作品番号 2025-01
守歲過年
自願通宵過大年 自ら願う 宵を通して 大年を過ごすこと
三杯清酒躺爐邊 三杯 清酒 炉辺に横臥す
醉翁難抗來睡魔 酔翁 抗し難し 睡魔の来るを
辭舊鐘聲伴入眠 旧を辞す 鐘声 入眠に伴う
作品番号 2025-02
歲晩偶成
詩債空餘歲序殫 詩債 空しく余し歳序殫き
鐘聲百八思無端 鐘声 百八 思い端無し
爐邊獨酌迎春酒 炉辺 独り酌む迎春の酒
一醉相忘計亦寒 一酔 相忘れる計亦寒を
<解説>
詩が出来ないのに、時間ばかり過ぎ今年も終わろうとしている。
百八の鐘の音を聴けば、やるせない気持ちになる。
炉を囲み、一人で年越しの酒を飲む。
ほろ酔い気分で、家の事も寒さも共に忘れたい。
作品番号 2025-03
歲晩偶感
翁嫗座談和氣充 翁嫗 座談 和気 充つ
平凡日日去年同 平凡なる日日 去年に同じ
功名未得消魂處 功名 未だ得ず消魂の処
百八鐘聲報歲終 百八の鐘声 歳終を報ず
作品番号 2025-04
滿江紅・二〇二四年祭詩
不顧非才, 非才を顧みず,
求佳作、二十八載, 佳作を求めて、二十八載,
喜傾酒, 喜ぶ 酒を傾け,
洗滌胸胆, 胸胆を洗滌し,
醉吟愉快。 醉吟して愉快なることを。
六萬七千餘首似, 六万七千余首は似たり,
乾屍横臥眠邊塞。 乾屍(ミイラ)の横臥し辺塞に眠るに。
廢箋上、守默曝殘骸, 廃箋の上に、守默して残骸を曝し,
聽天籟。 天籟を聴く。
○ ○
年底祭, 年底に祭る,
詩詞帶, 詩詞は帯びたり,
情思重, 情思の重く,
沈辭海。 辞海に沈むを。
嘆心長力短, 心は長くも力は短かきを嘆き,
不能償債。 債(かり)を償(かえ)す能はず。
夢想繆斯來附助, 夢想す 繆斯(ミューズ)の来りて助け,
巧彈琴韻眞堪愛。 巧みに弾く 琴韻の真に愛するに堪ふるを。
自然調、平仄擬唐風, 自然に調ひたる平仄は唐風を擬へ,
沿期待。 期待に沿ふ。
<解説>
非才:才能がないこと。二十八載:二十八年。胸胆:心。乾屍:ミイラ。邊塞:辺境の砦。廢箋:反故、書き損じ。守默:黙して語らないこと。
年底:年の暮。辭海:言葉の海。心長力短:心の思いを表現するに力量がそぐわないこと。償債:借りを返すこと。繆斯:ミューズ。附助:助けること。琴韻:琴の響き。
1997年4月に漢詩を作り始めて28年になります。
2002年以降は年に2000首を詠むことをノルマとしており、今年は2499首を詠みました。
律詩が109首、絶句が202首、詞曲が1644首。詞曲は50字前後の詞が中心ですが、百首詠むごとにマイルストーンがわりに90字以上の長いものも詠んでいます。残りの444首は、漢俳など俳句に関連した漢語短詩です。
拙作累計で67910首、あと90首で68000首になりますが、来年早々に達成できると思います。
詩はもとより数ではありません。
しかし、私は、漢字に興味がありそれを学びたいと思えばだれにでも詩が詠めるという平仄と押韻の仕組みに惚れ込んでいます。そこで、満足に中国語を話すことも読み書きもできない日本人が、詩をどこまで詠めるかという実証実験のつもりで多作に励んでいます。
来年には拙作七万首を達成できると思います。詠んだ詩体の数は2500体以上。
それで成果がどうか、ですが、一発必中の詩作りに較べれば私のそれは千発一中、あるいは万発一中。
下手も数打てば当たる、だと思いますが、要は的に当たればよいと思っています。
お笑いください。
以下、「滿江紅」の詞譜。ご参考まで。
滿江紅 詞譜・雙調93字,前段八句四仄韻,後段十句五仄韻 柳永
▲●○○,△△●、△○▲仄。△▲▲、▲○△●,▲○○仄。▲●△○○●●,▲○△●○○仄。●△▲、△●●○○,○○仄。
