第26回 世界漢詩同好会総会(二〇〇九年七月十九日)

 『世界漢詩同好会』の第26回総会は、7月19日に開かれます。
 詩題(今回は『夏日即興』『当夏寓懐』)と押韻(今回は「下平声十一尤」)を共通として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。
 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



 日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。
番号をクリックして下さい。
 
    作品番号 作 者 題 名 詩 形
   01 井古綆 「夏日即興 一 琵琶湖舟遊」七言絶句
   02 井古綆 「夏日即興 二」五言律詩
   03 井古綆 「夏日即興 三」七言律詩
   04 井古綆 「當夏寓懷 一」七言絶句
   05 井古綆 「當夏寓懷 二 挽笑山翁」七言律詩
   06 井古綆 「當夏寓懷 三」七言律詩
   07 井古綆 「當夏寓懷 四」七言律詩
   08 井古綆 「當夏寓懷 五」七言律詩
   09 香@風 「溽暑」五言絶句
   10 香@風 「夏日雜詩」七言絶句
   11 香@風 「閑人偶成」七言絶句
   12 香@風 「長良川」七言絶句
   13 忍 夫 「夏日即興 一」七言絶句
   14 忍 夫 「夏日即興 二」七言絶句
   15 忍 夫 「夏日即興 三」七言律詩
   16 謝 斧 「當夏寓懷」七言律詩
   17 風雷山人 「夏日即興」七言絶句
   18 Y.T 「夏日即事」七言絶句
   19 真瑞庵 「當夏書懷」七言律詩
   20 兼 山 「夏日即興(地球温暖化)」七言絶句
   21 謝 斧 「夏日寓懷」七言律詩
   22 明 鳳 「當夏寓懷(初夏一日遊行温泉)」七言律詩
   23 明 鳳 「夏日即興(山代散策吟)」七言律詩
   24 明 鳳 「夏日即興(花式冰鞋溜冰場)」七言絶句
   25 明 鳳 「當夏寓懷(花様滑冰觀覽吟)」七言絶句
   26 明 鳳 「當夏寓懷(蘭孫誕生)」五言絶句
   27 展 陽 「夏日即興」七言絶句
   28 菊太郎 「夏日即興」七言絶句
   29 点 水 「夏日即興」七言絶句
   30 風散士 「夏日即興 一」七言絶句
   31 風散士 「夏日即興 二」七言絶句
   32 風散士 「當夏寓懷 一」七言絶句
   33 風散士 「當夏寓懷 二」七言絶句
   34 風散士 「當夏寓懷」七言律詩
   35 禿 羊 「当夏寓懷」七言律詩
   36 鮟 鱇 「夏日即興 一」七言律詩
   37 鮟 鱇 「夏日即興 二」七言律詩
   38 鮟 鱇 「當夏寓懷」七言律詩
   39 博 生 「夏夕即興」七言絶句
   40 杜 正 「夏日即興」七言絶句
   41 常 春 「當夏偶懐 一」七言絶句
   42 常 春 「當夏偶懐 二」五言律詩
   43 井古綆 「夏日即興 四」七言絶句
   44 井古綆 「夏日即興 五」七言律詩




























[01]
投稿者 井古綆 

[夏日即興 琵琶湖舟遊]

樓筵餘韻及遊舟、   楼筵の余韻は遊舟に及び、

舟使平波散客愁。   舟は平波を使て客愁を散ぜしむ。

愁變忘機湖畔景、   愁ひは忘機に変わる湖畔の景、

景揺瀲灔水中樓。   景は瀲灔と揺れる水中の楼。



「平波」: さざなみ。
「客愁」: ここでは船酔いに使用。
「忘機」: 無心になる。
「瀲灔」: さざ波が動くさま。



 最初に戻る



































[02]
投稿者 井古綆 

[夏日即興 二]

納涼清夜遊、   納涼 清夜の遊、

江畔數螢浮。   江畔 數蛍浮ぶ。

呼友頻明滅、   友を呼んで 頻りに明滅、

随風共去留。   風に随って 共に去留す。

小軀如墨滴、   小躯は 墨滴の如く、

短命似蜉蝣。   短命は 蜉蝣(かげろう)に似る。

一憐郷澗濁、   一に憐れむ 郷澗の濁るを、

再見衆星不。   再び衆星に見(まみ)へるや不(いな)や。





 最初に戻る



































[03]
投稿者 井古綆 

[夏日即興 三]

