暗いさま。
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[04]
投稿者 井古綆
[當夏寓懷 一]
自古徒誇靈長優、 古(いにしへ)より徒(いたづら)に 霊長の優れるを誇るとも、
干戈未罷劣猿猴。 干戈の 未だ罷(やま)ざるは 猿猴に劣る。
毋忘進化非人耳、 忘るる毋(なか)れ 進化は 人のみに非ず、
病毒増強覆地球。 病毒は増強して 地球を覆ふ。
「猿猴」: サルの総称。
「病毒」: ここでは(インフルエンザ)ウィルス。
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[05]
投稿者 井古綆
[當夏寓懷 二 挽笑山翁]
辛苦復員年月流、 辛苦 復員して 年月流れ、
晴耕雨讀幾春秋。 晴耕雨読 幾春秋。
操觚電腦新知啓、 電脳に操觚して 新知啓け、
獨學漢詩名聞周。 漢詩を独学して 名聞周る。
長壽誕辰欣受賞、 長寿の誕辰 受賞を欣こび、
宿痾無癒奈仙遊。 宿痾は癒ゆる無く 仙遊を奈んせん。
笑翁玉作都垂訓、 笑翁の玉作は 都て垂訓、
訃報漣然使我愁。 訃報 漣然 我をして愁へしむ。
「笑山翁」: 三輪笑山。http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/shi4_08/laixin533.htm
「操觚」: ここでは(パソコンに)文字を書くこと。
「長寿・受賞」: 米寿・瑞宝双光章。
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[06]
投稿者 井古綆
[當夏寓懷 三]
跌宕人間狂地球、 跌宕(てっとう)せる人間は 地球を狂わせ、
異常気象抱杞憂。 異常気象に 杞憂を抱く。
潦臻各所喪田畝、 潦(ろう)は各所に臻(いた)って 田畝(でんほ)を喪(うしな)ひ、
旱及長期減牧牛。 旱(かん)は長期に及んで 牧牛を減ず。
宗教深慈生博愛、 宗教の深慈は 博愛を生むが、
食糧欠乏只怨讐。 食糧の欠乏は 只怨讐のみ。
自然回復焦眉急、 自然の回復は 焦眉の急、
須悟偸安立善謀。 須らく偸安(とうあん)を悟り 善謀を立てるべし。
「跌宕」: しまりがなくかって気ままにふるまう。
「旱潦」: ひでりと大雨。
「偸安」: 目先の安楽をむさぼること。
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[07]
投稿者 井古綆
[當夏寓懷 四]
君臨生態恣群游、 生態に君臨して 群游を恣(ほしいまま)にして、
増殖滄溟億萬頭。 滄溟(そうめい)に増殖すること 億万頭。
舊國千年都食料、 旧国 千年 都(すべ)て食料にし、
驕邦百載只鯨油。 驕邦(きょうほう) 百載 只鯨油のみ。
今謳飽飫澆偏愛、 今 飽飫(ほうよ)を謳ひ 偏愛を澆(そそ)いで、
徒使珍羞任牧牛。 徒に珍羞を使て 牧牛に任せしむ。
暖化必然家畜減、 暖化は必然 家畜は減ず、
焦眉飢餓杞憂不。 焦眉の飢餓に 杞憂たるや不(いな)や。
「生態」: 海洋の生態系。
「滄溟」: 大海。
「億万」: 実数でなく、多くの。
「旧国」: 我が国。
「驕邦」: 米国などの捕鯨反対国。
「飽飫」: 食料が充分にある。
「偏愛」: 動物のなかで鯨のみが可哀想だの論理。では牛や羊は?貧困国の国民は?
