第25回 世界漢詩同好会総会(二〇〇九年四月十九日)

 『世界漢詩同好会』の第25回総会は、4月19日に開かれました。
 詩題(今回は『克復経済難局』)と押韻(今回は「下平声十蒸」)を共通として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。
 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



 日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。
番号をクリックして下さい。
 
    作品番号 作 者 題 名 詩 形
   01 井古綆 「克復經濟難局 其一」七言律詩
   02 井古綆 「克復經濟難局 其二」七言律詩
   03 井古綆 「克復經濟難局 其三」七言律詩
   04 井古綆 「克復經濟難局 其四」七言律詩
   05 井古綆 「克復經濟難局 其五」七言律詩
   06 井古綆 「克復經濟難局 其六」七言律詩
   07 井古綆 「克復經濟難局 其七」七言律詩
   08 Y.T  「美國一社経営破而萬邦乱」七言絶句
   09 登龍   「克復經濟難局」七言絶句
   10 謝斧   「克復經濟難局 一」七言律詩
   11 謝斧   「克復經濟難局 二」七言絶句
   12 謝斧   「克復經濟難局 三」七言絶句
   13 謝斧   「克復經濟難局 四」七言絶句
   14 謝斧   「克復經濟難局 五」七言絶句
   15 謝斧   「克復經濟難局 六」七言絶句
   16 謝斧   「克復經濟難局 七」七言絶句
   17 謝斧   「克復經濟難局 八」七言絶句
   18 謝斧   「克復經濟難局 九」七言絶句
   19 観水   「經濟難局 一」七言絶句
   20 観水   「經濟難局 二」七言律詩
   21 観水   「克復經濟難局」七言絶句
   22 仲泉   「克復經濟難局」七言絶句
   23 博生   「克復經濟難局」七言絶句
   24 童心   「克復經濟難局」七言絶句
   25 明鳳   「克復經濟難局 一」五言絶句
   26 明鳳   「克復經濟難局 二」五言絶句
   27 明鳳   「克復經濟難局 三」七言絶句
   28 明鳳   「克復經濟難局 四」七言絶句
   29 明鳳   「克復經濟難局 五」七言律詩
   30 深溪   「克復經濟難局」七言絶句
   31 杜正   「克復經濟難局」七言絶句
   32 玄齋   「克復經濟難局」七言絶句
   33 菊太郎  「克復經濟難局」七言絶句
   34 常春   「克復經濟難局 其一」七言絶句
   35 常春   「克復經濟難局 其二」七言絶句
   36 常春   「克復經濟難局 其三」七言律詩
   37 点水   「克復經濟難局」七言絶句
   38 鮟鱇   「克復經濟難局」七言律詩
   39 ニャース 「克復經濟難局」七言絶句
   40 禿羊   「克復經濟難局」七言絶句
   41 桐山人  「克復經濟難局」七言絶句




























[01]
投稿者 井古綆 

[克復經濟難局 其一]

世界金融倏忽崩、   世界の金融 倏忽(しゅっこつ)に崩れ、

沈停經濟恐慌弘。   沈停せる経済に 恐慌弘(ひろ)がる。

奸商策略窮民衆、   奸商の策略は 民衆を窮(こま)らせ、

佞者甘言排友朋。   佞者(ねいしゃ)の甘言は 友朋を排す。

可戒後車重覆轍、   戒む可し 後車 覆轍を重ねるを、

須期股價向高昇。   須(すべから)く期すべし 股価(こか) 高昇に向かふを。

人間叡智正無限、   人間の叡智は 正に無限、

超越萬難望再興。   万難を超越して 再興を望む。



「倏忽」: たちまち。
「奸商」: 不正な手段を以って不当な利益を収める商人。
「佞者」: へつらう人。
「股価」: 株価。経済の活性化に代用した。



 最初に戻る



































[02]
投稿者 井古綆 

[克復經濟難局 其二]