晴天靠毎爽風流、   晴天 毎(つね)と靠(たが)ひ 爽風流れ、

晝作黄昏暑氣収。   昼は黄昏と作って 暑気収まる。

玉兎急追明耀滅、   玉兎は急追して 明耀(めいよう)滅し、

金烏蒙蓋黒盤浮。   金烏は蓋(ふた)されて 黒盤浮ぶ。

四邊曚昧消炎夏、   四辺 曚昧(もうまい) 炎夏を消し、

萬頃蕭寥成早秋。   万頃 蕭寥(しょうりょう) 早秋と成る。

設若杞人遭此景、   設若(もし)杞人(きひと) 此の景に遭はば、

更令賢者抱深憂。   更に賢者を令(し)て 深憂を抱かせしむ。



「曚昧」: 薄暗いさま。



 最初に戻る



































[04]
投稿者 井古綆 

[當夏寓懷 一]

自古徒誇靈長優、   古(いにしへ)より徒(いたづら)に 霊長の優れるを誇るとも、

干戈未罷劣猿猴。   干戈の 未だ罷(やま)ざるは 猿猴に劣る。

毋忘進化非人耳、   忘るる毋(なか)れ 進化は 人のみに非ず、

病毒増強覆地球。   病毒は増強して 地球を覆ふ。



「猿猴」: サルの総称。
「病毒」: ここでは(インフルエンザ)ウィルス。



 最初に戻る



































[05]
投稿者 井古綆 

[當夏寓懷 二 挽笑山翁]

辛苦復員年月流、   辛苦 復員して 年月流れ、

晴耕雨讀幾春秋。   晴耕雨読 幾春秋。

操觚電腦新知啓、   電脳に操觚して 新知啓け、

獨學漢詩名聞周。   漢詩を独学して 名聞周る。

長壽誕辰欣受賞、   長寿の誕辰 受賞を欣こび、

宿痾無癒奈仙遊。   宿痾は癒ゆる無く 仙遊を奈んせん。

笑翁玉作都垂訓、   笑翁の玉作は 都て垂訓、

訃報漣然使我愁。   訃報 漣然 我をして愁へしむ。



「笑山翁」: 三輪笑山。http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/shi4_08/laixin533.htm 
「操觚」: ここでは(パソコンに)文字を書くこと。
「長寿・受賞」: 米寿・瑞宝双光章。



 最初に戻る



































[06]
投稿者 井古綆 

[當夏寓懷 三]

跌宕人間狂地球、   跌宕(てっとう)せる人間は 地球を狂わせ、

異常気象抱杞憂。   異常気象に 杞憂を抱く。

潦臻各所喪田畝、   潦(ろう)は各所に臻(いた)って 田畝(でんほ)を喪(うしな)ひ、

旱及長期減牧牛。   旱(かん)は長期に及んで 牧牛を減ず。

宗教深慈生博愛、   宗教の深慈は 博愛を生むが、

食糧欠乏只怨讐。   食糧の欠乏は 只怨讐のみ。

自然回復焦眉急、   自然の回復は 焦眉の急、

須悟偸安立善謀。   須らく偸安(とうあん)を悟り 善謀を立てるべし。



「跌宕」: しまりがなくかって気ままにふるまう。
「旱潦」: ひでりと大雨。
「偸安」: 目先の安楽をむさぼること。



 最初に戻る



































[07]
投稿者 井古綆 

[當夏寓懷 四]

君臨生態恣群游、   生態に君臨して 群游を恣(ほしいまま)にして、

増殖滄溟億萬頭。   滄溟(そうめい)に増殖すること 億万頭。

舊國千年都食料、   旧国 千年 都(すべ)て食料にし、

驕邦百載只鯨油。   驕邦(きょうほう) 百載 只鯨油のみ。

今謳飽飫澆偏愛、   今 飽飫(ほうよ)を謳ひ 偏愛を澆(そそ)いで、

徒使珍羞任牧牛。   徒に珍羞を使て 牧牛に任せしむ。

暖化必然家畜減、   暖化は必然 家畜は減ず、

焦眉飢餓杞憂不。   焦眉の飢餓に 杞憂たるや不(いな)や。



「生態」: 海洋の生態系。
「滄溟」: 大海。
「億万」: 実数でなく、多くの。
「旧国」: 我が国。
「驕邦」: 米国などの捕鯨反対国。
「飽飫」: 食料が充分にある。
「偏愛」: 動物のなかで鯨のみが可哀想だの論理。では牛や羊は?貧困国の国民は?


