第22回 世界漢詩同好会総会(二〇〇八年七月二〇日)

 『世界漢詩同好会』の第22回総会は、7月20日に開かれました。
 詩題(今回は『四川省地震』)と押韻(今回は「下平声七陽」)として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。
 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



 日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。
 
    作品番号 作 者 題 名 詩 形
    井古綆「四川省地震」七言律詩
    井古綆「四川省地震」七言絶句
    井古綆「四川省地震」七言絶句
    井古綆「四川省地震 而馳思唐代」七言律詩
    井古綆「四川省地震」七言律詩
    井古綆「四川省地震 (天人合一)」七言律詩
    宮前明鳳「四川省地震」七言絶句
    宮前明鳳「四川省地震」五言絶句
    宮前明鳳「四川省地震」七言律詩
   10 鮟鱇「四川省地震」七言律詩
   11 深渓「四川省地震」七言絶句
   12 謝斧「四川省地震 其之一」七言絶句
   13 謝斧「四川省地震 其之二」七言絶句
   14 謝斧「四川省地震 其之三」七言絶句
   15 謝斧「四川省地震 其之四」七言絶句
   16 謝斧「四川省地震 其之五」七言絶句
   17 謝斧「四川省地震」七言律詩
   18 深渓「四川省地震」七言絶句
   19 Y.T「嘆四川省地震」七言絶句
   20 登龍「四川省地震」七言絶句
   21 博生「恨四川省地震」七言絶句
   22 嗣朗「四川省地震」七言絶句
   23 叶公好「汶川大地震」七言絶句
   24 叶公好「汶川大地震」七言絶句
   25 道佳「四川省地震」七言絶句
   26 庵仙「四川省地震」七言絶句
   27 忍夫「四川省地震」七言絶句
   28 忍夫「四川省地震」七言律詩
   29 杜正「四川省地震」七言絶句
   30 主彩「四川省地震」七言絶句
   31 点水「四川省地震」七言絶句
   32 玄齋「四川省地震」七言絶句
   33 童心「四川省地震」七言絶句
   34 仲泉「四川省地震」七言絶句
   35 劉建「四川省地震」七言絶句
   36 禿羊「四川省地震」七言絶句
   37 黒「四川省地震」七言絶句
   38 某生「四川省地震」七言律詩
   39 常春「四川省地震」七言絶句
   40 常春「四川省地震」七言律詩
   41 桐山人「四川省地震」七言絶句
   42 ニャース「四川省地震」七言絶句
           以下は総会日以降の追加詩です   
   43 庵仙「四川省地震」七言絶句
   44 井古綆「慈母斷腸 四川省地震」七言絶句
   45 サラリーマン金太郎「中國四川省大地震」七言絶句
   46 深渓「悽四川省震災」七言絶句
           以下は韻目が異なる參加詩です   
   47 赤間幸風「四川省地震」七言絶句
   48 叶公好「四川省地震」七言絶句


番号をクリックして下さい。















[1]
投稿者 井古綆 

[四川省地震]

空前激震襲豊郷   空前の激震 豊郷を襲ひ

惨禍無邊正斷腸   惨禍無辺 正に断腸

路阻崩山怨落石   路は崩山に阻まれ 落石を怨み

人喪嗣子盡望洋   人は嗣子を喪ひ 望洋を尽くす

須將博愛鍾流涙   須らく博愛を将って 流涙を鍾(あつ)め

願忘舊讐溶積霜   願わくは旧讐を忘れ 積霜を溶かすべし

多数難民餘惻隠   多数の難民に 惻隠を余し

欲包微志則綱常   微志を包んで 綱常(こうじょう)に則せんと欲す



「綱常」: 人の守り行うべき道理

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[2]
投稿者 井古綆 

[四川省地震]

空前地震庶民僵   空前の地震 衆民僵(たお)れ

惨禍無邊惆悵長   惨禍無辺 惆悵長し

人類一家何看過   人類は一家 何ぞ看過

些錢包涙慰悲腸   些銭 涙に包んで 悲腸を慰めん




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[3]
投稿者 井古綆 

[四川省地震]