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[08]
投稿者 井古綆
[當夏寓懷 五]
文明發達黍成油、 文明の発達は 黍(きび)を油と成し、
背反天恩奈未羞。 天恩に背反して 未だ羞じざるを奈んせん。
人餓貧邦京兆口、 人は貧邦に餓して 京兆口、
鯢驕大海億千頭。 鯢(けい)は大海に驕りて 億千頭。
已間増殖捕鯨禁、 已に増殖を間(なおざり)にして 捕鯨を禁じ、
何痛飢窮給食休。 何ぞ痛まん飢窮(ききゅう)して 給食を休むを。
須識旱乾慈雨涸、 須らく識るべし旱乾(かんかん) 慈雨は涸(か)れ、
枯凋牧草絶肥牛。 牧草を枯凋(こちょう)させて 肥牛を絶するを。
「成油」: 車などの燃料。
「京兆」: 京は兆の一万倍。
「鯢」: めすくじら。
「億千」: 実数ではない。
「間」: 等閑。なおざり。鯨は海洋生物の食物連鎖の頂点にあり、鯨によって本来人間が食べるべき魚が
減少することを危惧する。
「飢窮」: 貧しい国の飢餓が窮まり、学校給食が中止になる。(かつてテレビで報道を見る)
「旱乾」: ひでり。地球温暖化により五風十雨の温順な気候が消滅すること。
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[09]
投稿者 黒浴@
[溽暑]
白晝雲天上 白昼 雲 天に上る
蝉聲熱暑謳 蝉声 熱暑に謳ふ
乾坤光夏節 乾坤 光の夏節
撒水午炎柔 水を撒けば 午炎柔らぐ
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[10]
投稿者 黒浴@
[夏日雜詩]
閑人避暑拷A樓 閑人 暑を避くる 緑陰の楼
謖謖松風過枕頭 謖謖たる松風 枕頭を過ぐ
忘刻午睡涼世界 刻を忘れて午睡 涼なる世界
裏庭高樹夕陽収 裏庭の高樹 夕陽収まる
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[11]
投稿者 黒浴@
[閑人偶成]
爽風搖杪暑威柔 爽風
雨讀晴耕鄙老遊 雨読晴耕
草屋寂寥塵外境 草屋寂寥たり 塵外の境
誰言山麓又深幽 誰か言ふ 山麓も又 深幽なりと
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[12]
投稿者 黒浴@
[長良川]
長良川畔水悠悠 長良川畔 水 悠悠
觀望山城夢一周 山城を観望すれば 夢一周
夕暮鵜船燎火映 夕暮の鵜船 燎火映ゆ
青蓑玄幘又風流 青蓑
岐阜の鵜飼を見学しました。昼間は山紫水明な山川を眺め、夜は古典絵巻に堪能しました。
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[13]
投稿者 忍夫
[夏日即興]
晩涼池畔數螢流 晩涼の池畔 数蛍流れ、
明滅恰如星影幽 明滅恰も星影の幽かなる如し。
却對九天耽幻想 却って九天に対して幻想に耽れば、
虚空抱擁素娥愁 虚空は抱擁す 素娥の愁ひ。
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[14]
投稿者 忍夫
[夏日即興]
早朝涼味爽於秋 早朝の涼味は秋より爽やかに、
夏草萋萋露似油 夏草 萋萋 露は油に似たり。
最好寫経閑對机 最も好し 写経して閑かに机に対せば、
牽牛花綻一窗幽 牽牛の花綻んで一窓幽かなり。
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[15]
投稿者 忍夫
[夏日即興]
一庭新翠洗春愁 一庭の新翠 春愁を洗ひ、
竹影侵階風又柔 竹影 階を侵して風また柔らか。
玄燕領軒雛語噪 玄燕は軒を領して雛語噪ぎ
黄鶯巡樹老声流 黄鶯は樹を巡りて老声流る。
