作品番号 2025-211
盛夏
樹葉映日妍 樹葉 青々 映日妍なり
槿花皓皓一枝鮮 槿花 皓々 一枝 鮮なり
園林酷暑風全止 園林 酷暑 風全く止む
炎夏蟬休三伏天 炎夏 蝉休んで 三伏の天
「蟬休」: 暑さで鳴けない
<解説>
今年の夏は全く閉口しました。
涼風もなく酷暑、猛暑、厳暑と言われ正に三伏の夏。
しかし、木蓮のほのかな香りに慰められました。
作品番号 2025-212
探春
茅屋春寒料峭風 茅屋 春寒 料峭(りょうしょう)の風
靈峯富嶽一峯崇 霊峰 富岳 一峯崇し
小庭閑寂臘梅郁 小庭 閑寂 臘梅郁(かぐわ)し
時歩村墟一徑通 時歩 村墟 一径通ず
「霊峰」: 富士山
作品番号 2025-213
孫之夕景
夕陽西没待団欒 夕陽 西に没すれば 待つは団欒
部活男孫聲勢彈 部活の男孫 声勢 弾ます
更到携書笑顔姉 更に到る 書携へし 笑顔の姉
帰途門外月光闌 帰途の門外 月光闌(たけなわ)なり
<解説>
日が沈む頃 孫が夕飯を食べる爲 我家に寄る。
弟より遅れて姉が高校から帰ってくる。
食後直ちに帰宅。
作品番号 2025-214
菊花
熱風連日吹東海 熱風 連日 東海に吹き
既過中秋尚暑加 既に中秋過ぎて 尚暑加はる
時有集中豪雨害 時に有り 集中豪雨の害
雖然那様發黃花 然りと雖も那様(いかん)ぞ 黄花発(ひら)くは
作品番号 2025-215
流蘇樹
清明新葉初 清明 新葉の初め
立夏白花餘 立夏 白花余す
翳樹絹綾飾 樹を翳(かげ)るは絹綾の飾り
流蘇埀穂舒 流蘇 垂穂舒(ひろ)がる
<解説>
「流蘇樹」は「なんじゃもんじゃ」という樹名
「なんと言うものじゃこの樹は」といろいろあるようだが、ここでは 「ヒトツバダゴ」
(注)流蘇: 下垂的穂状飾物
作品番号 2025-216
花花
何奈希長壽 何奈(いかん)ぞ 長寿 希(のぞ)むは
會花花解言 花に会へば 花 言を解く
包容如慈母 包容 慈母の如く
忘老復童孫 老いを忘れ 童孫に復る
<解説>
『坂村真民一日一詩』より
花たち
なぜに長生きしたいのか
花たちに会うためだ
花は 花嫁のように
いのちに満ち ひかりに溢れ
わたしを若返らせ
わたしを幸せにしてくれる
作品番号 2025-217
白露
白露猶餘炎暑天 白露 猶ほ余す 炎暑の天
茫茫夏草更芽伸 茫茫たる夏草 更に芽伸ぶ
雖然逐日蟲聲樂 然りと雖も 日を逐うて虫声楽し
季節漸亨心亦新 季節 漸く亨(とお)る 心亦新た
<解説>
今年の処暑八月廿三日は、真夏日 秋らしさは全くなかった。
そして白露九月八日、朝の気温三十度、処暑と変わりない真夏の日差し、それでも入浴時に虫の声。
秋分にはススキの穂が出そろった。
作品番号 2025-218
福島處理水
纔含放射能 纔(わず)かに含む 放射能
排水海洋層 排水 海洋の層
政府安全證 政府 安全証す
権威自飲承 権威 自ら飲み承くべし
<解説>
結句の「権威自飲承」
「おうおう、雁首揃えたお偉いさんよ。
そんなに大丈夫(デージョーブ)ってなら、
てめーで飲んでみやがれ」
という感じ。
この水、微量のトリチューム含有。
作品番号 2025-219
猛暑
連日炎威人影疎 連日の炎威 人影疎(まば)らなり
熱中對策一家居 熱中対策 一家の居
北窓鈴韻南遮幕 北窓 鈴韻 南幕(みなみまく)で遮る