山崩家倒化荒涼   山は崩れ家は倒れ 荒涼と化し

無處瞠然不斷腸   処として瞠然の 断腸せざる無し

人類榮華似累卵   人類の栄華は 累卵に似たり

干戈孰若桃源郷   干戈は孰若ぞ 桃源郷と



「孰若」: (ジュクジャク)いずれ。どちらがすぐれているか

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[4]
投稿者 井古綆 

[四川省地震]

乾坤一變望非常   乾坤一変して 望み非常

無處悲酸不斷腸   処として悲酸の 断腸せざる無し

文物傳承成滅裂   文物の伝承は 滅裂と成り

山河破壊化荒涼   山河は破壊されて 荒涼と化す

看過惨禍乖倫理   惨禍を看過するは 倫理に乖き

援助窮邦則義方   窮邦を援助するは 義方に則す

正識干戈降博愛   正に識る干戈は 博愛に降る

願民康健國安康   願はくは民の康健 国の安康



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[5]
投稿者 井古綆 

[四川省地震 而馳思唐代]

地震脅威猶未防   地震の脅威は 猶お未だ防げず
空前被害激悲腸   空前の被害は 悲腸を激す
百千難險開通晩   百千の難険 開通晩(おそ)く
幾万犠牲惆悵長   幾万の犠牲 惆悵長し
須向隣邦澆惻隠   須らく隣邦に向かって 惻隠を澆(そそ)ぎ
深思幕屋照慈光   深く幕屋を思い 慈光を照らすべし
愛優憎悪文優武   愛は憎悪に優(まさ)り 文は武に優る
井與朝衡結盛唐   井と朝衡と 盛唐と結ぶ

(注)
井=井真成(セイシンセイ・いのまなり) 日本名不詳 先年西安で墓誌が発見された。
朝衡=(チョウコウ) 日本名は阿倍仲麻呂



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[6]
投稿者  

[四川省地震 (天人合一)]

激震突如衝廣疆   激震 突如 広疆(こうきょう)を衝き
瞠然無處不悲傷   瞠然(どうぜん) 処として 悲傷ならざる無し
史傳文物空成礫   史は文物を伝へるも 空しく礫と成り
民隔幽明共斷腸   民は幽明を隔だてて 共に断腸
人類榮華似朝露   人類の栄華は 朝露に似て
天公試練恨秋霜   天公の試練に 秋霜を恨む
仁慈博愛優矛楯   仁慈 博愛は 矛楯に優る
欲以虚心訴彼蒼   虚心を以って 彼蒼(ひそう)に訴へんと欲す

「広疆」: 疆はさかい。広い地域の意に使用。
「瞠然」: 驚いて目を見張るさま。
「幽明」: 幽は亡くなった人。(ここでは)明は助かったが負傷した人。
「秋霜」: (天公の試練が)厳しいことの例え。
「矛楯」: “前後がムジュンする”ではなく、ほことたて=干戈。
「彼蒼」: いかに試練と雖も余りにも悲惨を極める。(この惨禍を)彼蒼(天)に訴えたい。
        ※五句六句は流水対。
「天人合一」: 中国の世界観の一で、天と人が理を媒介にして一つながりだと考えるもの。
  古代には、人の心・性は天と通じ合っていると考え(孟子)、また人には天が投影していると考えた(董仲舒)。
  前者の天人相通論が宋代に発展し、宋学の重要な基礎観念となった。(広辞苑より)
  我々が幼少の頃はこのような思想の流れがあったような気がする。
  今これを読んでもす〜と理解できる。


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[7]
投稿者 宮前明鳳 

[四川省地震]

四川地轉禍如狼   四川の地は転(ころ)がり 禍は狼の如し

倒潰屋梁狂亂場   倒潰せる屋梁は 狂乱の場

天府之邦災害累   天府の邦は 災害累(かさ)なり

峨眉山月感無常   峨眉山月 感は無常



 地震の断層長さ300q、ズレ13mは、阪神・淡路の時の40q、2mに比べて桁違いの規模と謂う。
 正にこれは、地が震えると言うよりも、転がった感じであろうか。

 そして、四川省と言えば、歴史的にも司馬相如から李白・杜甫に至る漢詩人所縁の故事も多く、中でも李白の「峨眉山月半輪秋」が偲ばれ、災害で混乱して居る報道を見聞きする都度、「天府の国」と呼ばれた巴蜀、即ち四川省の災害復興を祈る次第である。



