2023年の投稿詩 第271作は静岡芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-271

  春雨閑居        

四望空濛煙雨時   四望 空濛 煙雨の時

殘櫻幾片使人悲   残桜 幾片 人をして悲しましむ

鳩巢哺子西窗側   鳩巣(きゅうそう) 子を哺(はぐく)む 西窓の側(かたわら)

草屋閑居獨案詩   草屋 閑居 独り詩を案ず

          (上平声「四支」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第272作は静岡芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-272

  宮津温泉        

遙訪宮津試勝遊   遥かに宮津を訪いて 勝遊を試む

若洲春景泊泉樓   若洲の春景 泉楼に泊す

浴餘冷飮寛舒處   浴余の冷飲 寛舒の処

西嶺斜陽入海流   西嶺の斜陽 海に入りて流る

          (下平声「十一尤」の押韻)


<解説>

 京都府宮津市にあり
 令和五年三月に泊

























 2023年の投稿詩 第273作は静岡芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-273

  春彼岸展墓        

浮雲一片故山天   浮雲 一片 故山の天

彼岸風清祖塔前   彼岸の風は清し 祖塔の前

往事追懷閑合掌   往事 追懐して 閑かに合掌す

佳城寂莫上香煙   佳(か)城(じょう) 寂莫(せきばく) 香煙(こうえん)上(のぼ)る

          (下平声「一先」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第274作は静岡芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-274

  春夜        

水暖風香閑苑春   水暖かく風香る 閑苑の春

清明良夜與花親   清明の良夜 花と親しむ

詩家可愛千金景   詩家は愛すべし 千金の景

時仰天空月一輪   時に天空を仰げば 月一輪

          (上平声「十一真」の押韻)


<解説>

 四月五日は清明、六日は満月でした。

























 2023年の投稿詩 第275作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-275

  雛人形        

彼方電信属待人   彼方の電信 待人(まちびと)に属す

雨水皆良今夜   雨水 皆良し 今夜(ととの)ふ

雛飾壇前孫女舞   雛飾(ひなかざり)の壇前 孫女の舞ひ

媼爺重盞一家春   媼翁 盞を重ねる 一家の春

          (上平声「十一真」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第276作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-276

  湖堰漕艇        

漕艇領聲來復去   漕艇 領声 来て復た去る

韶光若葉奥園   韶光 若葉 奥園に(ととの)ふ

俯看蛙子卵生帯   俯(うつむ)き看る 蛙子 卵生の帯

野老心愉湖堰春   野老心愉しむ 湖堰(こえん)の春

          (上平声「十一真」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第277作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-277

  見洞慶院蠟梅        

新春古刹共朋遊   新春の古刹 朋と共に遊ぶ

名所森嚴自古幽   名所森厳 古より幽なり

早發蠟梅參本耳   早く発(ひら)く蝋梅 三本耳

行人閑歩蜜香流   行人 閑歩 蜜香流る

          (下平声「十一尤」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第278作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-278

  觀梅        

麓園鈴鹿好姿梅   麓園鈴鹿(すずか) 好姿の梅

百樹枝垂爛漫開   百樹 枝垂れて 爛漫として開く

殘雪遠山春色淡   残雪の遠山 春色淡し

鳥聲纏客共徘徊   鳥声客に纏(まと)ひ 共に徘徊す

          (上平声「十灰」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第279作は静岡芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-279

  悼友        

妍麗櫻花春色闌   妍麗たる桜花 春色闌(たけなわ)なるに

豈圖此日蓋骸棺   豈(あ)に図(はか)らん此の日 骸棺(がいかん)を蓋(おお)ふ

星霜七十交情篤   星霜七十 交情篤(あつ)く

默拜靈前不忍酸   霊前に默拝すれば 酸に忍びず

          (上平声「十四寒」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第280作は静岡芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-280

