第1回 桐山堂詩會(二〇一七年九月三日)

 平成16年から続けて来ました『世界漢詩同好會』ですが、台湾の汨羅江さん、韓国のC溪さんからご高齢のために幹事を続けることが困難だというご意向があり、残念ですが、第46回総会をもって、ひとまず区切りとしました。
 しかし、継続的に共通題と詩韻で作詩を交流することを希望される方も多く、新たに「桐山堂詩会(旧世界漢詩同好會)」として、再出発ことにしました。
 世界漢詩同好會同様、お願いします。



作品番号  題 名 作 者   詩 形
   
01 夏日好景 陳興 (中國 上海) 七言絶句 
02 夏日好景 瓊 泉 七言絶句 
03 夏日好景 劉白楊 (中國 西安) 七言絶句 
04 夏日好景 賀娟芳 (中國 陝西省) 七言絶句 
05 夏日 一 夢 (中國 陝西省) 七言絶句 
06 夏日好景 榮西安 (中國 陝西省) 七言絶句 
07 夏日好景 熊哲林 (中國) 七言絶句 
08 夏日好景 顧成功 (中國) 七言絶句 
09 夏日好景 張軍民 (中國) 七言絶句 
10 消夏雑詠 岳 峰 七言絶句 
11 夏日好景 玄 齋 七言律詩 
12 夏日感懐 春 空 七言絶句 
13 夏日好景 其一 鮟 鱇 五言絶句 
14 夏日好景 其二 鮟 鱇 五言律詩 
15 夏日好景 其三  鮟 鱇 五言律詩(隔句對) 
16 夏日好景 其四 鮟 鱇 七言絶句 
17 夏日好景 其五 鮟 鱇 七言絶句 
18 夏日感懷 其一 鮟 鱇 五言絶句 
19 夏日感懷 其二 鮟 鱇 五言絶句 
20 夏日感懷 其三 鮟 鱇 七言絶句 
21 夏日感懷 其四 鮟 鱇 五言律詩 
22 夏日感懷 其五 鮟 鱇 七言律詩 
23 夏日感懷 其六 鮟 鱇 七言律詩 
24 夏日好景 深 溪 七言絶句 
25 夏日感懷 蘆 馨 (臺灣) 七言律詩 
26 夏日感懷 蝶 依 (臺灣) 七言律詩 
27 夏日好景 洋 景 七言絶句 
28 夏日感懷 道 佳 七言絶句 
29 多久夏日好景 東 山 七言絶句 
30 夏日感懷(一) 東 山 七言絶句 
31 夏日感懷(二) 東 山 七言絶句 
32 夏日驟雨 香@風 七言絶句 
33 夏日好景 調布 T.N 七言絶句 
34 夏日好景 兼 山 七言絶句 
35 夏日感懷 兼 山 七言絶句 
36 夏日好景 其一 常 春 七言絶句 
37 夏日好景 其二 常 春 七言絶句 
38 夏日感懐 其一 常 春 七言絶句 
39 夏日感懐 其二 常 春 七言絶句 
40 夏日感懷 楊 川 七言絶句 
41 夏日感懷 杜 正 七言絶句 
42 夏日感懷 趙文懷(臺灣) 七言絶句 
43 夏日即事 岳 城 七言絶句 
44 夏日好景(眺望駿河湾) 調布 T.N 七言絶句 
45 夏日好景 觀 水 七言律詩 
46 夏日感懷 觀 水 七言絶句 
47 夏日感懷 謝 斧 七言絶句 
48 夏日好景 C 溪(韓國) 七言絶句 
49 夏日感懷 C 溪(韓國) 七言絶句 
50 夏日好景 忍 冬 七言絶句 
51 夏日感懷(木曾旅懷) (桐山堂半田) A.Y 七言絶句 
52 夏日感懷(懷昔新構居之時) (桐山堂半田) A.Y 七言絶句 
53 初夏偶成 (桐山堂半田) 眞 海 七言絶句 
54 夏日感懷 一 (桐山堂半田) K.I 七言絶句 
55 夏日感懷 二 (桐山堂半田) K.I 七言絶句 
56 夏日感懷 (桐山堂半田) Y.S 七言絶句 
57 夏日好景 (桐山堂半田) Y.S 七言絶句 
58 夏日感懷 一 (桐山堂半田) S.K 七言絶句 
59 夏日感懷 二 (桐山堂半田) S.K 七言絶句 
60 夏日好景 (桐山堂半田) 輪中人 七言絶句 
61 夏日感懷 (桐山堂半田) 輪中人 七言絶句 
62 夏日感懐 (桐山堂半田) 酔 竹 七言絶句 
63 夏日好景 (桐山堂半田) 酔 竹 七言絶句 
64 夏日好景 (桐山堂刈谷) 靜 巒 七言絶句 
65 夏日好景 (桐山堂刈谷) 老 遊 七言絶句 
66 夏日好景 (桐山堂刈谷) T.K 七言絶句 
67 夏日好景 (桐山堂刈谷) 松 閣 七言絶句 
68 夏日好景 (桐山堂刈谷) 游 山 七言絶句 
69 夏日好景 一 (桐山堂刈谷) 聖峰 七言絶句 
70 夏日好景 二 (桐山堂刈谷) 聖峰 七言絶句 
71 夏日感懷 一 (桐山堂刈谷) 聖峰 七言絶句 
72 夏日感懷 二 (桐山堂刈谷) 聖峰 七言絶句 
73 夏日感懷 三 (桐山堂刈谷) 聖峰 七言絶句 
74 夏日好景 (桐山堂刈谷) 藤佳 七言絶句 
75 夏日好景 (桐山堂刈谷) M.O 七言絶句 
76 夏日好景 桐山人 七言絶句 
77 夏日感懷 桐山人 七言絶句 




