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[8]
投稿者 宮前明鳳 

[懷四川省大地震]

昔峨眉橋杭   昔 峨眉の橋杭

漂流越後揚   漂流して 越後に揚る

良寛今若在   良寛 今若(も)し在(あ)らば

援護以身當   援護に身を以て当らん



 鈴木牧之の「北越雪譜」に誌して曰く、良寛68歳の文政8年(1825)新潟・柏崎・宮川辺りの椎谷海岸に「峨眉山下橋」の五文字を記した標柱が、流木として漂着したと。

 良寛の詩に「峨眉山下橋杭」と題する「七絶」があり、当時その流木紛いの標柱は江戸まで運ばれ、将軍の上覧を得た位に大騒ぎであったとも誌されて居る。

 この故事の良寛が今若し在れば、災害支援に率先して身を乗り出すに違いないであろうし、四川省の人々の安寧を祈念する次第である。


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[9]
投稿者 宮前明鳳 

[四川省地震]

四川地震斷層長   四川の地震は 断層長く

災害支援痛恨場   災害の支援は 痛恨の場

天府之邦何處是   天府の邦は 何の処ぞ是なる

峨眉山麓亦非常   峨眉の山麓は 亦た非常

已知大衆仰空歎   已に知る大衆は 空を仰いで歎じ

尚有親朋捜族忙   尚有り親朋は 族(ともがら)を捜すに忙し

丞相治安今若在   丞相(じょうしょう)の治安 今若し在らば

人民戮力共商量   人民は戮力(りくりょく)して 共に商量せん



 5月12日四川省での直下型大地震(M7.9)勃発の報道に、世界中が驚愕して1ケ月有余、今度は我国でも6月14日「岩手・宮城内陸地震(M7.2)」である。地震の被害とその恐怖は人ごとならず、その感懐を吟じると言うよりも、先ずは記憶に留めるのに精一杯の仕様である。

 只、四川省も我国も、災害復興に抜きん出た采配を揮う政治のリーダーシップが期待され、人命救助と復興の順調なことが祈念される。

註)
「丞相」:蜀相・諸葛孔明、*「相」はこの場合●仄声
「治安」:国家が安らかに治まること
「戮力」:力をあわせること
「商量」:あれこれと想いを巡らせ、思案・考慮を計る



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[10]
投稿者 鮟鱇 

[四川省地震]

四川雲棧落溪碎,   四川の雲棧 溪に落ちて碎け,
五月蜀魂啼血狂。   五月の蜀魂 血に啼きて狂ふ。
民有愛情無咎罪,   民に愛情ありて咎罪なく,
天無人道有夭殤。   天に人道なくして夭殤あり。
山崩屋倒児童死,   山は崩れ屋は倒れて児童死に,
河裂水停田野荒。   河は裂け水は停りて田野荒るる
父母空留建新墓,   父母は空しく留まりて新墓を建て,
郊送紅旗征路長。   郊に送る 紅旗の征路の長きを。




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[11]
投稿者 深渓 

[四川省地震]

高層林立対中央   高層 林立の中央に対して

瓦裂廃頽還故郷   瓦裂 廃頽するも 還た故郷

要急救援義捐計   急を要す 救援 義捐を計らん

罹民悲惨断人腸   罹民の悲惨 人腸を断つ。



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[12]
投稿者 謝斧 

[四川省地震 其之一]

忽然震地遇危亡   忽然地震いて危亡に遇い

此日罹災不可量   此日災に罹りしは量る可からず

政府糊塗空拱手   政府糊塗として空く手を拱き

復興廃址有誰當   廃址を復興するは誰有りてか當らん



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[13]
投稿者 謝斧 

[四川省地震 其之二]

