2022年の投稿詩 第151作は静岡芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-151

  櫻花        

玲瓏花影小樓隈   玲瓏たる花影 小楼の隈

枝上尋芳春鳥來   枝上 芳を尋ぬ 春鳥来る

俯瞰塵街惟一樹   塵街を俯瞰す 惟だ一樹

依然勝景爲誰開   依然の勝景 誰が為に開く

          (上平声「十灰」の押韻)


 小塔が建つ小高い丘の上、一本の桜が満開でした。
 こんなに美しく咲くのは誰の為でしょう。
























 2022年の投稿詩 第152作は静岡芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-152

  遊長汀        

暖日驅車駿海東   暖日車を駆(か)る 駿海の東

碧濤萬里渺茫中   碧涛(へきとう)万里 渺茫(びょうぼう)の中

微涼吹面意清爽   微涼面を吹いて 意清爽たり

汀渚追孫八十翁   汀渚 孫を追ふ 八十の翁

          (上平声「一東」の押韻)


「駿海」: 駿河湾
「渺茫」: 広くて果てしないさま
「汀渚」: みぎわ。なぎさ
























 2022年の投稿詩 第153作は静岡芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-153

  春遊        

騒人緩歩意悠然   騒人緩歩して 意(こころ)悠然たり

日暖淡晴敷四邊   日暖かに淡晴 四辺に敷し

幽鳥啼林繁草路   幽鳥林に啼く 繁草の路

風吹輕袖野花姸   風は軽袖(けいしゅう)を吹いて 野花妍たり

梅香挾水横枝影   梅香水を挾(さしはさ)む 横枝の影

露滴氷肌樹色鮮   露は氷肌に滴りて樹色鮮やかなり

更好閑園蝴蝶舞   更に好し 閑園 蝴蝶舞ひ

吟行十里醉春煙   吟行十里 春煙に酔ふ

          (下平声「一先」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第154作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-154

  早春偶成        

好節又來花木怡   好節又来り 花木怡(よろこ)ぶ

嫩芽成育興無涯   嫩芽の成育 興涯なし

鳥遊何事防禽網   鳥は遊ぶ 何事ぞ 防禽の網に

修繕無爲留暫時   修繕為す無し 暫時留めん

          (上平声「四支」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第155作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-155

  參古刹法多山        

南陵古刹早春巓   南陵古刹 早春の巓

聯袂賽人祈願緣   袂を聯ねる賽人 祈願の縁

朗朗經聲香世界   朗々経声 香世界

瑞雲層塔醉陶然   瑞雲層塔 酔うて陶然

          (下平声「一先」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第156作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-156

  新春即事        

旭旆春光迎歳時   旭旆(きょくはい)春光 歳を迎ふる時

頽齢白首尚堪爲   頽(たい)齢(れい)の白首 尚為すに堪えたり

南海緊迫非容易   南海緊迫 容易に非ざらん

大國美中哮闞に敢移   大国美中 哮闞(こうかん)に移る

          (上平声「四支」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第157作は静岡芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-157

  孫新年初書        

五雲靉靆麗初陽   五雲 靉靆(あいたい) 初陽(はつひ)麗し

禿筆揮來孫女昌   禿筆(とくひつ)揮ひ来たる 孫女昌ん 

自誓前途年十二   自から誓う 前途 年十二

老翁只願好風光  老翁 只願ふ 好風の光

          (下平声「七陽」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第158作は静岡芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-158

  悼舅父        

菁莪志操淨如泉   菁莪(せいが)の志操 浄きこと泉の如し

訓導兒童揮教鞭   児童を訓へ導き 教鞭を揮ふ

底事迎春忽諸去   底事(なにごと)ぞ春を迎へて 忽諸(こつしょ)として去る

悲風吹斷別離天   悲風吹断す 別離の天

          (下平声「一先」の押韻)


「舅父」: おじ、母方の兄弟
「菁莪」: 多くの人材を育てること。
「忽諸」: にわかに。忽然。

























 2022年の投稿詩 第159作は静岡芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-159

  恩師遺稿集到來        

繚亂櫻花春又周   繚乱たる桜花 春又周(めぐ)り

去年此日絶蹤由   去年の此の日 蹤(しょう)由(ゆう)を絶す

尊容髣髴儼如在   尊容 髣髴(ほうふつ) 儼として在(いま)すが如し

再拜遺篇暗結愁   遺篇を再拝すれば 暗に愁を結ぶ

          (下平声「十一尤」の押韻)


