2019年の投稿詩 第241作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-241

  秋雨閑居        

落葉成堆是我家   落葉堆を成す 是れ我が家 

蕭蕭細雨亂如麻   蕭々たる細雨 乱れて麻の如し

養痾牀上紙窓裡   痾を牀上に養う 紙窓の裡

如此愁何獨歎嗟   此の愁を如何せん 独り歎嗟す

          (下平声「六麻」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第242作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-242

  重陽偶成        

佳節登高四望賖   佳節の登高 四望賖(はる)かなり

金風嫋嫋亦何加   金風嫋々 亦た何をか加へん

吹香野菊路傍下   香を吹く野菊 路傍の下

欲折一枝殘日斜   一枝折らんと欲すれば 残日斜めなり

          (下平声「六麻」の押韻)

 平成三十年の旧暦重陽は十月十七日でした。
 中国では重陽節に、親戚・友人誘い合わせて小高い丘に登り、行楽の一日を過ごしたという。
 王維・杜甫等に「登高」の詩あり。




























 2019年の投稿詩 第243作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-243

  小春偶吟        

輕暖偸閑獨曳筇   軽暖閑を偸み 独り筇を曳く

浮雲一片爽吟胸   浮雲一片 吟胸を爽やかにす

山茶花綻小春路   山茶花綻ぶ 小春の路

四野無風秀士峰   四野風無く 士峰秀(ひい)ず 

          (上平声「ニ冬」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第244作は静岡の芙蓉漢詩会の 柳村 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-244

  春郊偶成        

麗日風暄芳草滋   麗日 風暄かく 芳草滋し

春郊一路訪朋之   春郊一路 朋を訪ねて之く

木蓮白映士峯雪   木蓮の白は 士峯の雪に映ず

停歩弄花心自夷   歩を停め花を弄すれば 心自から夷(たいらか)なり

          (上平声「四支」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第245作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-245

  新號令和誕生        

平成退位叡深慮   平成退位 深慮叡(あきら)かならん

新號令和邦典毫   新号令和 邦典の毫

萬葉旅人歌不撓   万葉の旅人 歌撓けず

好期共感故心遭   好期 共感 故心に遭ふ 

          (下平声「四豪」の押韻)

 年号には三回遭う。
 陛下が生前退位を決意した点が印象に残り起句とした。
 隣国も関心事だろうが日本の古典からというのも斬新、承句とする。
 転句は万葉人の気持ちを汲みたい。
 詩意に現代人も共感、和顔が印象的、結句とした。




























 2019年の投稿詩 第246作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-246

  登鳳來寺        

拷A蟬噪苦懷攀   緑陰 蝉噪ぎ 苦懐して攀る

初訪鳳來仙域閑   初めて訪ぬ鳳来 仙域閑たり 

佛法僧吟微耳朶   仏法僧吟) 耳朶に微か

得聞~韻是靈山   聞き得たり ~韻 是れ霊山

          (上平声「十五刪」の押韻)

 若い頃鳳来寺山に登る。
 四苦八苦で辿り着いた。
 木陰で休んでいると耳の奥で極めて弱くコノハズクが鳴いている。
 十分位か無言で聞く。
 「帰る!」という声で我に還り途端に蝉の声が聞こえた。
 皆にコノハズクの鳴き声を確かめたら知らないという。
 あれは何だったろうか。




























 2019年の投稿詩 第247作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-247

  愛犬之死        

愛犬昇天近近喪   愛犬昇天 近々に喪ふ

既看豫兆喘聲慌   既に看る予兆 喘声慌し

低徊妹狗遺骸側   低徊せる妹狗 遺骸の側

願汝春秋久健康   願ふ汝 春秋久しき健康を

          (下平声「七陽」の押韻)

隣家の愛犬が死に、嘆くこと一入、同情禁じえなかった。



























 2019年の投稿詩 第248作は静岡の芙蓉漢詩会の 甫途 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-248

  春日鳥聲        

秀哢飛來繞樹慌   秀哢飛来 樹を繞り慌し

無慚新蕾嫩芽荒   無慚なり 新蕾 嫩芽荒る

缺花三歳終縈網   欠花三歳 終に網を縈(めぐ)らす

一抹寂寥唯復芳   一抹の寂寥 唯だ芳復(かえ)る  

          (下平声「七陽」の押韻)