  春彼岸英靈供養        

就義精神永不泯   就(しゅう)義(ぎ)の精神 永しえに泯(ほろ)びず

深憂國難沒其身   深く国難を憂ひ 其の身を没す

香華虔獻忠靈塔   香華(こうげ)虔(つつし)んで献ず 忠霊塔

供養芳魂彼岸春   芳魂を供養す 彼岸の春

          (上平声「十一真」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第281作は静岡芙蓉漢詩会の 擔雪 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-281

  春日遊山寺        

山麓梵城春水香   山麓の梵城 春水の香

輕風習習繞禪房   軽風 習々 禅房に繞(まつわ)る

落花啼鳥花分色   花落ち鳥啼いて 花の色を分つ

庭院蕭條浴佛光   庭院 蕭条 仏光に浴す

          (下平声「七陽」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第282作は静岡芙蓉漢詩会の 擔雪 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-282

  春遊伊根舟屋        

春遍丹波島影長   春は遍(あまね)し 丹波の島影長し

客舩和景碧嵐光   客船の和景 嵐光碧なり

C風獨領鷗汀近   清風独り領して 鴎汀近し

芳草伊根舟屋ク   芳草の伊根 舟屋の郷(さと)

          (下平声「七陽」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第283作は静岡芙蓉漢詩会の 梁山 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-283

  悼故友        

舊友昇天令和春   旧友 昇天す 令和の春

清交回想慨情頻   清交を回想すれば 慨情頻りなり

相尊專一勤生業   相尊び 専一 生業に勤(いそし)む

市井無名有徳人   市井 無名 有徳の人

          (上平声「十一真」の押韻)


<解説>

  和漢詩
 春節来前 旧友は逝く
 淡交を回想すれば 百感有り
 相敬し専心 生業に勤しむ
 惜しい哉 有徳中隠の人


























 2023年の投稿詩 第284作は静岡芙蓉漢詩会の 梁山 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-284

  古廟春寒        

藤枝古廟往來稀   藤枝の古廟 往来稀なり

巨樹春寒對夕暉   巨樹 春寒 夕暉に対す

破服老翁蹲抜草   破服の老翁 蹲(うずくま)りて草を抜く

無酬作務恰如祈   無酬の作務 恰(あたか)も祈りの如し

          (上平声「五微」の押韻)


<解説>

 藤枝駅近くの、とある古びた神社を歩いた。
 陽が傾いて少し冷える時間に、何やら蹲る人影があった。
 取っては籠に入れ、少し前進しまた根を掘る。
 誰も見ていない孤独な作業をしばらく見た後で声をかけると、
「近所の氏子の一人だが、幼稚園児の遊び場になっている境内だから、ケガのないよう小石を拾い、草を取っている」
 と話してくれた。
 誰に言われたのでもない、無報酬の尊い行為が祈る姿に見えて来た。

























 2023年の投稿詩 第285作は静岡芙蓉漢詩会の 梁山 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-285

  櫻樹有感        

櫻花落盡爽風微   桜花落ち尽くし 爽風微かなり

順利天行萬物輝   順利なる天行 万物輝く

濁世浮沈誰可免   濁世(じょくせ)の浮沈 誰か免るべけんや

聊施小善却招譏   聊(いささ)か小善を施し却って譏りを招く

          (上平声「五微」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第286作は静岡芙蓉漢詩会の 梁山 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-286

  赤穂塩        

背瀬登丘海眼前   瀬を背にして丘を登れば 海は眼前

茶烟立處小舟連   茶烟立つ処 小舟は連なる

轟名此地精塩業   名轟(とどろ)く此の地 精塩の業

惜惜今來不見田   惜惜たり今来 田を見ず

          (下平声「一先」の押韻)


<解説>

 千種川を渡って低い丘陵を、ほんの数百M行くと、突然多島海が見えた。
 小雨もあがった小さな港には漁船ばかりが並んでいた。
 赤穂の精塩がここから出荷されて全国に名を轟かしたのだが、
 今は塩田は宅地や公園になって見る影もない。


