亢龍焉得更高登、   亢龍(こうりょう)焉(いずく)んぞ得ん 更に高く昇るを、

人類文明一瞬崩。   人類の文明は 一瞬に崩る。

社会安寧如落日、   社会の安寧は 落日の如く、

金融破綻似風燈。   金融の破綻は 風灯に似る。

後車莫踏前車轍、   後車 踏む莫れ 前車の轍、

今者當傾智者能。   今者(きんしゃ)当(まさ)に傾くべし 智者の能。

暗夜何時作清暁、   暗夜は何れの時にか 清暁と作る、

須希股價向昂騰。   須(すべから)く希ふべし 股価(こか)の昂騰に向かふを。


「亢龍」: 天に高く登りつめた龍、次句の「人類文明」にかける。
「風灯」: 風前のともし火。
「今者」: いま。この場合の者には意味がない。
「股価」: 株価。経済の活性化に代用した。



 最初に戻る



































[03]
投稿者 井古綆 

[克復經濟難局 其三]

經濟危如履薄氷、   経済の危うきは 薄氷を履むが如く、

文明累卵瞬時崩。   文明は累卵 瞬時に崩る。

奸商悪徳重壟斷、   奸商の悪徳は 壟断(ろうだん)を重ね、

策士陰謀盡照應。   策士の陰謀は 照応(しょうおう)を尽くす。

已試前車毋覆轍、   已に前車を試して 覆轍する毋(なか)れ、

須將後顧務隆興。   須(すべから)く後顧を将って 隆興に務めるべし。

千宗萬教非無意、   千宗 万教は 無意に非(あら)ず、

惻隠仁慈永繼承。   惻隠 仁慈は永(とこしへ)に継承。


「壟断」: (立場を利用して)うまく利益を独占すること。
「照応」: 二つのものが互いに対応すること。
「千宗万教」: 千万と宗教との互文。
「隆興」: さかんに興ること。
「惻隠」: (弱者への)あわれみ。



 最初に戻る



































[04]
投稿者 井古綆 

[克復經濟難局 其四]

金融世界畏蒼鷹、   金融の世界 蒼鷹(そうよう)と畏(おそ)れられ、

彼隠流雲免捕縄。   彼は流雲に隠れて 捕縄を免る。

舊弊排除迎清淨、   旧弊の排除は 清浄を迎へ、

新風導入望明澄。   新風の導入は 明澄を望む。

秋寒夏冷嘆霖雨、   秋寒 夏冷 霖雨を嘆き、

冬去春來溶結氷。   冬去 春来 結氷を溶かす。

何日摧身復經濟、   何れの日にか摧身して 経済を復し、

人間叡智欲誇矜。   人間の叡智を 誇矜(こきょう)せんと欲す。


「蒼鷹」: 俗に言うはげたかファンドに当てる。
「彼」: 彼等。
「誇矜」: 矜もほこる意味。



 最初に戻る



































[05]
投稿者 井古綆 

[克復經濟難局 其五]

蕭条不況恐慌増、   蕭条たる不況 恐慌は増し、

變革徒勞失意凝。   変革は徒労 失意凝る。

地上文明消忽忽、   地上の文明は 忽忽(こつこつ)と消え、

空前被害進蒸蒸。   空前の被害は 蒸蒸と進む。

驕邦放逸榮華去、   驕邦は放逸 栄華去り、

弱國迷途辛苦仍。   弱国は迷途 辛苦仍(かさな)る。

誰以良謀克難局、   誰か良謀を以って 難局を克せば、

萬雷拍手否過稱。   万雷の拍手は 過称に否らず。



「不況」: (和語)不景気。
「忽忽」: たちまち。
「蒸蒸」: 進むさま。
「過称」: ほめすぎ。


 最初に戻る



































[06]
投稿者 井古綆 

[克復經濟難局 其六]