涼氣充分妻與予 涼気 充分 妻と予(われ)
<解説>
今年の夏も猛暑。
高齢者はとにかく熱中症対策を徹底して猛暑を乗り切ろう。
作品番号 2025-220
猛暑災害
炎暑更新豪雨來 炎暑更新して 豪雨来る
土砂洪水故山摧 土砂 洪水 故山摧(くだ)く
地球變動沸騰化 地球変動 沸騰化
何處何時人類災 何処何時 人類の災ひ
<解説>
今年は記録的な猛暑が続き、夏の暑さは災害級だと言われています。
ひとたび雨が降れば、線状降水帯の発生など被害が多発しています。
国連事務総長は今や「地球沸騰化」の時代が到来したと、コメントしております。
作品番号 2025-221
食糧不足
炎塵豪雨異常天 炎塵 豪雨 異常の天
米穀凶荒耕種田 米穀 凶荒 耕種の田
価格高騰家計苦 価格 高騰 家計苦しむ
店頭行列不安連 店頭に行列すれば 不安連なる
<解説>
台風一〇号による長雨など農作物への影響が懸念されています。
特に穀物は品薄の状況が続き、価格も高騰し生活への影響が心配されています。
作品番号 2025-222
想富士登山
霊峰富士望登巓 霊峰 富士 登巓を望み
異客輕裝落日前 異客軽装 落日の前
危險入山規制促 危険な入山 規制促す
課題集積必優先 課題 集積 優先 必し
<解説>
夏山シーズンを迎え、富士山は登山客で賑わっています。
特に外国人の登山客が多く、又そのマナーの悪さも問題とされております。
世界遺産である富士山は環境面においても日本一であるよう後世に伝えていきたいものです。
作品番号 2025-223
遭雨
遭雨秋宵古驛中 雨に遭ふ秋宵 古駅の中
芒花含露倚微風 芒花 露含みて 微風に倚る
醉人澁舌能留客 醉人舌渋りて 能く客を留め
何事飛謄類轉蓬 何事ぞ飛謄せん 転蓬(てんぽう)に類すと
<解説>
「澁舌」: 呂律が回らない
「飛騰」: 遠くへ旅立つこと
「類轉蓬」: 風に吹かれる枯れ蓬のように
ホテルで食事後、雨が降り駅に行くべきか悩んでいると、酔客の方が「この雨の中行かずに飲んだ方がいい」とアドバイスしてくれました。
そのことをヒントに作りました。
作品番号 2025-224
秋
芳氣芬芬丹桂秋 芳気芬芬(ふんふん) 丹桂の秋
冷光皎皎赤楓頭 冷光皎皎(きょうきょう) 赤楓の頭(ほとり)
殘蛩奏樂金風起 残蛩奏楽 金風起こり
落葉凋霜歳月流 落葉 凋霜 歳月流る
<解説>
対句のための習作です。
清らかな秋の夜と友を送る景色を詠みました
作品番号 2025-225
思友
昨夜纏羅送暑氛 昨夜羅を纏いて暑氛を送り
今朝重領迎秋雲 今朝領(えり)を重ねて秋雲を迎ふ
雁聲惻惻向何處 雁声惻々(そくそく)何処へと向(む)かひ
歸客遙思又見君 帰客遥かに思ふ又君を見んと
<解説>
昨日まで暑かったのが、今朝になり急に寒くなり旅鳥の声もまだ南にも北にも聞こえる中の寂しさを詠みました。
「惻惻」: 寒々しい様
「紛紜」: 心が揺れ動く様
作品番号 2025-226
贈酒
友贈香醅錦繍秋 友に香醅(こうばい)贈る 錦繍の秋
音書幸矣憶同游 音書幸ひなる矣 同游憶ふ
冀望他日還郷國 冀望す 他日 郷国に還り
小集歡言解破愁 小集歓言解く 愁ひを破る
<解説>
友に酒を贈り、返信をもらいました。又会って、友だちと集まりたい気持ちを詠みました