四川民衆苦天殃   四川民衆天殃に苦しむ

報道空傳情易傷   報道空しく傳えれば 情傷み易し

地震市街為瓦礫   地震ひては 市街瓦礫と為し

室家崩壊只彷徨   室家崩壊して ひたすらに彷徨す



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[14]
投稿者 謝斧 

[四川省地震 其之三]

決潰堰堤摧石粱   堰堤決潰して 石粱摧き

土砂埋屋救無方   土砂屋を埋めては 救に方無し

身疲心痛行厨尽   身は疲れ心痛めて 行厨尽き

寒夜藉衣眠路傍   寒夜衣を藉いて 路傍に眠る



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[15]
投稿者 謝斧 

[四川省地震 其之四]

轍路難通尽食糧   轍路通じ難く 食糧尽き

窮民憔悴苦飢腸   窮民憔悴して 飢腸に苦しむ

掩顔俯首皆呑涙   顔を掩い首を俯れて 皆涙を呑み

如此禍災誰可忘   此の如き禍災 誰か忘る可けんや



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[16]
投稿者 謝斧 

[四川省地震 其之五]

同胞忍見理行装   同胞忍び見ては 行装を理め

直向四川扶救忙   直に四川に向えば 扶救忙し

華夏人民情愛厚   華夏の人民 情愛厚く

野翁感泣五歌長   野翁感泣して五歌長し



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[17]
投稿者 謝斧 

[四川省地震]

老眼天公怒欲狂    老眼の天公 怒りては狂せんとし
悲哉何罪苦苛殃    悲しい哉 何の罪ありてか 苛殃に苦しむ
潰堤壊屋川途失    堤潰え 屋を壊し 川途失なひ
裂地崩山轍路妨    地裂けて山は崩れ 轍路を妨ぐ
救援空呼埋瓦礫    救援し 空しく呼ぶも 瓦礫に埋もれ
交通忽絶尽資糧    交通は忽ち絶えて 資糧尽く
徒拘体面軽民穏    徒らに体面に拘りて 民穏を軽んじ
政府糊塗鼎沸長    政府糊塗として 鼎沸長し

「民穏」: 民の苦しみ 穏は痛
「交通」:交通 交関

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[18]
投稿者 深渓 

[四川省地震]

未曽烈震不尋常   未曽の烈震 尋常ならず

雖壊蜀都之故郷   蜀都を壊すと雖も 之れ故郷

冀救義捐推李杜   義捐を救を冀いて李杜を推す

罹民状況断人腸   罹民の状況 人腸を断つ



語意 
「未曽」:未曾有。
「蜀都」:四川省成都。
「李杜」:李白と杜甫。

 未だかってない四川省の烈震は全世界を震撼させた。
 罹災民の窮状と家屋の倒壊、まして小中学校の倒壊瓦礫は目を覆う惨状で、耐震設計の思考欠如では?
わが国でも先年耐震偽装が発覚世間を驚かせたが、彼我比べ物にならない壊れ方は人災というほかないと。
何れにせよ早期に救援復興が望まれる。


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[19]
投稿者 Y.T 

[嘆四川省地震]

地裂山崩人駭惶   地裂け 山崩れて 人 駭惶たり

壊牆死禍両茫茫   壊牆 死禍 両つながら茫茫

罹民罷極正無奈   罹民 罷れ極まり 正に無奈(いかんともするな)し

孤寡怨声与日長   孤寡の怨声 日と与に長(ちょう)ず



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[20]
投稿者 登龍 

[四川省地震]

避難廿里路多荒   徒歩で避難する事廿里路多く荒る

瓦礫蘇援人斷腸   瓦礫蘇援人腸を斷つ

天怒地揺禍胎慎   天怒り地は揺らぎ禍胎慎み

相資相励利名忘   相資け相励まし利名忘る



[大意]
起句  徒歩で非難すること廿里路は多く荒れる
承句  瓦礫と石の下敷きになり蘇るように助け人は悲しむ
轉句  天は怒り地は揺らぎその下になる原因を少なくするように努め
結句  相資け相励まし利名忘れる




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[21]
投稿者 博生 

[恨四川省地震]