清晨揮筆閑向机 清晨筆を揮ひて閑かに机に向かひ、
白昼枕書孤息楼 白昼書を枕にして
初夏日長耽作句 初夏の日は長くして作句に耽り
淵明詩想巻中求 淵明の詩想 巻中に求む。
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[16]
投稿者 謝斧
[当夏寓懐]
燕居適意疾初瘳 燕居適意 疾初めて
初夏凌晨野靄収 初夏晨を凌げば 野靄収まる
薝蔔散香迎客到 薝蔔香を散じて 客の到るを迎へ
芙蓉展葉隠魚浮 芙蓉葉を展ぶれば 魚の浮くを隠す
曉來人少涼風足 曉來人少に 涼風足く
雨後衣輕暑気柔 雨後衣輕く 暑気柔らか
時遇旧知怡笑謔 時に旧知に遇へば 笑謔を怡しむ
故郷居易土風優 故郷居り易く 土風優る
「薝」: 蔔是梔子也
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[17]
投稿者 風雷山人
[夏日即興]
新陰密処鳥声柔, 新陰密なる処 鳥声柔なり
読誦詩書萬慮休。 詩書を読誦すれば 萬慮休む
静坐観心塵外境, 静坐して心に観る 塵外境
薫風習習意悠悠。 薫風習習として 意悠悠たり
最近、長年勤め上げた技術職から営業職への転換を迫られ、色々と考えたりしていました。
ある日、公園の木陰のベンチに腰かけて詩を朗読していたら、いつしか浮き世のうさを忘れて漢詩の世界に遊んでいました。
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[18]
投稿者 Y.T
[夏日即事]
合歓花発一蜩幽 合歓 花発(ひら)いて 一蜩 幽か
三伏緑陰消夏遊 三伏の緑陰 消夏の遊
驟雨沛然駆暑去 驟雨 沛然 暑を駆り去り
涼風満院爽於秋 涼風 院に満ちて 秋於(よ)りも爽やかなり
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[19]
投稿者 真瑞庵
[當夏書懷]
村南村北翠風稠
叢竹茅檐烟裡浮
暁天宿鷺一声啅
昏暮新蝉無嘯幽
裊娜花英蓮藉圃
微茫蛍火葦蘆洲
四時景色殊多趣
垂老閑居自少愁
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[20]
投稿者 兼山
[夏日即興(地球温暖化)]
夏暑冬寒造化謀 夏暑く 冬寒きは 造化の謀
人間不及不容求 人間 及ばず 求むべからず
干天一雨南柯夢 干天の一雨 南柯の夢
温暖異常非杞憂 温暖 異常 杞憂に非ず
今年は天候不順などと言うが、総ては天の思し召しである。
人智の及ぶ処ではない。干天の一雨もままならぬが、地球温暖化現象は、果して杞憂であろうか。
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[21]
投稿者 謝斧
[夏日寓懷]
晨起開扉扶杖遊 晨起扉を開いて杖に扶られて遊べば
雨餘気爽緑陰稠 雨餘気爽かにして 緑陰稠し
黄梅子落無人拾 黄梅子落つも 人の拾う無く
紅薬花開有客留 紅薬花開いて 客を留める有り
山寺来尋去煩暑 山寺来り尋ぬれば 煩暑去り
池亭坐睡足清幽 池亭坐睡すれば 清幽足し
人生六十軽衫絳 人生六十 軽衫絳く
亦似赭衣身自由 亦赭衣に似るも 身は自由なり
「人生六十軽衫絳」: 和臭 日本風習有齢重六十即着絳服
「赭衣」: 罪人之服皆用赭色
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[22]
投稿者 明鳳
[當夏寓懷(初夏一日遊行温泉)]
初夏車窗燕影周 初夏の車窓に 燕影周(めぐ)り
大巖稜線野烟浮 大岩の稜線は 野烟に浮ぶ
山遠景無人礙 青山の遠景は 人の礙(さまたげ)る無く
緑樹新陰有鳥謳 緑樹の新陰に 鳥の謳(うた)ふ有り
長壽同行加賀路 長寿は同行する 加賀の路(みち)
