2010年の新年漢詩 第31作は 枳亭 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-31

  (新年漢詩)庚寅歳旦所懐        

歳改清明万象鮮   

偏祈知友壽昌全   

五洲時勢未猶定   

想見曾孫冠禮年   

          (下平声「一先」の押韻)























 2010年の新年漢詩 第32作は 偸生 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-32

  (新年漢詩)春来        

不知還訪古禪宮   

借問開春孰處風   

松下老師唯笑掃   

竹門歸到一枝紅   

          (上平声「一東」の押韻)























 2010年の新年漢詩 第33作は 明鳳 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-33

  (新年漢詩)奥利安座流星群        

流星観察睡方醒   流星観察するに 睡り方に醒め

猟戸座光呼夢青   猟戸オリオン座の光は夢を呼んで青し

微隕飛煌輝閃滅   微かに隕つる飛煌は輝きて閃滅し

白駒過隙願祈寧   白駒過隙に祈りを願って寧らかなり

          (下平声「九青」の押韻)

「白駒過隙」: 甚だ早いことのたとえ

























 2010年の新年漢詩 第34作は 常春 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-34

  (新年漢詩)庚寅口號        

治世一新如黎明   治世一新 黎明の如く

鳥騒樹動滿山聲   鳥騒ぎ樹動き満山声あり

繼承負債太踰矩   継承の負債 太だ矩を踰え

宰相知科無可盈   宰相科を知れども盈すべく無し

          (下平声「八庚」の押韻)



<解説>

「科」: くぼみ

 久しぶりの政権交代、過程の試行錯誤を公開している感じ、明け方の林間に居るような清々しい騒がしさを覚えます。
 首相はオペレーションズリサーチの専門家、どのように多項方程式を組み、制約条件の多い中で、どのような解を見出すのか・・・

(オペレーションズリサーチ=作戦計画。第二次大戦中に開発された科学的数学的手法で、物資だけでなく作戦計画でも日本は完敗したと評されています)























 2010年の新年漢詩 第35作は 常春 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-35

  (新年漢詩)賀新年        

元旦珍奇月蝕天   元旦珍奇なり月蝕の天

詩人苦暦有誰憐   詩人暦に苦しむも誰か憐れむあらん

初氷初雪初春祝   初氷初雪 初春の祝

遮莫無懲又一年   さもあらばあれ懲りるなく又一年

          (下平声「一先」の押韻)

<解説>

 友人から頂いた年賀詩に次韻したざれの詩。今年も下手ながら、詩を作り続ける所存です。

 大晦日夕刻から風が吹き荒れ、風花が舞いました。夕闇。無雲、そして中秋の名月と変わらぬ月が昇ってきました。
 元旦の午前四時が月蝕。満月の正月なんて、ちょっと詩に詠めない、と戯れました。
 元旦、つくばいには氷が張り昼過ぎまで解けませんでした。玲瓏たる富士、歩くのが困難な強い風、そして時々風花が舞う、東遠州としては珍しい元日でした。























 2010年の新年漢詩 第36作は 常春 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-36

  (新年漢詩・交流詩)賀新年        

大綱一致徹宵談   大綱一致す 徹宵の談

細目縱横北與南   細目縦横たり 北と南

地現氷河無術止   地現わるる氷河止むるに術なし

波昇島嶼不能堪   波昇る島嶼堪える能わず

先進矜持鴻鵠志   先進矜持すべし鴻鵠の志

後追無陥虎狼貪   後追お陥いるなかれ虎狼の貪

気候課題時不待   気候の課題 時待たず

新年切願実行覃   新年切に願う 実行覃わたるを

          (下平声「十三覃」の押韻)

























 2010年の新年漢詩 第37作は 博生 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-37

  (新年漢詩)迎新年        

旭日曈曈万象新   旭日 曈曈 万象新た

清朝汲水賽天神   清朝 水を汲み天神に賽す

作詩吟詠是吾志   作詩 吟詠 是れ吾が志

偏誓弥弥韻事親   偏に誓ふ弥弥韻事親しむを

          (上平声「十一真」の押韻)

























 2010年の新年漢詩 第38作は 忍夫 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-38

  (新年漢詩・交流詩)賀新年        

除夕閑寂村外庵   除夕 閑寂 村外の庵

梵鐘浄韻又箴貪   梵鐘の浄韻又貪りをいましむ

明珠在掌真知足   明珠 在掌 真に足るを知らば

炉畔一家聞笑談   炉畔に一家 笑談を聞く

          (下平声「十三覃」の押韻)

























