第8回 世界漢詩同好会総会(二〇〇五年六月十九日)

 『世界漢詩同好会』の第八回総会は、六月十九日に開かれました。
 詩題(今回は『祈願平和共存』)と押韻(今回は「上平声八斉」)として、その日までに各国の幹事サイトに投稿された詩を交流し合うものです。

 日本では、この『漢詩を創ろう』のサイトが幹事となり、皆さんの交流詩を集約、掲載します。



 日本からの参加詩です。投稿順に紹介します。


]  鮟鱇     「祈願平和共存」    七言律詩
]  謝斧     「祈願平和共存」    七言律詩
]  藤原崎陽   「祈願平和共存」    七言律詩
]  登龍     「祈願平和共存」    七言絶句
]  Y.T    「祈願平和共存」    七言絶句
]  長岡瀬風   「祈願平和共存」    七言律詩
]  西克     「祈願平和共存」    七言絶句
]  岡田嘉崇   「祈願平和共存」    七言律詩
]  点水     「祈願平和共存」    七言絶句
10]  ニャース   「祈願平和共存」    五言絶句
11]  KITA   「祈願平和共存」    七言絶句
12]  禿羊     「嘆中東戦乱」     七言絶句
13]  逸爾散士   「祈願平和共存」    七言絶句
14]  桐山人    「祈願平和共存」    七言絶句
15]  深渓     「祈願平和共存」    七言古詩

  ※絶句・律詩以外の形式は交流詩には入れず、一般投稿としていますので、ご注意下さい。

番号をクリックして下さい。







[1]
投稿者 鮟鱇 

[祈願平和共存]

降将怨霊囚宰相,   降将の怨霊 宰相をとらえ,

井蛙妄語惑東西。   井蛙せいあ妄語もうご 東西を惑わす。

鬼神不喜和平好,   鬼神 和平のきを喜ばず,

老骨空思彼我斉。   老骨 空しく思う 彼我ひがひとしきを。

人有風情求韻事,   人に風情ふうじょうあれば韻事を求め,

詩無国境信霊犀。   詩に国境なくして霊犀を信ず。

千年交誼臨危殆,   千年の交誼こうぎ 危殆きたいに臨めば,

一介吟唇似午鶏?   一介の吟唇 午鶏ごけいに似るか。

<解説>

降将:敗軍の将。 
韻事:風流なこと。ここでは作詩。
靈犀:この犀の角には中心に穴があり両方が相通じているといわれ、二人の意志知らず知らずに通じ合うことにたとえる。
井蛙:井のなかのかわず。ここではアジアの民情を知らない日本人。
一介:人ひとり
午鷄?:鶏は払暁に鳴くのが相場。午鷄は時宜に遅れて鳴く鶏。平和憲法の護持を願うは時代遅れか。



 この詩は投稿時には、七言排律としていただきました。同好会では、絶句・律詩を基本としています。鮟鱇さんのお手紙に、「律詩として読みたい時は三句目から」とありましたので、主宰の判断で三句目から掲載しました。
 以下は、省かせていただいた二句です。排律として読むことを希望される方は、詩の初めにこの二句を添えて下さい。(主宰・桐山人)

黄肌黒髪同文久,   黄肌 黒髪 文を同じくして久しくも,

青史朱書刪咎凄。   青史 朱書 とがけずってすさまじ。



 最初に戻る






















[2]
投稿者 謝斧 

[祈願平和共存]

劫餘遭虐苦黔黎   劫餘虐に遭って 黔黎苦しみ

賣剣買牛庸輓犂   剣を賣り牛を買って 犂を輓いて庸く

憔悴同胞心易降   憔悴の同胞 心り降く易

憂虞殊域意多睽   憂虞の殊域 意多くはそむく  

幾重謝罪時艱険   幾か謝罪を重るも 時艱険しく

徒尽交情世論迷   徒に交情を尽すも 世論迷う

嫌見昨今頻暴戻   嫌い見る昨今 暴戻頻りなるも

希求友好萬民齊   友好を希求するは 萬民齊し



 最初に戻る






















[3]
投稿者 藤原崎陽 

[祈願平和共存]