齡共憩藥壺陬 高齢は共に憩(いこ)ふ 薬壺(やっこ)の陬(すみ)
歡娯把酒競歌唱 歓娯は酒を把って 歌唱を競ひ
泉浴團欒エ興稠 泉浴に団欒すれば 逸興稠(しげ)し
長寿会(老人会)のバス旅行で、初夏の一日、加賀は山代温泉の「かんぽの宿」に遊ぶ。
当日6月15日は天気晴朗なる眺望で、マイクロバスの車窓には燕が行き交い、途中、美知の駅「和気の岩」で休憩すれば、初夏の風光と、若葉緑の雰囲気を満喫するに充分であった。
山代での泉浴と宴席は、やがてカラオケ開演ともなり、男女を問わず長老ほどお元気で、賑やかなるもとこの上無しであった。
「藥壺」: 山代温泉の源泉、即ち、山代温泉のこと
「陬」: 隅、僻陬
「競歌唱」: カラオケ順々と
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[23]
投稿者 明鳳
[夏日即興(山代散策吟)]
藥壺散策草庵休 薬壺(やっこ)の散策は草庵に休(いこ)ひ
憶魯山人仔細周 魯山人を憶(おも)って仔細に周(めぐ)る
彫刻作陶開眼處 彫刻と作陶の開眼(かいげん)の処(ところ)
茶寮美食未来謀 茶寮と美食は未来(その後)の謀(はかりごと)
紅唐格子白銀屋 紅唐(べにから)の格子は白銀屋
卯建樂堂窯本流 卯建(うだつ)の楽堂は窯(かま)の本流
巡路近邊尋史跡 巡路の近辺に史跡を尋ぬれば
千年由緒此中留 千年の由緒は此の中に留(とど)む
見学の目玉の一つは「魯山人寓居跡」と聞き、「お散歩マップ」を頼りに、一時間有余散策に出向く。
魯山人(当時は福田大観)は、大正4年刻字看板を彫る目的で山代へ来て食客となり、須田菁華(須田窯)に依って陶芸の道を開く。
その後東京に出て、大正10年美食倶楽部を、大正14年赤坂に高級料亭・星岡茶寮を開設して、和の美の高名を恣(ほしいまま)にす。
一方見学順路は、表は「紅がら格子」屋根にうだつが上がる旧家や、奈良時代の和銅年間に由緒を遡る服部神社等々、名所旧跡目白押しに回廊を為している。
「藥壺散策」: 山代の見学順路
「草庵」: 魯山人寓居跡(いろは草庵)
「茶寮」: 星岡茶寮
「美食」: 美食倶楽部
「卯建」: うだつ(「うだち」が正しいとも)
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[24]
投稿者 明鳳
[夏日即興(花式冰鞋溜冰場)]
滑冰鏡面凍如油 滑氷(かっぴょう)の鏡面は凍(こお)って油の如く
均等整磨勞事稠 均等に整磨するに 労事稠(しげ)し
儀掃舞臺生夢處 儀掃の舞台は 夢を生じる処
營營徹夜遶床修 営々と夜を徹し 床を遶(めぐ)って修(ととのえおさ)む
6月27〜28日、安藤美姫や荒川静香などトップ・アスリートが演じる「フィギュア・スケート金沢」が、「いしかわ総合スポーツセンター」で開催された。
その「華麗な氷の祭典」のアイス・リンク作りは、5日前より24時間体制で、氷の厚さが均等に為る様鋭意気整備するは言うに及ばず、氷点下10度の不凍液が入ったアイス・パネルの上に水を重ね撒き、更に撒き通して、鏡面の様なアイス・リンク仕上げるのに、夜を徹して作業を繰り返したのである。
「花式」: フィギュア
「冰鞋溜冰場」: アイス・スケート・リンク
「整磨」: ホースで水を重ね撒き、ローラーで鏡面に均す
「儀掃」: トンボ(均しモップ)で整磨する
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[25]
投稿者 明鳳
[當夏寓懷(花様滑冰觀覽吟)]
女王美麗滑冰周 女王は美麗に滑氷して周(まわ)り
妙舞軆飛娟袖優 妙舞の体は飛んで娟袖(えんしゅう)優たり
艶技容姿眞絶世 艶技の容姿は真(まこと)に絶世
終於背面曲婀頭 終りには背面(はいめん)婀頭(あとう)を曲ぐ
