2020年の投稿詩 第151作は静岡の芙蓉漢詩会の T ・ E さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-151

  訪秋條寺        

古邑小春山寺明   古邑小春 山寺明るし

林園苔拷f陽清   林園 苔緑に陽に映じて清らかなり

柔和伎藝天尊像   柔和伎芸天尊像

唯一千秋扶衆生   唯一千秋 衆生を扶く

          (下平声「八庚」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第152作は静岡の芙蓉漢詩会の T ・ E さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-152

  小鳥飛來        

春天温暖片雲流   春光温暖 片雲流る

雀去庭中風韻幽   雀去り庭中 風韻幽なり

白眼一雙來吸蜜   白眼一双 来りて蜜を吸う

黄翎端麗囀聲優   黄翎(こうれい)端麗 声優しく囀ずる

          (下平声「十一尤」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第153作は静岡の芙蓉漢詩会の 洋靖 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-153

  初日出        

歳朝瑞氣旭光新   歳朝瑞気 旭光新なり

朋友同盟詩趣親   朋友同盟 詩酒親しむ

音吐琅琅雲海畔   音吐 琅々 雲海の畔

令和二歳幸天春   令和二歳 幸天の春

          (上平声「十一真」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第154作は静岡の芙蓉漢詩会の 洋靖 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-154

  早春盡日        

早春二月聽倉庚   早春二月 倉庚(そうこう)を聴く

訪友別莊吟屐輕   訪友別荘 吟履(ぎんげき)軽し

久濶披襟頻笑語   久濶 披襟 頻りに笑語

歡談一日忘歸程   歓談一日 帰程忘る

          (下平声「八庚」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第155作は静岡の芙蓉漢詩会の T ・ H さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-155

  新春尋梅        

新春雪解恵風吹   新春雪解け 恵風吹き

吟杖尋梅淺水涯   吟杖梅を尋ね 浅水の涯

舌渋鶯兒聲漸渡   舌渋(ぜつじゅう)の鴬児 声漸く渡り

耐寒素魄擅氷姿   寒に耐うる素魄(そはく) 氷姿を擅(ほしいまま)にす

          (上平声「四支」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第156作は静岡の芙蓉漢詩会の T ・ H さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-156

  春日山行        

花燃山麓浴春光   花燃える山麓 春光に浴し

驕舌流鶯遷囀昌   驕舌の流鴬 遷囀(せんてん)昌(さか)んなり

石路斜通衣染彩   石路斜めに通じ 衣 彩に染まり

雪殘杳嶺鼓詩腸   雪残の杳嶺 詩腸を鼓す

          (下平声「七陽」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第157作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-157

  冬夜偶成        

一樽濁酒鷺鷗盟   一樽の濁酒 鷺鴎(ろおう)の盟

神韻談來到二更   神韻談じ来り 二更に到る

月挂中天吾伴月   月は中天に挂り 吾月に伴う

寒威凛烈忘歸程   寒威 凛烈 帰程を忘る

          (下平声「八庚」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第158作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-158

  歳晩偶成        

破壁青燈夜色寒   破壁(はへき) 青灯 夜色寒し

清貧守拙獨長歎   清貧 守拙 独り長歎す

年華將逝鐘聲響   年華 将に逝かんとす 鐘声の響

七十八齢空老殘   七十八齢 空しく老残

          (上平声「十四寒」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第159作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-159

  春日賽佛舎利塔        

濃春漫歩弄風光   濃春漫歩して 風光を弄す

一路尋花陟小岡   一路 花を尋ね 小岡(しょうこう)を陟(のぼ)る

清境無人山寺靜   清境 人無く 山寺静かに

凌天佛塔燿斜陽   天を凌ぐ仏塔 斜陽に燿く

          (下平声「七陽」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第160作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-160

  愛鷹連峯        

從田子浦望威容   田子浦(たごのうら)より威容を望む

黛色長巒似臥龍   黛色 長巒 臥竜に似たり

吹起松風雲散盡   吹き起る松風 雲散じ尽き

晴空六嶽愛鷹峯   晴空六岳 愛鷹峯

          (上平声「二冬」の押韻)



愛鷹連峰の六岳、越前岳、呼子岳、大岳、鋸岳、位牌岳、愛鷹山。
南は富士市、沼津市、北は裾野市に位置す。

























 2020年の投稿詩 第161作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-161

  春日問蓑蟲        

西空赤染夕陽傾   西空赤く染まり 夕陽傾き

東野黄昏月影清   東野黄昏(たそがれ)て 月影清し

急卒烈風何在意   急卒烈風 何ぞ意在るや

蓑蟲搖問有鑾鳴   蓑虫揺れて問う 鑾鳴有りかと

          (下平声「八庚」の押韻)



