2018年の新年漢詩 第31作は上海の 陳興 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-31

  (新年即事)元旦前夕點外賣送達時已入新年        

宵寒一騎叩門來,   

夜靜千家待歳開。   

送達佳餚君所點,   

此單完結下單催。   

          (上平声「十灰」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第32作は桐山堂半田の 輪中人 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-32

  新年作        

天地過來幾度春   天地過ぎ来たり幾度の春ぞ

長年無効愧吾身   長年効無く吾身を愧ず

賀詩欲賦餘生樂   賀詩賦さんと欲して余生を楽しむ

淑氣三元旭日新   淑気三元旭日新なり

          (上平声「十一真」の押韻)


























 2018年の新年漢詩 第33作は桐山堂半田の 輪中人 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-33

  新年即事        

歳朝門巷曉寒加   歳朝門巷暁寒加はる

旭日滿天四望賒   旭日満天四望賒ねし

七十餘年春尚淺   七十余年春尚浅し

依然淑氣未看花   依然たる淑気未だ花を看ず

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第34作は台湾の  蘆馨  さんからの作品です。
 

作品番号 2018-34

  新年即事        

新暦催詩興,   

攤箋散筆花。   

揮毫心自壯,   

因病髮先華。   

甘避三升酒,   

欣嘗一碗茶。   

但看和氣動,   

處處物情奢。   

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第35作は 東山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-35

  戊戌新年有感        

C氣瑞雲田野家   清気瑞雲 田野の家

新春芳信又休嘉   新春の芳信 又休嘉

好須五月雛孫誕   好し須たん五月 雛孫の誕

翁媼開顔歡感加   翁媼開顔 歓感加はる

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第36作は 東山 さんから年賀状でいただいた作品です。
 

作品番号 2018-36

  戊戌新年有感 二        

元朝茅屋瑞光明   元朝の茅屋 瑞光明らかに

翁媼相斟壽太平   翁媼 相斟んで 太平を寿ぐ

開歳感懷殊往歳   開歳の感懐 往歳と殊なり

可聽今夏初孫聲   聴くべし 今夏 初孫の夏

          (下平声「八庚」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第37作は 東山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-37

  戊戌新年遇感        

平成一世意邦家   平成一世 邦家を意ふ

雖帝業衷多害加   帝業衷なりと雖も 害ひの加はること多し

切願今年萬民幸   切に願ふ今年 万民の幸ひ

又祈四海庶神嘉   又祈る四海 庶神の嘉するを

          (下平声「六麻」の押韻)


























 2018年の新年漢詩 第38作は東海漢詩連盟(芙蓉漢詩会)の Y.H さんからの作品です。
 

作品番号 2018-38

  新年作        

瑞靄洋洋郊外家   瑞靄 洋々 郊外の家

一枝春動早梅花   一枝 春は動く 早梅の花

親朋賀客新年酒   親朋 賀客あり 新年の酒

笑語團欒世可嘉   笑語 團欒 世嘉すべし

          (下平声「六麻」の押韻)


「世可嘉」: 世の中けっこうめでたい























 2018年の新年漢詩 第39作も東海漢詩連盟の Y.H さんからの作品です。
 

作品番号 2018-39

  新年作 二        

初陽暖日發梅華   初陽 暖日 梅華発く

瑞氣迎春多少家   瑞気 春を迎ふ 多少の家

感慨古希身健在   感慨 古希 身は健在

一杯美酒太平嘉   一杯の美酒 太平を嘉ぶ

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第40作も東海漢詩連盟の Y.H さんから年賀状でいただいた作品です。
 

作品番号 2018-40

  新年作 三        

曈曈日出正新年   曈曈 日出で正に新年

駘蕩春風家室圓   駘蕩 春風 家室円し

有感古希親翰墨   感有りて 古希 翰墨に親しむ

團欒吉例設私筵   団欒 吉例 私筵を設く

          (下平声「一先」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第41作は 風雷山人 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-41

  新春偶成        

萬象清新旭日紅,   

初陽原色瑞光中。   

年年老我前途遠,   

歳旦乾坤對惠風。   

          (上平声「一東」の押韻)


 新年の漢詩を作りましたので、お送り致します。

 一昨年は英語詩、昨年はは今様体を軸に、長歌、旋頭歌、都々逸を挿入詩として叙事詩を書いていて、暫く漢詩を作っていませんでしたが、本年はその叙事詩の挿入詩として漢詩と英語詩を入れていき、満遍なく作っていこうと思います。


























 2018年の新年漢詩 第42作は東海漢詩連盟の 洋景 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-42