6月27〜28日の「フィギュア・スケート金沢」は、「Ice Jewelry 2009」とも銘打ち、斯界の女王('06トリノ五輪金メダリスト・荒川」静香、'07世界選手権1位・安藤美姫)を始め、織田信成と本田武史の日本勢に加え、米・仏・伊の外国アスリートによるエキシビション演技は終始観衆を魅了し尽くした。
「花様滑冰」: フィギュア・スケート
「女王」: 荒川静香と安藤美姫
「娟袖優美」: 優雅な銀盤・氷上の花模様
「婀頭」: しなやかな姿勢
「曲婀頭」: 荒川静香の「イナバゥア」
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[26]
投稿者 明鳳
[當夏寓懷(蘭孫誕生)]
朱明生誕報 朱明に生誕の報(しらせ)
夕見寫眞収 夕(ゆうべ)に写真に収まるを見る
孩子紅顔貌 孩子(みどりこ)は紅顔の貌(すがた)
雄哉燦兩眸 雄なるかな両眸に燦たり
予定より4日遅れで気を揉んだが、6月24日朝大阪よりの電話で、無事男児出産の報せ有り。夕方にはメールで元気な嬰児(みどりこ)の写真も着信した。
茲に、爺馬鹿の拙吟とする次第。
「朱明」: 夏のこと
「孩子」: 嬰児
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[27]
投稿者 展陽
[夏日即興]
雨後晴天颯似秋 雨後晴天 さっとして秋に似たり
軽衣軟履往山遊 軽衣軟履 山遊びに行く
風傳遠寺鐘声妙 風が伝ふ 遠寺鐘声の妙
喚起詩興散百憂 詩興喚起されて 百憂散ず
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[28]
投稿者 菊太郎
[夏日即興]
溽蒸陋屋緑陰稠 溽蒸たる 陋屋 緑陰 稠し
檐馬無声庭院幽 檐馬 声無く 庭院 幽なり
忽聴雷霆風籟起 忽ち聴く 雷霆 風籟 起こり
傾盆一雨午涼流 傾盆の一雨 午涼 流る
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[29]
投稿者 点水
[夏日即興]
今温室化世人憂 いま 温室化は世人の憂(心配)
各國表明防止猷 各国は 防止の猷を表明すも
理念相違難總括 理念は相違し 総括難し
何年消滅暑威愁 何れの年に暑威の愁(うれい)は消滅せん
地球温暖化対策の世界会議がいろいろとあり、炭酸ガス排出規制が論議されておりますが、諸国の利害がからみ、何が決まり、何が実行されるのか、なかなかついていけません。
そんな事態をこの暑い夏の日に考えると、暑威が何時消えるかと、本当にいやになります。
でも、暑さにまけないように、頑張りたいです。
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[30]
投稿者 風散士
[夏日即興 一]
書榻拷A爽氣流 書榻 緑陰 爽気流れ、
何時不覺閉雙眸 何れの時か覚えず 双眸を閉ず。
薫風翻頁非無學 薫風 翻頁するは 学無きに非ず、
解読難辭誘履修 難辞を解読して 履修を誘なふ。
「書榻」: 榻はこしかけ。
「翻頁」: (風が)ページをめくる。
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[31]
投稿者 風散士
[夏日即興 二]
紅飛紫散春懷盡 紅飛 紫散 春懐尽き、
漉青肥夏氣周 緑沃 青肥 夏気周る。
日月悤悤變節物 日月 怱々 節物を変へ、
鶯聲絶處鵑聲流 鴬声絶ゆる処 鵑声流る。
※転句下仄三連。結句下平三連。
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[32]
投稿者 風散士
[當夏寓懷 一]
模倣先賢毎探求 先賢を模倣して 毎に探求し、