○△●,○▲仄。○▲●,○○仄。▲△△△▲(一四),▲△○仄。△●△○○●●,△○▲●○○仄。△▲△、▲●●○○,○○仄。
○:平聲。△:平聲が望ましいが仄声でもよい。
●:仄声。▲:仄声が望ましいが平聲でもよい。
仄:仄声の押韻
(一四):前の五字句は,上二下三ではなく,上一下四に作る。
作品番号 2024-05
除夕
已離官途十七年 已に官途を離れ十七年
江湖落托轉凄然 江湖に落托して轉凄然たり
風吹雪舞眠難就 風吹き雪舞ひ眠りなり難し
撃拆聲聲到枕邊 撃拆聲聲枕邊に到る
作品番号 2025-06
歳晩作
人生八十夢紛紛 人生八十 夢紛紛
廿歲求詩無寸勲 廿歳 詩を求めて 寸勲無し
趣味多端君勿笑 趣味 多端 君笑ふこと勿かれ
長年秘策有茲欣 長年の秘策は茲の欣びに有り
<解説>
下手な趣味でも老後を楽しく過ごせれば、長生きの策となる。
多くの趣味を持ち、楽しく生きよう。
作品番号 2025-07
年末
寒苑孤松翠影存 寒苑の孤松 翠影存す
剪枝歲末美形元 剪枝する歳末 美形元し
一年計畫成正月 一年の計画は 正月に成る
志意逾新詩興奔 志意 逾よ新た 詩興奔る
作品番号 2025-08
夫婦年末
小苑新粧三友門 小苑の新粧には 三友の門
懸新暦日歲時奔 新しき暦日を懸くれば 歳時奔る
今年最後晩餐飯 今年 最後 晩餐の飯
雙聽鐘聲懐昔繁 双び聴く鐘声 懐昔繁し
作品番号 2025-09
歳晩書懷
茅屋蓬扃落照邊 茅屋 蓬扃(ほうけい) 落照の辺
西風吹盡小堂前 西風 吹き尽くし 小堂の前
嚴寒一日圍爐坐 厳寒 一日 炉を囲んで坐す
門巷蕭条歳晩天 門巷 蕭条 歳晩天
作品番号 2025-10
歳晩偶成
鼎鼎流光似隙駒 鼎鼎たる流光 隙駒の似(ごと)し
又迎歲晩老來迂 又歳晩を迎へ 老来迂(う)なり
瓦全消息向誰語 瓦全の消息 誰に向かって語らん
自愧仍然滯半途 自ら愧ず 仍然(じょうぜん)として半途に滞りしを
「鼎鼎」… 年月が早く過ぎ去る形容
「迂」… うとい、にぶい。世事に疎い。
「瓦全」… 大したこともせず、節操なく生きながらえる
「仍然」… 相変わらず、なおも。
「半途」… 中途、道の半ば、途中
作品番号 2025-11
乙巳迎新年
歲朝萬里好風翻 歳朝 万里 好風 翻り
戸戸門前春意奔 戸戸の門前 春意 奔る
七十九年身尚健 七十九年 身 尚 健なり
高吟朗朗祝三元 高吟 朗朗 三元を祝す
作品番号 2025-12
乙巳新年書感
去歲災妖脳裏馳 去歳の災妖 脳裏を馳る
能登半島復興遲 能登半島 復興 遅し
歡然日出祥雲色 歓然たる日の出 祥雲の色
平穩陽光福祿宜 平穏なる陽光 福禄 宜し
作品番号 2025-13
五絶・迎乙巳新年
蛇留龍蛻進, 蛇は龍蛻を留めて進み,
人醒仰朝暾。 人 醒めて朝暾を仰ぐ。
夫婦共延壽, 夫婦 共に壽を延ばし,
謝天傾玉樽。 天に謝して玉樽を傾く。
作品番号 2025-14
蛇留龍蛻進金樽, 蛇は龍蛻を留めて金樽へ進み,
白首歲朝傾酒存。 白首 歳朝に酒を傾けて存す。
感謝天公允延壽, 天公の壽を延ばすを允(ゆる)すに感謝し,
醉來高唱試吟魂。 醉ひ來たりて高唱し吟魂を試す。
作品番号 2025-15
蛇留龍蛻進, 蛇は龍蛻を留めて進み,
歲旦曙光温。 歳旦 曙光 温かなり。
愚叟延年壽, 愚叟 年壽を延ばし,
賢妻開酒樽。 賢妻 酒樽を開く。
醉來詩興動, 醉ひ來たれば詩興動き,
喜把鳳毫奔。 喜び把せる鳳毫奔(はし)る。
但願天關照, 但(ただ)に願ふ 天の關照,
和平恒久存。 平和の恒久に存するを。
作品番号 2025-16
蛇進遺留龍蛻蹲, 蛇進んで龍蛻の蹲(うずくま)るを遺留し,