地崩山裂士民亡   地は崩れ山は裂け 士民亡ず

天府之郷化苦郷   天府之郷 苦郷と化す

大塊営為人智外   大塊の営為 人智の外

只須尽力且祈禳   只須く力を尽くし且つ祈禳すべし


 人間は、所詮は自然界の一部に過ぎず、天変地異は、人智を超える。
 世を挙げて力を尽くして耐え、祈りてこそ克服出来よう。


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[22]
投稿者 嗣朗 

[四川省地震]

地裂山鳴一瞬狂   地裂 山鳴 一瞬の狂

人民救助意無常   人民の救助 意は無常、

荼毘十萬鎮魂極   荼毘 十萬 鎮魂の極み

活計築城生此糧   活計 築城 生は此の糧。


「此糧」:各国の支援物資

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[23]
投稿者 叶公好 

[汶川大地震]

童幼七千薨學堂   童幼七千、学堂ニ薨レ

遺親抱影忿哀傷   遺親、影ヲ抱ヘテ、忿リ哀レミ傷ム

可驚鋼骨混凝壁   驚クベシ、鋼骨、混凝(こんくり)ノ壁

竊化貪官皮下肪   窃カニ、貪官、皮下ノ肪(あぶら)ト化ストハ!



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[24]
投稿者 叶公好 

[汶川大地震]

地裂山崩激甚殃   地裂ケ山崩ル、激甚ノ殃(わざわい)

錦城高廈盡消亡   錦城ノ高廈、尽ク消亡ス

人間学術何時進   人間ノ学術、何レノ時ニカ進ミ

如此天災可得防   此ノ如キ天災、防グヲ得ベケンヤ



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[25]
投稿者 道佳 

[四川省地震]

剣閣雷鳴天地狂   剣閣雷鳴し 天地狂はん

長江暴濫若龍荒   長江暴濫 龍の若く荒れ

煙塵民庶要劉葛   煙塵の民庶 劉葛を要めん

加油一心興故郷   加油一心 故郷を興さん


 蜀の山々が雷の如く鳴り響き、天地が狂ったかのような状況の大地震が起きた。
 長江の上流の川もまるで龍のように暴れ氾濫している。まさに戦乱のようである。
 昔、こうした戦乱の中、平定を願い、民衆は劉備や諸葛孔明など優れた英雄を求めたのであろう。
 しかし、いまは民衆が、頑張ろうと声を掛け合い心を一つにして、故郷の復興へ力を合わせている。

   ○剣閣(玄宗の「幸蜀回至剣門」による)
   ○煙塵(杜甫の「為農」による)
   ○劉葛(陸游の「謁漢照烈恵陵及諸葛公祠宇」による)
   ○加油(頑張る)
   ○一心(心ひとつに)



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[26]
投稿者 庵仙 

[四川省地震]

一瞬埋民失故郷   一瞬にして 民を埋め 故郷を失ふ、

四川地震断層長   四川地震 断層 長し。

文明壊滅揺斯世   文明の壊滅 斯の世を揺るがし、

多大被災情可傷   多大なる被災 情 傷ましむべし。


 10万人の死者、数百万人の被災者を出した四川地震。規模が違う。数百年数千年以前から積み上げられてきた文明が一瞬にして破戒されてしまった。この恐るべき地震。
 文明と言えばこの地は西暦紀元前から古い中国の都として栄え、其れが元になって現在があるのである。現在が大切であるのはもちろんであるが、同時に過去の遺跡は破壊されているのだろうか。


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[27]
投稿者 忍夫 

[四川省地震]

四川悲報瞬時翔   四川の悲報瞬時に翔る

万死廃村真断腸   万死、廃村真に断腸

過日泰平如夢裏   過日の泰平夢裏の如し

不期天禍世無常   期せざる天禍世は無常なり



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[28]
投稿者 忍夫 

[四川省地震]