朱明獺祭汗珠流 朱明 獺祭 汗珠流る。
毋言畢竟屠龍技 言ふ毋れ畢竟 屠龍の技と、
恍惚予防加自修 恍惚の予防 加へて自修。
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[33]
投稿者 風散士
[當夏寓懷 二]
浮浮細雨少無休 浮浮たる細雨 少しも休む無く、
休日蹉跎鬱屈脩 休日 蹉跎たり 鬱屈
脩竹千竿枝葉蜜 脩竹 千竿 枝葉蜜に、
密雲靉靆遠山浮 密雲
「浮浮」: 雨が盛んに降るさま。
「蹉跎」: (休日の予定行動が)思うにまかせない。
「靉靆」: 雲の盛んなさま。また、暗いさま。ここでは後者。
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[34]
投稿者 風散士
[當夏寓懷 三]
雛在梁巣覓香餌 雛は
親孚飛燕舞田疇 親は飛燕に
殘紅委地鶯聲去 残紅 地に委せて 鴬声去り、
新緑成陰鵑語流 新緑 陰を成して 鵑語流る。
朝購鮮鰹知節變 朝に鮮鰹を購ひて 節変わるを知り、
夕烹玉筍憶星周 夕べに玉筍を烹て 星周るを憶ふ。
應濡白屋夏初味 応に白屋を濡ほす 夏初の味、
何厭聖賢杯未留 何ぞ聖賢を厭はん 杯未だ留まらず。
「田畴」: ここでは田んぼ。
「鮮鰹」: はつがつおにあてる。
「玉筍」: たけのこ。
「烹」: 煮る。
「聖賢」: 清酒と濁酒。
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[35]
投稿者 禿羊
[当夏寓懷]
過雨呼風午熱収 過雨 風を呼びて 午熱収まり
小園庭樹正油油 小園の庭樹 正に油油
今朝郷信累衰眼 今朝の郷信 衰眼を累はすも
往歳故山明閉眸 往歳の故山 閉眸に明らかなり
木剣衝天駆緑野 木剣 天を衝いて 緑野を駆け
朱褌突簎猟清流 朱褌 簎(やす)を突きて 清流に猟(すなど)る
茫茫夏昼垂髫夢 茫茫たり 夏昼 垂髫の夢
日暮鏡中唯白頭 日暮 鏡中 唯白頭
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[36]
投稿者 鮟鱇
[夏日即興 一]
日照山湖蝉語柔, 日は山湖を照らして 蝉語 柔かく,
風光十里入双眸。 風光十里 双眸に入る。
青年鏡水行輕舸, 青年 鏡水に軽舸を行(や)り,
白首林中探勝遊。 白首 林中に勝遊を探る。
朱夏火雲如比翼, 朱夏の火雲 比翼の如く,
緑陰午酒洗閑愁。 緑陰の午酒 閑愁を洗ふ。
吟情自涌筆堪走, 吟情 自づから涌いて 筆 走らすに堪へ,
俳句忽成餘韻留。 俳句 忽ちに成って 余韻を留む。
「輕舸」: 小舟。
「勝遊」: 風流な遊び。
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[37]
投稿者 鮟鱇
[夏日即興 二]
夕風爽處納涼遊, 夕風 爽かなるところ 納涼の遊び,
壺酒三杯洗百憂。 壺酒三杯 百憂を洗ふ。
河岸點灯明暮夜, 河岸 点灯して 暮夜に明るく,
男孫翹首指高樓。 男孫 首(こうべ)を翹(あ)げて高楼を指さす。
電梯數秒生襟韵, 電梯(でんてい)に数秒にして襟韵を生じ,
屋頂十分回醉眸。 屋頂(おくちょう)に十分に酔眸を回らす。
滿目花烟似銀漢, 満目の花烟 銀漢に似て,
青天盈月照光頭。 青天の盈月 光頭を照らす。
「電梯」: エレベータ。
「襟韵」: 風流な心映え。
「屋頂」: 屋上。
「花烟」: 花火。
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[38]
投稿者 鮟鱇
[當夏寓懷]
朱夏山居蝉語稠, 朱夏の山居に蝉語 稠(おお)く,
暮天高唱使人愁。 暮天に高唱して人をして愁へしむ。
俯斟壺酒洗腸肚, 俯して壺酒を斟んで腸肚を洗ひ,
仰看月娥思地球。 仰ぎて月娥を看て 地球を思ふ。