 西には赤い霞が夕陽に照らされている。
 それなのに、東の雲の上では薄く白い月が上がっている。
 急に春一番に似た風が来た。この風は何かの前兆か。
 蓑虫、「この音は天使の馬車が来たか」と問うている。

























 2020年の投稿詩 第162作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-162

  拗軀踊        

野歌輪舞屈伸腰   野歌輪舞 腰を屈伸せる

簫笛鼓鐘東寺囂   簫笛鼓鐘 東寺の囂

滿笑温顔交老若   笑いに満ちる温顔 老若交える

躍心拗體踊連宵   躍心の拗体(ようたい) 連宵を踊る

          (下平声二蕭」の押韻)



 盂蘭盆会(盆踊り)昼寝して英気を貯め、やがて出かける。
 連夜何を思うか聴く。ただ破顔。
 何か思うところがあるのだろう、今宵も終わるまで踊る。

























 2020年の投稿詩 第163作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-163

  戯與孫遊        

孫兒招老稿圍中   孫児老を招いて 稿囲(こうい)の中

倣母諸諸辯舌窮   母に倣いて諸諸 弁舌窮まる

主客泥餐歡笑應   主客泥餐 歓笑して応う

桃源至福夕陽翁   桃源至福 夕陽の翁

          (上平声「一東」の押韻)

 子供のままごとに誘われ、楽しむ老人。
 泥の団子も楽しく戴く。
 いつしか老人は心から桃源郷の世界にいるようで、寒い冬でも心も温かくなり、夕日はおりしも楽しそうな老人を照らしている。




























 2020年の投稿詩 第164作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-164

  対峙寒鴉        

霜曉寒鴉集芥存   霜暁の寒鴉 集芥(しゅうかい)に存り

破包撒散道汚痕   包を破り撒き散らして 道に汚痕

欲追逞鳥詰間隔   逞鳥(ていちょう)追わんと欲し間隔を詰むも

逐斥仇怨止雜言   逐斥すれば仇怨 雑言に止む

          (上平声「十三元」の押韻)



 散歩に出るとごみ捨て場に鴉が来た。
 周りに気にする訳でもなくすぐゴミをつつき出した。
 「傍若無人」の態度が許せない。
 追い払おうとしたが相手も強か。
 問合いを詰めて更に追おうとしたが「鴉を虐めると仕返しされる」と流言を思い出し、深追いを止めた。

























 2020年の投稿詩 第165作は静岡の芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-165

  觀月聽二胡演奏        

郁郁桂花棍随   郁郁(いくいく)として桂花 梵城に(かお)り

二絃妙韻動幽情   二絃の妙韻 幽情を動かす

風和彈曲渡秋夜   風 彈曲に和して 秋夜を渡り

月照禪庭影轉清   月 禪庭を照らして 影転た清し

          (下平声「八庚」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第166作は静岡の芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-166

  歳晩書懐        

皇位繼承新令和   皇位継承し 令和に新まり

平成昭代夢中過   平成の昭代 夢中に過ぐ

空齋靜坐窮陰夜   空斎静かに坐す 窮陰の夜

燈燼殘生欲奈何   灯燼き 残生 奈何せんと欲す

          (下平声「五歌」の押韻)

「昭代」: おだやかに治まっている世。
「窮陰」: 晩冬、歳末の年まさに尽きようとする時期
「燈燼」: ろうそくの燃え滓、燃え残り。
「残生」: 残り少ない命、残命。



























 2020年の投稿詩 第167作は静岡の芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-167

  庚子元旦        

曈曈初日照鴟尾   曈曈(とうとう)たる初日 鴟尾を照らし

習習春風颭旆旌   習々たる春風 旆旌を颭(そよが)す

先獻佛前新歳水   先ず佛前に献ず 新歳の水

令和御宇願f平   令和の御宇 昇平ならんことを願う

          (下平声「八庚」の押韻)

「鴟尾」: 仏殿・宮殿などの大棟の両端に取り付けた装飾。鳥または魚の尾をからどったもの。
「旆旌」: 旗、旌旗の総称。
「御宇」: 御世、御代。天皇の治世。



























 2020年の投稿詩 第168作は静岡の芙蓉漢詩会の F ・ U さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-168