地震揮威万死傷   地震威を揮ひて万の死傷

四川惨状断人腸   四川の惨状人腸を断つ

民家倒壊街為礫   民家倒壊して街は礫となり

遺族相携涙湿裳   遺族相携えて涙は裳を湿らす

過日平安希永遠   過日の平安永遠をのぞましめ

突然災厄識無常   突然の災厄無常をしらしむ

千言不尽哀憐意   千言つくさず哀憐の意

黙祷暫時臨夕陽   黙祷暫時夕陽にのぞむ




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[29]
投稿者 杜正 

[四川省地震]

震害呑声異国岡   震害(しんがい) 声を呑む 異国の岡

古都安在涙成行   古都 安(いづ)くに在りや 涙 行を成す

門前路上遺児在   門前の路上に遺児 在り

辛苦将来仰彼蒼   辛苦(しんく)の将来に 彼蒼(ひそう)を仰ぐ



 今回の震災の広範囲に渡る広さと死傷者の多さに声が出ません。
 蜀の古都はどこに行ってしまったのでしょう。
 壊れた家の前の路上には親を失った子供達がいます。
 皆、これからのつらい将来を見つめて、天を仰いでいます。

 一日も早く、普通の生活に戻っていただきたいと願うばかりです。


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[30]
投稿者 主彩 

[四川省地震]

天崩地割我心慌   天は崩れ、地は割れ、我が心は慌てる

神怒世終家族喪   神の怒り、世の終わり、家族は喪ふ

文化根源埋瓦礫   文化根源瓦礫に埋もれ

人民再立掲希望   人民は再び立つ希望を掲げて


すさまじい天変地異の中、歴史ある国の人々が希望を失わず、希望をもって立ち上がってほしい、という願いを込めて創りました。

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[31]
投稿者 点水 

[四川省地震]

岳裂山崩失故郷   岳は裂け 山は崩れ 故郷を失ふ

受災群衆是悲傷   受災の群衆 これ悲傷

如今世界關心大   如今 世界の關心 大

早急復興吾也望   早急な復興 吾また望む


四川の大地震の復興を願っています。

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投稿者 玄齋 

[四川省地震]

四川地震遇天殃   四川地震ひて天殃に遇ひ

幾聽凶音獨激昂   幾たびか凶音を聴きて 独り激昂す

惟仰蒼天無術訴   惟だ蒼天を仰ぎて 訴ふる術無し

童兒壓死喪序庠   童児 圧死して 序庠に喪へり



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[33]
投稿者 童心 

[四川省地震]

初夏蒼穹凶気漲   初夏の蒼穹凶気漲り

山川崩落地盤狂   山川崩落し地盤狂ふ

天公激憤人間乱   天公激憤す人間の乱れ

父母逆縁思断腸   父母は逆縁にして思いは断腸


一人っ子政策による一粒種である我が子を、人災と言われる建物の崩落で失った父母の気持ちを思い、作りました。

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[34]
投稿者 仲泉 

[四川省地震]

千里呑声野水傍   千里声を呑む野水の傍

四川天地転荒涼   四川の天地転た荒涼

傷心欲問無常極   傷心問はんと欲す無常の極み

最愛南山又断腸   最愛の南山又断腸




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[35]
投稿者 劉建 

[四川省地震]

母祈前日落   

児且触希望   

天暫令心鎮   

不然悲溢洋   



 母たちはは日が暮れる前になると、
「子供たちよ今にも希望に触れる(救助の手によって命が助かるのだ)だろう」と祈っていたのだ。
 天よ!今しばらくはその怒りを鎮めたまえ。
 さもなくば、悲しみは海にさえ溢れてしまうではないか。


 四川の大地震を直接体験していませんが、衛星放送の映像を通じて感じたことを、ささやかな漢詩に託し、支援に替えさせていただきたいと思います。
 北海道ではいち早く自ら街頭に立って、募金活動を行い、在札幌中国領事館の領事には感謝の意を受けました。
 これからも、中国と日本の絆を深めて、漢詩や文化交流を行いたいと思います。大震災の被災者に改めて冥福を祈ります。

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[36]
投稿者 禿羊 

[四川省地震]

岷江遙想往羊腸   岷江 遙かに想ふ 羊腸を往きしを

穏穏営生碧澗郷   穏穏 生を営む 碧澗の郷

地裂山崩城市滅   地裂け 山崩れて 城市滅ぶ

雑還触袖幾人殤   雑還に袖を触れし幾人か殤せる




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[37]
投稿者 黒浴@

[四川省地震]