市場壟断似蒼蝿、   市場(しじょう)壟断するは 蒼蝿(そうよう)に似て、

忘却利他誰得懲。   利他を忘却するも 誰か懲らしめるを得ん。

経済危機嘆沈滞、   経済の危機に 沈滞を嘆くも、

長期拘泥失隆興。   長期の拘泥は 隆興(りゅうこう)を失ふ。

正師過去毋重複、   正に過去を師として 重複する毋(な)かれ、

須向将来掲導灯。   須らく将来に向かって 導灯を掲ぐべし。

幸福追求否銭耳、   幸福の追求は 銭のみに否らず、

嵩山垂範有禅僧。   嵩山(すうざん)範を垂れるは  禅僧にあり。



「蒼蝿」: 食物(利)に集まるハエ。
「利他」: 他人の幸福を願うこと。未曾有の恐慌はこの利他の欠如に端を発するのではないか?
「拘泥」: (恐慌を起こした者への責任追及の)こだわり。
「重複」: 覆轍を指す。
「嵩山」: 達磨大師が面壁九年座禅した少林寺がある。



 最初に戻る



































[07]
投稿者 井古綆 

[克復經濟難局 其七]

人間万事欲望凝、   人間万事 欲望凝り、

忘却彛倫患作憎。   彛倫(いりん)を忘却して 憎しみを作すを患ふ。

我利蔓延臻限界、   我利は蔓延して 限界に臻(いた)り、

民生破綻奈恢崩。   民生は破綻して 恢崩(かいほう)するを奈(いか)んせん。

将来勿踏覆車轍、   将来 踏む勿れ 覆車の轍、

今日誰消仏者灯。   今日 誰か消せし 仏者の灯。

適捨私心還聖訓、   適(まさ)に私心を捨てて 聖訓に還り、

無辺博愛待滋増。   無辺の博愛 滋増(じぞう)を待つ。


「彛倫」: 人として常に守るべき道。
「恢崩」: 大きく崩れる。
「無辺」: 無限。
「滋増」: ますます増える。



 最初に戻る



































[08]
投稿者 Y.T 

[美國一社経営破而萬邦乱]

大邦一社經営破   大邦の一社 経営 破り

萬國銀行財政冰   萬國の銀行 財政 冰る

再興成否由人事   再興の成否は 人事に由る

無策公金幾許能   無策の公金 幾許の能ぞ



 最初に戻る



































[09]
投稿者 登龍 

[克復經濟難局]

拷A繁茂好風乗,   緑陰繁茂好風に乗ず,

禍福不関ク里朋。   禍福関せず郷里の朋。

長壽者痾貧困苦,   長寿者痾と貧困に苦しみ,

經済克復難題凌。   経済克復 難題を凌ぐ。



 最初に戻る



































[10]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 一]

人苦貧寒豈可凌   人は貧寒に苦むも豈に凌ぐべけんや

相公失口竟何能   相公口を失して竟に何をか能せん

邦家政教民情背   邦家の政教は民情に背き

美國商工景況崩   美國の商工 景況は崩る

花落還開自然理   花落ちて還た開くは自然の理

月虧則満世間恒   月虧ければ則ち満るは世間恒なり

勿忘海外英知足   忘るる勿れ海外 英知足く

須克時艱勤復興   須く時艱に克ちて復興い勤むる可し


雖詩題適時宜作詩甚難
詩拙少風雅之辞則無味
屡々重推敲無益
如此蕪詩可謂似詩非者哉
可恥


 最初に戻る



































[11]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 二]

糊塗政府苦難凌   糊塗たる政府 苦だ凌ぎ難く

日本商工誰復興   日本の商工 誰か復興せん

却怪眼前一杯酒   却って怪しむ 眼前一杯の酒を

草枯寒雀怯蒼鷹   草枯れて寒雀 蒼鷹に怯えん



「眼前一杯酒」: 即時一杯酒を平仄の関係で眼前にしました。
将来の富よりも今の一杯の酒(定額給付金)
結句は景気が悪く民は困窮して酷税に怯える
蒼鷹(酷吏転じて消費税)



 最初に戻る



































[12]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 三]

何事邦家経済崩   何事ぞ邦家 経済崩れ

國無安石恨難勝   國に安石無く 恨勝え難し

剰知贓吏庖苴泥   剰さえ知る贓吏 庖苴を泥り

群蟻付羶如許能   群蟻羶に付いて許の如く能ざらん

「能」: 模擬辞 然と同じ料得如今似我能 坡公詩


 最初に戻る



































[13]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 四]