[01] 参加者  陳興(中國 上海) 


  夏日好景        

颱風昨夜木窗敲   

晨出溪泥路上交   

工部當年草堂築   

誰掀屋頂幾重茅   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[02] 参加者  林 瓊泉 


  夏日好景        

湍瀨激巖溪水奔   湍瀬 巌に激して 溪水奔り

香魚潑剌影翩翻   香魚 溌剌として 影翩翻たり

簔翁垂釣灘聲裡   簔翁釣を垂る 灘声の裡

一境涼生江畔村   一境涼は生ず 江畔の村

          (上平声「十三元」の押韻)



























[03] 参加者  劉白楊(中國 西安) 


  夏日好景        

新荷点水正含苞,   

幾尾魚兒學吐泡。   

寧靜校園聽午后,   

蟬聲三兩抱林梢。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[04] 参加者  賀娟芳(中國 陝西省) 


  夏日好景        

起落蟬聲振柳梢,   

池塘方寸隱龍蛟。   

児童應少觀魚樂,   

忙把銀絲一線抛。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[05] 参加者  一夢(中國 陝西省) 


  夏日        

移船不覺抵塘凹,   

欲釣斜陽掛柳梢。   

臥聽前山歸鳥動,   

總將老眼對荷苞。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[06] 参加者  榮西安(中國 陝西省) 


  夏日好景        

桑拿蒸浴炙城郊,   

祈盼陰涼入我州。   

白雨時來天地動,   

悶雷響電任咆哮。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[07] 参加者  熊哲林(中國) 


  夏日好景        

莫笑荷塘半畝凹,   

蜻蜓點水吻蓮苞。   

瀟瀟風雨連三日,   

柳下垂綸伴鳥咬。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[08] 参加者  顧成功(中國) 


  夏日好景        

枝上鳴蟬入夜州,   

持竿赤臂上松梢。   

不知堂叔跟前過,   

竹子抽身少話嘮。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[09] 参加者  張軍民(中國) 


  夏日好景        

月蕩波心荷露苞,   

仙裙飛動翠眉姣。   

快門一閃情何重,   

此處和諧不忍抛。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[10] 参加者  岳峰 


  消夏雑詠        

大樹影濃蟬語喧   大樹影は濃くして 蝉語喧(かまび)すし

暑威揮汗到黄昏   暑威汗を揮って 黄昏に到る

疎簾燈火閑敲句   疎簾の灯火 閑に句を敲く

恰好詩情興自存   恰も詩情に好し 興自ずから存すを

          (上平声「十三元」の押韻)


木々の緑陰から蝉の大合唱が聞こえています。
うだるような真夏の暑さは、ようやくにして黄昏を迎えました。
やがて疎らな簾ごしに、灯りが見える時刻に至りました。
閑に任せて一句ひねりつつあるところです。
日中の猛暑から逃れて、やっと詩を作ろうという気分になってきたのです。

























[11] 参加者  玄齋 


  夏日好景        

避暑池塘向近郊   暑を避けんと池塘の近郊に向かひ

早朝碧藕眺芳苞   早朝 碧藕の芳苞を眺む

禾田水面成蛙市   禾田の水面 蛙市を成し

柳岸樹陰窺鳥巢   柳岸の樹陰 鳥巣を窺ふ

暫案詩詞作彫琢   暫く詩詞を案じて彫琢を作し

新添字句行推敲   新たに字句を添へて推敲を行ふ

招涼滾滾C泉響   涼を招く滾滾たる清泉の響き

閑詠自然方外交   閑かに詠ず自然の方外の交はりを

          (下平声「三肴」の押韻)


暑さを避けようと、池の堤のある市街に近い郊外に向かい、
早朝には、緑の蓮の花の蕾を眺めていました。

稲を植えた田んぼの水面では、蛙が群がり鳴くようになり、
柳を植えた水辺の岸の木陰では、鳥の巣を窺い見ていました。

暫く詩や韻文(いんぶん:韻を踏んだ散文)を考えて、字句を美しく飾り、
新たに字句を付け加えて、詩や韻文(いんぶん)の辞句を練っていました。

涼しさを招く、水が盛んに流れる清らかな泉の水の響きがして、
静かに自然の世の雑事に煩わされていない所と通じ合った所を漢詩に詠んでいました。


























[12] 参加者  春空 


  夏日感懐        

魃亭炎熱灼乾坤   魃は亭(とどま)りて 炎熱 乾坤を灼く

老體疲労欲斷魂   老体は疲労して魂を断つたんと欲す

驚見他郷豪雨害   驚き見る 他郷豪雨の害

天爲戒告向誰論   天為 戒告 誰に向かってか論ぜん

          (上平声「十三元」の押韻)