 最初に戻る



































[08]
投稿者 井古綆 

[當夏寓懷 五]

文明發達黍成油、  文明の発達は 黍(きび)を油と成し、

背反天恩奈未羞。  天恩に背反して 未だ羞じざるを奈んせん。

人餓貧邦京兆口、  人は貧邦に餓して 京兆口、

鯢驕大海億千頭。  鯢(けい)は大海に驕りて 億千頭。

已間増殖捕鯨禁、  已に増殖を間(なおざり)にして 捕鯨を禁じ、

何痛飢窮給食休。  何ぞ痛まん飢窮(ききゅう)して 給食を休むを。

須識旱乾慈雨涸、  須らく識るべし旱乾(かんかん) 慈雨は涸(か)れ、

枯凋牧草絶肥牛。  牧草を枯凋(こちょう)させて 肥牛を絶するを。



「成油」: 車などの燃料。
「京兆」: 京は兆の一万倍。
「鯢」:  めすくじら。
「億千」: 実数ではない。
「間」:  等閑。なおざり。鯨は海洋生物の食物連鎖の頂点にあり、鯨によって本来人間が食べるべき魚が
      減少することを危惧する。
「飢窮」: 貧しい国の飢餓が窮まり、学校給食が中止になる。(かつてテレビで報道を見る)
「旱乾」: ひでり。地球温暖化により五風十雨の温順な気候が消滅すること。



 最初に戻る



































[09]
投稿者 黒浴@

[溽暑]

白晝雲天上   白昼 雲 天に上る

蝉聲熱暑謳   蝉声 熱暑に謳ふ

乾坤光夏節   乾坤 光の夏節 

撒水午炎柔   水を撒けば 午炎柔らぐ





 最初に戻る



































[10]
投稿者 黒浴@

[夏日雜詩]

閑人避暑拷A樓   閑人 暑を避くる 緑陰の楼

謖謖松風過枕頭   謖謖たる松風 枕頭を過ぐ

忘刻午睡涼世界   刻を忘れて午睡 涼なる世界

裏庭高樹夕陽収   裏庭の高樹 夕陽収まる





 最初に戻る



































[11]
投稿者 黒浴@

[閑人偶成]

爽風搖杪暑威柔   爽風 こずえを揺るがせば 暑威柔らぐ

雨讀晴耕鄙老遊   雨読晴耕 ろうの遊び

草屋寂寥塵外境   草屋寂寥たり 塵外の境

誰言山麓又深幽   誰か言ふ 山麓も又 深幽なりと





 最初に戻る



































[12]
投稿者 黒浴@

[長良川]

長良川畔水悠悠   長良川畔 水 悠悠

觀望山城夢一周   山城を観望すれば 夢一周

夕暮鵜船燎火映   夕暮の鵜船 燎火映ゆ

青蓑玄幘又風流   青蓑 玄幘げんさく 又 風流なり



 岐阜の鵜飼を見学しました。昼間は山紫水明な山川を眺め、夜は古典絵巻に堪能しました。

 最初に戻る



































[13]
投稿者 忍夫 

[夏日即興]

晩涼池畔數螢流   晩涼の池畔 数蛍流れ、

明滅恰如星影幽   明滅恰も星影の幽かなる如し。

却對九天耽幻想   却って九天に対して幻想に耽れば、

虚空抱擁素娥愁   虚空は抱擁す 素娥の愁ひ。





 最初に戻る



































[14]
投稿者 忍夫 

[夏日即興]

早朝涼味爽於秋   早朝の涼味は秋より爽やかに、

夏草萋萋露似油   夏草 萋萋 露は油に似たり。

最好寫経閑對机   最も好し 写経して閑かに机に対せば、

牽牛花綻一窗幽   牽牛の花綻んで一窓幽かなり。





 最初に戻る



































[15]
投稿者 忍夫 

[夏日即興]