  節分        

梅花綴玉發清芬   梅花 玉を綴って 清芬を発し

習習東風拂凍雲   習々たる東風 凍雲を払う

此日驅儺春正到   此の日 儺を駆し 春正に到り

潔齋撒豆破魔軍   潔斎し豆を撒き 魔軍を破す

          (上平声「十二文」の押韻)

「駆儺」: おにやらい、疫鬼をはらう。



























 2020年の投稿詩 第169作は静岡の芙蓉漢詩会の K ・ K さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-169

  新春暖風        

君容我弊氣澄明   君 我が弊を容れ 気澄明

我許君瑕意穏平   我 君の瑕を許し 意穏平

五十親交無別事   五十 親交 別事無し

光頭對酌恵風行   光頭対酌すれば 恵風は行く

          (下平声「八庚」の押韻)

 人は皆欠点を持っているが、お互いに受容してやれば対立はない。
 五十余年にわたる付き合いも、何も特別なことは無かった。
 新年に遠来の友を迎えて、禿げ頭同士が飲めば、何とも心地よい風が、そっと抜けて行く。

   お互いの 癖欠点を 受け流し 五十余年を 飲みきたる哉




























 2020年の投稿詩 第170作は静岡の芙蓉漢詩会の K ・ K さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-170

  土佐鰹魚        

鰹魚秋日満多脂   秋天の鰹魚 多く脂に満つ

藁火包身燒半皮   藁火身を包み 半皮を焼く

麥酒泡音輕又好   麦酒の泡音 軽又好し

醤油大蒜點山葵   醤油 大蒜 山葵を点ず

          (上平声「四支」の押韻)



 秋のカツオは土佐作りに限る。
 藁で盛大に焼いて、皮をこがす。
 ビールを注ぐ音のシュワーとくるのがたまらない。
 醤油とニンニクに山葵を足せば、完璧だ。

























 2020年の投稿詩 第171作は静岡の芙蓉漢詩会の K ・ K さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-171

  錦秋        

高雲不動近雲流   高雲は動かず 近雲は流る

隘路行人止歩休   隘路の行人 歩を止め休む

回首一望登過徑   首を回らし登り来る路を一望すれば

千林萬彩正金秋   千林万彩 正に金秋

          (下平声「十一尤」の押韻)

 上層の雲は動かないが、近い雲は流れている。
 狭く険しい道では、歩を止めて休むしかない。
 振り返って登ってきた路を一望すれば、千林ことごとく彩られて、まさしく錦秋の美を誇っている。




























 2020年の投稿詩 第172作は静岡の芙蓉漢詩会の K ・ K さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-172

  悔恨詩        

昔日驕浮自恃英   昔日の驕浮 自ら英を恃む

反師侮世陥罠阬   師に反し世を侮り 罠阬(びんこう)に陥る

人生難復青春季   人生復(もど)し難し 青春の季

後輩諸君須避盲   後輩の諸君 須く盲を避くべし

          (下平声「八庚」の押韻)

 昔は生意気で自尊心ばかり高く、
 先生を小馬鹿にしたり友人を侮ったりして、人生の罠阬に陥った。
 と言って、青春のやり直しはできない。
 後輩諸君、須くこの世間知らずを避けよ




























 2020年の投稿詩 第173作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-173

  讃樹上園        

障者育成甘夏柑   障者育成す 甘夏柑

施肥除草四時涵   施肥 除草 四時の涵(みずやり)

薄酸美味宜餐後   酸薄く美味 餐後に宜し

樹上笑顔唐瀬南   樹上(きのぼり)の笑顔 唐瀬の南

          (下平声「十三覃」の押韻)

 知人より贈られた甘夏柑
 静岡市唐瀬にある障碍者就労支援事業所「きのぼり」の一文
  「下草刈り・肥料散布を繰り返し収穫を迎えることが出来ました」
 とあった。




























 2020年の投稿詩 第174作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-174

  深良用水有感        

寛容住昔箱根水   寛容 住昔 箱根の水

狹量今時大井川   狹量 今時 大井川

縣政徒唆渇流域   県政徒らに流域渇すと唆(そそのか)し

磁懸工事自遷延   磁懸(リニア)の工事 自ら遷延せんとす

          (下平声「一先」の押韻)

 今年は深良用水開鑿三百五十年。
 外輪山を刳り貫いて箱根芦ノ湖の水を富士山麓深良川へ導水、全長1.2q、標高700m。最大深度150m、湖尻峠標高850mの下を通る。

