2016年の新年漢詩 第61作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-61

  丙申元旦(一)        

小雨小風元旦天   小雨 小風 元旦の天

暖冬好日坐樽前   暖冬 好日 樽前に坐す

八十三齡如醉夢   八十三齡 醉夢の如し

餘生不識喜身全   餘生は 識らず 身の全きを喜ぶ

          (下平声「一先」の押韻)


  暖冬も佳し丙申の祝ひ酒


























 2016年の新年漢詩 第62作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-62

  丙申元旦(二)        

戰後七十年月流   戰後 七十年月流る

丙申元旦敢忘憂   丙申 元旦 敢て憂ひを忘れんや

俗塵萬事非吾事   俗塵 萬事 吾が事に非ず

敲句吟詩醉境遊   句を敲き 詩を吟じて 醉境に遊ぶ

          (下平声「十一尤」の押韻)


  五輪騒動不戦七十年明ける


























 2016年の新年漢詩 第63作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-63

  新年書懷(一)        

加三八秩丙申年   加三 八秩 丙申年

一病息災詩酒仙   一病 息災 詩酒の仙

相與児孫身好在   児孫 相與に 身好在なり

吉祥何料即成篇   吉祥 何ぞ料らん 即ち篇を成す

          (下平声「一先」の押韻)


  御神籤は中吉とあり初詣で



























 2016年の新年漢詩 第64作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-64

  新年書懷(二)        

鶏聲告曉又過年   鶏聲 曉を告げ 又年を過ぐ

歳月廻來結勝縁   歳月 廻り來りて 勝縁を結ぶ

半百星霜與君我   半百 星霜 君と我と

相思偕老喜無邊   相思 偕老 喜び無邊

          (下平声「一先」の押韻)


  繰り返す言葉寡なき御慶かな



























 2016年の新年漢詩 第65作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-65

  喜迎新年        

親児三代賀三元   親児 三代 三元を賀す

離散家郷遙里門   家郷 離散して 里門遙かなり

食餅滿盤春盎盎   食餅 盤に滿ち 春盎盎たり

勿辭椒酒喜盈樽   椒酒 辭さず 樽に盈つるを喜ぶ

          (上平声「十三元」の押韻)


 方言も時折混じり御節食む



※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第66作は 茜峰 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-66

  迎新年(懐歩信濃路佐久平)        

浅岳白衣和曠原   浅岳は白衣にして 和やかな曠原

酒醪駿馬土風源   酒醪 駿馬 土風の源

神宮楼閣止戈額   神宮の楼閣 止戈の額

歴史転旋清静魂   歴史の転旋 清静の魂

          (上平声「十三元」の押韻)



「止戈為武」: 『春秋左子伝 宣公一二』にある言葉。

 新春早々中山道信濃路の佐久平を歩く。
 冠雪の浅間山の稜線は緩やかに伸び拡がっている。
 ここは水がよく銘酒の産地でありまた古来から名馬も多く生まれているという。
 八幡宿の八幡神社楼門で「止戈為武」の額を見、途端に気持ちは引き締まる。
 こののどかな郷も戦いで荒れた時期があるのだ。

 様々な歴史の繰り返しを思い、これからも平和な世が続くようにと祈らずにはおれなかった。


※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第67作は 徠山 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-67

  喜迎新年 次韻謝斧堂主人        

初陽遥拜曉光暄   初陽 遥かに拝せば 暁光暄かく

天地安寧風又溫   天地 安寧 風も又た温なり

瑞靄呈無一事   瑞靄 を呈して 一事無く

門松添竹祝三元   門松 竹を添へて 三元を祝ふ

焚香陋屋閑敲句   香を焚いて 陋屋 閑に句を敲き

迎客清談喜滿軒   客を迎へて 清談 喜び軒に満つ

何料功名空碌碌   何ぞ料らん 功名 空しく碌々

老來意却隙駒奔   老来 意却す 隙駒の奔るを

          (上平声「十三元」の押韻)



「三元」: 元旦。
「碌碌」: 平凡、凡庸なるさま。
「隙駒」: 「人生天地閨A若白駒之過隙」(荘子)


※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第68作は 調布T.N さんからの作品です。
 

作品番号 2016-68

  喜迎新春        

丙申元旦恵風暄   丙申の元旦は恵風暄し

旧故手翰情自存   旧故の手翰情自ら存す

紫陌昇平慶雲現   紫陌は昇平慶雲現る

心身爽快酌芳樽   心身爽快芳樽を酌む

          (上平声「十三元」の押韻)



今年の元旦は風暖かく、街も平和で幸先良い日でした。
旧友からの年賀状も手書きで心が籠もり、懐かしく気分爽快で楽しいお酒でした。


※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第69作は 青眼居士 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-69