 2010年の新年漢詩 第39作は 忍夫 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-39

  (新年漢詩・交流詩)賀新年        

東山旭日洛中庵   東山の旭日 洛中の庵

夢想瑞祥桃里南   瑞祥を夢想すれば、桃里の南

白虎耐霜嘯険岳   白虎は霜に耐えて険岳に嘯き

青龍待暖臥深潭   青龍は暖を待ちて深潭い臥す

寿松親世千余歳   寿松の世に親しむこと千年余

行路逢春四十三   行路の春に逢うこと四十三

先喜健康宜買酔   先ず健康を喜び、宜しく酔いを買ひ

一家守拙只箴貪   一家拙を守りて、只貪りをいましむ

          (下平声「十三覃」の押韻)

























 2010年の新年漢詩 第40作は 宏迂 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-40

  (新年漢詩)謹賀新年        

百八鐘声払俗塵   百八の鐘声、俗塵を払ひ

鶏鳴報暁瑞雲新   鶏鳴暁を報じて、瑞雲新なり

平生疎遠此深謝   平生の疎遠、此に深く謝し

偏祷康寧寿吉辰   偏に康寧を祷って、吉辰を寿ぐ

          (上平声「十一真」の押韻)

























 2010年の新年漢詩 第41作は 兼山 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-41

  (新年漢詩)新年作        

美辞友愛聞専頻   

反核宣言賞更新   

六十五年如一夢   

當歡那否太平春   

          (上平声「十一真」の押韻)

























 2010年の投稿詩 第42作は 鮟鱇 さんからの作品です。

作品番号 2010-42

  (新年漢詩)寅歳年頭所感        

散樗延壽醒清晨,   散樗 壽を延ばして清晨に醒め,

先飲屠蘇暫賀春。   先ず屠蘇を飲んで暫くは春を賀す。

曙色燒雲天厭舊,   曙色 雲を焼くは 天 旧を厭うにして,

詩翁磨墨筆憐新。   詩翁 墨を磨くは 筆 新を憐れむなり。

寰球經濟猶牛歩,   寰球の経済 なお牛歩するごとく,

陋巷公民如虎蹲。   陋巷の公民 虎の蹲(うずくま)るごとし。

韵事何能救當世?    韻事 なんぞ能く当世を救わんや?

老殘無力妄游魂。   老残 力なくして妄(みだり)に魂を遊ばせり。

          (中華新韻「九文」の押韻)

<解説>
 寰球:世界。
 散樗:役に立たない者。























 2010年の投稿詩 第43作は 鮟鱇 さんからの作品です。

作品番号 2010-43

  (新年漢詩)庚寅歳朝口占        

歳除醉夢醒寅時,   歳除の酔夢 寅時に醒め,

白首將呵筆一枝。   白首 まさに呵さんとす 筆一枝。

發願新風吹世界,   願うは新風 世界に吹き,

廓清舊弊隱瑕疵。   瑕疵を隠す旧弊を廓清するを。

千門酒虎千鍾酒,   千門の酒虎に千鍾の酒,

萬戸詩龍萬首詩。   万戸の詩竜に万首の詩。

如此天能養人士,   此くのごとく 天 能く人士を養い,

振興諸藝嗜情絲。   情糸を嗜むる諸芸を振興するを。

          (中華新韻「十三支」の押韻)


<解説>
 歳除:大晦日。
 寅時:寅の刻。明け方。
 廓清:きれいさっぱり清める。






















 2010年の新年漢詩 第44作は 仲泉 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-44

  (新年漢詩)新年書懐        

迎春瑞気改風光   春を迎へて瑞気風光改まる

徒爾重齢百事忘   徒爾齢を重ね百事忘る

発奮泱然那宿志   発奮泱然宿志を那(いかん)せん

生来庸劣養剛腸   生来の庸劣剛腸を養はん

          (下平声「七陽」の押韻)

























 2010年の新年漢詩 第45作は 明鳳 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-45

  (新年漢詩・交流詩)賀新年(一)(星之願)        

新春祈願太虚潭   新春に祈願する 太虚の潭(ふち)