 ここ数年、ヒヨドリの好い声の囀りが聞こえていた。
 庭の木瓜、咲くべき花が何時も斑で、美しいどころか酷かった。
 網を張ってみると、以来鳥は来なくなった。




























 2019年の投稿詩 第249作は静岡の芙蓉漢詩会の F・U さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-249

  戉戌歳晩偶成        

七旬養拙直持躬   七旬 拙を養なって直に躬を持し

一歳還過意不窮   一歳還た過ぎ 意窮まらず

月照寒窗臘殘夜   月 寒窓を照らす 臘残の夜

靜閑獨坐待春風   静閑 独り坐し 春風を待つ

          (上平声「一東」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第250作は静岡の芙蓉漢詩会の F・U さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-250

  己亥歳旦        

曉光染出古靈臺   曉光染め出す 古霊台

習習春風動冷灰   習々たる春風 冷灰を動かす 

又値新正無別事   又新正に値ふも 別事無し

拈香依例誦經來   香を拈じ例に依って経を誦し来たる

          (上平声「十灰」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第251作は静岡の芙蓉漢詩会の F・U さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-251

  春彼岸戰没者慰靈        

遠征萬里委黄泥   万里を遠征し 黄泥に委し

殉國誠情衞庶黎   殉国の誠情 庶黎を衛る

供養英靈春彼岸   英霊を供養する 春彼岸

淨香拈出弔菩提   浄香 拈出し 菩提を弔ふ

          (下平声「一先」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第252作は静岡の芙蓉漢詩会の F・U さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-252

  追悼龍巢院主遷化        

料峭春朝如月天   料峭たる春朝 如月の天

業風底事使人憐   業風底事(なにごと)ぞ 人をして憐れましむ

悲雲重鎖龍巢崫   悲雲重く鎖す 龍巣の崫

空拝尊靈涙滍然   空しく尊霊を拝すれば 涙滍然たり

          (上平声「八斉」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第253作は静岡の芙蓉漢詩会の T・E さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-253

  上高地開山祭        

江畔猶寒峡谷晨   江畔猶ほ寒し 峡谷の晨

崢エ殘雪已陽春   崢エの残雪 已に陽春  

澄清角笛開山告   角笛は澄清にして 開山告ぐ

登嶽安全遍萬人   登嶽の安全 万人に遍し

          (上平声「十一真」の押韻)

 上高地の開山祭は、毎年四月二十七日河童橋の手前で開催されます。
 地元のホルン奏者の人々の笛声が谷に響きます。
 昨年はじめてこの日に行くことが出来ました。




























 2019年の投稿詩 第254作は静岡の芙蓉漢詩会の T・E さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-254

  田代池        

名峰萬仞聳秋天   名峰万仞 秋天に聳ゆ

幾度曳筇心浩然   幾度か筇を曳く 心浩然

湧水澄明流滿滿   湧水 澄明にして 流れ満々

唐松黄葉映池鮮   唐松の黄葉 池に映じて鮮かなり

          (下平声「一先」の押韻)

 上高地は、もう何回も訪れましたが、田代池の静寂は何時行っても心が洗われる思いです。



























 2019年の投稿詩 第255作は静岡の芙蓉漢詩会の K・K さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-255

  辯財船        

曉發知多暖靄津   暁に発す 知多 暖靄の津

水行千里二天艱   水行千里 二天の艱

孕風征帆殘長線   孕風 征帆 長線を残す

早達堅船江戸灣   早くも達す 堅船 江の湾

          (上平声「十一真」・「十五刪」の通韻)

 知多半島の諸港は、尾張回船で栄えていた。
 一旦鳥羽まで行き一気に下田に入り、相模湾を北上すればもう江戸、早い時は二日の行程だった。
 しかし、千石船でも船員は僅か四、五名、緊張続きの険しい航海だった。


 

























 2019年の投稿詩 第256作は静岡の芙蓉漢詩会の K・K さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-256

  對鏡        

我家嬌女未知装   我が家の嬌女 未だ装ふを知らざるも

興味津津對鏡箱   興味津々 鏡箱に対す 

挿髪載頭眞滿意   髪に挿し頭に載せ 真に意を満たす

元來糕飾塑膠琅   元来は糕飾 塑膠の琅

          (下平声「七陽」の押韻)