 2023年の投稿詩 第287作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-287

  郁金香(チューリップ) 吉田公園        

花壇鮮好三條列   花壇鮮やかに好し 三条の列

黄綺得班桃與緋   黄綺 班ち得たり 桃と緋を

日日維修多篤志   日々の維修 篤志多し

植栽季節四時輝   季節の植栽 四時の輝き

          (上平声「五微」の押韻)


<解説>

 大井川河口右岸にある県立吉田公園、花壇の左右各々40b程3色のチューリップが見事であった。
 芝庭の左右に赤黄ピンク、ピンク黄赤、近寄ってみるとこの花壇は3〜4b毎に区切られ、ボランティアグループの名札がある。


























 2023年の投稿詩 第288作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-288

  規制緩和        

嬉春集會客來歸   嬉春の集会 客来帰し

滿席聲援顔眼輝   満席の声援 顔眼輝く

冠禍三年緩規制   冠(コロナ)禍 三年 規制緩やか

夏遊秋興意當揮   夏遊 秋興 意当に揮(ふる)わん

          (上平声「五微」の押韻)


<解説>

 侍ジャパンの活躍、テレビに釘付けとなった。
 旧に復して観客席の熱狂。
 規制緩和を実感。


























 2023年の投稿詩 第289作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-289

  白骨温泉        

乘鞍山腹古温泉   乗鞍山腹 古温泉

硫臭微泡湯湧圓   硫臭 微泡 湯円(まど)かに湧く

伸腿浸肩浴三昧   腿を伸ばし 肩を浸し 浴三昧

心身蘇活意悠然   心身 蘇活して正に悠然

          (下平声「一先」の押韻)


<解説>

 白骨温泉、硫黄の付着で浴槽が白くなる。
 白舟と呼ばれていたところ、小説「大菩薩峠」執筆のため此の地に逗留した中里介山が、「白骨の地五彩絢爛たる絶景」と記したことにより、白骨が定着したと言われる。
 ぬるま湯で長く浸かっていられるのも魅力。


























 2023年の投稿詩 第290作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-290

  退隠二十年        

退隠離京二十年   退隠 京を離れ 二十年

弄花戯鳥四時遷   花を弄(いじ)り 鳥に戯れ 四時遷る

舊書亂讀遠塵世   旧書 乱読 塵世遠ざかるも

時事是非忘老然   時事の是非 老を忘れ然(も)ゆ

          (下平声「一先」の押韻)


<解説>

 七十三歳で隠退、この地に定着した。
 一九七十年代、工場建設、そして勤務、十年ほど住み親しんだ地である。
 今九十三歳思いもよらぬ長生。この地のお蔭か


























 2023年の投稿詩 第291作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-291

  春觀梅        

老梅破蕾満千枝   老梅 蕾を破る 千枝に満つ

馥郁C香春到時   馥郁たる清香 春の到る時

相伴吟朋行樂宴   吟朋 相伴って 行楽を宴(たの)しむ

山巓幽賞絶佳姿   山巓 幽賞 絶佳の姿

          (上平声「四支」の押韻)


<解説>

 二月に詩吟仲間と吟行会を実施しました。
 コロナ禍の中でしたが感染対策を実施し、久しぶりの行楽を楽しみました。


























 2023年の投稿詩 第292作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-292

  侍日本WBC優勝        

熱狂世界揺球場   熱狂の世界 球場揺(ゆる)がす

胸躍聲援勢奮揚   胸躍る声援 勢い奮揚

感動國民洶日本   感動の国民 日本洶(わ)く

奪還優勝酒盈觴   優勝を奪還して 酒は觴に盈つ

          (下平声「七陽」の押韻)


<解説>

 WBC「侍日本」の活躍は日本に感動と夢を与えてくれました。
 劇的なシーンは何度見ても興奮を覚えます。


























 2023年の投稿詩 第293作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-293

  喜冠毒規制解除        

規制解消初夏坊   規制解消 初夏の坊(ちまた)

衆人街賑是尋常   衆人 街賑はひ 是れ尋常

素顔露見光輝女   素顔の露見 光輝の女(むすめ)