  新年詩        

惠風淑氣到田家   恵風淑気田家に到る

歳且屠蘇人語譁   歳且屠蘇人語譁す

求韻吟騒客宴   韻を求め高吟す騒客の宴

盆梅馥郁自開花   盆梅馥郁自ら花を開く

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第43作も東海漢詩連盟の 洋景 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-43

  初夢        

戊戌三元萬象新   戊戌三元万象新たなり

此身康健草堂春   此の身康健草堂の春

看花渡水碧湖畔   花を看水を渡り碧湖の畔

求韻清遊夢寐頻   韻を求め清遊す夢寐頻り

          (上平声「十一真」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第44作も東海漢詩連盟の 洋景 さんから年賀状でいただいた作品です。
 

作品番号 2018-44

  賀春        

富嶽赤輝東海天   富嶽赤く輝く 東海の天

曈曈旭日壽新年   曈曈旭日 新年を寿ぐ

此身康健恩波洽   此の身 康健 恩波洽し

參道春光香雪姸   参道 春光 香雪妍なり

          (下平声「一先」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第45作は東海漢詩連盟の 愚游 さんから年賀状でいただいた作品です。
 

作品番号 2018-45

  書初        

迎春淑氣發霜葩   春を迎ふる淑気 霜葩を発き

無恙平安在我家   恙無き平安 我が家に在す

一紙詩情揮禿筆   一紙 詩情 禿筆を揮ふ

墨痕太拙自堪誇   墨痕 太だ拙くも 自ら誇るに堪へたり

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第46作は台湾の 蝶依 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-46

  迎春        

乘時潑墨迎嘉節,   

溪上寒梅未放花。   

竹色邀歡和柳動,   

鶯聲弄曲入雲斜。   

條風雨過翻多興,   

淑氣林迴到數家。   

把酒園中春尚淺,   

吟心有待賞年華。   

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第47作は 信如 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-47

  新年作        

新春白首避粉譁   新春 白首 粉譁を避けども

眷屬擧來和氣家   眷属 挙り来る 和気の家

共酌屠蘇開口笑   共に屠蘇を酌み 口を開けて笑ふ

歡聲響徹放梅花   歓声 響徹して 梅花を放つ

          (下平声「六麻」の押韻)


 親兄弟集まってささやかな宴を開きました。
新年早々めでたいこともあり、良い正月になりました。


























 2018年の新年漢詩 第48作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-48

  戊戌元旦(一)甘露日和        

光陰如矢送殘年   光陰 矢の如く 残年を送る

八十五齢春可憐   八十五齢 春憐れむべし

甘露日和天又霽   甘露の日和 天又霽る

謝恩神佛寫華箋   神仏に謝恩して 華箋に写す

          (下平声「一先」の押韻)


    八十路半ば晴れる日も又曇る日も

 「待てば海路(甘露)の日和あり」と言う成語は、極めて聞きなれた言葉ではありますが、如何にも日本的な言葉遣いであります。
 出典は「いろはカルタ」と書いた注釈書もありますが、要するに非漢文的な和製の格言なのでありましょう。
多少なりとも漢詩らしく改変する為に「海路」は中国故事にある「甘露」の方を採用するとしても「日和」は問題です。
「ひより」とは「万葉文字からの当て字が定着した言葉らしい」と解説してあります。言わば、根っからの和製漢字であります。
 日本人として生を享け、八十路の半ばまでの八十五年間を生きて来た日本人として、平成戊戌・新年初頭の第一首に敢えて和臭丸出しの「新年漢詩」を詠んだ次第であります。

























 2018年の新年漢詩 第49作も 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-49

  戊戌元旦(二)平成御宇        

乾坤更始托希望   乾坤 更始 希望を托す

八十五齢題墨香   八十五齢 題墨香し

劫後幾何風物改   劫後 幾何 風物改まる

平成御宇莫相忘   平成 御宇 相忘るること莫れ

          (下平声「七陽」の押韻)


    昭和は遠く平成も遠くなりぬらん

























 2018年の新年漢詩 第50作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-50

  新年書懷(一)歳月不留        

吉祥放馥遍人寰   吉祥 放馥 人寰に遍し

八十五齢春自閑   八十五齢 春自から閑なり

歳月不留身已老   歳月 留まらず 身已に老ゆ

一詩漸就破愁顔   一詩 漸く就り 愁顔を破る

          (上平声「十五刪」の押韻)