人無恒産有誰憑   人に恒産無く 誰有りてか憑らん

露止寒酸被凍蠅   露止寒酸凍蠅を被むり

世上風波何日熄   世上風波 何日か熄まん

一人安石竟誰能   一人の安石竟に誰か能せん

   

「凍蠅」: 寒に苦しむ人のたとえ
「恒産」: 定職 恒産無き者は恒心無し



 最初に戻る



































[14]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 五]

相公失口怯蒼蠅   相公口を失って蒼蠅に怯え

世上醜聞人所憎   世上の醜聞 人の憎む所

唯爲利権軽国政   唯利権の爲に 国政を軽んじ

邦家産業有誰興   邦家の産業誰有りてか興さん




 最初に戻る



































[15]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 六]

眼看時事涙沾膺   眼に時事を看ては涙膺を沾し

処士危言苦葛藤   処士危言しては 葛藤に苦しむ

海外叡知須勠力   海外の叡知 須らく力を勠せ

百年一遇豈難凌   百年一たび遇ふも 豈凌ぐこと難からん

   

   

   

   


鮮哉風雅之趣 兼背温柔敦厚之意
如此詩 此可謂似非詩 可恥



 最初に戻る



































[16]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 七]

昏亂邦家景況凝   昏亂の邦家景況凝り

世途危嶺険難登   世途は危嶺の険に登り難し

撫飢露宿人愁訴   飢を撫で露宿して 人愁訴す

偏願未明看一燈   偏に願ふ未明 一燈を看る


「昏亂邦家」: 昏亂國家(老子)平仄の爲に邦家に代用


 最初に戻る



































[17]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 八]

城市居難日日増   城市居り難く日日に増し

素餐無肉似高僧   素餐に肉無く高僧に似たり

空憂景況誰恢復   空しく景況を憂ふも誰か恢復せん

窮苦甘貧自可矜   窮苦して貧に甘んじては自から矜むべし



 最初に戻る



































[18]
投稿者 謝斧 

[克復經濟難局 九]

世路辛酸履薄氷   世路辛酸 薄氷を履み

猶為倦客向崚嶒   猶倦客と為って崚嶒に向ふがごとし

飢民窮弊謀粱稲   飢民窮弊 粱稲を謀り

施政何妨物価騰   政を施きては何ぞ妨げん 物価の騰るを


「粱稲」: 生計



 最初に戻る



































[19]
投稿者 観水 

[經濟難局 一]

人間禍福本如繩   人間の禍福 本 縄の如きも

好況恐慌分愛憎   好況 恐慌 愛憎を分つ

誰用百年經濟略   誰か用いん 百年 経済の略

田夫只僅避蒼鷹   田夫 只だ僅かに 蒼鷹を避くるのみ


世間の良いこと悪いこと 縄にたとえて言うけれど
景気の良いとき悪いとき 人も良いかお悪いかお
誰に百年経済を 治めることができるだろう
わたしといえばただやっと タカの目さけて暮らすだけ



 最初に戻る



































[20]
投稿者 観水 

[經濟難局 二]

萬邦經濟一朝崩   万邦の経済 一朝にして崩る

何遽可嘲鳩笑鵬   何遽(なんぞ) 嘲うべけんや 鳩の鵬を笑うを

好況六年無所得   好況 六年 得る所無く

恐慌半歳豈相勝   恐慌 半歳 豈に相勝へんや

典衣不爲求微醉   衣を典するは 微酔を求むる為ならず

負債當如履薄氷   債を負ふは 当に薄氷を踏むが如かるべし

已矣窮居偏啜粥   已んぬる矣 窮居 偏に粥を啜り

只携妻子守風燈   只だ妻子を携えて 風灯を守るのみ


さすがの世界経済も たちまちにして崩れ去る
どうして鵬(ほう)の大きさを 信じぬ鳩を嘲(わら)えよう
六年景気が続いても けっきょく何も得られずに
半年ミゾウの危機に遭い とてもじゃないが耐えられぬ
衣類を質に入れるのは 酒代にするためじゃない
お金を借りて回るのは 薄い氷を踏む思い
こりゃあダメだとウサギ小屋 ひたすら粥を啜っては
ただ妻と子を引き連れて はかない暮らし守るだけ