一庭新翠洗春愁   一庭の新翠 春愁を洗ひ、

竹影侵階風又柔   竹影 階を侵して風また柔らか。

玄燕領軒雛語噪   玄燕は軒を領して雛語噪ぎ

黄鶯巡樹老声流   黄鶯は樹を巡りて老声流る。

清晨揮筆閑向机   清晨筆を揮ひて閑かに机に向かひ、

白昼枕書孤息楼   白昼書を枕にしてひとり楼にやすむ。

初夏日長耽作句   初夏の日は長くして作句に耽り

淵明詩想巻中求   淵明の詩想 巻中に求む。



 最初に戻る



































[16]
投稿者 謝斧 

[当夏寓懐]

燕居適意疾初瘳   燕居適意 疾初めて

初夏凌晨野靄収   初夏晨を凌げば 野靄収まる

薝蔔散香迎客到   薝蔔香を散じて 客の到るを迎へ

芙蓉展葉隠魚浮   芙蓉葉を展ぶれば 魚の浮くを隠す

曉來人少涼風足   曉來人少に 涼風足く

雨後衣輕暑気柔   雨後衣輕く 暑気柔らか

時遇旧知怡笑謔   時に旧知に遇へば 笑謔を怡しむ

故郷居易土風優   故郷居り易く 土風優る



「薝」: 蔔是梔子也



 最初に戻る



































[17]
投稿者 風雷山人 

[夏日即興]

新陰密処鳥声柔,   新陰密なる処 鳥声柔なり

読誦詩書萬慮休。   詩書を読誦すれば 萬慮休む

静坐観心塵外境,   静坐して心に観る 塵外境

薫風習習意悠悠。   薫風習習として 意悠悠たり




最近、長年勤め上げた技術職から営業職への転換を迫られ、色々と考えたりしていました。

ある日、公園の木陰のベンチに腰かけて詩を朗読していたら、いつしか浮き世のうさを忘れて漢詩の世界に遊んでいました。

 最初に戻る



































[18]
投稿者 Y.T 

[夏日即事]

合歓花発一蜩幽   合歓 花発(ひら)いて 一蜩 幽か

三伏緑陰消夏遊   三伏の緑陰 消夏の遊

驟雨沛然駆暑去   驟雨 沛然 暑を駆り去り

涼風満院爽於秋   涼風 院に満ちて 秋於(よ)りも爽やかなり





 最初に戻る



































[19]
投稿者 真瑞庵 

[當夏書懷]

村南村北翠風稠   

叢竹茅檐烟裡浮   

暁天宿鷺一声啅   

昏暮新蝉無嘯幽   

裊娜花英蓮藉圃   

微茫蛍火葦蘆洲   

四時景色殊多趣   

垂老閑居自少愁   





 最初に戻る



































[20]
投稿者 兼山 

[夏日即興(地球温暖化)]

夏暑冬寒造化謀   夏暑く 冬寒きは 造化の謀

人間不及不容求   人間 及ばず 求むべからず

干天一雨南柯夢   干天の一雨 南柯の夢

温暖異常非杞憂   温暖 異常 杞憂に非ず




今年は天候不順などと言うが、総ては天の思し召しである。
人智の及ぶ処ではない。干天の一雨もままならぬが、地球温暖化現象は、果して杞憂であろうか。



 最初に戻る



































[21]
投稿者 謝斧 

[夏日寓懷]

晨起開扉扶杖遊   晨起扉を開いて杖に扶られて遊べば

雨餘気爽緑陰稠   雨餘気爽かにして 緑陰稠し

黄梅子落無人拾   黄梅子落つも 人の拾う無く

紅薬花開有客留   紅薬花開いて 客を留める有り

山寺来尋去煩暑   山寺来り尋ぬれば 煩暑去り

池亭坐睡足清幽   池亭坐睡すれば 清幽足し

人生六十軽衫絳   人生六十 軽衫絳く

亦似赭衣身自由   亦赭衣に似るも 身は自由なり



「人生六十軽衫絳」: 和臭 日本風習有齢重六十即着絳服
「赭衣」: 罪人之服皆用赭色

 最初に戻る



































[22]
投稿者 明鳳 

[當夏寓懷(初夏一日遊行温泉)]

初夏車窗燕影周   初夏の車窓に 燕影周(めぐ)り

大巖稜線野烟浮   大岩の稜線は 野烟に浮ぶ

山遠景無人礙   青山の遠景は 人の礙(さまたげ)る無く

緑樹新陰有鳥謳   緑樹の新陰に 鳥の謳(うた)ふ有り

長壽同行加賀路   長寿は同行する 加賀の路(みち)