    一詩得て戊戌元旦目出度けれ

























 2018年の新年漢詩 第51作も 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-51

  新年書懷(二)萬象過來        

七十億人吾孤生   七十億人 吾は孤生

案詩敲句未文成   詩を案じ 句を敲き 未だ文成らず

應憐八秩五齢老   応に憐れむべし 八秩五齢の老

萬象過來日月行   万象 過来 日月行く

          (下平声「八庚」の押韻)


    言を寄す八十五歳老いの春

























 2018年の新年漢詩 第52作も 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-52

  新年即事(一)禁酒甘糖        

平成戊戌換年華   平成 戊戌年華換る

八十五齢何用誇   八十五齢何ぞ誇ることを用いんや

禁酒甘糖斷過食   禁酒 甘糖 過食を断って

吟詩敲句興無涯   句を敲き 詩を吟ず 興涯無し

          (下平声「六麻」の押韻)


    年老いて博多雑煮の懐かしき

























 2018年の新年漢詩 第53作も 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-53

  新年即事(二)未聴鴬声        

茅屋狭庭方寸池   茅屋 狭庭 方寸の池

兩三鯉影歳寒姿   鯉影 両三 歳寒の姿

萍蓮悉悉枯凋恨   萍蓮 悉悉 枯凋の恨み

未聽鶯聲春信遲   鴬声未だ聴かず 春信遅し

          (上平声「四支」の押韻)


    御慶申す水中の鯉魚寒からん

























 2018年の新年漢詩 第54作も 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-54

  迎春(一)招福萬來        

杉柏四隣山影斜   杉柏 四隣 山影斜なり

老梅落落惜年華   老梅 落落 年華を惜しむ

悠悠獻壽屠蘇酒   悠悠 献寿 屠蘇の酒

招福萬來斯我家   招福 万来 斯れ我が家

          (下平声「六麻」の押韻)


    築半世紀平成戊戌淑気満つ

























 2018年の新年漢詩 第55作も 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-55

  迎春(二)可愛老梅        

小庭瑞氣景尤奇   小庭 瑞気 景尤も奇なり

欲賦歳朝多所思   歳朝 賦さんと欲して 所思多し

誰憐落木春猶淺   落木 誰か憐れまん 春猶ほ淺し

可愛老梅破蕾時   老梅 愛すべし 破蕾の時

          (上平声「四支」の押韻)


    老梅や主木然として鎮座

























 2018年の新年漢詩 第56作は 青眼居士 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-56

  新春團欒        

新春復競百家吟   新春復た競ふ 百家の吟

老鈍憶詞只瞰臨   老鈍 詞を憶へど 只だ瞰臨するのみ。

少小以來正月戲   少小以來正月の戲(あそ)び、

暮年初悟一歌心   暮年 初めて悟る一歌の心。

          (下平声「十二侵」の押韻)


「百家の吟」: 小倉百人一首     

























 2018年の新年漢詩 第57作は 岳峰 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-57

  越年詩興        

歳晩遠鐘寒亦加   歳晩の遠鐘 寒また加はる

蕭条月下入窗紗   蕭条たる月下 窓紗に入る

近憂托酒浮生事   近憂酒に托す 浮生の事

莫道明朝映彩霞   道(い)ふ莫かれ 明朝 彩霞に映ず

          (下平声「六麻」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第58作も 岳峰 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-58

  新正感懷        

眞諦半生詩幾章   真諦の半生 詩幾章

親朋情義滿池塘   親朋の情義 池塘に満つ

三元無恙鴛鴦夢   三元恙が無きこと 鴛鴦の夢

幸慶滔滔不可忘   幸慶滔滔として 忘るべからず

          (下平声「七陽」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第59作も 岳峰 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-59

  歳朝偶感        

新正無恙吉祥年   新正恙無く 吉祥の年

天地囘来千古伝   天地囘り来たって 千古に伝ふ

冷気稜稜塵外境   冷気稜稜として 塵外の境

六花一色五更天   六花一色 五更の天

          (下平声「一先」の押韻)


    

























 2018年の新年漢詩 第60作は 深渓 さんからの作品です。
 

作品番号 2018-60

  除夕        

久絶浮生詩一章   久しく絶えし浮生の詩一章

九旬欲這是吾郷   九旬 這へんと欲す 是吾が郷

寒厨白屋年将暮   寒厨の白屋 年将に暮なんとす

窮鬼排除我転狂   窮鬼の排除に 我転狂せんと

          (下平声「七陽」の押韻)


「浮生」: 儚い人生。
「九旬」: 九十・才。
「是吾郷」: ここ調布が故郷だ。
「寒厨」: 貧しい台所。
「白屋」: 貧しい家。
「窮鬼」: 貧乏神。
「我転狂」: 私は狂いそうである。