 リニア新幹線の南アルプストンネルは全長10q余、標高1100m、深度350〜1,400m。
 大井川の水、環境。JRの実直な文書に対して、県の装いはアカデミズム。空想縦横、実態を欠く。




























 2020年の投稿詩 第175作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-175

  讚橄欖球日本隊        

擧應一呼龍虎英   一呼 挙(こぞ)り応ず 龍虎の英

闘魂一迫賭輸嬴   闘魂一に迫り輸嬴(ゆえい)を賭す

循環一位登淘汰   循環(リーグ)一位 淘汰(トーナメント)へ登る

面目一新櫻勇名   面目一新 桜の勇名

          (下平声「八庚」の押韻)

 読み下しに代えて、このような戯れ歌が判りよいかな。

  「呼べば応える選手の気魂
    闘魂ただただ勝負に賭けて
     リーグ一位でトーナメントへ
      やったぞ桜のワンチーム」


 リーグ戦は「循環賽」、トーナメントは「淘汰賽」です。




























 2020年の投稿詩 第176作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-176

  悼中村哲醫師        

施醫貧巷問根源   医を貧巷に施し 根源を問い

自汗導渠甦轟エ   自ら汗し渠を導き 轟エ甦る

久照一隅誠一貫   一隅久しく照らさん誠一貫

不撓不屈住心魂   不撓不屈の心魂住まらん

          (上平声「十三元」の押韻)

 2008年、中村医師の許で活躍された伊藤和也さんが誘拐殺害された。
 その後も「照於一隅」を貫かれた中村医師の事績は、アフガン和平の一里塚となろう。
 お二方の霊魂彼の地にとどまる。
 ただただご冥福を祈る




























 2020年の投稿詩 第177作は静岡の芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-177

  原發是怪物        

怪物讎牙暴虐威   怪物の讎牙 暴虐の威たり

辟倪異體素心違   辟倪の異体 素心違う

文明進歩伴瑕疵   文明の進歩 瑕疵を伴うを

科學倫常問是非   科学倫常 是非を問へ

          (上平声「五微」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第178作は静岡の芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-178

  斷密集密着密閉        

感染蔓延醫伯忙   感染 蔓延 医伯 忙たり

危機逼迫引愁長   危機逼迫して 愁長を引く

奈何病毒好三密   奈何せん 病毒(ウイルス)三密を好む

老若停停自肅強   老若停々たり 自粛強いる

          (下平声「七陽」の押韻)





























 2020年の投稿詩 第179作は静岡の芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-179

  津和野城址        

羊腸登壘嶝   羊腸 塁嶝を登り

枯杖至巒岡   枯杖 巒岡に至る

基址對元寇   基址 元寇に対り

精兵事覇王   精兵 覇王に事う

榊f稜角櫓   緑蘿 稜角の櫓

紫塞曲輪墻   紫塞 曲輪の墻たり

旗影都如夢   旗影 都て夢の如し

荒墟立夕陽   荒墟 夕陽に立つ

          (下平声「七陽」の押韻)

 元寇の翌年、西岩見の地頭として赴任した吉見頼之が築城、海防から始まった。
 戦国末期、吉見氏は毛利氏の傘下にあり、関ケ原の戦い後、吉見氏に代わって大阪落城の折千姫を救出した坂崎直盛が入城。
 更に亀井政則に引き継がれ、維新廃藩まで十一代続いた。
 亀井政則は家康、秀忠の近習を勤め、徳川氏の外戚に当たる。




























 2020年の投稿詩 第180作は静岡の芙蓉漢詩会の Y ・ H さんからの作品です。
 今回は新型コロナウイルス感染による自粛の関係で、合評会は手紙のやり取りでのものとなりました。
 各自の作品に感想を送り合い推敲をしたものを、『芙蓉漢詩集 第26集』として詩集としました。

作品番号 2020-180

  初優勝 徳勝龍        

孜孜奮励正相宜   孜孜(しし)奮励 正に相宜し

連戰殊勲力士姿   連戦の殊勲 力士の姿

平幕賜杯多感動   平幕の賜杯 感動多し

十年苦節報恩時   苦節十年 報恩の時

          (上平声「四支」の押韻)

 令和二年一月場所の優勝力士は、幕尻の徳勝龍でした。
 「自分なんかが優勝して良いんでしょうか」「もう三十三歳ではなく、まだ三十三です。」のインタビューが印象的でした。