城下成盟甚惨悽   城下盟成って 甚だ惨悽

寒飢疲悴苦黔黎   寒飢疲悴して 黔黎苦む

昔殃嘗胆民情戒   昔殃に胆を嘗めて 民情戒め

時患凝羹国是迷   時患 羹に凝て 国是迷う

殊域会談開濟険   殊域会談 開濟険しく

中東擾乱折衝締   中東擾乱 折衝締ぶ

同盟友邦対難局   同盟友邦 難局に対す

渇望平和祈念斉   平和を渇望して 祈念すること斉し



 最初に戻る






















[4]
投稿者 登龍 

[祈願平和共存]

蒼氓劫數路岐迷   蒼氓劫數にして路岐に迷ひ

無限爭心却慘悽   限り無き爭心却って慘悽なり

内外騒然難耐歎   内外騒然歎きに耐へ難く

和平偏祷浄塵泥   和平偏に祷りて塵泥を浄めん

<解説>

  もろもろの民は悪運命に如何したら良いかわからず
  限りなく勝とうとする心の争いに却って悲しむ
  内外は騒々しく歎きに耐え難く
  平和を一途に祈り世俗の汚れを清めたい


 最初に戻る






















[5]
投稿者 Y.T 

[祈願平和共存]

雙樓九月砕成泥   雙樓 九月 砕けて泥と成り

伊国弊民前路迷   伊国の弊民 前路に迷う

何時四海爲兄弟   何れの時にか 四海 兄弟と爲り

放擲干戈與手攜   干戈を放擲して 與に手を攜えん

」読下しは ” <解説>

語釈:
「雙樓」:世界貿易センターツィンビルの意。
「伊国」:イラク(Iraq)の意。


 最初に戻る






















[6]
投稿者 長岡瀬風 

[祈願平和共存]

中東喪乱恐長迷   中東喪乱 長迷を恐れ

興復遅遅気惨悽   興復遅遅として 気惨悽

民庶朝飢家財尽   民庶朝に飢え 家財尽き

児童暁出一銭齎   児童暁に出でて 一銭齎らす

廟堂派閥何時畢   廟堂の派閥 何時にか畢らん

信教分流今可携   信教の分流 今携う可し

四海弟兄揮健筆   四海弟兄 健筆を揮い

和平促未念吾棲   和平促して未だ吾棲を念わず



 最初に戻る






















[7]
投稿者 西克 

[祈願平和共存]

参拝紛然使国迷   参拝紛然として国をして迷しむ。

鎮魂社殿夕陽低   鎮魂の社殿に夕陽低し。

何難得共存平和   何ぞ得ること難き共存の平和

緑樹蕭蕭杜宇啼   緑樹蕭々として杜宇啼く。



 最初に戻る






















[8]
投稿者 岡田嘉崇 

[祈願平和共存]

地球環境易愁悽   地球環境 愁悽し易く

温暖彌空払莫齎   温暖彌空 払うて齎す莫れ

千里山巒瓊樹茂   千里山巒 瓊樹茂り

四望田畝瑞禾低   四望田畝 嘉禾低れる

開懐弘話人宜笑   懐を開き話を弘めて人宜しく笑い

罷嫉前和國可齊   嫉むを罷め和を前めて 國齊う可し

垂裕後昆交誼厚   裕を後昆に垂て 交誼を厚くし

須匡時務治東西   須らく時務を匡て東西を治めん

●「環境」: 環境作堡砦 (余闕伝 元史)
●「垂裕後昆」: 手本となるべき法則を後生に残す 以義制事 以礼制心 垂裕後昆 (仲兀+虫之誥 書)

 最初に戻る






















[9]
投稿者 点水 

[祈願平和共存]