  喜新春        

今歳新春賀特敦   今歳の新春 賀 特(こと)に敦し、

齢垂不惑息初婚   齢(よわい)不惑に垂(なんなん)として 息初めて婚す。

為人信實親躬伐   為人(ひととなり)信実にして 親は躬ずから伐(ほこ)るも、

豈料頑童娶淑媛   豈料らんや 頑童淑媛を娶らんとは。

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第70作は 杜正 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-70

  喜迎新春        

新春乾坤風亦暄   新春の乾坤 風 亦た暄かなり

禅林院落早梅魂   禅林の院落 早梅の魂

迎師翕聚同門友   師を迎へ 翕聚 同門の友

試筆論交笑語溫   試筆 論交して 笑語 温かなり

          (上平声「十三元」の押韻)



あたりは新春の装いで 風もまたあたたかである
禅寺院の庭には 早梅が咲いている
師匠を迎えて 同門の友が集まり
書き初めをして お互いに出来栄えを論じ 笑い声も温かである


※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第71作は 高明 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-71

  新年書懷        

今旦当迎喜壽春   今旦当に迎ふ 喜壽の春

身心壮健氣清新   身心壮健 気は清新

吾邦不戦七旬歳   吾邦 不戦 七旬の歳

更願和平富盛伸   更に願ふ 和平 富盛の伸ぶるを

          (上平声「十一真」の押韻)




























 2016年の新年漢詩 第72作は 點水 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-72

  喜迎新春        

蠟梅黄色彩庭園   蝋梅の黄色 庭園を彩り

瑞氣洋洋風日暄   瑞気 洋洋 風日 暄たり

無恙迎新多所感   恙なく新を迎え 所感多く

祈求寧歳倒芳樽   寧歳を祈求し 芳樽を倒す

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第73作は 桐山堂刈谷の 眞海 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-73

  新春誓        

新年瑞氣拂塵煩   新年の瑞気 塵煩を払ひ

献酒神前淨六根   神前に酒を献じ 六根を浄む

作句吟詩無究道   句を作り 詩を吟ずるは無究の道

三多當學報師恩   三多 当に学びて 師恩に報ぜん

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第74作は 桐山堂刈谷の 静巒 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-74

  新年作        

氷解雲晴天地暄   氷解け 雲晴れ 天地暄かし

三元瑞氣入柴門   三元 瑞気 柴門に入る

年年無事迎華甲   年年無事に華甲を迎へ

芳宴春盤酒滿樽   芳宴 春盤 酒樽に満つ

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第75作は 桐山堂刈谷の W.I さんからの作品です。
 

作品番号 2016-75

  新年作        

好風千里祝三元   好風千里 三元を祝す

瑞氣昇平萬古存   瑞気 昇平 万古に存す

柳眼梅花春意動   柳眼 梅花 春意動き

迎年賀客共開樽   迎年 賀客 共に樽を開く

          (上平声「十三元」の押韻)


「今年こそはいつもと違う句を」と思いながら、また、同じようになってしまいました。
 変化ないのが倖せなのかもと言い聞かせています。


※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第76作は 桐山堂刈谷の T.I さんからの作品です。
 

作品番号 2016-76

  新年        

東風和氣祝三元   東風 和気 三元を祝す

朝日鶯聲花滿園   朝日 鶯声 花は園に満つ

芳酒佳肴迎賀客   芳酒 佳肴 賀客を迎ふ

平安萬事瑞光喧   平安 万事 瑞光喧か

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第77作は 桐山堂刈谷の 風葉 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-77

  新年作        

瑞光暖氣祝三元   瑞光 暖気 三元を祝す

南院梅枝鳥語喧   南院 梅枝 鳥語喧し

萬事平安長久願   万事 平安 長久を願ふ

家人談笑倒芳樽   家人 談笑 芳樽を倒す

          (「上平声十三元」の押韻)


新しい年を迎え、平和な世であり、家族も元気でと願い、作りました。

※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第78作は 桐山堂刈谷の 小園 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-78

  新春        

丙申旭日照東軒   丙申 旭日 東軒を照らす

招福雞鳴千古魂   招福 鶏鳴 千古の魂

將待兒郎華燭典   将に待たむ 児郎の華燭の典

慶風清麗滿田園   慶風 清麗 田園に満つ

          (「上平声十三元」の押韻)


 申年の我が子がこの春、やっと結婚しました。
 我が家にとって、この丙申の年は忘れられないものになりました。



※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第79作は 桐山堂刈谷の M.O さんからの作品です。
 

作品番号 2016-79

  丙申新年芳宴        

瑞光燦燦照東軒   瑞光燦燦として 東軒を照らす

古樹梅香春意暄   古樹の梅香り 春意暄かなり

嘉讌辛盤嘗柏酒   嘉讌 辛盤 柏酒を嘗む

夫妻偕舞祝三元   夫妻で倶に舞ひ 三元を祝ふ

          (上平声「十三元」の押韻)


 暖かな太陽が昇り、健康で迎えられた新年の喜びを初舞で表現しました。

※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第80作は 桐山堂刈谷の 游人(岳喨) さんからの作品です。
 