今年の暑さは大変なもので、
老人にはとても過酷で死にそう
報道で他所では大雨が降って甚大な被害が出たと知る
これは、自然現象か 天の戒告か 誰に向って問えばいいのか

























[13] 参加者  鮟鱇 


  夏日好景 其一 五言絶句        

山上紅霞美,   山上に紅霞美しく,

暮光爲酒肴。   暮光 酒肴と為る。

依欄傾小盞,   欄に依り小盞を傾け,

目送鳥歸巢。   目送す 鳥の巣に歸るを。

          (下平声「三肴」、中華新韻「六豪平声」の押韻)



























[14] 参加者  鮟鱇 


  夏日好景 其二 五言律詩        

贅翁傾緑酒,   贅翁 緑酒を傾け,

禿筆潤金樽。   禿筆 金樽に潤ふ。

浮想遊霞洞,   浮想 霞洞に遊び,

遐思推竅門。   遐思 竅門(秘訣の門)を推す。

青山開眼底,   青山 眼底(眼前)に開け,

白首上雲根。   白首 雲根(高山)に上る。

露宿風餐後,   露宿風餐の後,

詩泉足跡噴。   詩泉 足跡に噴く。

          (下平声「十三元」、中華新韻「九文平声」の押韻)



























[15] 参加者  鮟鱇 


  夏日好景 其三 五言律詩(隔句對)        

西嶺納曦軒,   西嶺 曦軒(太陽)を納め,

歸雲牽錦翻。   帰雲 錦の翻るを牽く。

涼臺山氣爽,   涼台(ベランダ)に山気爽やかにして,

醉叟擅卮言。   醉叟 卮言を擅(ほしいまま)にす。

眼底花容笑,   眼底に花容笑ひ,

賢妻耐絮煩。   賢妻 絮煩に耐ふ。

夕霞如扇美,   夕霞 扇の美しきが如く,

旅宿近仙源。   旅宿 仙源に近し。

          (下平声「十三元」、中華新韻「八寒平声」の押韻)



























[16] 参加者  鮟鱇 


  夏日好景 其四 七言絶句        

投宿傾杯借赭顔,   宿に投じて杯を傾け赭顔を借り,

露天夕作浴池猿。   露天 夕べになる浴池の猿に。

獨聽蟬噪競求愛,   独り聴く 蝉の噪ぎて競ひ愛を求むるを,

挂念女聲牆外喧。   挂念(気にかかる)女声の牆外に喧しきが。

          (下平声「十三元」、中華新韻「八寒平声」の押韻)



























[17] 参加者  鮟鱇 


  夏日好景 其五 七言絶句        

盛夏追涼伴女孫,   盛夏 涼を追ふに女孫を伴ひ,

逍遙湖畔望山根。   湖畔を逍遥し山根を望む。

童顔一笑拾蟬蛻,   童顔一笑 蝉蛻を拾ひ,

祝願飛仙成晩婚。   祝願す 飛仙の晩婚を成すを。

          (下平声「十三元」、中華新韻「九文平声」の押韻)



























[18] 参加者  鮟鱇 


  夏日感懷 其一 五言絶句        

詩翁苦吟處,   詩翁苦吟の處,

蝉噪競求婚。   蝉噪ぎて競ひ求婚す。

晩境雲泥在,   晩境に雲泥在(あ)り,

暮愁生酒樽。   暮愁 酒樽に生ず。

          (下平声「十三元」、中華新韻「九文平声」の押韻)



























[19] 参加者  鮟鱇 


  夏日感懷 其二 五言絶句        

妖精咬詩叟,   妖精の咬みたる詩叟,

泥醉夢雲孫。   泥酔し雲孫を夢みる。

血脈輪廻後,   血脈 輪廻の後,

蚊雷集酒樽。   蚊雷 酒樽に集る。

          (下平声「十三元」、中華新韻「九文平声」の押韻)



























[20] 参加者  鮟鱇 


  夏日感懷 其三 五言律詩        

金蟬不知雪,   金蝉 雪を知らず,

鳴叫在邊梢。   鳴き叫んで辺梢に在り。

却老求純愛,   老いを却(しりぞ)けて純愛を求め,

舒情絶濫交。   情を舒するも濫交を絶つ。

贅翁無進退,   贅翁に進退なくも,

禿筆有推敲。   禿筆に推敲あり。

夢想天堂戀,   夢想す 天堂の恋,

醒來纔自嘲。   醒め来りて纔(わずか)に自嘲す。

          (下平声「三肴」、中華新韻「六豪平声」の押韻)



























[21] 参加者  鮟鱇 


  夏日感懷 其四 五言律詩        

追涼小行旅,   涼を追ふ小行旅(旅行),

投宿在山村。   投宿して山村に在り。

靜澗沈幽暗,   静澗 幽暗に沈み,

流螢如鬼魂。   流蛍 鬼魂の如し。

傾杯想詩客,   杯を傾けて想ふ 詩客ありて,

求句斃詞根。   句を求めて斃る 詞根に。

遺恨難收涙,   遺恨 涙を收め難ければ,

清溪飄閃存。   清渓に飄へる閃き存(あ)り。

          (下平声「十三元」、中華新韻「九文平声」の押韻)



