「蹤由」: あと。あとかた。

























 2022年の投稿詩 第160作は静岡芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-160

  立春        

逐節皇隨處臻   節を逐って皇 隨処に臻(いた)り

素梅點點綴珠新   素梅点点 珠を綴って新たなり

昨宵撒豆驅邪氣   昨宵 豆を撒き 邪気を駆し

今曉焚香迎立春   今暁 香を焚き 立春を迎ふ

          (上平声「十一真」の押韻)


「青皇」: 春をつかさどる神。

























 2022年の投稿詩 第161作は静岡芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-161

  浴佛節        

梵苑花馨春氣C   梵苑 花馨り 春気清く

釈迦降誕瑞光呈   釈迦の降誕 瑞光呈す

獨尊一句爲誰説   獨尊の一句 誰が為に説きし

灌沐如來謝賜生   如来を灌沐(かんもく)し 賜生を謝す

          (下平声「八庚」の押韻)


「浴佛節」: 花まつり。四月八日釈迦誕生日を祝し、誕生仏像に甘茶を注ぎかける行事。
「獨尊」: 「天上天下誰我独尊」の略釈迦誕生の時唱えた句。
      掛け替えなき命、本来備えている姿に目覚める事こそが尊い。人間の尊厳を示した句。
「灌沐」: 甘茶を誕生仏に注ぎかけ、洗浴する。
「賜生」: 生を賜う。賜わりし生。いのち

























 2022年の投稿詩 第162作は静岡芙蓉漢詩会の T ・ E さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-162

  偶成(一)        

世擾人間疫鬼風   世擾(せじょう)の人間(じんかん) 疫鬼の風

老妻臥褥病身空   老妻 臥褥 病身空し 

消寒三月樂窓景   消寒三月 窓景を楽しむ

小苑花開生氣充   小苑 花開き 生気充つ

          (上平声「一東」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第163作は静岡芙蓉漢詩会の T ・ E さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-163

  偶成(二)        

歳月轉遷孤客翁   歳月転遷す 孤客の翁

過來四季少年穹   過ぎ来たる 四季 少年の穹

閑庭風穩快心極   閑庭風穏やかに 快心の極み

蝶舞花香天理工   蝶舞ひ花香る 天理の工(たくみ)

          (上平声「一東」の押韻)



























 2022年の投稿詩 第164作は静岡芙蓉漢詩会の K ・ K さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-164

  難弾絃        

兄論弟駁絡如綿   兄は論じ 弟は駁し 絡みて綿の如し

久闊親朋損好緣   久闊の親朋 好縁を損(そこな)ふ

當日春天佳節宴   当日 春天 佳節の宴

家家有棹異彈絃   家家に棹有り 弾絃を異にす

          (下平声「一先」の押韻)


 兄はまくしたて、弟は反駁し絡み合ってぐちゃぐちゃ
 久しぶりに出会った家族だが、せっかくの機縁を損なっている。
 今日は花見の楽しい宴のはずだが、惜しいこと。
 どの家にも難しい問題があって、いやはや困ったことだ。
























 2022年の投稿詩 第165作は静岡芙蓉漢詩会の K ・ K さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-165

  執理人        

曲學賢材自認直   学を曲ぐる賢材 自ら直と認む

排他無聽避安危   他を排し聴くことなく安危を避く

臨機狡辯猿公笑   臨機の狡弁 猿公は笑ふ

執理爲人不可醫   執理の人 医(いや)すべからず

          (上平声「四支」の押韻)


 せっかく学んだ学問だが、いつも自分が正しいとする。
 他人の言うことを受け入れない態度は、危ない崖のようだ。
 臨機応変の屁理屈、猿でも笑う。
 理屈に凝り固まった人は、治しようがない。
























 2022年の投稿詩 第166作は静岡芙蓉漢詩会の H ・ S さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-166

  春日即興        

梅開岩本阜     梅開く 岩本の阜(おか)

野色帯輕煙     野色 軽煙を帯び

富嶽靈峰仰     富岳 霊峰仰ぐ

尋春二月天     春尋ぬ 二月の天

          (上平声「一先」の押韻)


「岩本」: 富士市岩本公園
























 2022年の投稿詩 第167作は静岡芙蓉漢詩会の H ・ S さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-167