齡共憩藥壺陬   高齢は共に憩(いこ)ふ 薬壺(やっこ)の陬(すみ)

歡娯把酒競歌唱   歓娯は酒を把って 歌唱を競ひ

泉浴團欒エ興稠   泉浴に団欒すれば 逸興稠(しげ)し




 長寿会(老人会)のバス旅行で、初夏の一日、加賀は山代温泉の「かんぽの宿」に遊ぶ。
 当日6月15日は天気晴朗なる眺望で、マイクロバスの車窓には燕が行き交い、途中、美知の駅「和気の岩」で休憩すれば、初夏の風光と、若葉緑の雰囲気を満喫するに充分であった。
 山代での泉浴と宴席は、やがてカラオケ開演ともなり、男女を問わず長老ほどお元気で、賑やかなるもとこの上無しであった。


「藥壺」: 山代温泉の源泉、即ち、山代温泉のこと
「陬」: 隅、僻陬
「競歌唱」: カラオケ順々と



 最初に戻る



































[23]
投稿者 明鳳 

[夏日即興(山代散策吟)]

藥壺散策草庵休   薬壺(やっこ)の散策は草庵に休(いこ)ひ

憶魯山人仔細周   魯山人を憶(おも)って仔細に周(めぐ)る

彫刻作陶開眼處   彫刻と作陶の開眼(かいげん)の処(ところ)

茶寮美食未来謀   茶寮と美食は未来(その後)の謀(はかりごと)

紅唐格子白銀屋   紅唐(べにから)の格子は白銀屋

卯建樂堂窯本流   卯建(うだつ)の楽堂は窯(かま)の本流

巡路近邊尋史跡   巡路の近辺に史跡を尋ぬれば

千年由緒此中留   千年の由緒は此の中に留(とど)む




 見学の目玉の一つは「魯山人寓居跡」と聞き、「お散歩マップ」を頼りに、一時間有余散策に出向く。
 魯山人(当時は福田大観)は、大正4年刻字看板を彫る目的で山代へ来て食客となり、須田菁華(須田窯)に依って陶芸の道を開く。
その後東京に出て、大正10年美食倶楽部を、大正14年赤坂に高級料亭・星岡茶寮を開設して、和の美の高名を恣(ほしいまま)にす。
 一方見学順路は、表は「紅がら格子」屋根にうだつが上がる旧家や、奈良時代の和銅年間に由緒を遡る服部神社等々、名所旧跡目白押しに回廊を為している。

「藥壺散策」: 山代の見学順路
「草庵」: 魯山人寓居跡(いろは草庵)
「茶寮」: 星岡茶寮
「美食」: 美食倶楽部
「卯建」: うだつ(「うだち」が正しいとも)



 最初に戻る



































[24]
投稿者 明鳳 

[夏日即興(花式冰鞋溜冰場)]

滑冰鏡面凍如油   滑氷(かっぴょう)の鏡面は凍(こお)って油の如く

均等整磨勞事稠   均等に整磨するに 労事稠(しげ)し

儀掃舞臺生夢處   儀掃の舞台は 夢を生じる処

營營徹夜遶床修   営々と夜を徹し 床を遶(めぐ)って修(ととのえおさ)む





 6月27〜28日、安藤美姫や荒川静香などトップ・アスリートが演じる「フィギュア・スケート金沢」が、「いしかわ総合スポーツセンター」で開催された。
 その「華麗な氷の祭典」のアイス・リンク作りは、5日前より24時間体制で、氷の厚さが均等に為る様鋭意気整備するは言うに及ばず、氷点下10度の不凍液が入ったアイス・パネルの上に水を重ね撒き、更に撒き通して、鏡面の様なアイス・リンク仕上げるのに、夜を徹して作業を繰り返したのである。

「花式」: フィギュア
「冰鞋溜冰場」: アイス・スケート・リンク
「整磨」: ホースで水を重ね撒き、ローラーで鏡面に均す
「儀掃」: トンボ(均しモップ)で整磨する



 最初に戻る



































[25]
投稿者 明鳳 

[當夏寓懷(花様滑冰觀覽吟)]