雙子宮光天頂探   双子宮(ジェミニ)の光 天頂に探れば

微隕流星明滅速   微(かす)かに隕(お)つる流星は 明滅して 速(はや)し

白駒過隙祷成三   白駒過隙(はっくかげき)に 祷(いのり)は 三を 成す

          (下平声「十三覃」の押韻)

<解説>

 昨秋10月の「オリオン座流星群」に続き、旧臘には「ふたご座流星群」が観測され、新しい年の安寧を、星空に願ってみた。

「太虚」: 大空
「雙子宮」: 双子座=ジェミニ
「白駒過隙」: 甚だ速いこと(ヒマ ユク コマノ アシ ハヤシ)























 2010年の新年漢詩 第46作は 明鳳 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-46

  (新年漢詩・交流詩)賀新年(二)(初詣)        

群聨初詣列   群がり 聯なる 初詣の 列

求福衆推参   福を 求めて 衆は 推参す

盡日鐘聲遍   尽日の 鐘声は 遍(あまね)く

新春縁起担   新春には 縁起 担(かつ)ぐ

          (下平声「十三覃」の押韻)

<解説>

 不況下の初詣は、却って人出が多かったとの由。

「推参」: 押しかける
「盡日」: 大晦日、みそか、























 2010年の新年漢詩 第47作は 明鳳 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-47

  (新年漢詩・交流詩)賀新年(三)(「初」字盡)        

初春文字飲   初春(はつはる)は 文字の 飲

初句伴清談   初句(しょく)は 清談に 伴ふ

初夢幾旋態   初夢(はつゆめ)は 幾たびか 態(すがた)を 旋(か)へ

初音已度三   初音(はつね)は 已(すで)に 三に 度(わた)る

初心詞作賦   初心(しょしん)の 詞(ことば)は 賦を 作り

初見趣宜耽   初見(しょけん)の 趣(おもむき)は 耽るに 宜し

初日志嚴在   初日(しょじつ)には 志(こころざし) 厳として 在(あ)るも

初更一笑堪   初更(しょこう)には 一笑に 堪(た)ふ

          (下平声「十三覃」の押韻)

<解説>

 「年の初めの ためし とて・・・」の愚懐です。

「文字飲」: 詩会のこと
「初夢」: 「一富士、二鷹、三茄子」は「ぶじ、高し、成す、」で、初夢には縁起が良い例え
「初音」: 鶯の初啼き
「初更」: (五更の一)夜七時〜九時頃、























 2010年の新年漢詩 第48作は 明鳳 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-48

  (新年漢詩・交流詩)賀新年(四)(期待冬季五輪)        

客臘競雄淘汰堪   客臘(かくろう)には雄を競って 淘汰に堪へ

滑氷滑雪策凝探   滑氷(かっぴょう)滑雪(かっせつ)に 策を凝(こ)らして探る

金銀銅賞不如勝   金銀銅の賞は 勝つに如(し)かず

冬季五輪榮譽三   冬季五輪の 栄誉は三つ

          (下平声「十三覃」の押韻)

<解説>

 カナダ・バンクーバーに於ける「冬季オリンピック」も間近で、暮れにスキー・スケート競技共に熾烈な代表選定に覇を競ったことで、本番では、金・銀・銅の表彰台入賞が大いに期待される。

「客臘」: 旧臘(昨年十二月)=「旧臈」とも書く























 2010年の新年漢詩 第49作は 明鳳 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-49

  (新年漢詩・交流詩)賀新年(五)(新春苦吟愚懷)        

詩嚢無想案頻探   詩嚢に想無く 案頻りに探れば

放馥屠蘇銘酊談   馥(ふく)を放つ屠蘇に 銘酊して談ず

何料阿蒙空碌碌   何ぞ料(はか)らん 阿蒙は空しく碌々(ろくろく)

新春旭日夢圖南   新春の旭日に 図南(となん)を夢む

          (下平声「十三覃」の押韻)

<解説>

 新年を賀す句をひねるも、相変わらずの拙吟と駄吟ばかり、起承転結や典故どころか、平仄合わせに、汲々するばかりの体たらくです。

「阿蒙」: (呉下阿蒙より)愚か者のこと
「碌碌」: 平凡で役立たずなこと
「圖南」: (図南鵬翼より)大事業を企てること、























 2010年の新年漢詩 第50作は とみ さんからの作品です。
 

作品番号 2010-50

  (新年漢詩)迎新年        

皓月玲瓏落半空   皓月 玲瓏として 半空に落ち

将来曉日彩雲東   将に来たらんとする曉日 彩雲の東

心機更改遥相望   心機更改 遥かに相望めば

首歳街坊瑞色充   首歳の街坊 瑞色充ちたり

          (上平声「一東」の押韻)