[22] 参加者  鮟鱇 


  夏日感懷 其五 七言律詩        

贅翁醉眼遊仙境,   贅翁の醉眼 仙境に遊ぶに,

電視溪流近水源。   電視(テレビ)の渓流 水源に近し。

螢火耿耿若銀漢,   蛍火 耿耿として銀漢のごとく,

詩情沸沸釀玄言。   詩情 沸沸として玄言を醸す。

滿天星子爲詩語,   天に滿てる星子(星々)詩語となり,

追幻氷心隔世喧。   幻を追ふ氷心 世喧を隔つ。

好夢難長屏幕改,   好夢 長らへ難く屏幕(画面)改まり,

新聞節目報塵煩。   新聞節目(ニュース番組)塵煩を報ず。

          (下平声「十三元」、中華新韻「八寒平声」の押韻)



























[23] 参加者  鮟鱇 


  夏日感懷 其六 七言律詩        

晩夏風流萬衆欣,   晩夏の風流 万衆欣ぶ,

乘涼煙火照乾坤。   乘涼の煙火(花火)乾坤を照らすを。

青年夫婦伴兒女,   青年の夫婦 児女(子供)を伴ひ,

白首翁姑隨子孫。   白首の翁姑 子と孫に随ふ。

共賞滿天花耀眼,   共に賞(め)ず 満天の花の眼に耀くを,

獨思可口酒盈樽。   独り思ふ 口に可なる酒の樽に盈つるを。

賢妻告戒醉郷過,   賢妻 醉郷の過ちを告戒(たしな)めれば,

良夜清遊降體温。   良夜の清遊 体温を降(さ)ぐ。

          (下平声「十三元」、中華新韻「九文平声」の押韻)



























[24] 参加者  深溪 


  夏日好景        

多雨昨宵過我軒   多雨 昨宵も 我が軒を過り

柳條洗出色鮮繁   柳條 洗い出して 鮮に色は繁る

疎鐘落日深東寺   疎鐘 落日 深東の寺

千古青青松掩門   千古 青々 松門を掩ふ

          (上平声「十三元」の押韻)


「深東寺」:調布市深大寺東町の寺・深大寺の意。
























[25] 参加者  蘆馨(臺灣) 


  夏日感懷        

尋涼來秘境,   

修竹弄晴稍。   

水面紅霞綺,   

巖巓翠蔭交。   

騰箋頻舉筆,   

有酒卻無肴。   

獨憶雲深處,   

溪邊一草茅。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[26] 参加者  蝶依(臺灣) 


  夏日感懷        

松風習習鳥咬咬,   

逭暑無妨達遠郊。   

物外烹茶臨石澗,   

林間覓句歇亭茅。   

今餘老病終何用,   

未立功名只自嘲。   

不寫愁情唯寫景,   

流連更待轉花梢。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[27] 参加者  洋景 


  夏日好景        

碧湖細浪爽吟魂   碧湖 細浪 吟魂を爽やかにす

広漠草原無夏村   広漠 草原 夏無きの村

遙望秀峰殘雪耀   遙に望む 秀峰 残雪の耀き

瑞西追憶忘塵煩   瑞西の追憶 塵煩を忘る

          (上平声「十三元」の押韻)



























[28] 参加者  道佳 


  夏日感懷        

練達汗搥友情尊   練達で汗し搥(う)つ 友情尊し

共同始終伎箴言   共同は始終 伎(わざ)の箴言(しんげん)

祭輪鼓動合兒女   祭の輪 鼓動の児女に合せん

心一高臺C響盆   心一に高台 清響なる盆

          (上平声「十三元」の押韻)


 先生、残暑お見舞い申し上げます。
 自治会の青少年育成教養委員会の責任者もしていまして、夏祭りでは子ども太鼓の準備でした。
 その模様を作詩しました。
 よろしくお願いいたします。

クラブや塾から帰ってきた子も、太鼓の練習に汗し一生懸命搥っている
最初から最後まで、一緒に、打ち方を教わり共に頑張ってきた。
さあ祭りの日、踊りは、子どもたちが搥つ太鼓に合わせて輪が広がっていく
櫓の上で、心一つに一生懸命、その響きはすばらしい盆踊りとなった

























[29] 参加者  東山 


  多久夏日好景        

朝光先照仰高門   朝光先ず照らす 仰高門

早拜賢君佇小園   早に賢君を拝して 小園に佇む

池上風通香氣繞   池上風通って 香気繞り

妍華紅白覺心魂   妍華紅白 心魂を覚ます

          (上平声「十三元」の押韻)



























[30] 参加者  東山 


  夏日感懷(一)        

山崩土石埋郷村   山崩れ土石 郷村を埋め

流木破橋加破軒   流木橋を破って 加た軒を破る

雨去仰天災害狀   雨去って天を仰ぐ 災害の状

萬人黙黙弔亡魂   万人黙々 亡魂を弔ふ

          (上平声「十三元」の押韻)



























[31] 参加者  東山 


  夏日感懷(二)        

狂陽高上灼山村   狂陽高く上がり 山村を灼き

蟬噪醒眠午下門   蝉噪眠りを醒ます 午下の門

存土七年生十日   土に在ること七年 生十日

黙聞絶唱恤喧喧   黙して聞く絶唱 喧々を恤れむ

          (上平声「十三元」の押韻)



