作品番号 2016-80

  丙申新春        

社頭閑寂雪花翻   社頭 閑寂として 雪花翻る

除夜神燈徹夜存   除夜の神燈 夜を徹して存す

正旦鶏鳴迎旭日   正旦 鶏鳴 旭日を迎ふ

諸人祈願太平村   諸人 祈願す 太平の村

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第81作は 桐山堂刈谷の A.K さんからの作品です。
 

作品番号 2016-81

  迎新年        

終年未去夜霜繁   年を終へ 未は去り 夜霜繁し

改暦申來春意奔   暦を改め 申は来たり 春意奔る

處世無功身尚健   処世 功無けれど 身は尚健たり

七旬老大歳朝門   七旬の老大 歳朝の門

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第82作は 桐山堂刈谷の 仁山 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-82

  新年        

枝梢處處鳥聲喧   枝梢 処処 鳥声喧し

暖日東風春起園   暖日 東風 春は園に起く

三始揮毫親筆硯   三始 揮毫 筆硯に親しむ

怡顔孫子集松門   怡顔 孫子 松門に集ふ

          (「上平声十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第83作は 桐山堂刈谷の T.S さんからの作品です。
 

作品番号 2016-83

  新年作        

茶梅紅萼覆柴門   茶梅の紅萼 柴門を覆ふ

暖日瑞光和氣繁   暖日 瑞光 和気繁し

老去與君愉後學   老去 君と与に後学を愉しむ

子孫無恙祝三元   子孫恙無し 三元を祝す

          (「上平声十三元」の押韻)


  今年成人式を迎える孫が二人も居て、賑やかに正月を迎えることが出来ました。
  老いても二人で本を読める穏やかな生活も平和であってこそと思います。


※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第84作は 桐山堂刈谷の K.T さんからの作品です。
 

作品番号 2016-84

  新年作        

和風淑氣祝三元   和風 淑気 三元を祝す

千里朝陽瑞雲奔   千里の朝陽 瑞雲奔る

賀客時來酒一盞   賀客 時に来たれば 酒一盞

遙遙春信早梅村   遙遙たる春信 早梅の村

          (「上平声十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第85作は 桐山堂刈谷の 藤佳(M.T) さんからの作品です。
 

作品番号 2016-85

  新年作        

丙申正旦好機源   丙申 正旦 好機の源

数朶香梅祝賀門   数朶の香梅 祝賀の門

如矢光陰離職處   矢の如きの光陰 離職の処

餘年與友樂吟魂   余年 友と与に 吟魂を楽しまん

          (「上平声十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第86作は 桐山堂刈谷の Y.N さんからの作品です。
 

作品番号 2016-86

  新年作        

數聲鶯語報春喧   数声の鶯語 春を報じて喧なり

庭草東風天地暄   庭草 東風 天地暄かなり

飾餅門松迎旭日   門松 飾餅 旭日を迎へ

新年淨几筆翰渾   新年 几を浄め 筆翰渾ふ

          (「上平声十三元」の押韻)


穏やかに新しい年を迎え、清明な気持ちで書き初めができたら、素晴らしい一年になる。

※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第87作は 桐山堂刈谷の 聖峰 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-87

  新年即事        

新歳朝陽鳥語喧   新歳 朝陽 鳥語喧し

迎春雪後草堂門   春を迎へ 雪後 草堂の門

親朋芳宴歡無極   親朋の芳宴 歓極むる無く

立志清新墨筆繙   立志 清新 墨筆を繙く

          (「上平声十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第88作は 桐山堂刈谷の 老遊 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-88

  新年作        

妻子寒厨拂塵埃   妻子は寒厨の塵埃を払ひ

老夫急手枯藁堆   老夫は手を急がせて枯藁堆し

鐘聲百八聽燈下   鐘声 百八 灯下に聴けば

元旦鶏鳴玉暦開   元旦の鶏鳴 玉暦開く

          (「上平声十灰」の押韻)


「寒厨」は貧しい台所です。
 私と妻は年金生活の暮らしですが、新年を迎えて長寿をいただきました。
 また、今年も倖せでありますように。


























 2016年の新年漢詩 第89作は 桐山堂刈谷の 一兔 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-89

  新年作        

春陽滿野暖風村   春陽野に満つ 暖風の村

老友尋來意気存   老友尋ね来たり 意気存す

嘉壽濁醪宜冷醉   嘉寿 濁醪 冷酔宜し

忘時寛樂百花繁   時を忘れ 寛楽 百花繁し

          (上平声「十三元」の押韻)




※こちらの作品は世界漢詩同好會への参加詩にもなります。























 2016年の新年漢詩 第90作は 桐山堂刈谷の 勝江 さんからの作品です。
 

作品番号 2016-90

  新年書懷        

寒雲歳杪草堂前   

破蕾庭梅馥氣傳   

倚杖人生空入夢   

親朋柏酒太平天   

          (下平声「一先」の押韻)