<解説>

 初日の出を見たときの感想を詩にしようと思いました。
 大きな月(確か大晦日の月は十六夜の月だったので)もさすがにそろそろと夜空からいなくなった
 東の雲がピンク色に染まってまさに日が昇ろうとしている
 心機一転!とばかりに改まった気持ちで眺めると
 元日の街がきれいな日の出色に染まっていた

 というストーリーで生まれて初めての詩作りにのぞみましたが、本を見ながら韻や平仄やらを考えてあれこれいじっていると、最初のイメージからどんどんそれていったような気もします・・























 2010年の新年漢詩 第51作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-51

  (新年漢詩・交流詩)賀新年        

寅時悪夢遶龍潭,   寅時の悪夢 竜潭をめぐり,

虎口逃生醒草庵。   虎口より逃れて生きて草庵に醒む。

將飲屠蘇賀新歳,   将に屠蘇を飲んで新歳を賀さんとし,

試揮禿筆畫肥甘。   試みに禿筆を揮って肥甘(ごちそう)を画く。

長街企業關門戸,   長街の企業は門戸を関(とざ)し,

陋巷寒家無酒壜。   陋巷の寒家に酒壜なし。

但願寰球復經濟,   但(ただ)に願う 寰球 経済を復し,

青年得志各圖南。   青年 志を得て各(おのおの)図南せんとするを。

          (下平声「十三覃」」の押韻)























 2010年の新年漢詩 第52作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-52

  (新年漢詩・交流詩)賀新年飲酒午眠而夢        

椒酒洗塵風味甘,   椒酒 塵を洗って風味甘く,

蠹魚枕臂夢圖南。   蠹魚 臂に枕して夢に図南す。

蕩搖韻尾游辭海,   韻尾の辞海に游(およ)ぐを蕩揺(ゆら)し,

獨擅硯池如玉潭。   硯池の玉潭のごときを独(ひと)り擅(ほしいまま)にす。

老作愁人知緑水,   老いて愁人と作(な)りて知る 緑水の,

清流心鏡映青嵐。   清らかに流れて心鏡に青嵐を映ずるを。

大鵬張翼江湖上,   大鵬 翼を張れり 江湖の上,

但願地球常湛藍。   但に願う 地球の常に湛藍(あお)きを。

          (下平声「十三覃」」の押韻)























 2010年の新年漢詩 第53作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-53

  (新年漢詩・交流詩)欲冩新歳賀詞而午睡        

曙色燒雲天厭舊,   曙色 雲を焼いて天 旧を厭い,

詩人磨墨意圖南。   詩人 墨を磨いて意は図南せんとす。

迎新求句騎鵬翼,   迎新の句を求めて鵬翼に騎し,

慨世飛聲坐草庵。   慨世の声を飛ばして草庵に坐す。

仁恤哀鴻鳴陋巷,   仁恤(あわれ)めば 哀鴻 陋巷に鳴き,

筆誅汚吏落深潭。   筆誅すれば 汚吏 深潭に落つ。

屠蘇生幻轉荒誕,   屠蘇 幻を生じてうたた荒誕,

暫枕閑肱午睡酣。   暫く閑肱に枕して午睡酣なり。

          (下平声「十三覃」」の押韻)























 2010年の新年漢詩 第54作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-54

  (新年漢詩・交流詩)賀新年我切願 隔句對        

新歳賀詞金句銹,   新歳の賀詞 金句の銹(さび),

舊翁閑語碧山庵。   旧翁の閑語 碧山の庵(いおり)。

寰球經濟猶牛歩,   寰球経済なお牛歩するごとく,

論客花言擅政談。   論客の花言 政談を擅にす。

陋巷公民如虎踞,   陋巷の公民 虎踞するごとく,

詩人刀筆斬烟嵐。   詩人の刀筆 煙嵐を斬る。

老殘裁賦無權力,   老残 賦を裁するも権力なく,

但願青年出湛藍。   但に願う 青年の湛藍より出づるを。

          (下平声「十三覃」」の押韻)























 2010年の新年漢詩 第55作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-55

  (新年漢詩・交流詩)賀新年 轆轤體五首(一)        