習癖三年心配忘   三年の習癖 心配忘る

          (下平声「七陽」の押韻)


<解説>

 コロナの規制もやっと解除され街に賑わいが戻り、以前の生活になりました。
 しかし、三年の期間は長く、マスク生活に慣れてしまい、外すのに戸惑う人もあろう…


























 2023年の投稿詩 第294作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-294

  歸故郷        

人出連休五月天   連休 人出 五月の天

歸ク高速道延連   帰郷の高速 道延びて連なる

自由行樂車窓夢   行楽の自由 車窓の夢

再會児孫欣喜然   児孫に再会し 欣喜然り

          (下平声「一先」の押韻)


<解説>

 規制なしのゴールデンウイーク。
 日本、外国と旅行者で賑わっています。
 帰省する人も渋滞覚悟の里帰り、これも仕方がないのか・・・


























 2023年の投稿詩 第295作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-295

  麥秋田家        

茶香麥熟燕窺簷   茶は香り 麦は熟して 燕は簷(のき)を窺ふ

鮮穀|林新筍繊   鮮緑 竹林 新筍繊(たお)やか

歸路延延尾燈列   帰路 延々 尾灯の列

黄昏山染仰新蟾   黄昏 山染まりて 新蟾(しんせん)を仰ぐ

          (下平声「十四塩」の押韻)


<解説>

 新茶が薫り 燕賀巣作り、筍が伸びてくる。
 夕方になると車の列ができ、西山に日が落ち東から満月が顔を出す


























 2023年の投稿詩 第296作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-296

  晩春書懷        

菜花散落學童歸   菜花散り落ち 学童帰り

雲影時來暮雨微   雲影時に来たりて 暮雨微(かす)か

戰禍歐州哀老若   戦禍の歐州 老若哀し

胡笳萬里月生幃   胡笳万里 月幃(とばり)に生ず

          (上平声「五微」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第297作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-297

  老柿之詠        

五十年前苗柿植   五十年前 柿苗を植ゑ

養鷄舎裏日光纔   養鶏舎裏 日光纔か

杳眇昭和栽者奈   杳眇 昭和 栽ゑし者奈(いか)んぞ

儼然喬樹幹如巖   儼然 喬樹は幹 巌の如し

          (下平声「十五咸」の押韻)


<解説>

 五十年程前 鶏を飼っていた叔母が柿の木を植えてくれた。
 今は太い大木になって残っている


























 2023年の投稿詩 第298作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-298

  育雛之愉        

電燈光下幼雛遊   電灯光下 幼雛遊ぶ

給餌爭求頻唱酬   給餌争ひ求(もと)め 頻りに唱酬

轉月和聲齊羽翼   月転り 声和ぎ羽翼斉(ととの)ふ

達成飼育覺離愁   飼育達成し 離愁を覚ゆ

          (下平声「十一尤」の押韻)


























 2023年の投稿詩 第299作は静岡芙蓉漢詩会の 一菊 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-299

  晩春書懐        

雲雀翻然田野飛   雲雀(ひばり) 翻然 田野に飛び

萬櫻零亂藉仙衣   万桜 零乱 仙衣に藉(し)く

暖光三月折新柳   暖光 三月 新柳を折り

贈別怱怱春色歸   贈別 怱怱 春色帰る

          (上平声「五微」の押韻)


<解説>

 甥が進学し、県外へと行くことになった気持ちを晩春の景色に託しました。

























 2023年の投稿詩 第300作は静岡芙蓉漢詩会の 一菊 さんからの作品です。
 5月29日に静岡市の鎌倉文庫にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第32集』としてまとめました。

作品番号 2023-300

  春雨        

千嶂濛濛細雨煙   千嶂 濛濛 細雨煙(けぶ)る

孤村寂寂賞心旋   孤村寂寂 賞心旋る

古城春苑着花未   古城 春苑 花を着けしや未(いま)だしや

暫待微晴溝水前   暫し微晴を待たん 溝水の前

          (下平声「一先」の押韻)


「賞心」: 風景を美しさを楽しむ心