  看梅        

古刹輕寒午日暄   古刹 軽寒 午日暄たり 

山中香處野人園   山中香る処 野人の園

鶯聲赫赫東風滿   鶯声赫赫 東風に満つ

馥郁梅枝花壓軒   馥郁たる梅枝 花軒を圧す

          (上平声「十三元」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第168作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-168

  漫歩(そぞろ歩き)        

爺婆投合即蹌踉   爺婆(ジジババ) 投合して 即ち蹌踉

渉谷越丘嬉眺望   谷を渉(わた)り丘を越え 嬉(たのし)むは眺望 

纔覺疲勞五千歩   疲労纔かに覚えて 五千歩

心情爽快潤茶香   心情 爽快 潤ひの茶香

          (下平声「七陽」の押韻)


 この読み下し、脚韻の字、踉、望、香が引き立つようにしてみた。

「投合」: 意気投合

 爺婆にわかにぶらりヨロヨロ 
 くだりにのぼり 眺めは楽し
 疲れそこそこ五千歩だ    
 心爽やか 茶ゴクゴク
 二人合せて百八十歳。声掛け合い休み休みの散歩となる。

























 2022年の投稿詩 第169作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-169

 氷上溜石(カーリング)         

眼穿進路手繊策   眼は穿(うが)つ進路 手は繊(たおやか)な策

放把旋回滑氷石   把(にぎ)りを放てば 旋回 滑氷する石

揮掃朗聲唆絶奇   掃を揮ふ朗声 絶奇の唆(みちび)き

笑顔情好魅觀客   笑顔 情好 魅す観客を

          (入声「十一陌」の押韻)


「情好」: 仲良し

 カーリング女子日本チーム、軽快な動き、掛け合う明るい声、笑顔。四人一心同体の動きに魅せられた。
 この詩の読み下しも、脚韻で「策」「石」「脚」を引き立てた。
























 2022年の投稿詩 第170作は静岡芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-170

  實感地球温暖化        

今春豪雪烈風専   今春 豪雪 烈風 専らとす

障碍諸諸煩瑣纏   障碍諸々(もろもろ) 煩瑣纏(まつ)わる

蒸發温洋雲續續   温洋蒸発して雲続々

凝流寒氣濕連連   寒気凝(かたま)り 流れて湿連々

恰聞慷慨地球懣   恰(あたか)も聞くが如し 慷慨地球の懣(もだ)えを

猶滞除殘化石煙   猶ほ滞る除残 化石の煙の

不可躊躇基本策   躊躇すべからず 基本の策を

必須行動自揮鞭   必ず行動すべし自らに鞭を揮ひて

          (下平声「一先」の押韻)


 日本海沿岸は豪雪地帯である。対馬海流(黒潮)がシベリア高気圧に吸い上げられる。太平洋の暖流増大が豪雪増大となる。
 ノーベル物理学賞真鍋淑郎氏の解明で、大気中のCO2濃度が0.03%から0.06%に増加した場合の地球温度上昇は2.36度Cと予測されている。
 植物は炭酸ガスを吸収し生長する。
 山林を伐採しての太陽光発電は如何なものか。都市にも道路にも太陽光は満ち溢れている。
 家庭の樹木も大切に。そして落ち葉枯木など焚火はもっとあってよいのでは。
























 2022年の投稿詩 第171作は静岡芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-171

  詠 浮世功名        

浮世功名多厭爭   浮世(ふせい)功名 多(まさ)に争ふを厭(いと)ふ

陶然盡日氣縦横   陶然尽日 気縦横たり

壯夫磊落精華感   壮夫は磊落にして 精華の感

老漢微茫隱逸情   老漢は微茫にして隱逸の情たり

          (下平声「八庚」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第172作は静岡芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-172

  詠 懊惱        

懊惱虚空無悟聲   懊悩の虚空 悟声無く

心中實相不分明   心中の実相 分明ならず

尋思仙境長昏惑   仙境 尋ね思はば 長(とこしな)えに昏惑し

偶到幽冥皎潔萌   偶(たまた)ま幽冥に到らば 皎潔(こうけつ)萌す

          (下平声「八庚」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第173作は静岡芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-173

  詠 剣山麓一宇峽(徳島)        