 最初に戻る



































[21]
投稿者 観水 

[克復經濟難局]

禍福吉凶如糾繩   禍福 吉凶 糾縄の如くんば

他時經濟會當興   他時 経済 会ず当に興るべし

諸公須想百年事   諸公 須く想ふべし 百年の事

遮莫鷽鳩徒笑鵬   遮莫(さもあらばれ) 鷽鳩の徒に鵬を笑ふは


世のなか良いこと悪いこと 縄にたとえて言うならば
いつかそのうち経済も きっと回復するだろう
偉い人たち是が非でも 百年先を考えて
大計画のわからない 小物のことは気にするな


 最初に戻る



































[22]
投稿者 仲泉 

[克復經濟難局]

平生美食欲心増   平生美食欲心増す

功佞横行世相崩   功佞横行世相崩れる

只管耐煩望不断   只管煩に耐へて望みを断たず

短簷風散瑞祥昇   短簷風散し瑞祥昇る




 最初に戻る



































[23]
投稿者 博生 

[克復經濟難局]

縦欲金融經濟冰   縦欲の金融 経済冰る

深憂世相亦難勝   深憂の世相 亦勝え難し

満干盈缺自然理   満干盈缺 自然の理

落葉育芽期再興   落葉育芽 再興を期つ


この経済危機は個々人としては如何ともし難いことながら、
世の中は輪廻するもの、
春を待つ樹木の様に身を軽くし新しい芽を育み
経済の再興に備えよう。



 最初に戻る



































[24]
投稿者 童心 

[克復經濟難局]

未見暗雲回復徴   未だ見ざる暗雲回復の徴

連連辞去職場朋   連連と辞去す職場の朋

傾聽熟読將捜道   傾聴熟読し、将に道を捜せども

進路多難窮我能   進路は多難にして、我が能力を窮めん



製造会社に勤務していますが受注が激減し、日々悪戦苦闘し、悩んでいます。
経済評論を聞いたり、本を読むなどして生き残り策を探っています。
今回の漢詩はテーマが社会問題であるため、苦労しました。
自分の置かれた状況をそのまま詠んでみました。


 最初に戻る



































[25]
投稿者 明鳳 

[克復經濟難局 一]

政府方針攪   政府の 方針 攪(みだ)れば

經濟破綻崩   経済は 破綻して 崩る

備荒民意惑   備荒の 民意は 惑ひ

衆議可能興   衆議 能(よ)く 興(おこ)す 可(べ)し



政府/首相の言質が「ブレ」てばかりでは、国民の恐慌に備える覚悟も惑うばかり。
将に解散を断行して民意を問うべきか。



 最初に戻る



































[26]
投稿者 明鳳 

[克復經濟難局 二]

梨男兄弟潰   梨男(リーマン)兄弟(ブラザーズ) 潰(つい)えて

對策與誰勝   対策は 誰とともに 勝(た)へん

企業經營極   企業の 経営は 極まるも

救濟倫理弘   救済には 倫理 弘めよ



リーマン・ブラザーズの当て字は、作吟には亜流としても、破綻企業に巨額ボーナスの支払いが有るとは、倫理感の欠如も甚だしい。

 最初に戻る



































[27]
投稿者 明鳳 

[克復經濟難局 三]

金融閉塞悪評騰   金融 閉塞して 悪評 騰(あが)り

情報怱忙混亂興   情報 怱忙として 混乱 興(おこ)る

連鎖危機成底事   連鎖する 危機に 底事(なにごと)をか 成す

經濟恢復轉誰能   経済の 恢復 転(うた)た 誰か 能(よ)くせん


百年の一度と言われる世界同時不況!
一刻も早く民意を安定させる施政が待たれる次第である。


 最初に戻る



































[28]
投稿者 明鳳 

[克復經濟難局 四]