女王美麗滑冰周   女王は美麗に滑氷して周(まわ)り

妙舞軆飛娟袖優   妙舞の体は飛んで娟袖(えんしゅう)優たり

艶技容姿眞絶世   艶技の容姿は真(まこと)に絶世

終於背面曲婀頭   終りには背面(はいめん)婀頭(あとう)を曲ぐ





 6月27〜28日の「フィギュア・スケート金沢」は、「Ice Jewelry 2009」とも銘打ち、斯界の女王('06トリノ五輪金メダリスト・荒川」静香、'07世界選手権1位・安藤美姫)を始め、織田信成と本田武史の日本勢に加え、米・仏・伊の外国アスリートによるエキシビション演技は終始観衆を魅了し尽くした。

「花様滑冰」: フィギュア・スケート
「女王」: 荒川静香と安藤美姫
「娟袖優美」: 優雅な銀盤・氷上の花模様
「婀頭」: しなやかな姿勢
「曲婀頭」: 荒川静香の「イナバゥア」



 最初に戻る



































[26]
投稿者 明鳳 

[當夏寓懷(蘭孫誕生)]

朱明生誕報   朱明に生誕の報(しらせ)

夕見寫眞収   夕(ゆうべ)に写真に収まるを見る

孩子紅顔貌   孩子(みどりこ)は紅顔の貌(すがた)

雄哉燦兩眸   雄なるかな両眸に燦たり





 予定より4日遅れで気を揉んだが、6月24日朝大阪よりの電話で、無事男児出産の報せ有り。夕方にはメールで元気な嬰児(みどりこ)の写真も着信した。
 茲に、爺馬鹿の拙吟とする次第。

「朱明」: 夏のこと
「孩子」: 嬰児



 最初に戻る



































[27]
投稿者 展陽 

[夏日即興]

雨後晴天颯似秋   雨後晴天 さっとして秋に似たり

軽衣軟履往山遊   軽衣軟履 山遊びに行く

風傳遠寺鐘声妙   風が伝ふ 遠寺鐘声の妙

喚起詩興散百憂   詩興喚起されて 百憂散ず



 最初に戻る



































[28]
投稿者 菊太郎 

[夏日即興]

溽蒸陋屋緑陰稠   溽蒸たる 陋屋 緑陰 稠し

檐馬無声庭院幽   檐馬 声無く 庭院 幽なり

忽聴雷霆風籟起   忽ち聴く 雷霆 風籟 起こり

傾盆一雨午涼流   傾盆の一雨 午涼 流る





 最初に戻る



































[29]
投稿者 点水 

[夏日即興]

今温室化世人憂   いま 温室化は世人の憂(心配)

各國表明防止猷   各国は 防止の猷を表明すも

理念相違難總括   理念は相違し 総括難し

何年消滅暑威愁   何れの年に暑威の愁(うれい)は消滅せん



 地球温暖化対策の世界会議がいろいろとあり、炭酸ガス排出規制が論議されておりますが、諸国の利害がからみ、何が決まり、何が実行されるのか、なかなかついていけません。
 そんな事態をこの暑い夏の日に考えると、暑威が何時消えるかと、本当にいやになります。
 でも、暑さにまけないように、頑張りたいです。



 最初に戻る



































[30]
投稿者 風散士 

[夏日即興 一]

書榻拷A爽氣流   書榻 緑陰 爽気流れ、

何時不覺閉雙眸   何れの時か覚えず 双眸を閉ず。

薫風翻頁非無學   薫風 翻頁するは 学無きに非ず、

解読難辭誘履修   難辞を解読して 履修を誘なふ。



「書榻」: 榻はこしかけ。
「翻頁」: (風が)ページをめくる。



 最初に戻る



































[31]
投稿者 風散士 

[夏日即興 二]

紅飛紫散春懷盡   紅飛 紫散 春懐尽き、

漉青肥夏氣周   緑沃 青肥 夏気周る。

日月悤悤變節物   日月 怱々 節物を変へ、

鶯聲絶處鵑聲流   鴬声絶ゆる処 鵑声流る。


※転句下仄三連。結句下平三連。



 最初に戻る



































[32]
投稿者 風散士 

[當夏寓懷 一]

模倣先賢毎探求   先賢を模倣して 毎に探求し、

朱明獺祭汗珠流   朱明 獺祭 汗珠流る。

毋言畢竟屠龍技   言ふ毋れ畢竟 屠龍の技と、

恍惚予防加自修   恍惚の予防 加へて自修。



 最初に戻る



































[33]
投稿者 風散士 

[當夏寓懷 二]