深山佳境萬尋   深山 佳境 万尋高し

勢聳青岩險阻豪   勢聳(せいしょう)の青岩 険阻にして豪

瀲灔清川奔石瀬   瀲灔(れんえん) 清川 石瀬に奔る

溪流白浪覺風騒   溪流の白浪 風騒覚ます

老鶯囀囀隱幽草   老鶯は囀々 幽草に隠れ

輕燕飛飛掠此キ   軽燕は飛々 緑濤を掠(かす)む

行客ク愁情不盡   行客の郷愁 情尽きず

南薫爽快自忘勞   南薫 爽快 自づから労を忘る

          (下平声「四豪」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第174作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-174

  初春即事        

散策長堤草色繁   長堤散策 草色繁し

遠山靄靄覺春溫   遠山靄々 春温を覚ゆ

掲簾休憩啜煎茗   掲簾 休憩 煎茗を啜る

香柔芳芬梅滿盆   香柔らか 芳芬 梅は盆に満つ

          (上平声「十三元」の押韻)


























 2022年の投稿詩 第175作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-175

  孫合格喜        

福音忽至喜津津   福音忽(たちま)ち至り 喜び津津(しんしん)たり

共越苦難孫二人   苦難共に越え 孫二人

螢雪積功成宿志   蛍雪功を積み 宿志成る

若人前路想無垠   若人の前路 想ひ垠(はて)無し

          (上平声「十一真」の押韻)


 今年孫二人が、大学と高校にめでたく合格した。
























 2022年の投稿詩 第176作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-176

  鳥克蘭(ウクライナ)情勢危惧        

俄國侵攻殘酷堝   俄国の侵攻 残酷の堝(るつぼ)

砲弾戰火難民多   砲弾の戦火 難民多し

獨裁元首制裁唱   独裁の元首 制裁唱ふも

奈聞彌増聲楚歌   奈(なん)ぞ聞えざる 彌(いや)増す楚歌声するを

          (下平声「五歌」の押韻)


 ウクライナ情勢どうなることか?
 避難民をテレビで見るたびに悲しくなる。
 いつの時代になっても戦争は無くならないのか。
























 2022年の投稿詩 第177作は静岡芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-177

  想新冠疫        

護身無怠蹈危機   護身怠り無くも 危機を踏む

接種疫苗終不違   疫苗接種 終に違(たが)わず

可識豫防須繼續   識るべし 予防須(すべから)く 継続を

平常生活萬民祈   平常の生活 万民の祈り

          (上平声「五微」の押韻)


 コロナの終息がなかなか見えない。
 今や警戒感も無くなりつつある。
 高齢者は予防接種三回目を実施し、安心感もあるが、接種していない人にも広く呼びかけたい。
























 2022年の投稿詩 第178作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-178

  春日花下        

風溫櫻蕾萬枝先   風温かく 桜蕾 万枝の先

疫疾流行幾變還   疫疾の流行 幾変還

露國屈強庸佞猾   露国 屈強 佞猾(ねいかつ)を庸(もち)ふ

隣邦恐悚待明天   隣邦 恐悚(きょうしょう) 明天を待つ

          (下平声「一先」の押韻)


 一斉に桜花が咲いた。
 コロナも満開。
 プーチンは戦いを始めた。
 遠い戦いが近くまで来なければ良いが。
























 2022年の投稿詩 第179作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-179

  春庭        

柔風穏往暖春朝   柔風穏かに往く 暖春の朝

齊放杜鵑庭上姚   斉放の杜鵑(さつき) 庭上に姚(みめ)よし

匍匐鮮黄花菱草   匍匐(ほふく) 鮮黄の花菱(はなびし)草

越垣紫辨仄搖妖   垣を越え 紫弁仄(ほの)かに妖しく搖れる

          (下平声「二蕭」の押韻)


「杜鵑」: 杜鵑花、さつき。

 我家の庭は色々花が咲いている。
 さつき、花菱草、アグロステンマ、十字科野菜等。
























 2022年の投稿詩 第180作は静岡芙蓉漢詩会の 子方 さんからの作品です。
 5月31日に静岡市の教育会館にて合評会を開きました。
 完成作を『芙蓉漢詩集 第30集』としてまとめました。

作品番号 2021-180

  追憶少年之夏 一        

遊泳戯魚流水潺   遊泳 魚に戯れ 流水潺たり

蜻蛉黄蝶又鳴蟬   蜻蛉 黄蝶 又鳴蝉

少年朝夕驅山野   少年 朝夕山野を駆けし

昔日追懐七十年   昔日 追懐す 七十年

          (下平声一先」の押韻)


 八月は毎年母の実家に行った。
 四・五時間汽車に乗り、朝出発して夕方着いた。
 毎日魚取りをした。