歲朝白首抱金樽。 歳朝 白首 金樽を抱く。
賢妻含笑斟椒酒, 賢妻 笑みを含んで椒酒を斟み,
愚叟開心放醉魂。 愚叟 心を開いて醉魂を放つ。
感謝天公允延壽, 感謝す 天公の延壽を允(ゆる)すに,
將乘詩興喜銜恩。 將に乘らんとす 詩興の銜恩を喜ぶに。
擬唐平仄玲瓏處, 唐に擬へたる平仄 玲瓏たるところ,
朗朗吟佯巨匠存。 朗朗と吟じて巨匠の存する佯(ふり)をす。
作品番号 2025-17
瑞雲遶屋入春暄 瑞雲屋を遶って 春暄に入る
欣揭旭旗千戸門 欣び旭旗を掲ぐ 千戸の門
矍鑠此身應却老 矍鑠(かくしゃく)たる此の身 応に老を却(しり)ぞけんとす
一家和氣醉芳樽 一家 和気して 芳樽に酔ふ
作品番号 2025-18
新正柴戸旭旗翻 新正 柴戸 旭旗翻り
獻壽同傾濁酒樽 寿を献じ 同に傾くる 濁酒の樽
兒輩津津君且聽 児輩 津津 君且(しばら)く聴け
紙鳶竹馬滿城喧 紙鳶 竹馬 満城 喧し
作品番号 2025-19
玉盤椒酒笑顔開 玉盤椒酒笑顔を開く
吟詠陶然又快哉 吟詠陶然として又快哉
開戸輕風香只滿 戸を開き軽風香只満つ
韶光鶯語寫疎梅 韶光鶯語疎梅を写す
作品番号 2025-20
歲旦C香遍, 歳旦清香遍く,
東風絶俗塵。 東風俗塵を絶つ。
千門迎旭日, 千門旭日を迎へ,
萬戸報初晨。 萬戸初晨の報。
笑酌祈康壽, 笑灼康寿を祈り,
吟杯謝佛神。 吟杯佛神に謝す。
前途無限道, 前途無限の道,
淑氣律心身。 淑気心身を律す。
作品番号 2025-21
白髮迎年談笑溫,
更聞簫鼓鬧晨昏。
華燈照座開耆壽,
綺席長吟有子孫。
莫訝情高人盡醉,
都緣歡恰語多喧。
千門又把桃符換,
生意無邊喜氣屯。
作品番号 2025-22
年年此日酒盈樽,
綵勝初銜古意存。
物色天開潛造化,
春陽律轉入乾坤。
土牛應候風漸暖,
時節如期氣已溫。
對景歡娯窺柳眼,
詩情契闊醒梅魂。
作品番号 2025-23
新蘖齊萌氣象暾
情傷舊歲莫留痕
天滋福慧酬勤勉
珍惜春秋花滿園
作品番号 2025-24
句芒送暖陌阡蕃
山水伴耕風應門
功續神農民足食
立春詩教鐸聲喧
作品番号 2025-25
張燈結綵迎新元
龕桌佳餙祭祖恩
敬老紅包加祝福
笑聲滿屋喜臨門
作品番号 2025-26
送臘迎春在國門,
履端正始禮儀存。
隨珠獻瑞三元首,
物阜年豐福子孫。
作品番号 2025-27
東風凍解氣回溫,
暈碧裁紅插綵旛。
臘酒辛盤同賀歲,
筆耕依舊寫千言。
作品番号 2025-28
喜脱陰寒籟漸喧,
陽春躡足印郊原。
詩聲鳥語閑中趣,
草酷附g鬧上元。
此夜傾城迎富貴,
昨晨有雨洗乾坤。
東皇造化花如海,
焰火衝霄叩九閽。
作品番号 2025-29
寒風吹老舊時村,
一對春聯叩宅門。
大父開心語大母,
讀書懷志是吾孫。
作品番号 2025-30
爆竹聲聲頻賀節。
圍爐守歲飛霜雪。
迎神祭祖謝殊恩,
團敘天倫親喜ス。
<解説>
龍蛻:竜の脱け殻。朝暾:朝日。玉樽:玉製の酒器。
2025年の新年漢詩 第14作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、東京都の 鮟鱇 さんからの作品です。
七絶・迎乙巳新年
<解説>
金樽:金色の酒器。歳朝:元旦。天公:天の神。
2025年の新年漢詩 第15作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、東京都の 鮟鱇 さんからの作品です。
五律・迎乙巳新年
<解説>
歳旦:元日。年壽:寿命。鳳毫:筆。
關照:世話をする。面倒を見る。和平:平和。