[32] 参加者  黒浴@


  夏日驟雨        

茅屋蒸炎萬事煩   茅屋 蒸炎 万事煩わし

突如雲湧百雷喧   突如 雲湧き 百雷喧まし

億千銀箭沛然雨   億千の銀箭 沛然の雨

涼氣一陣通小軒   涼気 一陳 小軒を通る

          (上平声「十三元」の押韻)



























[33] 参加者  調布 T.N 


  夏日好景        

朝光燦燦照靈山   朝光燦燦と霊山を照らし

滄海遙浮漁子船   滄海遙かに浮く 漁子の船

初夏房州富詩趣   初夏の房州 詩趣に富む

白雲舒巻散蒼天   白雲舒巻し蒼天に散る

          (下平声「一先」の押韻)


 高台にある房州金谷城ホテルのロビーから見た早朝の風景です。
 遠くの富士山と眼下の海上遙に浮かぶ漁船が印象的でした。

























[34] 参加者  兼山 


  夏日好景        

陽光愈照拷A繁   陽光愈いよ照り 緑陰繁し

白雨雷聲夕景昏   白雨 雷聲 夕景昏し

C夜殘炎涼一枕   清夜 残炎 涼一枕

幽吟秋信未須論   幽吟 秋信 未だ論ずるを須ひず

          (上平声「十三元」の押韻)


   夏の日は夏の一日として過ぐ
























[35] 参加者  兼山 


  夏日感懷        

夏日到來蔓草茅   夏日 到來 草茅蔓る

白頭後退任他嘲   白頭 後退 嘲は他に任す

應知八十四年刻   応に知るべし 八十 四年の刻

美酒兼肴費推敲   美酒と 肴と 推敲に費す

          (下平声「三肴」の押韻)


   夏の日を処す老耄の知恵袋
























[36] 参加者  常春 


  夏日好景 其一        

盛夏求涼出近郊   盛夏 涼を求め近郊に出づ

川漁野採整山肴   川に漁し野に採り 山肴整ふ

午餐滿足休横臥   午餐満ち足りて 横臥休えば

壕遮光閃影梢   緑蔭光遮りて 梢に閃影す

          (下平声「三肴」の押韻)



























[37] 参加者  常春 


  夏日好景 其二        

迎秋盛典競花砲   迎秋の盛典 花砲の競ひ

華麗綾紋寸化泡   華麗な綾紋 寸に泡と化す

天體総伊成畫布   天体 総て伊れ画布と成す

終筵星散響連敲   終筵 星散らす 連敲の響き

          (下平声「三肴」の押韻)



























[38] 参加者  常春 


  夏日感懐 其一        

沛雨傾盆濁水咆   沛雨盆傾け 濁水咆ゆ

住民避難不安交   住民避難して 不安 交ふ

纔晴即刻熱波報   纔かに晴るれば即刻 熱波の報

未解流砂行路膠   未だ 流砂行路に膠すを解かざるに

          (下平声「三肴」の押韻)



























[39] 参加者  常春 


  夏日感懐 其二        

玩弄新型導彈砲   玩弄す新型導彈砲

頻回実射雜言嘲   頻回の実射 雑言の嘲り

制裁議決何無力   制裁の議決 何たる無力ぞ

盛夏心寒戰火交   盛夏 心は寒し 戦火交じふかと

          (下平声「三肴」の押韻)



























[40] 参加者  楊川 


  夏日感懷        

日日無爲過幾年   日日為すことなく幾年か過ぎたり

蟬聲滿耳枕書眠   蝉聲耳に満つも書を枕に眠る

平生自思詩情樂   平生自ら詩情の楽しみを思ふ

午榻風來六月天   午榻風来たれり 六月の天

          (下平声「一先」の押韻)


 清の袁枚 「鎖夏詩」次韻  
























[41] 参加者  杜正 


  夏日感懷        

三伏同門出遠郊   三伏 同門 遠郊に出づ

深林齊女夕鳴梢   深林にて 斉女 夕に梢に鳴く

溪泉一浴先忘暑   渓泉にて一浴すれば 先ず 暑さを忘れ

酌酒談詩憶舊交   酒を酌んで 詩を談ずれば 旧交を憶ふ

          (下平声「三肴」の押韻)


暑い夏、詩の仲間と郊外に出かけたところ、
林奥深く、ひぐらしが夕暮れの梢で鳴いている。
谷川の泉を浴びれば、まず、暑さを忘れた。
酒を飲んで、詩を議論していると、昔の交流を思いだす。

























[42] 参加者  趙文懷(台灣) 


  夏日感懷        

暑氣騰騰飛熱浪,   

桾卵嵐゚上雲巢。   

裁箋展墨臨青案,   

抒曲扶琴伴玉鐃。   

搖扇階數星子,   

拈杯席地望林梢。   

炎炎長日何須怨,   

且把新詞仔細敲。   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[43] 参加者  岳城 


  夏日即事        

烈日止風蝉雀喧   烈日 風は止み蝉雀 喧し

鳴蛙亂吠搖田園   鳴蛙 乱吠 田園 揺れる

扇冰無効茅庵裏   扇冰 効 無く茅庵の裏

滅却心頭昼鎖門   心頭を滅却せんと昼 門を鎖す

          (上平声「十三元」の押韻)



























[44] 参加者  調布 T.N 


  夏日好景(眺望駿河湾)        