信用不安狼狽層   信用不安に 狼狽 層(かさ)なり

交生蹉跌有誰能   交(こもご)も 生じる 蹉跌 誰 有りて 能(よ)くせん

危機管理迂愚甚   危機管理は 迂愚(うぐ)も 甚だしく

景気循環降又昇   景気の 循環に 降(さが)れば 又 昇(のぼ)せよ


危機管理をに行政を頼っても、効果は無いだろうに。
景気の循環論を信じて、自力更生あるのみか!


 最初に戻る



































[29]
投稿者 明鳳 

[克復經濟難局 五]

破綻救濟尋問層   破綻の 救済に 尋問 層(かさ)なるも

交生蹉跌有誰能   交(こもご)も 生じる 蹉跌 誰 有りて 能(よ)くせん

雇傭安定活人術   雇傭の 安定は 活人の 術

景気浮揚治世恒   景気の 浮揚は 治世の 恒(つね)

閉塞金融施對策   閉塞する 金融には 対策 施(ほどこ)し

流言蜚語掲嚴矜   流言する 蜚語には 厳矜(げんきょう)を 掲げよ

危機管理今如此   危機管理は 今 此(かく)の 如く

解散猶迷賛否興   解散は 猶 迷って 賛否 興(おこ)る


「破綻救濟」: 公的資金の注入
「尋問」: 米・議会での公聴会
「蹉跌」: GM・クライスラーやAIGなどのマンモス企業の破綻
「雇用」: 非正規社員の救済雇用
「恒」: 経国済民の根本
「流言蜚語」: 疑心暗鬼の憶測と悪い風聞
「嚴矜」: 堅く強いさま


 サブプライムとリーマンブラザーズの破綻が引き金の、百年に一度と言われる世界同時不況は、金融閉塞、信用不安、経済破綻、連鎖危機等々、それも最悪を意味する凡(あら)ゆる経済用語が、出尽くした感なるも、未だ、政治・経済・社会の全ての分野に亘って、抜本的な対策が講じられていない様だ。
 米国はGM・クライスラー・AIGなどマンモス企業の成り行き、加えて、我が国政治の解散や政権交代は如何なることか。
 一刻も早く民意を安定させる施政が問われて居る、としなければならない。



 最初に戻る



































[30]
投稿者 深溪 

[克復經濟難局]

耐久庶民如堅凝   耐久の庶民 堅凝の如し

政経拙策物高騰   政経の拙策 物は高騰す

資源節約慎瘤贅   資源節約 瘤贅を慎み

自給專心凡莫憑   自給専心 凡て憑ること莫れ


「如堅凝」: 凝り固まったようだ。 (耐久に対して)
「瘤贅」: 贅瘤、よけいなものの例え、転じて浪費。
「凡莫憑」: 何事も頼ることは出来ないの意。

 最近の世相は、我慢と希望と工夫の戦後を思い出させる。


 最初に戻る



































[31]
投稿者 杜正 

[克復經濟難局]

四海新正冷気徴   四海の新正 冷気の徴

邦家經濟已成氷   邦家の経済 已に氷と成す

少年失職住路上   少年 失職し 路上に住む

不況蘇生問大鵬   不況の蘇生 大鵬に問ふ




 最初に戻る



































[32]
投稿者 玄齋 

[克復經濟難局]

理財失策恥無懲   理財の失策 懲るる無きを恥じ

億兆窮愁不可勝   億兆の窮愁 勝ふべからず

願是維新苟安政   願はくは是れ 苟安の政を維れ新たにし

人間相補國將興   人間相補ひて 国の将に興らんとすることを


難しいお題ですが、何とか挑戦してみました。
世界の経済が回復されることを強く願います。


 最初に戻る



































[33]
投稿者 菊太郎 

[克復經濟難局]