浮浮細雨少無休   浮浮たる細雨 少しも休む無く、

休日蹉跎鬱屈脩   休日 蹉跎たり 鬱屈ながし。

脩竹千竿枝葉蜜   脩竹 千竿 枝葉蜜に、

密雲靉靆遠山浮   密雲 靉靆あいたい 遠山浮ぶ。



「浮浮」: 雨が盛んに降るさま。
「蹉跎」: (休日の予定行動が)思うにまかせない。
「靉靆」: 雲の盛んなさま。また、暗いさま。ここでは後者。



 最初に戻る



































[34]
投稿者 風散士 

[當夏寓懷 三]

雛在梁巣覓香餌   雛は梁巣りょうそうに在って 香餌を覓め、

親孚飛燕舞田疇   親は飛燕にはぐくんで 田畴に舞ふ。

殘紅委地鶯聲去   残紅 地に委せて 鴬声去り、

新緑成陰鵑語流   新緑 陰を成して 鵑語流る。

朝購鮮鰹知節變   朝に鮮鰹を購ひて 節変わるを知り、

夕烹玉筍憶星周   夕べに玉筍を烹て 星周るを憶ふ。

應濡白屋夏初味   応に白屋を濡ほす 夏初の味、

何厭聖賢杯未留   何ぞ聖賢を厭はん 杯未だ留まらず。



「田畴」: ここでは田んぼ。
「鮮鰹」: はつがつおにあてる。
「玉筍」: たけのこ。
「烹」: 煮る。
「聖賢」: 清酒と濁酒。



 最初に戻る



































[35]
投稿者 禿羊 

[当夏寓懷]

過雨呼風午熱収   過雨 風を呼びて 午熱収まり

小園庭樹正油油   小園の庭樹 正に油油

今朝郷信累衰眼   今朝の郷信 衰眼を累はすも

往歳故山明閉眸   往歳の故山 閉眸に明らかなり

木剣衝天駆緑野   木剣 天を衝いて 緑野を駆け

朱褌突簎猟清流   朱褌 簎(やす)を突きて 清流に猟(すなど)る

茫茫夏昼垂髫夢   茫茫たり 夏昼 垂髫の夢

日暮鏡中唯白頭   日暮 鏡中 唯白頭





 最初に戻る



































[36]
投稿者 鮟鱇 

[夏日即興 一]

日照山湖蝉語柔,   日は山湖を照らして 蝉語 柔かく,

風光十里入双眸。   風光十里 双眸に入る。

青年鏡水行輕舸,   青年 鏡水に軽舸を行(や)り,

白首林中探勝遊。   白首 林中に勝遊を探る。

朱夏火雲如比翼,   朱夏の火雲 比翼の如く,

緑陰午酒洗閑愁。   緑陰の午酒 閑愁を洗ふ。

吟情自涌筆堪走,   吟情 自づから涌いて 筆 走らすに堪へ,

俳句忽成餘韻留。   俳句 忽ちに成って 余韻を留む。



「輕舸」: 小舟。
「勝遊」: 風流な遊び。



 最初に戻る



































[37]
投稿者 鮟鱇 

[夏日即興 二]

夕風爽處納涼遊,   夕風 爽かなるところ 納涼の遊び,

壺酒三杯洗百憂。   壺酒三杯 百憂を洗ふ。

河岸點灯明暮夜,   河岸 点灯して 暮夜に明るく,

男孫翹首指高樓。   男孫 首(こうべ)を翹(あ)げて高楼を指さす。

電梯數秒生襟韵,   電梯(でんてい)に数秒にして襟韵を生じ,

屋頂十分回醉眸。   屋頂(おくちょう)に十分に酔眸を回らす。

滿目花烟似銀漢,   満目の花烟 銀漢に似て,

青天盈月照光頭。   青天の盈月 光頭を照らす。



「電梯」: エレベータ。
「襟韵」: 風流な心映え。
「屋頂」: 屋上。
「花烟」: 花火。



 最初に戻る



































[38]
投稿者 鮟鱇 

[當夏寓懷]