突忽山崩故土亡   突忽(とつこつ) 山崩れ 故土亡くなる
四川大震我思傷   四川大震 我が思ひ傷む
焦心衆庶迷逃巷   焦心の 衆庶は巷を逃げ迷ふ
閉瞼祈求復活光   瞼を閉じて祈求す 復活の光を


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[38]
投稿者 某生 

[四川省地震]

誰謂遁陰兼伏陽   誰か謂はん 遁陰と伏陽とに

錦江忽坼變荒凉   錦江 忽ちに坼けて 荒凉と變ぜんと

丸承空弊蟾蜍口   丸は承けらる 空しく弊れたる 蟾蜍の口

聲斷孤啼杜宇腸   聲は斷つ 孤り啼く 杜宇の腸

四海浩然俄勃勃   四海の 浩然たる 俄かに 勃々

一儒愁痛輒遑遑   一儒 愁痛すれば 輒ち 遑々

勿憂天府天險   憂ふる勿れ 天府 天より險なりと

必復兒童笑滿庠   必ずや兒童を復して 笑ひ 庠に滿ちしめん



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[39]
投稿者 常春 

[四川省地震]

母庇嬰兒自既殤   母は嬰児を庇い自らは既に殤く
纔遺殘片斷腸章   纔に遺す残片断腸の章
天崩地裂家隤下   天崩れ地裂け家隤るる下
孕育眞情旦盡剛   孕育の真情旦に盡きんとして剛



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[40]
投稿者 常春 

[四川省地震]

忽然鳴動地崩荒   忽然鳴動し地崩れて荒る
倒屋街凄夥死傷   倒屋街凄まじく死傷夥し
母庇孩兒殂壊戸   母は孩児を庇いて壊戸に殂き
友求同學號頽堂   友は同学を求め頽堂に号ぶ
救援迅速邦家令   救援迅速なり邦家令す
自助泓宏篤志匡   自助泓宏たり篤志匡く
萬國温情勵民衆   万国の温情民衆を励ます
揚槌亦早四川郷   槌を揚げること亦早からん四川の郷



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[41]
投稿者 桐山人 

[四川省地震]

地拆山摧水濫殃   地は拆け 山は摧け 水濫れし殃(わざわひ)

万家崩落断人腸   万家は崩落し 人腸を断つ

四川惨禍東瀛歎   四川の惨禍は東瀛の歎き

希冀復興天府郷   復興を希冀す 天府の郷





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[42]
投稿者 ニャース 

[四川省地震]

天崩地裂倒楼房   天崩れ地裂け 楼房を倒す
父母児名叫似狂   父母 児の名 叫ぶこと狂に似たり
瓦礫空拿無限恨   瓦礫 空しく拿つ 無限の恨み
背包為墓仰青蒼   背包 墓と為し 青蒼を仰ぐ


先生お元気ですか?
ニャースです。
つい メールを送るのが遅くなってしまいました。
申し訳ありません!!

 こちら(中国大連)はオリンピックムード一色になってきましたが、被災者には長い間の支援が必要です。二ヶ月経過しても悲しみは癒えることないですし、なお一層の精神面、物質面の支援が必要です。
 我々も少しのことですができることをやっていこうということで、募金活動を事務所で行いました。

 命に貴賎はないのですが、小さな子の命が奪われることは本当に悲しいことです。
 ニュースでランドセルをお墓がわりにしているシーンを見たときは言葉もありませんでした。


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[43]
投稿者 庵仙 

[四川省大地震]

四川大震襲仙郷   四川の大震 仙郷を襲ふ、

山動家傾路礫場   山動き 家傾き 路 礫場。

更襲無辜泥与水   更に 無辜を襲う 泥と水と、

無間地獄眼前傷   無間地獄 眼前に 傷ましむ。



《意味》
四川の大地震は綺麗な郷を破壊してしまった。
山が動き、家を潰し、路はガレ場と化した。
更に被災した人々を泥と水が襲っている。
この無間地獄を目の当たりに見て、痛々しい限りである。