 四、五歳の娘はまだ装うことを知らないが、大きな鏡を膝にのせて何やらのぞき込んでいる。
 見れば髪飾りを挿した自分の姿のようだが、こ満悦の様子。
 だが、その飾りは先ほど食べたケーキに乗っていたプラスチックのつまだ。


 

























 2019年の投稿詩 第257作は静岡の芙蓉漢詩会の H・K さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-257

  秋 小國~社        

石瀬潺潺黄葉中   石瀬潺々 黄葉の中

秋深滿野物華通   秋 満野に深し 物華を通る

玉砂踏歩C風渡   玉砂踏み歩めば C風渡る

感謝安寧小國宮   感謝 安寧 小国(おぐり)の宮

          (上平声「一東」の押韻)

「黄葉中」: 紅葉
「石瀬」: せせらぎ
「物華通」: 景色・風景・物の輝き
「安寧」: 世の中が穏やかで平和なこと
「小国宮」: 小国神社の宮




























 2019年の投稿詩 第258作は静岡の芙蓉漢詩会の H・K さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-258

  祝 新皇即位        

新皇御代日逾紅   新皇の御代 日逾よ紅く 

天地融融淑氣風   天地 融々 淑気の風  

喜悦蒼生聞即位   喜悦の蒼生 即位を聞く

春芳慶事瑞光中   春芳 慶事 瑞光の中 

          (上平声「一東」の押韻)

「神皇」: 新たに皇位について人
「御代」: 天皇の治世・在位の期間を尊んでいう語
「天地」: 宇宙
「淑気風」: 目出度い気配が天地の間に満ちている。


 

























 2019年の投稿詩 第259作は静岡の芙蓉漢詩会の M・S さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-259

  下天龍        

天龍積翠水運郷   天竜 積翠 水運の郷

舟棹急流歡喜揚   舟は急流に棹さし 歓喜揚がる

光彩陸離眞絶景   光彩陸離 真に絶景

黒雷ネ岸起清涼   緑風 曲岸 清涼起く

          (下平声「七陽」の押韻)



 

























 2019年の投稿詩 第260作は静岡の芙蓉漢詩会の M・S さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-260

  濱松祭        

擧町装飾載車鍾   町を挙げての装飾 車に載せ鍾(あつま)る

合戰昂天勇壯鐘   合戦 天を昂ぐ 勇壮の鐘

長子誕生方繼嗣   長子 誕生す 方に継嗣たらん

薫風皋月盛濱松   薫風 皋月の浜松に盛んに

          (上平声「二冬」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第261作は静岡の芙蓉漢詩会の 洋靖 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-261

  探春        

東風送暖水温時   東風暖(だん)を送って 水温(ぬる)む時

一路春隄花草滋   一路春隄 花草滋し 

時聽初鶯聲緩渡   時に聴く初鴬 声緩やかに渡る

寒梅纔發賞心宜   寒梅纔かに発して 賞心宜し  

          (上平声「四支」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第262作は静岡の芙蓉漢詩会の 洋靖 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-262

  山寺觀楓        

秋山幾曲訪禪宮   秋山幾曲りか 禅宮を訪ぬ

霜葉如燃錦繡叢   霜葉燃ゆるが如く 錦繍の叢

幽響鐘聲氣清浄   幽響 鐘声 気清浄

行人難去夕陽中   行人去り難し 夕陽の中   

          (上平声「一東」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第263作は静岡の芙蓉漢詩会の T・H さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-263

  看櫻        

新晴十里故山涯   新晴 十里 故山の涯(ほと)り

良舌流鶯詠彩霞   良舌の流鴬 彩霞に詠ふ

吟望櫻雲惟一白   吟望すれば桜雲 惟だ一白

東皇畫處醉韶華   東皇画く処 韶華に酔ふ

          (下平声「六麻」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第264作は静岡の芙蓉漢詩会の T・H さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-264