詩魔陪酒坐茅庵,   詩魔 酒に陪して茅庵に坐し,

愚叟揮毫畫旨甘。   愚叟 毫を揮って旨甘(うまいもの)を画く。

先賀新年擅金盞,   先ず新年を賀して金盞を擅にし,

共排舊弊入清談。   共に旧弊を排して清談に入る。

寰球經濟低迷久,   寰球経済 低迷して久しく,

環境問題昏昧覃。   環境問題 昏昧にして覃なり。

老骨雖賢已無力,   老骨 賢なりと雖も已に力なく,

祈求時運避龍潭。   時運の竜潭を避くるを祈求(いの)る。





 2010年の新年漢詩 第56作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-56

  (新年漢詩・交流詩)賀新年 轆轤體五首(二)        

老骨多情輕世路,   老骨 多情にして世路を軽んじ,

詩魔陪酒坐茅庵。   詩魔 酒に陪して茅庵に坐す。

傾杯閑話愚生醉,   杯を傾け閑話して愚生酔い,

信口高歌壽宴酣。   口に信(まか)せ高歌して寿宴酣(たけなわ)なり。

子夜鐘聲生虎口,   子夜の鐘声 虎口に生じ,

寅時蝶夢遶龍潭。   寅時の蝶夢 竜潭を遶る。

遊魂振羽逃千里,   遊魂 羽を揮って逃れること千里,

共賀新年嘗旨甘。   共に新年を賀して旨甘(うまいもの)を嘗めり。





 2010年の新年漢詩 第57作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-57

  (新年漢詩・交流詩)賀新年 轆轤體五首(三)        

寅時醉夢遶龍潭,   寅時の醉夢 竜潭を遶り,

虎口餘生醒斗南。   虎口の餘生 斗南に醒む。

愚叟揮毫畫盤盞,   愚叟 揮毫して盤盞を画き,

詩魔陪酒坐茅庵。   詩魔 酒に陪して茅庵に坐す。

風流厭舊擅空想,   風流 旧を厭いて空想を擅(ほしいまま)にし,

韻事憐新多戲談。   韻事 新を憐れんで戯談多し。

乘興彈琴競高唱,   興に乗り琴を弾いて高唱を競えば,

詞華萬首口邊甘。   詞華万首 口辺に甘し。





 2010年の新年漢詩 第58作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-58

  (新年漢詩・交流詩)賀新年 轆轤體五首(四)        

新旭燒雲天厭舊,   新旭 雲を焼いて天 旧を厭い,

大鵬張翼我圖南。   大鵬 翼を張りて我は南へ図る。

嘘呵凍硯磨香墨,   嘘呵して凍硯に香墨を磨き,

夢想飛仙攜旨甘。   夢想すれば飛仙 旨甘を携う。

騷客搖唇擅章句,   騷客 唇を揺らして章句を擅にし,

詩魔陪酒坐茅庵。   詩魔 酒に陪して茅庵に坐す。

共乘吟興無聲病,   共に吟興に乗って声病なく,

恰似黄鶯啼碧嵐。   恰も似たり 黄鶯の碧嵐に啼くに。





 2010年の新年漢詩 第59作は 鮟鱇 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-59

  (新年漢詩・交流詩)賀新年 轆轤體五首(五)        

財神牛歩遶龍潭,   財神 牛歩して龍潭を遶り,

經濟蕭條愁廣覃。   経済 蕭条として愁い広覃。

難賀新年硯池凍,   新しき年を賀しがたくして硯池 凍り,

苦吟拙句菲才慙。   拙き句を苦吟して菲才 慙ず。

守株待兎妄空想,   株を守り兎を待って妄りに空想し,

枕臂游魂擅暢談。   臂を枕に魂を遊ばし擅に暢談す。

老骨披襟對花貌,   老骨 襟を披いて花貌に対し,

詩魔陪酒坐茅庵。   詩魔 酒に陪して茅庵に坐す。

          (下平声「十三覃」」の押韻)























 2010年の新年漢詩 第60作は 謝斧 さんからの作品です。
 

作品番号 2010-60

  (新年漢詩・交流詩)賀新年連作五首 其之一        

斎沐C心拝佛龕   斎沐心をCめて佛龕を拝し

邦家安穏化周覃   邦家安穏 化周り覃ぶ

人鳴爆竹新正賀   人は爆竹を鳴して 新正を賀し

茅屋陶然詩酒耽   茅屋陶然として 詩酒を耽まん