斜照煌煌眼下湾   斜照煌々たり眼下の湾

波濤蒼海水光殷   波濤の蒼海水光殷(あか)し

客人誘興豆州景   客人の興を誘う豆州の景

魅了西方跨越山   魅了す西方跨越の山

          (上平声「十五刪」の押韻)



  西伊豆の山から駿河湾を眺望し詠む。

「跨越山」: 跨いで越えられる山。転じて小高い山々

























[45] 参加者  觀水 


  夏日好景        

六月南風度草茅   六月 南風 草茅を度り

陽光暖氣滿村郊   陽光 暖気 村郊に満つ

銀鱗戲影游藍水   銀鱗 影に戯れて 藍水に游び

玄鳥滑空過碧梢   玄鳥 空を滑って 碧梢を過ぐ

世路多難應解樂   世路 多難なるも 応に解く楽しむべく

一家些事乃宜抛   一家の些事は乃ち宜しく抛つべし

欲吟野興無塵色   吟ぜんと欲す野興 塵色無きを

美景良辰此處交   美景 良辰 此の処に交る

          (下平声「三肴」の押韻)


旧六月の南風 夏の草むら吹きわたり
村にあふれる太陽の 光と暖かい空気
さかなは影と戯れて あおい流れに泳いでる
つばめは空を滑るよう みどりの梢過ぎてゆく
世間多難というけれど 楽しむこともできるだろう
家庭の些細な用事など 程々にして放っておけ
塵に染まらぬ野の風情 ぜひとも詩にしてみたいもの
きれいな景色とよい時間 ひとつところにあるものを


























[46] 参加者  觀水 


  夏日感懷        

騷人執筆大咆哮   騒人 筆を執って 大いに咆哮するも

惡句麤章漫混淆   悪句 麤章 漫りに混淆す

流汗淋漓蒸暑裏   流汗 淋漓 蒸暑の裏

幾回改字又推敲   幾回か 字を改めて 又た推敲す

          (下平声「三肴」の押韻)


詩人だからと筆をとり おおいに奮ってみるけれど
読むに堪えない字句ばかり 無闇矢鱈に入り混る
たらりたらりと汗たらす 蒸し蒸し暑い部屋のなか
何度も何度も書き換えて ひたすら推敲繰り返す

























[47] 参加者  謝斧 


  夏日感懷        

冷夏寒雲大地包   冷夏寒雲大地を包み

不須逃暑避山茅   須ひず暑を逃れて山茅に避くるを

叢篁穿土抽新筍   叢篁 土を穿ちて新筍抽き

梁燕銜泥補舊巢   梁燕泥を銜んで舊巣を補ふ

田圃欲肥空播種   田圃肥んとしても 空く種を播き

稲粱不稔未成苞   稲粱稔らず 未だ苞を成さず

淫霖雷雹恐凶作   淫霖雷雹凶作を恐れ

農父仰天耕耨抛   農父天を仰いで耨耕を抛つ

          (下平声「三肴」の押韻)



























[48] 参加者  C溪(韓國) 


  夏日好景        

晩夏幽村境自好,   

有閑有酒有珍肴.   

漲溪驟雨開新路,   

宿鳥還山棲舊巢.   

針線乞工祈織女,   

閃雷墮涙訴河鼓.   

水邊避暑人波溢,   

果穀肥甘豐野郊.   

          (下平声「三肴」の押韻)



























[49] 参加者  C溪(韓國) 


  夏日感懷        

老炎熾盛不須言,   

洪水風災處處煩.   

破橋覆車新時俗,   

走石飛沙古史論.   

晩夏峯巒長日影,   

初秋果穀熟郊原.   

同文同軌同人會,   

歳久奈何神氣昏.   

          (上平声「十三元」の押韻)



























[50] 参加者  忍冬 


  夏日好景        

愛山行住老孤村   山を愛し行住して孤村に老い

雨讀晴耕意氣存   雨ふれば読み晴るれば耕して 意気存す

一刻偸間小詩作   一刻間を偸んで小詩を作し

風清靜晝臥籬根   風清き静昼 籬根に臥す

          (上平声「十三元」の押韻)


 曾て伊豆韮山山中の山小屋で夏休みを過ごした時の様子を懐しんで書きました。
























[51] 参加者  (桐山堂半田) A.Y 


  夏日感懷(木曾旅懷)        

野亭閑寂樹陰繁   野亭閑寂として 樹陰繁し

聒聒寒蜩遠近村   聒聒たる寒蜩 遠近の村

三伏城中餘午熱   三伏の城中 午熱を余す

暮風颯颯滿田園   暮風颯颯として 田園に満つ

          (上平声「十三元」の押韻)



























[52] 参加者  (桐山堂半田) A.Y 


  夏日感懷(懷昔新構居之時)        

翠陰風爽坐幽軒   翠陰 風爽やかに 幽軒に坐す

螢影青蜩數畝園   螢影 青蜩 数畝の園

雷雨沛然挼酷暑   雷雨沛然 酷暑を沛然挼(さい)す

北辰南指暮煙昏   北辰南指す 暮煙昏し

          (上平声「十三元」の押韻)



