2025年の新年漢詩 第16作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、東京都の 鮟鱇 さんからの作品です。
七律・迎乙巳新年
<解説>
椒酒;屠蘇。銜恩:恩を受ける。
2025年の新年漢詩 第17作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、宮城県の 岳詠 さんからの作品です。
迎新年
新年のめでたい雲はあばら屋を覆って、春の気配が感ぜられ、
家々では新年を欣び旭旗を掲げている。
私は心身とも健康で老いは感じない、
新年を迎え家族と和気藹々として美酒に酔った。
2025年の新年漢詩 第18作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、宮城県の 徳山 さんからの作品です。
迎新年
2025年の新年漢詩 第19作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、神奈川県の 地球人 さんからの作品です。
迎新年
2025年の新年漢詩 第20作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、静岡県の 風雷山人 さんからの作品です。
拜年有作
(大意 片歌形式)
歳はじめ 香り清らか 払う俗塵
世の中は 元旦迎え 喜色満面
神仏に 感謝捧げて 献杯頻り
限りなき 前途に淑気 謹厚新
2025年の新年漢詩 第21作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 陳蘆馨 さんからの作品です。
迎新年
2025年の新年漢詩 第22作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 陳蘆馨 さんからの作品です。
立春
2025年の新年漢詩 第23作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 陳玉釵 さんからの作品です。
迎新年
2025年の新年漢詩 第24作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、 陳玉釵 さんからの作品です。
立春
2025年の新年漢詩 第25作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 江澄燕 さんからの作品です。
迎新年
2025年の新年漢詩 第26作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 陳慶煌冠甫 さんからの作品です。
迎新年
註:隨珠:《淮南鴻烈解.覽冥訓》:「隨侯之珠,卞和之璧,得之者富,失之者貧。」乙巳生肖屬小龍,特引是典。
2025年の新年漢詩 第27作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 陳慶煌冠甫 さんからの作品です。
立春
2025年の新年漢詩 第28作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 陳慶煌冠甫 さんからの作品です。
小「過年」
「九閽」: 古時皇帝之宮門,今特指九霄雲上之南天門。
2025年の新年漢詩 第29作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 劉律辰 さんからの作品です。
迎春
2025年の新年漢詩 第30作は『第11回桐山堂詩會』参加詩、臺灣の 劉誌文 さんからの作品です。
迎新年