市況低迷利不騰   市況 低迷し 利 騰がらず

衆庶失職倍加増   衆庶 失職 ますます 加増す

雇傭創出緊要事   雇傭の創出 緊要の事

挙国吏民期復興   国を挙げ 吏民 復興を期せん




 最初に戻る



































[34]
投稿者 常春 

[克復經濟難局 其一]

貴富弄銀無所懲   貴富銀を弄して 懲る所無し

賎貧缺業有誰憎   賎貧業を欠く 誰か憎む有らん

政財節操何多少   政財の節操 何んの多少ぞ

持己虚心復氣矜   己を持し虚心 気矜を復せん



 最初に戻る



































[35]
投稿者 常春 

[克復經濟難局 其二]

金融踰矩市場氷   金融 矩を踰え 市場氷る

産業停停稼不能   産業停停として稼ぐこと能わず

欲買歡心撤銀者   歓心買わんと欲して銀を撤く者よ

莫遺後世借財憑   後世に借財の憑を遺す莫れ



 最初に戻る



































[36]
投稿者 常春 

[克復經濟難局 其三]

金融踰矩市場氷   金融矩を踰え 市場氷る

産業停停失業兢   産業停停として失業兢たり

宰相乗機信休問   宰相機に乗じ 信問うを休め

厚顔饒舌識無凝   厚顔饒舌 識凝まる無し

目前政策喪規律   目前の政策 規律喪う

事後帰趨任勢騰   事後の帰趨 勢騰に任す

欲買歡心撤銀者   歓心買わんと欲して 銀を撤く者よ

莫遺後世借財憑   後世に 借財の憑を遺す莫れ



 最初に戻る



































[37]
投稿者 点水 

[克復經濟難局]

美國金融乍壊崩   美国の金融乍ち壊崩し

蕭條景氣冷於氷   蕭条たる景気 氷より冷し

革新技術繁榮助   革新技術が繁栄の助け

効果發揮猶可勝   効果の発揮 猶 勝ゆべし




 最初に戻る



































[38]
投稿者 鮟鱇 

[克復經濟難局]

人受寒風吹武陵,   人 寒風の武陵に吹くを受け,

財神憔悴痩稜稜。   財神 憔悴し痩せて稜稜たり。

哀鴻滿路詩無力,   哀鴻 路に満ちて詩に力なく,

富賈閉門錢似氷。   富賈 門を閉ざして錢は氷に似る。

政客爭權輕道義,   政客 権を争いて道義を軽んじ,

官僚處世擅規繩。   官僚 世に処るに規縄を擅(ほしいまま)にす。

青年失意窮途嘆,   青年 失意 窮途に嘆き,

老骨祈求快復興。   老骨 祈求す 快(はや)き復興を。



 最初に戻る



































[39]
投稿者 ニャース 

[克復經濟難局]

百姓太平願永恒   百姓 太平 永恒なるを願ひ、

繁栄刹那似砂崩   繁栄 刹那 砂に似て崩れる。

求寧春夜山門訪   寧を求めて 春夜 山門を訪れれば、

已座禪林一老僧   已に座す 禅林 一老僧。



経済政策も大切ですが、我々はいかに心の安寧を求めるかも大切ですね。
いまこそお金というより、なにかよりどころが必要なのではないでしょうか。
そんな気持ちで がんばって経済を回復させよう!!という勇ましい詩よりも こんな感じの詩を詠んでみました。



 最初に戻る



































[40]
投稿者 禿羊 

[克復經濟難局]

萬人婪貨値高騰   万人 貨を婪りて 値高騰するも

虚構繁栄若沫崩   虚構の繁栄 沫の崩るが若し

恒産孜孜以仁義   恒産 孜孜 仁義を以ってすれば

安寧清福自長承   安寧 清福 自ら長く承けん



 最初に戻る



































[41]
投稿者 桐山人 

[克復經濟難局]

拜金經濟忽焉崩   拝金の経済 忽焉として崩れ

萬国生民窮苦増   万国の生民 窮苦増す

玩物古来通喪志   玩物は古来 喪志に通ず

春風一颯待清澄   春風一颯 清澄を待たん

「玩物喪志(書経)」

 最初に戻る