[53] 参加者  (桐山堂半田) 眞海 


  初夏偶成        

南風初夏滿田園   南風 初夏 田園に満つ

舞上蜻蜓輕燕翻   舞上る蜻蜓 軽燕翻る

杏子欲呈朋未到   杏子 呈ぜんと欲するも 朋未だ到らず

草茅莽莽掩柴門   草茅 莽莽 柴門を掩ふ

          (上平声「十三元」の押韻)



























[54] 参加者  (桐山堂半田) K.I 


  夏日感懷 一        

南風颯颯鳥聲喧   南風颯颯として 鳥声喧し

田水潺湲夏木繁   田水潺湲として 夏木繁し

驟雨一過消午熱   驟雨一過 午熱を消す

閑林歩向夕陽村   閑林歩して向かふ 夕陽の村

          (上平声「十三元」の押韻)



























[55] 参加者  (桐山堂半田) K.I 


  夏日感懷 二        

避暑海濱坐小軒   暑を避け 海浜 小軒に坐す

層雲帆影水光昏   層雲 帆影 水光昏し

夕風瑟瑟漁歌近   夕風瑟瑟として 漁歌近し

酌酒蕭然憶故園   酒を酌み蕭然として故園を憶ふ

          (上平声「十三元」の押韻)



























[56] 参加者  (桐山堂半田) Y.S 


  夏日感懷        

松籟清陰隔市喧   松籟 清陰 市喧を隔つ

閑窗半日坐幽軒   閑窓 半日 幽軒に坐す

暗風銀箭一燈淡   暗風 銀箭 一灯淡し

雷火煌煌雨脚繁   雷火煌煌として 雨脚繁し

          (上平声「十三元」の押韻)


 盛夏の午後は何をするでもなく、静かに部屋に居た。急に暗くなり、雷と夕立ちがものすごくなってきた。
























[57] 参加者  (桐山堂半田) Y.S 


  夏日好景        

結實好期農事繁   結実の好期 農事繁し

忘歸終日話田園   帰るを忘れ 終日 田園に話す

夏雲白白拷A邑   夏雲白白 緑陰の邑

雀聲涼風野色昏   雀声 涼風 野色昏し

          (上平声「十三元」の押韻)



























[58] 参加者  (桐山堂半田) S.K 


  夏日感懷 一        

山青啼鳥拷A村   山青く 啼く鳥 緑陰の村

避暑涼風坐小軒   暑を避け 涼風 小軒に坐す

雷雨沛然簷下滴   雷雨沛然たり 簷下の滴

林亭雲外憶家園   林亭 雲外 家園を憶ふ

          (上平声「十三元」の押韻)



























[59] 参加者  (桐山堂半田) S.K 


  夏日感懷 二        

南風颯颯水辺村   南風颯颯たり 水辺の村

萬濠ユ林日欲昏   万緑の閑林 日昏れんと欲す

碧漢杜鵑聲一叫   碧漢の杜鵑 声一叫

孤窗欹枕涙空呑   孤窓 枕を欹て 涙空しく呑む

          (上平声「十三元」の押韻)



























[60] 参加者  (桐山堂半田) 輪中人 


  夏日好景        

夏午繙書坐小軒   夏午 書を繙いて 小軒に坐す

南薫未散忘塵煩   南薫未だ散ぜず 塵煩を忘る

窓前風鐸清泉響   窓前の風鐸 清泉の響き

萬地洋洋軽燕翻   萬地洋々 軽燕翻る

          (上平声「十三元」の押韻)



























[61] 参加者  (桐山堂半田) 輪中人 


  夏日感懷        

緑陰嫩草忽生蕃   緑陰 嫩草 忽ち生蕃す

茅屋窓前燕語喧   茅屋の窓前 燕語喧し

慈雨一過消午熱   慈雨一過 午熱消す

蟬声十里夏初村   蝉声十里 夏初の村

          (上平声「十三元」の押韻)



























[62] 参加者  (桐山堂半田) 酔竹 


  夏日感懐        

烈日朝來蟬語喧   烈日 朝来 蝉語喧し

家人避暑遂關門   家人暑を避け 遂に門を関す

蘆簾不動向書懶   蘆簾動かず 書に向ふも懶し

莫謂豐登三伏恩   謂ふ莫かれ 豊登三伏の恩

          (上平声「十三元」の押韻)



























[63] 参加者  (桐山堂半田) 酔竹 


  夏日好景        

潮平暑氣溢乾坤   潮平かにして 暑気乾坤に溢る

風遠輕舟白帆翻   風遠く 軽舟 白帆翻る

碧渚銀波童稚戯   碧渚 銀波 童稚戯る

老夫倦釣既黄昏   老夫 釣りに倦みて 既に黄昏

          (上平声「十三元」の押韻)



























[64] 参加者  (桐山堂刈谷) 靜巒 


  夏日好景        

清風颯颯渡農郊   清風颯颯 農郊を渡る

濃淡瓜棚告F交   濃淡の瓜棚 告F交たり

軒下素羅涼氣盡   軒下の素羅 涼気尽く

夏時食卓樂新肴   夏時の食卓 新肴を楽しむ

          (下平声「三肴」の押韻)



























[65] 参加者  (桐山堂刈谷) 老遊 


  夏日好景        

山野空濛三徑郊   山野 空濛たる 三径の郊

蔓蘿冐竹老松交   蔓蘿 竹を冒し 老松交はる

宿雲流去風清爽   宿雲流れ去り 風清爽

迎夏藤花翠紫梢   夏を迎ふ藤花 翠紫の梢

          (下平声「三肴」の押韻)



