電視頻頻報凶事, 電視 頻頻として凶事を報じ,
炮烟處處害良儔。 炮烟 處處に良儔を害す。
長生多嘆身空老, 長生 多いに嘆いて身は空しく老い,
宇宙蛛糸醉夢周。 宇宙の蛛(くも)の糸 醉夢に周(めぐ)る。
「電視」: テレビ。
「良儔」: 良き友。
「蛛糸」: 蜘蛛の糸。
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[39]
投稿者 博生
[夏夕即興]
驟雨一過涼気流 驟雨一過 涼気流る
清陰移榻比隣遒 清陰に榻を移し 比隣あつまる
象棋巷説諸人楽 象棋巷説 諸人楽しむ
今日如何感慨稠 今日如何んぞ 感慨稠し
溽暑の中、一雨あり涼しくなった夕べ
軒陰に縁台を出して近所が集まり、
将棋、噂話に花を咲かせた、まだテレビ、冷房の無い時代の巷間の景を思い偲ぶ。
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[40]
投稿者 杜正
[夏日即興]
霞浦詩情帆引舟 霞浦の詩情 帆引舟
微涼湖畔水華浮 微涼の湖畔 水華浮かぶ
憩休氷店忘三伏 氷店に憩休すれば 三伏を忘る
遥聳青山夕照収 遥かに聳ゆる青山 夕照収まる
霞ヶ浦の夏の風物詩は、白い帆引き舟と蓮花である。氷を食べながら、これらを見ていると、夏の暑さを忘れてしまうようだ。霞ヶ浦の遥か先には、筑波山が聳えており、夕日に染まって、一幅の絵のようだ。
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[41]
投稿者 常春
[當夏偶懐 一]
電鞭閃閃盛衰流 電鞭 閃閃 盛衰して流れ
雷輥隆隆遠近周 雷輥 隆隆 遠近に周ねし
梅雨欲明雲上賽 梅雨 明けんと欲する 雲上の賽
龍蛇無奈藹天浮 竜蛇 奈ともする無し 藹天に浮くを
「藹天浮」: 大気汚染
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[42]
投稿者 常春
[當夏偶懐 二]
環境論談盾與矛 列国の論談 盾と矛
大綱一致不同舟 大綱一致すれども 舟を同にせず
先驅家國協商召 先駆の家国 協商召え
後走諸邦追上求 後走の諸邦 追上求む
天滞瘴雰無対策 天に滞る瘴雰 対策無く
地盈老品困回収 地に盈つ老品 回収に困ず
人間諸事何虚耗 人間諸事 何ぞ虚耗ぞ
白首昏愚惟待秋 白首昏愚して 惟秋を待つ
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[43]
投稿者 井古綆
[夏日即興 四]
烈日沈淪窓月浮、 烈日 沈淪 窓月浮かび、
殘炎滿屋汗珠流。 残炎 屋に満ちて 汗珠流る。
塵書一瞥忘騒客、 塵書 一瞥 騒客を忘れ、
合作酒仙須早秋。 合(まさ)に酒仙と作って 早秋を須(まつ)べし。
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[44]
投稿者 井古綆
[夏日即興 五]
斷梅消暑上遊舟、 断梅 消暑 遊舟に上る、
舟出澄灣伴白鷗。 舟は澄湾を出れば 白鴎を伴ふ、
烈日炎炎如盛夏、 烈日 炎々 盛夏の如く、
涼風颯颯似清秋。 涼風 颯々 清秋に似る。
艄公兼務播員美、 艄公(しょうこう) 兼務 播員(はいん)美わしく、
乗客遥望去路悠。 乗客 遥望 去路悠(はるか)なり。
怪石奇岩迎忽送、 怪石 奇岩 迎へ忽ち送る、
洞門絶景忘千愁。 洞門の絶景 千愁を忘る。
「艄公」: 船頭。現代中国語。
「播員」: 船内のアナウンス。現代中国語。
「美」: 美人船長のため。
「去路」: 行き先。
「洞門」: 釣鐘洞門。(兵庫県但馬海岸)
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