朱夏山居蝉語稠,   朱夏の山居に蝉語 稠(おお)く,

暮天高唱使人愁。   暮天に高唱して人をして愁へしむ。

俯斟壺酒洗腸肚,   俯して壺酒を斟んで腸肚を洗ひ,

仰看月娥思地球。   仰ぎて月娥を看て 地球を思ふ。

電視頻頻報凶事,   電視 頻頻として凶事を報じ,

炮烟處處害良儔。   炮烟 處處に良儔を害す。

長生多嘆身空老,   長生 多いに嘆いて身は空しく老い,

宇宙蛛糸醉夢周。   宇宙の蛛(くも)の糸 醉夢に周(めぐ)る。



「電視」: テレビ。
「良儔」: 良き友。
「蛛糸」: 蜘蛛の糸。



 最初に戻る



































[39]
投稿者 博生 

[夏夕即興]

驟雨一過涼気流   驟雨一過 涼気流る

清陰移榻比隣遒   清陰に榻を移し 比隣あつまる

象棋巷説諸人楽   象棋巷説 諸人楽しむ

今日如何感慨稠   今日如何んぞ 感慨稠し




溽暑の中、一雨あり涼しくなった夕べ
軒陰に縁台を出して近所が集まり、
将棋、噂話に花を咲かせた、まだテレビ、冷房の無い時代の巷間の景を思い偲ぶ。


 最初に戻る



































[40]
投稿者 杜正 

[夏日即興]

霞浦詩情帆引舟   霞浦の詩情 帆引舟

微涼湖畔水華浮   微涼の湖畔 水華浮かぶ

憩休氷店忘三伏   氷店に憩休すれば 三伏を忘る

遥聳青山夕照収   遥かに聳ゆる青山 夕照収まる



 霞ヶ浦の夏の風物詩は、白い帆引き舟と蓮花である。氷を食べながら、これらを見ていると、夏の暑さを忘れてしまうようだ。霞ヶ浦の遥か先には、筑波山が聳えており、夕日に染まって、一幅の絵のようだ。



 最初に戻る



































[41]
投稿者 常春 

[當夏偶懐 一]

電鞭閃閃盛衰流   電鞭 閃閃 盛衰して流れ

雷輥隆隆遠近周   雷輥 隆隆 遠近に周ねし

梅雨欲明雲上賽   梅雨 明けんと欲する 雲上の賽

龍蛇無奈藹天浮   竜蛇 奈ともする無し 藹天に浮くを



「藹天浮」: 大気汚染



 最初に戻る



































[42]
投稿者 常春 

[當夏偶懐 二]

環境論談盾與矛   列国の論談 盾と矛

大綱一致不同舟   大綱一致すれども 舟を同にせず

先驅家國協商召   先駆の家国 協商召え

後走諸邦追上求   後走の諸邦 追上求む

天滞瘴雰無対策   天に滞る瘴雰 対策無く

地盈老品困回収   地に盈つ老品 回収に困ず

人間諸事何虚耗   人間諸事 何ぞ虚耗ぞ

白首昏愚惟待秋   白首昏愚して 惟秋を待つ





 最初に戻る



































[43]
投稿者 井古綆 

[夏日即興 四]

烈日沈淪窓月浮、   烈日 沈淪 窓月浮かび、

殘炎滿屋汗珠流。   残炎 屋に満ちて 汗珠流る。

塵書一瞥忘騒客、   塵書 一瞥 騒客を忘れ、

合作酒仙須早秋。   合(まさ)に酒仙と作って 早秋を須(まつ)べし。



 最初に戻る



































[44]
投稿者 井古綆 

[夏日即興 五]

斷梅消暑上遊舟、   断梅 消暑 遊舟に上る、

舟出澄灣伴白鷗。   舟は澄湾を出れば 白鴎を伴ふ、

烈日炎炎如盛夏、   烈日 炎々 盛夏の如く、

涼風颯颯似清秋。   涼風 颯々 清秋に似る。

艄公兼務播員美、   艄公(しょうこう) 兼務 播員(はいん)美わしく、

乗客遥望去路悠。   乗客 遥望 去路悠(はるか)なり。

怪石奇岩迎忽送、   怪石 奇岩 迎へ忽ち送る、

洞門絶景忘千愁。   洞門の絶景 千愁を忘る。



「艄公」: 船頭。現代中国語。
「播員」: 船内のアナウンス。現代中国語。
「美」: 美人船長のため。
「去路」: 行き先。
「洞門」: 釣鐘洞門。(兵庫県但馬海岸)



 最初に戻る