金中さんが国際詩歌祭『東京ポエトリー・フェスティバル』で漢詩を朗読します

 

 鮟鱇です。私は、漢詩作りのかたわらNPO世界俳句協会の一員として漢語の俳句を作ってきましたが、昨年来、国際詩歌祭『第2回東京ポエトリー・フェスティバルと第6回世界俳句協会大会2011TPF2&WHAC6 2011)』の実行委員会の事務局長をしています。

 さて、その詩歌祭で詩友金中さんに、中国からの詩人として自作漢詩の朗読をしてもらうことになりましたので、ご案内申しあげます。

 世界の詩人のなかでの金中さんの朗読は、その漢詩作品の斬新さとともに、漢詩が今もなお現代詩であることを内外の詩人にアピールするものと思います。

 朗読の伴奏は箏、演奏者は金中さんの令夫人張珊さんです。

 ぜひみなさまにも、金中さんの朗読を通じて、世界の詩の潮流のなかでの漢詩の前途を感得し、みなさまの漢詩の創作に生かしていただきたいと思います。

 

 1 日時  911日(日) 午後の部

 2 場所: 明治大学 駿河台キャンパス リバティホール

    〒101-8301 東京都千代田区神田駿河台1−1

 

 詩歌祭の詳細については、下記HPをご覧ください。

 

  東京ポエトリー・フェステバル  http://www.geocities.jp/tokyopoetry/

 

 以下に、TPF2&WHAC6 2011の特長を述べさせていただきます。

 国際詩歌祭は、その開催国の詩人と世界の詩人が自作の詩を競い、交流を深めるとともに、聴衆は、それを聴きくらべ自国の詩と言語への思いを深くする場です。

 このことは、TPF2&WHAC6 2011においても変わりませんが、海外15の国と地域から15人の詩人・俳人、日本からは谷川俊太郎、岡井隆、夏石番矢ほか20人の詩人、歌人、俳人が出演するTPF2&WHAC6 2011は、次の点を特長としています。

 

 まず、TPF2&WHAC6 2011のディレクターを勤めています夏石番矢は、数多くの句集を海外で出版している俳人で、海外の国際詩歌祭や国際俳句祭に毎年招かれており、今年は7月にコロンビアのメデジン国際詩祭に参加しております。

 また、副ディレクターの八木忠榮はもと『現代詩手帖』の編集長を勤めた詩人で、中国や韓国の詩人との交流に尽力しております。副ディレクターの田村雅之も詩人ですが、歌集の出版で定評のある砂子屋書房の社長で、今回は短歌関係出演者のとりまとめにあたりました。

 さて、その三人で構成したTPF2&WHAC6 2011は、わが国では他に例を見ない国際詩歌祭であることを特長としています。

 日中、日韓など二国間の国際詩祭は開催されることがありますが、五大陸から詩人・俳人を招く詩歌祭としては、「東京ポエトリー・フェスティバル2008」のほかにその例が知られていません。TPF2&WHAC6 2011は、その成果を継承するとともに、これまで日本と海外で5回の大会を開催してきた世界俳句協会の実績と合体し、日本もまた本格的な国際詩歌祭を開催できる国である、ということを、世界へ向けてアピールしていくものです。

 次に、HAIKUすなわち俳句が世界に広まっているということもありますが、来日が確定している15人のうち6人の詩人が、俳句も作る、ということがあります。詩人でありながら俳句も作る、という例は、わが国にもありますが、現代詩人の三分の一が俳句も作る、というほどには、俳句が日本の現代詩人の間に浸透しているわけではありません。

 俳句を作る6人は、ハンガリーからのバコシュ・フェレンツ、ヴィハール・ユディット、ニュージーランドからのドック・ドラムヘラー、台湾からの呉昭新、リトアニアからのコルネリユス・プラテリス、ブルガリアからのペータル・チューホフ、内モンゴルから参加のTs. ツォルモンさん。

 このうち、リトアニアからのコルネリユス・プラテリスさんはもと文化・科学大臣で「ドルスキニンカイ詩の秋ならびに第五回世界俳句協会大会2009」のディレクターを勤め、ハンガリーからのヴィハール・ユディットさんは、「世界俳句フェスティバル・ペーチ2010」のディレクターを勤めています。ニュージーランドからのドック・ドラムヘラーさんは、そのふたつの詩歌祭に参加し、ペーチの俳句コンクールでは1位に入賞しています。

 日本語が話せる海外俳人は、ヴィハール・ユディットさん、また、台湾からの呉昭新さんは、十五歳までは日本語で教育を受けていますので、日本語を話します。

 また、これとは逆に日本から参加する堀田季何さんは、インターナショナル・スクール出身、アメリカの大学卒で、日本人でありながら英語で俳句を作ります。日本語でも短歌・俳句を作りますが、俳句では日本語よりも英語を得意としています。

 次に短歌は、残念ながら俳句ほどには世界に広まっていませんが、オーストラリアからのアメリア・フィールデンさんが、日本語と英語の自作短歌を朗読します。彼女は、短歌のすぐれた英訳者としても知られています。

 

 こうしたなかで、金中さんは、TPF2&WHAC6 2011では自作の漢詩を朗唱することになりますが、金中さんは漢詩人であるとともに、「和歌」の研究を志して十四歳で中国の名門西安交通大学に入学、今は母校の日本語科の教授している日本文学の研究者です。「和歌」の研究で東京外大で博士号を取得、短歌を中国語に翻訳する理論的研究に加え、俳句の翻訳についての理論も展開中です。

 そこで、オーストラリアからのアメリア・フィールデンさんとは、日本の詩歌をめぐって意見を交換され、大いに交流を深められるでしょう。

 

 そして、お二人の会話が日本語である、ということに、最後に注目しておかなければならないと思います。

 日本で開かれる国際的な会議、学会等で使われる言語は、日本で開催されるのも関わらず英語が基軸です。このコミュニケーションの手段として英語が基軸であるということは、TPF2&WHAC6 2011でも変わりありませんが、上記の四人に加え韓国から参加する女流詩人李珍明さんも、日本仏教の研究を通じ、日本語を話します。

 参加者の三分の一が日本語を話し、理解します。そこで、詩人同士の交流では、英語に次ぐ言語として日本語が機能します。国際会議や学会の場ではほとんどが英語、というなかで、国際的な詩歌祭でありながら、海外からの参加者のおよそ三分の一が日本語を話す、ということは、TPF2&WHAC6 2011の特長のひとつです。この点は、日本の文化政策を進めている外務省から意義あることとして高く評価され、後援名義の使用を許されています。