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[44]
投稿者 井古綆 

[慈母斷腸 四川大地震]

愛護嬰児自己僵   嬰児を愛護して 自己は僵(たお)れ

臨終空記斷魂章   臨終空しく記す 断魂の章を

報傳萬國誰無涙   報は万国に伝わり 誰か涙無からん

慈母深情永不忘   慈母の深情は 永(とこしえ)に忘れず



「僵」: 死亡すること。
「断魂」: 断腸と同じ、

※ この詩は一般投稿にも掲載しています。

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[45]
投稿者 サラリーマン金太郎 

[中國四川省大地震]

中華隆盛更飛揚   中華の隆盛 更に飛揚せんとす

何料天災地震殃   何ぞ料らん天災地震の殃(わざは)ひ

萬家倒壊空摧志   萬家倒壊して空しく志を摧(くだ)き

唯見江流無盡蔵   唯見る江流 無尽蔵なるを



 いよいよ北京五輪が平成20(2008)年8月8日午後8時8分8秒に開幕されると聞きます。近年の経済発展は目を見張るものがあり、国家プロジェクトもこの五輪、来年の万博へと続きます。
 そんな上げ潮路線最中の中国で未曾有の大地震が勃発し数多の人が亡くなり、はたまた行方知れずとなり、被災をされました。民家はもとより本来避難所となるべき地域の防災拠点である学舎があっけなく崩れ落ち、中国国民は塗炭の苦しみに見舞われました。まさに五輪の祝砲と廃寺の弔鐘とが交錯しているのが現下の隣国中国でありましょう。
 しかし母なる大河・揚子江を凝視していると、広大な国土があり、そこには無尽蔵の資源が眠っています。それは鉱物や農産物資源のみではなく、逆境を生き抜く中国人の豊富な人材があるのです。きっと立ち直りますよ。かの大国は。一日も早い震災復興をお祈りします。



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[46]
投稿者 深渓 

[悽四川省震災]

未曾烈震不尋常   未曾の烈震 尋常にあらず

黌潰児童略喪亡   黌は潰れ 児童の略は喪亡す

八月五輪傾倒裡   八月 五輪 傾倒の裡

罹災難救断人腸   罹災の救い難き 人腸を断つ

<解説>

 中国四川省の大地震は世界を震撼させた。
 その月余、規模は異なるが岩手宮城内陸地震と起こるも、家屋の倒壊は彼我大いに異なり。
ことに学校の崩壊で十余万の児童が犠牲になった惨事は耐震の考慮が払われず将に人災ではないだろうか、と。
 首都では五輪に傾倒して高層林立の中で四川省の建物の貧弱さ、被災民の手当てやいかに。と。

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[47]
投稿者 赤間幸風 

[四川省地震]

山崩地裂堰堤摧   山崩れ 地は裂け 堰堤(えんてい)は摧(くだ)かる

店倒失家屍体堆   店は倒れ 家を失い 屍体堆(したいうずたか)し

瓦礫畳重人哭泣   瓦礫(がれき)畳重(じょうちょう) 人 哭泣(こくきゅう)す

天何降若此凶災   天 何ぞ 此の若(ごと)き凶災(きょうさい)を降(くだ)すや

          (上平声「十灰」の押韻)

 かつて住んだことのある柏崎を襲った中越沖大地震、直近の岩手・宮城大地震など、地震国に住むわれわれにとって、この大地震はとても他人事とは思われません。
 まして、昨年かの地に旅行してきた小生にとっては、とても身近な出来事として迫ってまいりました。

 やむにやまれぬ気持ちでこの詩を作った次第です。

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[48]
投稿者 叶公好 

[汶川大地震]

梯田家産悉成塵   梯田、家産、悉ク塵ト成リ

起臥和鶏億萬民   起臥ヲ鶏ト和(とも)ニス、億万ノ民

把志遥憑紅十字   志ヲ把シテ遥カニ憑(よ)ル、紅十字

一天四海是隣人   一天四海ハ是レ隣人

          (上平声「十一真」の押韻)

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