世紀紛争真惨悽   世紀の紛争 真に惨悽

掃清過悪尚難題   過悪を掃清 尚ほ 難題

幸哉交易交流盛   幸いなるかな 交易交流盛ん

今後共存彌可稽   今後の共存 いよいよ稽へるべし

<解説>

 世紀に及ぶような紛争は真に凄惨でした。そこでの過悪(あやまち)を掃清するには今なお難題を残しています。現状、交易や交流は盛んなのが幸いです。そこで、この時、今後の共存のために何をすべきか、しっかりと稽へえる時と思います。そうしてこそ、平和共存を祈願できるでしょう。

 最初に戻る






















[10]
投稿者 ニャース 

[祈願平和共存]

血涙流多少   血涙流れること多少、

路頭百姓迷   路頭に 百姓は迷う。

往時人已老   往時の人は已に老い、

欲語白頭低   語らんと欲すれば白頭低く。

<解説>

戦前生まれの父ももう70半ば。
戦争を体験した人の高年齢化はますます進んでいます。
われわれが、いかに風化させないかが 今後の平和共存の鍵ですが、本当に責任が重いですね。

 最初に戻る






















[11]
投稿者 KITA 

[祈願平和共存]

相對求和手未攜   相対し和を求むも 手未だ攜(たずさ)えず

再三盡意路岐迷   再三意を尽くすも 路岐に迷う

仰裁計決閑纔在   裁を仰ぎ決を計る 閑纔(わずか)に在り

勸託全權避鼓鼙   全権を託し 鼓鼙(こへい)を避くを勧む

<解説>

最近近隣諸国との関係がぎくしゃくして、その解決の見透しもたっていないが、平和で仲良くする道はまだ残されている。

 最初に戻る






















[12]
投稿者 禿羊 

[嘆中東戦乱]

楽土何為蹂馬蹄   楽土 何為ぞ 馬蹄の蹂せられ

硝煙満地哭凄凄   硝煙地に満ちて 哭 凄凄たる

横戮無辜称義戦   無辜を横戮して 義戦と称す

天公説愛憮黔黎   天公 愛を説いて 黔黎をいつくしむに



 最初に戻る






















[13]
投稿者 逸爾散士 

[祈願平和共存]

祈願昇平倫類斉   

侵攻内戦遍東西   

何時人智悟愚謬   

宇内止兵安庶黎   

<解説>

 東アジア諸国の平和共存とは少し違うけれど・・・。

 最初に戻る






















[14]
投稿者 桐山 

[祈願平和共存]

千山百水隔東西   千山百水 東西を隔つも

万古悠悠詩韻斉   万古悠悠 詩韻斉し

猶有陰風吹碧岸   猶ほ 陰風の有りて 碧岸を吹くも

蒸民只聴午時鶏   蒸民 只だ聴く 午時の鶏



 最初に戻る






















[15]
投稿者 深渓 

[祈願平和共存(古詩)]

劫後五紀泰平黎   劫後 五紀 泰平の黎 

安穏希求萬國斉   安穏を希求するは 萬國斉しく

領海紛争各邦意   領海紛争 各邦の意い

利害得失隔雲泥   利害得失 雲泥と隔たる

日韓中台千古稽   日韓 中台 千古を稽るに

使節往来封冊提   使節の往来 封冊提げて

王維晁監學交誼   王維晁監の 交誼に學び

過去捨蟠同手締   過去の蟠を捨てて 同に手を締ばん

●「劫後」:戦後。 ●「五紀」:六十年。 ●「黎」:たみぐさ、人民、庶民。 ●「各邦意」:日韓中台の思い。
●「稽」:考える。 ●「王維晁監」:唐朝に仕えた王維と晁監(阿倍仲麻呂)

<解説>

 この詩は近体詩ではありませんので一般投稿に該当しますが、「祈願平和共存」のお気持ちを伝えるために、掲載しました。(主宰・桐山人)

 最初に戻る