  蘭州炳靈寺        

蘭州壁接長空   蘭州の青壁 長空に接し

風渉黄河古道通   風は黄河を渉り 古道に通ず

佛愛行人臨水坐   仏は行人を愛しみ 水に臨んで坐す

炳靈寺跡白雲中   炳霊寺跡 白雲の中 

          (上平声「一東」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第265作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-265

  駿府城発掘調査        

~君殘影尚今縈   神君の残影 尚今縈(めぐ)る

東海要衝駿府城   東海の要衝 駿府城

出土豐家金箔瓦   出土す 豊家金箔の瓦

覇權角逐解明更   覇権の角逐 解明更なり

          (下平声「八庚」の押韻)

 駿府城は天正期、駿河、遠江、三河、甲斐、信濃の五か国を治める徳川の居城として築かれ、小田原攻めの後、徳川は関東移封に伴い、豊臣直系中村一が入り改城。
 江戸幕府成立後、大御所の居城として、慶良一二年大改築。
 全国大名に普請を命ずる天下普請となった。




























 2019年の投稿詩 第266作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-266

  想邊野古        

移設難航邊野古   移設難航す 辺野古

沖繩基地集中煩   沖縄 基地の集中煩し

負擔輕減最良策   負担の軽減 最良の策ならん

時勢今求本土屯   時勢 今求むは本土の屯(きち)

          (上平声「十三元」の押韻)

 大戦で最も犠牲の多かった沖縄に七十五年目の今尚米軍基地の過半を置く。
 普天間の移転、本土にしたらと思う。
 三十八度線の緊張はやがて日本海に移ろう。
 これを勘案すれば、移転先自ずと定まるのでは。憲法に非核三原則と、三軍の保持を明記すれば、米軍縮小も視野に入ろう。




























 2019年の投稿詩 第267作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-267

  癌切除用内視鏡 其一        

銜口導筒容挿入   口に銜む導筒 挿入に容(やさ)し

細圓管束達瘍巢   細円の管束 瘍巣に達す

繊刀各種適宜換   繊刀 各種 適宜に換へて

癌腫微塵消若泡   癌腫 微塵 泡の若く消ゆ

          (下平声「三肴」の押韻)

 歳末腸の具合が悪かった。
 六年前大腸癌を切除している。
 またかな?検査をお願いしたところ「ついでに上も視ましょう」胃癌が見つかった。
 そして、この病院初の内視鏡での胃癌切除患者となり一週間入院した。
 患者の苦痛は全く感じなかったが、ワイヤーの先にある数ミリのナイフを扱う医師は大変だったろう。




























 2019年の投稿詩 第268作は静岡の芙蓉漢詩会の 常春 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-268

  癌切除用内視鏡 其二        

癌腫切除昏睡中   癌腫の切除 昏睡中

覺醒直識萬端終   覚醒 直ちに識る 万端終るを

亦知胃壁胸窩斂   また知る 胃壁 胸窩に斂まるを

肥厚病巢消遣工   肥厚の病巣 消し遣ふこと工(たくみ)

          (上平声「一東」の押韻)

 安静剤が効いて、内視鏡を喉に通す前から昏睡「終わりましたよ」の声で目を覚ます。
 癌とその周辺しっかり切り取ってくださった。
 翌朝気が付いたのだが、堅く膨れていた胃が、鳩尾に収まっていた。
 恢復したとの喜びが湧いてきた。




























 2019年の投稿詩 第269作は静岡の芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-269

  廢寺        

棄俗焚香萬卷諳   俗を棄て 香を焚き 万卷諳(そら)んず 

操經説法利無貪   経を操り法を説いて 利貪る無く 

奈何窮鬼潛齋裡   奈何せん 窮鬼 斎裏に潜む

廢寺風潮未敢探   廃寺の風潮 未だ敢へて探らず

          (下平声「十三覃」の押韻)





























 2019年の投稿詩 第270作は静岡の芙蓉漢詩会の 岳游 さんからの作品です。
 静岡市で6月に開かれた合評会からの参加詩です。

作品番号 2019-270

  惑星探査機「隼二」        

到着龍宮小惑星   「龍宮」 小惑星に到着す  

遼遙降下地肌   遼遥 降下 地肌青し

彈丸噴射采塵石   弾丸噴射して 塵石を采る 

祈願歸還廣宇冥   帰還を祈願するも 広宇冥たり

          (下平声「九青」の押韻)