[66] 参加者  (桐山堂刈谷) T.K 


  夏日好景        

藤花紫影映村郊   藤花の紫影 村郊に映ず

林下薔薇曉霧包   庭中の薔薇 暁霧包む

散策空濛芳草暗   散策 空濛 芳草暗く

待晴一日友朋敲   晴れを待ちて 一日 友朋敲く

          (下平声「三肴」の押韻)



























[67] 参加者  (桐山堂刈谷) 松閣 


  夏日好景        

青林新樹歩東郊   青林 新樹 東郊を歩す

燕子銜泥還故巢   燕子 泥を銜み 故巣に還る

半日優游藤滿架   半日優游 藤架に満つ

涼風撫頬四時交   涼風 頬を撫で 四時の交はり

          (下平声「三肴」の押韻)



























[68] 参加者  (桐山堂刈谷) 游山 


  夏日好景        

繞簷雙燕作營巢   簷を繞る双燕 営巣を作す

搖動南風青柳梢   南風に揺動す 青柳の梢

草屋邀朋望好景   草屋に朋を邀へて好景を望み

裁詩吟誦忘年交   詩を裁し 吟誦す 忘年の交はり

          (上平声「十三元」の押韻)



























[69] 参加者  (桐山堂刈谷) 聖峰 


  夏日好景 一        

東檐燕子積新巢   東檐の燕子 新巣を積む

薄暑蜜蜂花滿梢   薄暑 蜜蜂 花梢に満つ

柳葉風輕幽興足   柳葉 風軽く 幽興足る

書窗一刻古詩鈔   書窓 一刻 古詩鈔す

          (下平声「三肴」の押韻)



























[70] 参加者  (桐山堂刈谷) 聖峰 


  夏日好景 二        

颯颯薫風筍脱苞   颯颯たる薫風 筍は苞を脱す

綿蛮時鳥北窗梢   綿蛮 時鳥 北窓の梢

靜虚墨寶宗師在   静虚 墨宝 宗師在り

吟社同朋久結交   吟社の同朋 久しく交はりを結ぶ

          (下平声「三肴」の押韻)



























[71] 参加者  (桐山堂刈谷) 聖峰 


  夏日感懷 一        

鳳蝶舒飛花影迷   鳳鳥 舒飛 花影迷ふ

岩頭追尾獨攀躋   岩頭追尾 独り攀躋す

下山茅屋霏微雨   山を下れば茅屋 霏微の雨

黙坐閑吟汲古稽   黙坐 閑吟 汲古稽(かんが)ふ

          (上平声「八斉」の押韻)



























[72] 参加者  (桐山堂刈谷) 聖峰 


  夏日感懷 二        

鳳蝶翩翩花影迷   鳳蝶 翩翩として 花影迷ふ

岩頭追尾獨攀躋   岩頭追尾 独り攀躋す

遙空風起白雲湧   遥かなる空 風起こり 白雲湧き

碧濠峰遠樹齊   碧緑 奇峰 遠樹斉し

          (上平声「八斉」の押韻)


 こちらは前作の、山を下りないバージョンです。
























[73] 参加者  (桐山堂刈谷) 聖峰 


  夏日感懷 三        

風起青波柳覆堤   風起こり 青波 柳は堤を覆ふ

兩三鳥影夕陽西   両三の鳥影 夕陽の西

依稀閣閣梅霖晩   依稀 閣閣 梅霖の晩

黙坐閑吟汲古稽   黙坐 閑吟 汲古稽(かんが)ふ

          (上平声「八斉」の押韻)



























[74] 参加者  (桐山堂刈谷) 藤佳 


  夏日好景        

陽光早暁照西郊   陽光早暁 西郊を照らす

奪目大輪花滿梢   目を奪ふ大輪の花 梢に満つ

川面告ツ山里景   川面 緑青 山里の景

君知處處解香包   君知るや 処処に香包を解くを

          (下平声「三肴」の押韻)



























[75] 参加者  (桐山堂刈谷) M.O 


  夏日好景        

戸庭榴火茅檐蝶   戸庭の榴火 茅檐の蝶

雛燕聲聲棟宇州   雛燕の声々 大廈の巣

午下沾喉茶一椀   午下 喉を沾す 茶一椀

閑人獨坐自詩嘲   閑人 独座し 自詩嘲む

          (下平声「三肴」の押韻)



























[76] 参加者  桐山人 


  夏日好景        

避暑孤行野水郊   暑を避けんとして孤り行く 野水の郊

輕風淅淅柳楊梢   軽風 淅淅たり 柳楊の梢

蟬聲已歇日長午   蝉声は已に歇む 日長きの午

舊友將尋文雅交   旧友将に尋ねんとす 文雅の交はり

          (下平声「三肴」の押韻)



























[77] 参加者  桐山人 


  夏日感懷        

碧水溶溶津渡村   碧水溶溶たり 津渡の村

白雲不動鳥騰翻   白雲動かず 鳥は騰翻す

行人來往樂游歩   行人来往し 游歩を楽しむ

江畔C風楡柳繁   江畔 清風 楡柳繁し

          (上平声「十三元」の押韻)